二俣公一 / ケース・リアルによる、福岡・大牟田のSOHO+多目的スタジオ「IN THE PAST」です。
施主は予てより様々なアートディレクションや食について考えるワークショップなどを行っている夫婦。彼らの活動の新たな拠点として、福岡県大牟田市のシャッター街にあるビルを改修することになった。通常アーケードのようなパブリックな場所では、そこに面して住空間を設けるのは避けられることが多い。しかし今回施主からの要望は、一部浴室などの機能のみ別フロアに、それ以外の住居機能・オフィス・多目的スタジオという複数の用途をワンフロアに設けることであった。さらに、働くことと生活することが等価な施主らしく、極力間仕切りが少なく「漂えるような」空間を求められた。そこで、寝室など必要最小限の機能のみを区画し、それ以外の機能はキッチンを中心に全てひとつながりの空間に配した。問題となったのは、アーケードに対してプライバシーを守りつつ、イベント時などにどのようにオープンな状況を作れるかであった。これに対しては、ファサード側に親子扉や大きな可動間仕切りを設けることで、その時々に応じた顔を作ることを可能にした。