



五十嵐理人 / IGArchitectsが設計した、千葉の「はなれの家」です。
実家の一角の細長い土地での計画です。建築家は、三世代を繋ぐ“ハブ”として、シンプルな形態とした上で“家族の関係性と周辺環境”に応答して諸室と開口を設ける建築を考案しました。また、周囲と馴染みつつ“少しだけ新しい”佇まいも意図されました。
クライアントは実家の敷地の一角に家族のための新しい住宅を建てることにした。
間口4m、奥行35mの昔は私道になっていた場所が敷地だ。敷地の北側には実家が近接し、南側には国有地の大きな空き地、東側は4mの高低差の崖になっている。
実家に近接した距離に建てる計画で、クライアントが今でも実家の祖母、母と頻繁に行き来する関係を見て、つかず離れずの関係性を持つ「はなれ」のような立ち方が良いのではないかと考えた。
この建築は集団規定が厳しく、必要な諸室や面積が要望で厳しく決まっていて、ボリュームやプランをなるべくシンプルにする必要があった。そこで周辺の環境に応答するように諸室と開口部を設けた。具体的には実家に隣接する北側に動線空間を、南側に個室群をまとめた。
実家に面する部分には掃き出し窓を設け縁側のように設え、崖上から街を一望できる東側にはテラスとベランダを、南側はしばらく環境が変わらなそうなのでふんだんに開口部を設けた。
建物中心部には個室同士、実家とはなれ、その向こうの国有地をつなぎ、建物を南北・上下に貫く大きな余白を設けた。増えた家族のための住宅として、3世代をつなぐハブとして、多世代の関係性と周辺環境の応答でこの建築はつくられている。
この建築を設計するための制限は、環境に応答して建築を開く手掛かりになっている。
外部の環境との関係性から導かれたこの建築では、極端に華美な建築ではなく、実家のはなれとして、どこかありきたりで周囲に馴染みながらも少しだけ新しいそんな佇まいを目指している。