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平井充+山口紗由 / メグロ建築研究所による、東京・武蔵野市の「棚畑ハウス」。地域風景の残る街で僅かな浸水予測がある道に接した敷地、未来への備えと環境への応答を兼ねた“土手が庭を兼ね建築を取り巻く”構成を考案、内部では“ウチニワ”と呼ぶ機能を固定しない場が多様な活動を許容
平井充+山口紗由 / メグロ建築研究所による、東京・武蔵野市の「棚畑ハウス」。地域風景の残る街で僅かな浸水予測がある道に接した敷地、未来への備えと環境への応答を兼ねた“土手が庭を兼ね建築を取り巻く”構成を考案、内部では“ウチニワ”と呼ぶ機能を固定しない場が多様な活動を許容 photo©鳥村鋼一
平井充+山口紗由 / メグロ建築研究所による、東京・武蔵野市の「棚畑ハウス」。地域風景の残る街で僅かな浸水予測がある道に接した敷地、未来への備えと環境への応答を兼ねた“土手が庭を兼ね建築を取り巻く”構成を考案、内部では“ウチニワ”と呼ぶ機能を固定しない場が多様な活動を許容
平井充+山口紗由 / メグロ建築研究所による、東京・武蔵野市の「棚畑ハウス」。地域風景の残る街で僅かな浸水予測がある道に接した敷地、未来への備えと環境への応答を兼ねた“土手が庭を兼ね建築を取り巻く”構成を考案、内部では“ウチニワ”と呼ぶ機能を固定しない場が多様な活動を許容 photo©鳥村鋼一

平井充+山口紗由 / メグロ建築研究所が設計した、東京・武蔵野市の住宅「棚畑ハウス」です。
地域風景の残る街で僅かな浸水予測がある道に接した敷地、未来への備えと環境への応答を兼ねた“土手が庭を兼ね建築を取り巻く”構成を考案、内部では“ウチニワ”と呼ぶ機能を固定しない場が多様な活動を許容する事が意図されました。

この住宅は、武蔵野の風景が色濃く残る、中央線沿いの閑静な住宅地に建つ。
駅から歩くと、桜やケヤキが茂る玉川上水を軸に、雑木林の公園が点在している。住まい手の家族は、大学教員の夫と専業主婦の妻、そして小学生の姉弟2人である。それまで賃貸マンションに住んでいたクライアントは、農地から宅地となって売りに出されていたこの土地を購入して、住宅を建てることになった。

建築家によるテキストより

この地域は、目視で把握しにくい緩やかな起伏があり、敷地が接する道路の交差点が窪地であった。僅かではあるがハザードマップで浸水箇所となっていたため、土手が庭を兼ねて建築を取り巻くかたちが面白いと考えた。
土手は、階段状の棚畑にして平場を作れば、子供の遊び場や研究室の学生が来たときのBBQで腰掛けに使える。さらに、植物が立体感を増長して室内と道路の間に重層的な間を取ることもできる。そうなると、見るためだけの庭であることより、踏み荒らしても強い野草を中心に植えて使えるほうが、生活と植物が共存する武蔵野の風景に相応しいと思えた。

建築家によるテキストより

棚畑を登った先は、大きな開口部で室内と連続した小さな丘のてっぺんのような場所だ。ここは、居場所を固定化するような物は置かず、室内の庭のような性格としてウチニワと名付けた。
このニュートラルな中心の周りに、枝葉のように小さく分散化された空間の襞を結びつけることで、多焦点な居場所を作っている。ウチニワは、全ての居場所が隣り合わせることで、家全体に呼べば答えられるくらいの緩い繋がりを生み出せるし、それぞれの居場所から溢れ出したアクティビティも吸収できる。出窓に腰掛けておやつを食べたり、書斎がウチニワに溢れることもあるだろう。

建築家によるテキストより
住宅作家としても著名な泉幸甫が校長を務める「家づくり学校」が第14期の受講生を募集中。実務者を対象とした、実際に建てるための知識を学び、自分らしく生きる道を見つける場
住宅作家としても著名な泉幸甫が校長を務める「家づくり学校」が第14期の受講生を募集中。実務者を対象とした、実際に建てるための知識を学び、自分らしく生きる道を見つける場

住宅作家としても著名な泉幸甫が校長を務める「家づくり学校」が第14期の受講生を募集しています。実務者を対象とした、実際に建てるための知識を学び、自分らしく生きる道を見つける場です。主催は「NPO法人家づくりの会」です。申込〆切は2022年6月10日(金)。応募者多数の場合は先着順との事。【ap・ad】

