岸和郎+K.ASSOCIATESが2021年9月に完成させた、奈良の住宅「西ノ京丘陵の家」の写真

216.52 岸和郎+K.ASSOCIATESが2021年9月に完成させた、奈良の住宅「西ノ京丘陵の家」の写真

岸和郎+K.ASSOCIATESのウェブサイトに、奈良の住宅「西ノ京丘陵の家」の写真が12枚掲載されています。

夫婦二人+子供という核家族のための住宅であり、奈良の郊外に建つ。

日常的に使用する自動車や趣味のための二輪車などの台数が多いため、前面道路に面しては駐車用のスペースが間口一杯まで必要になる。そのためファサードはその分だけセットバックし、1階の趣味室が大きく開放している以外は閉じた表情としている。

北西隅に中庭を持つL型平面の1階の東側には主寝室、南側には子供室、和室など、プライベートな色合いの強い空間を配し、北西に配置した中庭にそれぞれの部屋が面する。中庭へと向かう視線が他の部屋からの視線と交わることの無いよう、中庭に向かう開口部はどちらかというと小さく計画し、中庭の独立性を確保するように計画した。

それと対比的に、2階に配置したリビング・ダイニング・スペースは南に寄せて配置し、北側に向けて大きな開口部を設ける。天井高は3.2mを確保し南側壁面上部にはスカイライトを設けることで天井面の高さを強調し、また北側の光の安定した風景を主寝室上部のウッドデッキのテラス越しに見ることで、ほとんど外部空間に暮らすかのようなリビング・ダイニング・スペースを実現した。北側の風景は水平方向に展開し、太陽光は南側のスカイライトから垂直に差し込むことになる。 禅宗の書院では北側に一日中東から西へ移動する太陽の光を常に受ける緑の庭を楽しみ、南庭は石庭などの抽象的な素材による光と影の庭とし、さらにその地面からの太陽光の反射と拡散を暗い屋根裏の空間が受けることで内部の空間に光の陰影が出現するという空間構成であるということ、それを現代の都市住宅で実現したいと考えて試行した建築である。

岸和郎+K.ASSOCIATESが2021年11月に完成させた、埼玉の住宅「指扇の家」の写真

270.65 岸和郎+K.ASSOCIATESが2021年11月に完成させた、埼玉の住宅「指扇の家」の写真

岸和郎+K.ASSOCIATESのウェブサイトに、埼玉の住宅「指扇の家」の写真が12枚掲載されています。

東京の郊外、畑や離散して建つ建物が拡がるのどかな田園風景の中に建つ住宅である。最初にこの敷地を訪ねた時に唐突に思い出した風景がある。それはリチャード・ノイトラの1937年に竣工したストラトモア・アパートメントの写真、それも建築そのものではなくその背景の自然を思い出したのだ。この建築はウエストウッドに建っている。その写真の背景に写る当時のウエストウッドは現在の緑溢れる風景からは想像もつかない、低木だけがまばらに生えた、それもほとんど砂漠に近いような背景であることに驚愕したのだった。東京近郊にそんな風景が存在するわけはないのはもちろんだが、そんな風景の中だからこそロスアンジェルスでは1950年代以降のケーススタディハウスが成立したのだと感じたことを唐突に思い出していたのだった。

この場所にはそんなオープンプランの平家の住宅が良いのではないか、もちろん周辺の環境の変化、都市化を予想しながら、半分閉じたオープンプランの平面という矛盾した形式がこの東京郊外の取り止めのない田園風景の中ではありうるのではないかと考えた。

外周に視線を少しだけ透過する半透明の金属製の塀を設け、その内側の建物外壁は透明なガラスの壁とし、その中間の庭とも呼べない外部空間は将来の周辺環境の変化に対応するバッファー空間と考えることで、広い意味でのダブルスキンの外皮に包まれたオープンプランの建築を構想した。 構造は垂木を主構造部材とする木構造とし、それ以外の部材、外部デッキや塀などは可能な限り工場生産された既製部材を使用することで建築としての性能を確保すると同時に、木構造と工業製品が対比する内部風景をつくり出すことを考えていた。

k-associates.com
中村拓志&NAP建築設計事務所による、沖縄・恩納村の「風突のケアハウス」。難病の子を持つ家族に生きる活力を補充してもらうため施設で、子どもの目線等で楽しめる空間設計をすると共に、健常者の研修施設として社会そのものをケアすることを目指す

487.17 中村拓志&NAP建築設計事務所による、沖縄・恩納村の「風突のケアハウス」。難病の子を持つ家族に生きる活力を補充してもらうため施設で、子どもの目線等で楽しめる空間設計をすると共に、健常者の研修施設として社会そのものをケアすることを目指す

