SUGAWARADAISUKE建築事務所が設計した、広島・三原市の、飲食店併設の製造販売施設「瀬戸内醸造所」です。醸造所のコンセプトを伝える物語と風景を構築するため、35m大屋根等の要素で瀬戸内の様々な情報と環境を取捨選択し、既存風景の見え方を再編集する建築となっています。また、クリエイティブディレクションとコンセプトデザインもSUGAWARADAISUKE建築事務所が手掛けています。施設の公式サイトはこちら。
本計画は、元造船所跡地に建つワイナリー「瀬戸内醸造所」のレストランを併設した製造販売拠点。
醸造所が掲げる、「旅するワイナリー」を体験として伝える物語と風景の構築が求められた。そこで、時間と共に移ろう海と島並、山と空が見渡せる瀬戸内らしい敷地特性を活かし、見学ツアーやカフェ利用などの気軽な滞在、バーベキューやコース料理などの様々な飲食、大小の式典など、様々な過ごし方が屋内外での展開する多様な居場所群を目指した。
2棟の建築ボリューム、植栽と造船所の廃材で構成した蛇篭壁や盛り土によって、海と一体化したまとまりのある広場をつくった。前面道路から海岸線まで真っ直ぐ延びる軸線は、この広場を貫通して、海と山の風景を対比的に接続すると共に、大屋根ゲートによる空と島並のフレーミングで、アプローチの高揚感をつくっている。
また、35mの傾斜した大屋根は、瀬戸内の水平線を強調し、山並みへ視線を誘導する。建築屋内外で起伏する地面や床面、小上りや段々デッキ、カウンターといった居場所と共に、周辺環境の特徴的な風景への視線の誘導、開閉する空間密度や屋内外が一体化した広がりを生成している。