住宅の設計は楽しいものです。しかし勉強しなければいけないことがたくさんあり、実際の仕事では苦労もあります。

大学で教わる内容も大切ですが、実際に住宅の設計をするとなると、今の時代に即した現実的で新しい知識も必要になります。また建築主や施工者とその付き合い方も簡単ではありません

現実の仕事はどのように進めたらよいのか―NPO法人家づくりの会では、大学では教えてもらえない知識と能力について、これから住宅設計をやりたいと思っている人、設計事務所や工務店勤務の人、また設計事務所を立ち上げて間もない人たちを対象に、これらを伝えていこうと考えています。

家づくり学校のこのような取り組みは建築界でも注目され、2014年日本建築学会教育賞を受賞しています。本当の意味での良質な住宅が少しでも多く生まれていくことが私たちの目的です。住宅設計に取り組む多くの皆さまのご参加をお待ちしております。

校長 泉幸甫

MADによる、中国・黒竜江省の国際会議場。国内最大のスキータウンに計画された施設で、周囲の景観や地形に溶け込む事を目指して雪山をイメージした特徴的な屋根を設計、中央の天窓から木で覆われたロビーに注がれる光が存在感を放つ建築
MADによる、中国・黒竜江省の国際会議場。国内最大のスキータウンに計画された施設で、周囲の景観や地形に溶け込む事を目指して雪山をイメージした特徴的な屋根を設計、中央の天窓から木で覆われたロビーに注がれる光が存在感を放つ建築 photo©CreatAR
MADによる、中国・黒竜江省の国際会議場。国内最大のスキータウンに計画された施設で、周囲の景観や地形に溶け込む事を目指して雪山をイメージした特徴的な屋根を設計、中央の天窓から木で覆われたロビーに注がれる光が存在感を放つ建築 photo©CreatAR
MADによる、中国・黒竜江省の国際会議場。国内最大のスキータウンに計画された施設で、周囲の景観や地形に溶け込む事を目指して雪山をイメージした特徴的な屋根を設計、中央の天窓から木で覆われたロビーに注がれる光が存在感を放つ建築 photo©ArchExist
MADによる、中国・黒竜江省の国際会議場。国内最大のスキータウンに計画された施設で、周囲の景観や地形に溶け込む事を目指して雪山をイメージした特徴的な屋根を設計、中央の天窓から木で覆われたロビーに注がれる光が存在感を放つ建築 photo©Agovision

MADが設計した、中国・黒竜江省の国際会議場「Yabuli Entrepreneurs’ Congress Center」です。国内最大のスキータウンに計画された施設で、周囲の景観や地形に溶け込む事を目指して雪山をイメージした特徴的な屋根を設計、中央の天窓から木で覆われたロビーに注がれる光が存在感を放つ建築です。

こちらは建築家によるテキストの翻訳

雪山の下のテント ─ MADが設計したYabuli Entrepreneurs’ Congress Centerが竣工

建築家のマ・ヤンソン率いる国際的な建築事務所MADアーキテクツが設計した「Yabuli Entrepreneurs’ Congress Center」が完成し、現在使用されています。このプロジェクトは、中国最大のスノートレーニングセンターとアジア最長のアルペンスキーゲレンデを持つスキータウンとして知られる黒龍江省亜布力市に位置しています。

敷地面積22,000㎡、総内部面積16,000㎡の建物は、図書館、展示ホール、20以上の設備の整った多機能ルームで構成されています。この新しい常設施設は、中国企業家フォーラム(CEF)の年次イベントや中国企業家博物館を開催する場所として指定されています。また、起業家や企業向けの教育プログラムも開催され、大規模な会議、展示会、企業研修プログラム、シンクタンクを同時に開催することが可能です。

MADアーキテクツは、周囲の景観や地形に溶け込むようにコングレスセンターを設計しました。遠くから見ると、巨大な白いテントが山の頂上から浮遊し、雪の中にそっと消えていくように見えます。屋根構造のうねった稜線は、遠くの雪山の形をイメージし、白いアルミパネルの有機的で生物的な質感は、新雪の輪郭を思い起こさせるものです。

