葛島隆之建築設計事務所が設計した、東京・千代田区の「Office Idein」です。
コロナ禍での事務所の稼働率減少に伴う移転計画です。建築家は、“新しい交流の場”への再編を目指し、人が集まる可能性とその空間の作り方を模索しました。そして、床に設ける段差で平面計画を行い“居場所や家具的な機能”が生まれる空間を作りました。施主企業の公式サイトはこちら。
IT系ベンチャー企業Ideinのオフィス移転に伴う内装計画。
もともとリモートワークを導入していた企業であったが、コロナ禍によりそれが加速し、オフィスの稼働率が1~2割程度まで減ったことから移転する事を決めた。移転により、約500㎡あった大きな一室空間から約60㎡×3= 約180㎡(3階建ての1棟借り)となる。移転前のオフィスのようにワンフロアでみんなが集まって同じスタイルで仕事をするのではなく、オフィスという場所を何か新しいコミュニケーションの場に変えたいとの事であった。
求められた機能は、フリーアドレスの執務空間や個別ブース、商品をテストする為のラボスペース、ディスカッションの場、会議スペースなどである。従来の汎用的な合理性をもったオフィス、あるいはカフェやレンタルオフィスの空間では代替できない、自社にリアルで人が集まる可能性とその空間のつくり方を模索し、身体スケールによって作られるオフィスを考えた。
具体的には床に40cmの段差を設け、その段差によって平面計画を行う事とした。
底面は既存のデッキコンクリート現し(2階はコンクリートの上にカーペット貼り)、造作面はモルタルで仕上げ、その取り合いや縁にアールをつける事で一体化し、大地や水が作り出す地形のような雰囲気とした。
段差によって人が腰を掛けたり、ゆるやかに領域を分けたり、床が展示ブースになったりと細かな居場所や家具的な機能が生まれる。ランドスケープのような一体的な風景の中に具体的な空間をちりばめた。