九州大学岩元真明研究室と関西学院大学荒木美香研究室が設計した、福岡市の「オーゼティック・パビリオン」です。
金属板を加工して制作されたパーゴラです。建築家は、平面に切込を周期的に入れる“幾何学的パターン”を応用し、最小限の材料で多孔質の自由曲面を作る方法を開発しました。そして、レーザー加工と人力で制作でき特殊な型枠や治具は不要です。※設置期間は終了しています
平らなステンレス板に周期的な切込みを入れ、人の手で荷重をかけるだけで自由曲面のパーゴラ(日陰棚)をつくりだす試みである。
「オーゼティック」と呼ばれる伸縮性をもつ幾何学的構造の応用であり、金属板の可塑性を利用して、最小限の材料と労力で望ましい曲面を制作することができる。切り紙細工のような切込みのパターンと曲面の起伏が呼応し、光を受けると水面のように輝き、こぼれ落ちる影は木漏れ日を思わせる。
オーゼティックとは、平面に多数の切り込みを周期的に入れた幾何学的パターンのことであり、横に伸ばすと縦にも広がるという特徴をもつ。このオーゼティックの仕組みをステンレスの平板に応用し、金属の可塑性を利用して多孔質の曲面を制作する方法を開発した。
具体的には、まず、1mm厚のステンレス板にレーザー加工で幾何学的パターンの切込みを入れる。次に、板中央の3点に約150kgの荷重をかけ、ステンレス板を塑性変形させることによって多孔質の曲面をつくりだす。これは、最小限の材料で自由曲面を創出する新たな手法であり、特殊な型枠や治具は一切不要である。荷重をかける作業は人力で可能であり、安価かつ平易に自由な曲面をつくることができた。