内部は、丘の傾斜に沿った高低差を生かしたレイアウトとし、建物の一部を地下に隠しています。メインエントランスは1階の東側に、サイドエントランスと出口は2階の西側に配置しました。雪の中、坂を上りながら、人々はこの建物を、両手を広げた謙虚なジェスチャーとして見ることができるでしょう。曲線の屋根の最端は20メートルまで持ち上がり、悪天候から通行人を守ることができます。

床から天井までのガラスカーテンウォールは、建物の東西両面を縁取り、南北のファサードは沈んだ中庭の風景に溶け込みます。ルーバー開口部は地下のサンクンガーデンに設置され、ファサードの曲線と内壁がスムーズに連続するように設計されています。

中央の天窓から差し込む光は、木で覆われたロビーに注ぎ込み、センターの中心軸の中で圧倒的な存在感を放っています。また、軽量で半透明なプラスチックポリマーであるETFEをカーテンウォール構造に組み込み、内部全体に光を拡散させています。ロビーは、0.4mmの微細な穴のあいた木製パネルによる音響設計により、一時的なパフォーマンス空間として機能します。

2022年日本建築学会賞の各賞が発表。作品賞を、平田晃久の「太田市美術館・図書館」、宮崎浩の「長野県立美術館」、齋賀英二郎・斎藤英俊・木村勉の「旧富岡製糸場西置繭所」が受賞
2022年日本建築学会賞の各賞が発表。作品賞を、平田晃久の「太田市美術館・図書館」、宮崎浩の「長野県立美術館」、齋賀英二郎・斎藤英俊・木村勉の「旧富岡製糸場西置繭所」が受賞

2022年日本建築学会賞の各賞が発表されています。
作品賞を、平田晃久の「太田市美術館・図書館」、宮崎浩の「長野県立美術館」、齋賀英二郎・斎藤英俊・木村勉の「旧富岡製糸場西置繭所」が受賞しています。

以下は、受賞作品の写真や図面がまとまったPDFへのリンクです。

平田晃久の「太田市美術館・図書館」、宮崎浩の「長野県立美術館」に関しては動画も公開されています。

作品賞に関する選考過程も公開されています。

その他の各賞の情報は、こちらのリンク先ページからどうぞ

小原賢一+深川礼子 / ofaによる、岡山の「津山信用金庫 勝山支店」。地元の木材産業の魅力を伝える建築との要望に、地域工場を活用したCLT構造と在来工法を組み合わせて設計、折板屋根が実現した無柱空間は施設に求められる“地域のサロン”として機能
小原賢一+深川礼子 / ofaによる、岡山の「津山信用金庫 勝山支店」。地元の木材産業の魅力を伝える建築との要望に、地域工場を活用したCLT構造と在来工法を組み合わせて設計、折板屋根が実現した無柱空間は施設に求められる“地域のサロン”として機能 photo©Ken'ichi Suzuki
小原賢一+深川礼子 / ofaによる、岡山の「津山信用金庫 勝山支店」。地元の木材産業の魅力を伝える建築との要望に、地域工場を活用したCLT構造と在来工法を組み合わせて設計、折板屋根が実現した無柱空間は施設に求められる“地域のサロン”として機能 photo©Ken'ichi Suzuki
小原賢一+深川礼子 / ofaによる、岡山の「津山信用金庫 勝山支店」。地元の木材産業の魅力を伝える建築との要望に、地域工場を活用したCLT構造と在来工法を組み合わせて設計、折板屋根が実現した無柱空間は施設に求められる“地域のサロン”として機能 photo©Ken'ichi Suzuki

小原賢一+深川礼子 / ofaによる、岡山の「津山信用金庫 勝山支店」です。
地元の木材産業の魅力を伝える建築との要望に、地域工場を活用したCLT構造と在来工法を組み合わせて設計、折板屋根が実現した無柱空間は施設に求められる“地域のサロン”として機能します。施設のページはこちら

木材産業の盛んな岡山県真庭市勝山地域の信用金庫の店舗を移転、新築するプロジェクトです。

地域産業の魅力を伝えて後押しするとともに、地域での木材利用のきっかけにもなるよう、木を活用した建築が求められました。また、これからの金融機関の姿として、様々な相談やコミュニケーションができる、地域のサロンのような場所になることをめざしました。

建築家によるテキストより

地域にCLTの製作工場があることから、建物は、CLT構造に在来木造を取り入れて、適材適所の木造建築として計画しました。L型の平面を、CLTを部分的にプリーツのように折った壁と屋根で構成し、効果的に強度を確保しています。