中村拓志&NAP建築設計事務所による、沖縄・恩納村の「風突のケアハウス」。難病の子を持つ家族に生きる活力を補充してもらうため施設で、子どもの目線等で楽しめる空間設計をすると共に、健常者の研修施設として社会そのものをケアすることを目指す photo©Koji Fujii / TOREAL
中村拓志&NAP建築設計事務所による、沖縄・恩納村の「風突のケアハウス」。難病の子を持つ家族に生きる活力を補充してもらうため施設で、子どもの目線等で楽しめる空間設計をすると共に、健常者の研修施設として社会そのものをケアすることを目指す photo©Koji Fujii / TOREAL
中村拓志&NAP建築設計事務所による、沖縄・恩納村の「風突のケアハウス」。難病の子を持つ家族に生きる活力を補充してもらうため施設で、子どもの目線等で楽しめる空間設計をすると共に、健常者の研修施設として社会そのものをケアすることを目指す photo©Koji Fujii / TOREAL
中村拓志&NAP建築設計事務所による、沖縄・恩納村の「風突のケアハウス」。難病の子を持つ家族に生きる活力を補充してもらうため施設で、子どもの目線等で楽しめる空間設計をすると共に、健常者の研修施設として社会そのものをケアすることを目指す photo©Koji Fujii / TOREAL

中村拓志&NAP建築設計事務所が設計監理した、沖縄・恩納村の「風突のケアハウス」です。難病の子を持つ家族に生きる活力を補充してもらうため施設で、子どもの目線等で楽しめる空間設計をすると共に、健常者の研修施設として社会そのものをケアすることが目指されました。

旅行が難しい重度の難病の子とその家族を沖縄本島恩納村に招き、生きる活力を補充してもらうためのケアハウスである。施主である公益社団法人「難病の子どもとその家族へ夢を」からは、最後の旅かもしれないと覚悟して来る家族が多い中で、難病の子を病人として扱う無味乾燥な施設ではなく、子どもらしく親らしくいられて、旅の体験が家族の絆を一層深められること、そして将来わが子が亡くなったとしても、家族が再訪して、思い出と共に静かに過ごせる場、さらに健常者が他者への思いやりと優しさを深めるための研修施設となることが求められた。敷地は2階レベルであれば海が見えたが、施主は沖縄らしい植生の庭に包まれた平屋で、難病の子どもを持つ家族たちとスタッフが互いの気配を感じながら一体的に過ごすことを望んだ。

建築家によるテキストより

設計においてはまず、一日中寝たきりで天井や窓を見つめている子どもの身体に寄り添いたいと考えた。その子たちの目線や身体スケールに合わせて、横臥位でも外の景色や風を楽しめる掃き出し窓や、 低い入口と天井、そして仰向けになって見上げる中央には約1.8mの直径で奥行き8mの風突と高窓を設けた。これによって、日中上空で強い風が吹いている時は気圧差により、風突が室内の空気を上昇させ排気を促す。凪の時の客室では風突から暖気を逃がし、掃き出しの低い窓から北庭の日陰の空気を引っ張る煙突効果が生まれている。

建築家によるテキストより

水の中庭は、気象庁の風向頻度統計と現地調査をふまえ、昼は海と崖下の川から吹き上がり、夜は山から吹き下ろす方位に抜けを設けた。中央の水盤には、外周部との温度差で涼しい風が通り抜ける。ガラスの入ってない天窓から雨や風が入り込み、太陽や雲によって照度が刻々と変化する内省的な空間である。静謐なホールの壁沿いのベンチに腰を掛けると、天窓からの光が水盤に反射し、その水紋が天井に炎のように揺らめく。私たちはそれを「心に灯す炎」と呼んで家族への励ましととらえている。

建築家によるテキストより
玉井洋一による連載コラム “建築 みる・よむ・とく” 番外編1「懐の深いシャリのような美術館───八戸市美術館」

487.17 玉井洋一による連載コラム “建築 みる・よむ・とく” 番外編1「懐の深いシャリのような美術館───八戸市美術館」

玉井洋一による連載コラム “建築 みる・よむ・とく” 番外編1「懐の深いシャリのような美術館───八戸市美術館」

建築家でありアトリエ・ワンのパートナーを務める玉井洋一は、日常の中にひっそりと存在する建築物に注目しSNSに投稿してきた。それは、誰に頼まれたわけでもなく、半ばライフワーク的に続けられてきた。一見すると写真と短い文章が掲載される何気ない投稿であるが、そこには、観察し、解釈し、文章化し他者に伝える、という建築家に求められる技術が凝縮されている。本連載ではそのアーカイブの中から、アーキテクチャーフォトがセレクトした投稿を玉井がリライトしたものを掲載する。何気ない風景から気づきを引き出し意味づける玉井の姿勢は、建築に関わる誰にとっても学びとなるはずだ。
(アーキテクチャーフォト編集部)

※建築家が作品として発表する建築物についての考察は「番外編」として掲載していきます


懐の深いシャリのような美術館

玉井洋一による連載コラム “建築 みる・よむ・とく” 番外編1「懐の深いシャリのような美術館───八戸市美術館」八戸市美術館の外観 photo©玉井洋一
text:玉井洋一

