桑原淳司建築設計事務所が設計した、大阪の「南堀江の眼科」です。
繁華街に近い地域での医院の新築計画です。建築家は、同業他者との差別化も目指し、煉瓦を透積して光を当てる“人々を優しく照らし出す行灯”の様な外観の建築を考案しました。また、内装では患者や来訪者が“落ち着ける雰囲気”も意識されました。
眼科クリニックの移転新築工事です。
敷地は、大阪を代表する繁華街「心斎橋」や「アメリカ村」にほど近い立地でありながら落ち着いた雰囲気で住みやすく、最寄り駅からは徒歩2分の利便性の高い場所にあります。
間口5.4m×奥行16mの敷地形状を最大限活用できるよう間口一杯に計画した建物は、外壁面から隣の敷地境界線まで30cmしかなく、11階建てマンションと3階建て事務所が隣接している状況で、技術的な観点から施工業者探しが難航しました。
建築には他のクリニックと差別化できるような上質さや美しさ、また患者さんやスタッフの皆さんが落ち着いた雰囲気を感じられるような空間が求められました。
1階の天井には外部から建物内部に連続したルーバーが取り付けられています。73本のルーバーの形状はすべて異なり、それぞれの頂点同士を結ぶと内部へと誘うような斜めのラインが見えてきます。ルーバーの上には換気や空調、照明、音響などの設備機器が隠れていて、メンテナンスができるように1本1本全て取り外しできるようになっています。
ファサードには、支持方法を詳細に検討し構造計算により安全を確認した上で、385mm幅のレンガを隙間を空けながら積み上げ、背面に照明を設置しました。この街に帰ってくる人々を優しく照らし出す行灯のような存在になっていってほしいと思います。