建築家によるテキストより

金融機関の店舗として必要なセキュリティーレベルを確保しながら、守るべき執務室と開きたいロビーは、CLTの厚い壁で区切りつつ、カウンター上は木の折板がそのままみえる天井で一体的につないでいます。内装を木の現しとすることで、温かみのある肌や色合いを感じることのできる親しみやすい空間としました。

ロビーは接客、レクチャー、イベント等を想定しています。北側の大きな開口によって明るく、外部からも中の様子や木の大きな壁が見えて立ち寄りやすい、地域交流にも活用できるスペースです。屋根を部分的にCLTの折板として掛け、ロビーからカウンターにかけて柱のない大きな空間を確保しました。

建築家によるテキストより
中村航 / Mosaic Designによる、神奈川・葉山町の住宅「PANORAMA HOUSE」。海と山を望む斜面地に計画、敷地の持つポテンシャルを最大限に生かす事を求めて環境や眺望との関係性から各階の機能と床面積を決定、階ごとに異なるヴォリュームを積層した構成を特徴とする建築
中村航 / Mosaic Designによる、神奈川・葉山町の住宅「PANORAMA HOUSE」。海と山を望む斜面地に計画、敷地の持つポテンシャルを最大限に生かす事を求めて環境や眺望との関係性から各階の機能と床面積を決定、階ごとに異なるヴォリュームを積層した構成を特徴とする建築 photo©藤本一貴
中村航 / Mosaic Designによる、神奈川・葉山町の住宅「PANORAMA HOUSE」。海と山を望む斜面地に計画、敷地の持つポテンシャルを最大限に生かす事を求めて環境や眺望との関係性から各階の機能と床面積を決定、階ごとに異なるヴォリュームを積層した構成を特徴とする建築 photo©藤本一貴
中村航 / Mosaic Designによる、神奈川・葉山町の住宅「PANORAMA HOUSE」。海と山を望む斜面地に計画、敷地の持つポテンシャルを最大限に生かす事を求めて環境や眺望との関係性から各階の機能と床面積を決定、階ごとに異なるヴォリュームを積層した構成を特徴とする建築 photo©藤本一貴

中村航 / Mosaic Designが設計した、神奈川・葉山町の住宅「PANORAMA HOUSE」です。
海と山を望む斜面地に計画、敷地の持つポテンシャルを最大限に生かす事を求めて環境や眺望との関係性から各階の機能と床面積を決定、階ごとに異なるヴォリュームを積層した構成を特徴とする建築です。

​​相模湾と富士山を望む、斜面地の住宅「PANORAMA HOUSE」は、1・2階はRC造、3階が木造の地上3階建で、上階にいくほど床面積が増える構成。

建築家によるテキストより

隣地建物との関係から1階はほとんどビューが取れず、2階に上がるとビューがとれるが背面道路と同レベルとなり、3階のみが純粋に開放可能という敷地だったため、1階はピロティ+玄関のみとして面積を最小に、2階に寝室とサンルーム、3階が最も面積の大きくなるようにボリュームを張り出させ、パノラマビューのリビングとオーシャンビューの露天風呂を設けた。

建築家によるテキストより

変形敷地のため接道が敷地角からしかとれず、そのアクセスに合わせてピロティ部分の柱(壁構造のためL字型の壁の組み合わせ)を三角形とし、斜めの抜けをつくり、隣地建物を避けた空間の広がりを生み出す。2階は室を効率よく配置し、構造的に建物を固め、3階はビューを最大限に活かす大開口と、フルオープンの木サッシでテラスとリビングを一体化した。

建築家によるテキストより
大阪・関西万博の「いのちの輝きプロジェクト」に、建築分野からSANAA・隈研吾・小堀哲夫・noiz・小野寺匠吾・橋本尚樹・遠藤治郎が参加。各界のプロデューサーとコラボしパヴィリオンをデザイン
大阪・関西万博の「いのちの輝きプロジェクト」に、建築分野からSANAA・隈研吾・小堀哲夫・noiz・小野寺匠吾・橋本尚樹・遠藤治郎が参加。各界のプロデューサーとコラボしパヴィリオンをデザインnoizが関わるパヴィリオン。
大阪・関西万博の「いのちの輝きプロジェクト」に、建築分野からSANAA・隈研吾・小堀哲夫・noiz・小野寺匠吾・橋本尚樹・遠藤治郎が参加。各界のプロデューサーとコラボしパヴィリオンをデザイン小野寺匠吾が関わるパヴィリオン
大阪・関西万博の「いのちの輝きプロジェクト」に、建築分野からSANAA・隈研吾・小堀哲夫・noiz・小野寺匠吾・橋本尚樹・遠藤治郎が参加。各界のプロデューサーとコラボしパヴィリオンをデザインSANAAが関わるパヴィリオン。

