御手洗龍建築設計事務所による、埼玉・草加市の「松原児童青少年交流センター miraton・松原テニスコート」。新たに立ち上がる街の中心に位置する施設。“原風景”にもなる“能動性”を喚起する建築を目指し、ヴォールト架構が“9棟”連なる構成を考案。空間の展開が生み出す“動き”で子供達の居場所の発見や交流を促す 俯瞰 photo©中村絵
御手洗龍建築設計事務所による、埼玉・草加市の「松原児童青少年交流センター miraton・松原テニスコート」。新たに立ち上がる街の中心に位置する施設。“原風景”にもなる“能動性”を喚起する建築を目指し、ヴォールト架構が“9棟”連なる構成を考案。空間の展開が生み出す“動き”で子供達の居場所の発見や交流を促す 外観とみんなのはらっぱ photo©中村絵
御手洗龍建築設計事務所による、埼玉・草加市の「松原児童青少年交流センター miraton・松原テニスコート」。新たに立ち上がる街の中心に位置する施設。“原風景”にもなる“能動性”を喚起する建築を目指し、ヴォールト架構が“9棟”連なる構成を考案。空間の展開が生み出す“動き”で子供達の居場所の発見や交流を促す 1階、エントランスホール photo©中村絵
御手洗龍建築設計事務所による、埼玉・草加市の「松原児童青少年交流センター miraton・松原テニスコート」。新たに立ち上がる街の中心に位置する施設。“原風景”にもなる“能動性”を喚起する建築を目指し、ヴォールト架構が“9棟”連なる構成を考案。空間の展開が生み出す“動き”で子供達の居場所の発見や交流を促す 1階、おやこルームから創作工房とエントランスホールを見る。 photo©中村絵
御手洗龍建築設計事務所 が設計した、埼玉・草加市の「松原児童青少年交流センターmiraton(ミラトン)・松原テニスコート」です。
新たに立ち上がる街の中心に位置する施設です。建築家は、“原風景”にもなる“能動性”を喚起する建築を目指し、ヴォールト架構が“9棟”連なる構成を考案しました。そして、空間の展開が生み出す“動き”で子供達の居場所の発見や交流を促します。施設の公式サイトはこちら 。
敷地はかつて東洋一のマンモス団地と言われた松原団地の中央に位置しています。
老朽化による一斉建て替えに伴い、隣接する小学校と幼稚園を残して地域全域が更地となり、新たな町が立ち上がろうとしていました。隣棟間隔の広い当時の団地は、守られた中にたっぷりと緑地があり、内外一体となって子どもたちが遊んでいました。そこでこの土地に根付くその原風景を、新たなかたちで築いていこうと考えました。
子どもを見ていると、心を震わせながら身体が空間に反応している瞬間をよく目にします。
高いところがあれば上りたくなり、囲まれたところがあれば身を寄せたくなり、トンネルがあればくぐりたくなる。さらに明るいところや暗いところ、音の響くところ、風の抜けるところ、そして暖かいところと、子どもたちは全身、五感を使って自分と世界との距離に一つ一つ驚きながら、生の喜びを感じているように見えます。
こうした発見に満ちた建築が立ち上がることで、子どもたちの能動性を喚起する生き生きとした場が生まれるのではないかと考えました。
建物は紙コップを横にして半分に切ったような形をしています。
その傾いたトンネル状の空間が大きさや傾きを変えながら9棟連なって全体が構成されています。ヴォールトと呼ばれるこの架構は、厚さ180mm(一部200~250mm)のコンクリートで地上から立ち上がり、前後の庭を繋いでいきます。さらにヴォールトが重なることで浮かび上がる軒下や側面の開口を通して、横方向にも空間が展開し、内外一体となった明るく開かれた場が作られていきます。
こうして相互に連動しながら立ち上がる幾何学の中には、やわらかく包み込まれる安心感と、空間の展開によって促される動きが同居しています。それが子どもたちの能動性を喚起し、自分の居場所の発見と交流を促していきます。