 
 
八戸市美術館の見学会で、設計者のひとりである西澤徹夫さんのツアーに参加した(設計を手掛けたのは西澤徹夫・浅子佳英・森純平)。徹夫さんの解説は、美術館にまつわる様々な事象に対する愛と批評性に溢れていた。美術館の具体的なつくられ方や使われ方に始まり、幅木やコーナーガードなどの部分のはたらき、なるほどと思わせる什器のディテールや裏方でのモノの扱い方など、実践的かつユーモアのあるアイデアは、今後美術館のスタンダードになっていくだろう。

もうひとつすばらしいと感じたのは、市の職員の方が率先して建築の補足説明をしてくれたこと。それは美術館を自分ごととして捉えていないとできないことであり、この建築に対する誇りを感じた。時間をズラして行われていた共同設計者の浅子佳英さんによる解説もぜひ聞いてみたかったが、これからもたくさんの人が八戸を自分ごととして解説している未来がイメージされた。

以下の写真はクリックで拡大します

玉井洋一による連載コラム “建築 みる・よむ・とく” 番外編1「懐の深いシャリのような美術館───八戸市美術館」ジャイアントルーム photo©玉井洋一
玉井洋一による連載コラム “建築 みる・よむ・とく” 番外編1「懐の深いシャリのような美術館───八戸市美術館」ジャイアントルーム photo©玉井洋一

この美術館の特徴であるジャイアントルームの写真をはじめて見た時、これは「教会」だと思った。最近、個人的に教会に興味があることが関係していたかもしれない。建築のプロポーションや構成における類似性やズレ、都市広場と建築の関係性、個人から群集に及ぶ使われ方の多様性、誰でも受け入れる平等性、建築と美術の共存性、教える場と学ぶ場など、八戸の教会性について妄想していた。

しかし現地で実際に建築を体験してみるとその妄想は的外れなものではないけれども、一方でたくさんある八戸の捉え方のひとつであって、どうでもいいことのようにも思えた。なぜならこの建築は、美術館とは何か?これからの美術館はどうあるべきか?といったように「美術館」そのものついてトコトン考えていたからだ。

藤森雅彦建築設計事務所による、広島市の住宅「House F」。平屋という要望と周辺との文脈づくりを両立する為、周辺と同等スケールのヴォリュームを設定し不要部を切取る手法で空間を設計、それにより大らかな気積と採光通風可能な空間が実現

675.46 藤森雅彦建築設計事務所による、広島市の住宅「House F」。平屋という要望と周辺との文脈づくりを両立する為、周辺と同等スケールのヴォリュームを設定し不要部を切取る手法で空間を設計、それにより大らかな気積と採光通風可能な空間が実現

藤森雅彦建築設計事務所による、広島市の住宅「House F」。平屋という要望と周辺との文脈づくりを両立する為、周辺と同等スケールのヴォリュームを設定し不要部を切取る手法で空間を設計、それにより大らかな気積と採光通風可能な空間が実現 photo©小川重雄
藤森雅彦建築設計事務所による、広島市の住宅「House F」。平屋という要望と周辺との文脈づくりを両立する為、周辺と同等スケールのヴォリュームを設定し不要部を切取る手法で空間を設計、それにより大らかな気積と採光通風可能な空間が実現 photo©小川重雄
藤森雅彦建築設計事務所による、広島市の住宅「House F」。平屋という要望と周辺との文脈づくりを両立する為、周辺と同等スケールのヴォリュームを設定し不要部を切取る手法で空間を設計、それにより大らかな気積と採光通風可能な空間が実現 photo©小川重雄

藤森雅彦建築設計事務所が設計した、広島市の住宅「House F」です。平屋という要望と周辺との文脈づくりを両立する為、周辺と同等スケールのヴォリュームを設定し不要部を切取る手法で空間を設計、それにより大らかな気積と採光通風可能な空間が実現されました。

この計画は、老後を過ごす夫婦2人の住まいであり、クライアントからの要望は、平屋建てであること、屋外に駐車場(3台分)と菜園スペースを設けたいということであった。

建築家によるテキストより

計画地は広島市の北部に位置し、敷地の周辺は2階建ての住宅が多く、時折中高層のマンションなども点在している。要望である“平屋”というボリュームは、周辺との関係性や文脈がつくりにくいのではないかと感じ、周囲のボリュームと同等スケールのボリュームを設定し、そこから不要な部分を切り取ることで、空間を生成していく手法を試みた。

建築家によるテキストより

気積を必要としない収納や廊下などのボリュームは切り取り、ボリュームに凹をつくりだしている。切り取った凹部は、光や風を取り込む環境装置、そして、大らかな気積を緩やかに区切る間仕切りとしても機能し、明るく風通しのよい空間を実現した。

建築家によるテキストより

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