大阪・関西万博(2025年日本国際博覧会)の「いのちの輝きプロジェクト」に、建築分野からSANAA隈研吾小堀哲夫noiz小野寺匠吾橋本尚樹遠藤治郎が参加することが発表されています。各界の著名人8名がプロデューサーとなり、それぞれの建築家とコラボレーションする形でパヴィリオンが建設されるとの事です。

「いのちの輝きプロジェクト」は、展示パビリオン「シグネチャーパビリオン」、イベント「シグネチャーイベント」をリアル会場、バーチャル会場で展開いたします。各界で活躍する8人のプロデューサーが主導し、「いのちの輝きプロジェクト」から得られる体験は、人びとにいのちを考えるきっかけを与え、創造的な行動を促すものと考えます。他者のため、地球のために、一人ひとりが少しの努力をすることをはじめることを促します。その重なり合い、響きあいが、人を笑顔にし、ともに「いのち輝く未来社会をデザインすること」につながっていくものと考えます。

それぞれの建築家が関わるパヴィリオンの画像は以下に掲載します。

横山周作 / STAR DESIGN OFFICEによる、愛媛・松山市の、飲食店舗「しののめ菜」。築70年の建物を飲食店にする計画で、既存外観を生かし内部に現代性と非日常を求めて地域産和紙等の素材で空間を装飾、新旧の部分が移ろう自然と一体となり展開する空間をつくる
横山周作 / STAR DESIGN OFFICEによる、愛媛・松山市の、飲食店舗「しののめ菜」。築70年の建物を飲食店にする計画で、既存外観を生かし内部に現代性と非日常を求めて地域産和紙等の素材で空間を装飾、新旧の部分が移ろう自然と一体となり展開する空間をつくる玄関 photo©北村 徹
横山周作 / STAR DESIGN OFFICEによる、愛媛・松山市の、飲食店舗「しののめ菜」。築70年の建物を飲食店にする計画で、既存外観を生かし内部に現代性と非日常を求めて地域産和紙等の素材で空間を装飾、新旧の部分が移ろう自然と一体となり展開する空間をつくる1階廊下より茜の間を見る photo©北村 徹
横山周作 / STAR DESIGN OFFICEによる、愛媛・松山市の、飲食店舗「しののめ菜」。築70年の建物を飲食店にする計画で、既存外観を生かし内部に現代性と非日常を求めて地域産和紙等の素材で空間を装飾、新旧の部分が移ろう自然と一体となり展開する空間をつくる金の間 photo©北村 徹

横山周作 / STAR DESIGN OFFICEが設計した、愛媛・松山市の、飲食店舗「しののめ菜」です。
築70年の建物を飲食店にする計画で、既存外観を生かし内部に現代性と非日常を求めて地域産和紙等の素材で空間を装飾、新旧の部分が移ろう自然と一体となり展開する空間をつくる事が意図されました。店舗の公式サイトはこちら

70年前に建てられた建築を、老舗すき焼き・しゃぶしゃぶ店の移設先として再生させるプロジェクト。

建築家によるテキストより

外観は補修・外構以外手を加えず、内部空間に現代と、一時を過ごす場所として非日常の華やかさを内包させようと考えた。
丁寧な仕事がなされた本館に簡素なつくりの増築棟が併設された構造となっており、すべてが庭に面する独立した5つの個室とした。

建築家によるテキストより

特に老朽化が激しく、飲食店として現しにするつくりではないと判断した増築棟は構造補強後、収納スペースを「床」に変換させ、新しい主のあかしを表現する空間とした。主人の趣向を表す「床」を空間に変化を与える重要な要素と考え、既存の構造柱に地元愛媛の五十崎和紙を巻き床柱に見立てることで新設し、外部・内部の新旧の空間が、移ろう自然と一体となって展開していく構成を目指した。

