小滝健司+高藤万葉 / TOAStが設計した、東京・渋谷区の「小さな3つのホテル改修計画 HOTEL RE:ONcE Shibuya」です。
事務所ビルの3層をワンフロア1室の宿泊施設に変更する計画です。建築家は、旅先で日常的な生活体験を求める需要に応じる為、寝室中心でない“広間”を核とした様々な活動を許容する平面構成を考案しました。また、コロナ禍以降は“広間”が多様な活動の受け皿として機能しています。運営企業による施設の紹介ページはこちら。
この建物は渋谷の商業地域と松濤の住居地域の間に位置する。
渋谷の繁華街から歩いていける距離に位置しながら、松濤の閑静な住宅街の雰囲気も感じることのできる場所である。5階建て事務所ビルの3層分を1部屋毎にホテルへコンバージョンし、都内の中心部に最小のホテルを挿入する試みである。
2019年当時は、インバウンドの増加やシェアリングエコノミーの普及により、定型化した「ホテル」に対し、「民泊」に代表されるその場所で生活そのものを体験することへの需要が増えつつあった。
そこで通常の客室に見られるような寝室を中心とした室の構成ではなく、利用者が集まり多様な活動を行うことのできる「広間」のような場所を中心とした客室とした。
この「広間」は利用者が大人数で集まることのできる広さをもつことから、予約の空いている時間帯に宿泊だけでない利用が可能になっている。その一部屋辺りの広さを生かし、客室を「寝泊り」という意味における宿泊だけでなく、滞在中の生活の一部として、様々な活動、体験を行うための居場所として捉え直すような計画を行った。