大西麻貴+百田有希 / o+hによる、銀座のメゾンエルメスのウィンドウデザイン「建築のような、生き物のような」の写真です。2008年に同事務所が設計したインスタレーション「都市の中のけもの、屋根、山脈」との関連性がうかがえる作品です。
以下は公式の概要です。
今回のウィンドウディスプレイを手がけた建築家の大西麻貴と百田有希は、パーソナリティーのある建築、個性に満ち溢れた建築こそ、人々の記憶に強く残ると考えています。たとえば、フランス人建築家のル・コルビュジェがマルセイユに設計した巨大な集合住宅、ユニテ・ダビタシオンは二人にとって建築というよりも、まるで豊満な女性が今にも走り出そうとしているような、生命力に満ち溢れた存在として感じられるのです。
私たちは建築を動かないものだと思っていますが、もし建築が生き物のように街のなかを歩くと考えてみたならば、思わぬ想像が膨らみます。たとえば、眠る街をひそかに徘徊するビル。雲のようにふわふわと浮かぶ屋根。下町を威勢よく練り歩く神輿は文字通り神様のお家ですが、家が町中を動いて回るというだけで、町全体に素晴らしい祝祭性が生まれます。
ウィンドウディスプレイのなかにはそんな自由な想像が詰まっています。小さな建築のようでいて、生き物でもある何か。女性の肩越しに広がるランドスケープのようなかたちは、子供が遊ぶ空間を包み込む温かな屋根になっています。夜になったら銀座のビルの谷間をそぞろ歩くかもしれない、あいまいで自由気ままな小さな建築は、きっと街のいたるところに潜んでいるに違いありません。生命力に溢れる建築を探して、そぞろ歩きをしてみませんか。