



佐久間徹設計事務所が設計した、東京・武蔵野市の「吉祥寺の書庫」です。
数万冊の書籍を収納する為の住宅です。建築家は、効率の良い収蔵と共に“過ごす時間が楽しくなる”場を求め、中庭を囲むように書棚と廊下を配置する構成を考案しました。そして、幅に変化のある回廊は歩くたびに“本と緑との距離感”が変わります。
吉祥寺の住宅地に建つ、最大5万冊の本を収納することができる書庫である。
以前近くに設計した住宅の蔵書が溢れてしまったため、同じ建主から「本のための書庫」を作りたいと依頼された。
設計は、いかに本の数を効率よく確保するか、という検討から始まった。
廊下の両側が本棚なら一番効率が良い。その廊下を敷地の中でくねくねと折り返したり、渦巻みたいに巻き込んだり、立体的に重ねたり、たくさんの案をシミュレーションした。一方で、敷地の建蔽率を考えると、ぎっしり本を詰め込んでも、空地はできてしまう。
そもそも、どの案も必要とされている収蔵量をはるかに超えていた。だったら、ここで過ごす時間が楽しくなる方法を考えよう。そこで採用されたのが、この緑を囲む中庭案であった。
構造はシンプルで、1,200mmごとに並ぶ薄い柱(扁平柱)の間に本棚をはめ込んでいる。この本棚は家具であると同時に、柱の座屈を防ぐ構造体でもある。この柱の繰り返しが空間にリズムを作っている。
幅が狭い回廊から本を間近に眺める場所もあれば、ガラス越しに中庭の向こう側の本棚が遠くに見える場所もある。短い辺のほうは回廊の幅が少し広くなっていて、そこがちょっとした溜まり場になる。歩くたびに本と緑との距離感が変わる。
道路に向かった正面は全面ガラスにして、街に対して、本の集まりが奥へと連なって見えるようになっている。
