インタビュー集『アーキテクトプラス “設計周辺”を巻き込む』のプレビュー(1)、山道拓人・千葉元生・西川日満里(ツバメアーキテクツ)と古澤大輔・籾山真人(リライト)
インタビュー集『アーキテクトプラス “設計周辺”を巻き込む』のプレビュー(1)、山道拓人・千葉元生・西川日満里(ツバメアーキテクツ)と古澤大輔・籾山真人(リライト)

ユウブックスから刊行されたインタビュー集『アーキテクトプラス “設計周辺”を巻き込む』をプレビューします。
第一回目は、山道拓人・千葉元生・西川日満里/ツバメアーキテクツのインタビュー「空間をつくる『Design』とプロジェクトをつくる『Lab』の二部門構成でソーシャルテクトニクスを体現する」と、古澤大輔・籾山真人/リライトのインタビュー「ハード(建築)とソフト(仕掛け)を融合させた〝場所づくり〟を実践」の一部を紹介します。

 本書はユウブックス の1作目『リノベーションプラス 拡張する建築家の職能』の続編です。

 「建築家の職能の拡張」を共通のテーマにしながらも、『リノベーションプラス』が「探求と生活の両立」であるならば、今作は「探求の延長にある領域で、フィーについて考える」に編集者の個人的な関心が移ったことも反映されました。

 具体的には設計業務を遂行するうえで、それをより良いものとするために自然と考察し、手掛けることになる領域、つまり建物のソフトの部分に関わってくる「企画」「リサーチ」「コンサルティング」といった、“設計周辺”に積極的に携わることの可能性を探っています。

 取材を通し、ソフト面でも提案した価値に見合う対価を得ること、それがアトリエ系設計事務所の置かれた経営状況をより良い方向に導き、ひいては設計者の地位の向上につながるのではと、建築家の方々には教えていただきました。

 もちろんそれらの領域への進出が仕事を取るための工夫、フィーについての試行錯誤、といった側面だけで行われているわけでは決してありません。
 多くが社会問題を解決し、またよりよい設計ができるような環境を整えたり、多様化する社会にプロジェクトを対応させたり、歴史文化やコミュニティに貢献する事業を生み出すなど、建築家らしい視点でより広く社会に良い影響を与える手法について深く考え、試みられています。
 ちなみに、いわゆる“上流工程”に建築家が関わることの意味とは何か、についても巻頭鼎談では熱く議論が交わされました。

 本書ではこのように、社会と同時に建築界に対し、建築家が“設計周辺”に職能を広げることへの可能性を探っています。

 ぜひご一読いただけましたら幸いです。

桐圭佑 / KIRI ARCHITECTSによる、京都・南区の印刷工房「POD Print Factory」
桐圭佑 / KIRI ARCHITECTSによる、京都・南区の印刷工房「POD Print Factory」 photo©阿野太一

桐圭佑 / KIRI ARCHITECTSが設計した、京都・南区の印刷工房「POD Print Factory」です。桐は、藤本壮介建築設計事務所出身の建築家です。

京都市南区に建つ4階建ての印刷工房。最大幅3.2mのインクジェット出力ができる大型プロッターを始め、さまざまなメディアサイズの出力/加工に対応できる、ものづくりの現場である。

周辺には、大小様々な町工場が建ち並び、その間には戸建ての住宅や大きな畑、ビニールハウス、小屋といった生活スケールも同時に混在していた。そこで、 雑多な周辺環境に対応しながら、小さな壁状のヴォリュームを幾重にも積み上げることで、たくさんのものに囲まれながらも明るく開放的な製作環境を構想した。

八木敦之 / アトリエMEMEによる、千葉・富津市の別荘「villaS」
八木敦之 / アトリエMEMEによる、千葉・富津市の別荘「villaS」 photo©下里卓也

八木敦之 / アトリエMEMEが設計した、千葉・富津市の別荘「villaS」です。八木は、北川原温建築都市研究所出身の建築家です。

山と海の境界線に佇む別荘。正方形の平面に、花弁のように四方に広がる屋根をかぶせる。大地と大海原を感じながら、住人は静かに余白の時を刻む。

藤本寿徳による、RC製のエッジのシャープさが特徴的な住宅の螺旋階段のメイキング動画

藤本寿徳が設計した、RC製のエッジのシャープさが特徴的な住宅の螺旋階段のメイキング動画です。藤本は2016年にも今回の階段につながるデザインの階段を設計しており、その施工方法についてtwitterで議論が巻き起こりました(その後住宅特集に施工についても掲載)。

以下は、荒谷省午が同建築の階段を訪問してのtwitterへの投稿です。1000件以上のいいねが付く等の反響が見られます。

ホンマタカシが撮り下ろした「三井本館」の写真などが公開される展示が開催

ホンマタカシが撮り下ろした「三井本館」の写真などが公開される展示が開催されます。会期は2019年6月8日~7月21日(※6月8日(土)のみ、いずれの会場も 14:00—20:00 ※休展日 6/10、6/12、6/24、6/25、7/8)。

展覧会について

2019年に開館90周年を迎える三井本館は、日本近代建築を代表する重要文化財であり、現代の都市においてはごくあたりまえの存在となった「複合オフィスビル」の先駆けともいえる建築物です。2019年6月8日から7月21日まで行う本展覧会は、その歴史を振り返り、建物としての魅力を現代の視点で切り取るものです。
展覧会は、写真家・ホンマタカシ氏の撮影・監修による写真展示企画を主体に構成されています。ホンマ氏が長年取り組んでいる「カメラオブスキュラ」を用いた写真を含む三井本館の撮り下ろし写真が特大サイズで展示されるほか、 建設当時の様子を収めた貴重なアーカイブもホンマ氏の手で再撮影・編集され、お披露目されます。
展示会場は、合名玄関と呼ばれるオフィスフロアのエントランスと、隣接する日本橋三井タワーのアトリウム。合名玄関は、大理石の重厚なインテリアをはじめとする開館当時の佇まいを残す場所で、展示期間中は、普段は気軽に入れない館内を見学していただけます。

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