建築家によるテキストより
竹田真志 / raumusによる、岡山市の住宅「土田の民家」。増改築を経た古民家を改修する計画、“民家の在り方”を取り戻し継承しつつ現代の生活様式への適合を目指して設計、新旧が併存し調和させ“古くもあり新しくもある”状態をつくる
竹田真志 / raumusによる、岡山市の住宅「土田の民家」。増改築を経た古民家を改修する計画、“民家の在り方”を取り戻し継承しつつ現代の生活様式への適合を目指して設計、新旧が併存し調和させ“古くもあり新しくもある”状態をつくる photo©山内紀人
竹田真志 / raumusによる、岡山市の住宅「土田の民家」。増改築を経た古民家を改修する計画、“民家の在り方”を取り戻し継承しつつ現代の生活様式への適合を目指して設計、新旧が併存し調和させ“古くもあり新しくもある”状態をつくる photo©山内紀人
竹田真志 / raumusによる、岡山市の住宅「土田の民家」。増改築を経た古民家を改修する計画、“民家の在り方”を取り戻し継承しつつ現代の生活様式への適合を目指して設計、新旧が併存し調和させ“古くもあり新しくもある”状態をつくる photo©山内紀人

竹田真志 / raumusが設計した、岡山市の住宅「土田の民家」です。
増改築を経た古民家を改修する計画、“民家の在り方”を取り戻し継承しつつ現代の生活様式への適合を目指して設計、新旧が併存し調和させ“古くもあり新しくもある”状態をつくる事が意図されました。

陶芸家と料理家の夫婦、幼い子供たちの4人家族のための住宅。

クライアントは新しい生活の拠点とする岡山で、茅葺き屋根の古民家を購入し改修して住むことにした。敷地周辺には同じく茅葺き屋根の上に金属板を葺き、現代まで住まれている古民家が数軒点在している。元々は農家の為の住まいとして作られたこの住宅は、数度の増築や改修によって少し窮屈な印象の空間になっていた。

建築家によるテキストより

そこでこの地域の古民家の持つおおらかな雰囲気を取り戻し、民家の在り方を継承した上で現代的なライフスタイルに合うように大きく間取りを変更することで、古い、新しいという枠組みを超えて、現代における民家の形をこの家族を支える生活の器として蘇らせたいと考えた。

建築家によるテキストより

古民家の改修に際し、新旧の部位を対比、もしくは同化させる方法は避けた。
既存の柱や丸太の梁など時を重ねてきたモノの存在感に対し、木やモルタル、スチールなど様々な種類の素材を付加することで、どこまでが新しくどこまでが古いのか解らないような状態を目指した。現代的な住まい方を実践しながらも、「古いものの持つ味わいを楽しみたい」というクライアント要望に対し、それらを併存しながら調和することが適切と考えた。

建築家によるテキストより
丹羽隆志アーキテクツによる、ベトナムの店舗「Pizza 4P’s アークパビリオン」。新設商業モールの独立棟として計画、工業都市の特徴を取り込んだ象徴的な建築を目指してモールを巨大な港に見立て“方舟”の様に設計、工業素材を建材に使用し視覚と触覚で都市を感じさせる
丹羽隆志アーキテクツによる、ベトナムの店舗「Pizza 4P’s アークパビリオン」。新設商業モールの独立棟として計画、工業都市の特徴を取り込んだ象徴的な建築を目指してモールを巨大な港に見立て“方舟”の様に設計、工業素材を建材に使用し視覚と触覚で都市を感じさせる南側夜景外観 photo©大木宏之
丹羽隆志アーキテクツによる、ベトナムの店舗「Pizza 4P’s アークパビリオン」。新設商業モールの独立棟として計画、工業都市の特徴を取り込んだ象徴的な建築を目指してモールを巨大な港に見立て“方舟”の様に設計、工業素材を建材に使用し視覚と触覚で都市を感じさせる2階南側 photo©大木宏之
丹羽隆志アーキテクツによる、ベトナムの店舗「Pizza 4P’s アークパビリオン」。新設商業モールの独立棟として計画、工業都市の特徴を取り込んだ象徴的な建築を目指してモールを巨大な港に見立て“方舟”の様に設計、工業素材を建材に使用し視覚と触覚で都市を感じさせる3階吹抜 photo©大木宏之

丹羽隆志アーキテクツが設計した、ベトナムの店舗「Pizza 4P’s アークパビリオン」です。
新設商業モールの独立棟として計画、工業都市の特徴を取り込んだ象徴的な建築を目指してモールを巨大な港に見立て“方舟”の様に設計、工業素材を建材に使用し視覚と触覚で都市を感じさせる事が意図されました。店舗の公式サイトはこちら

首都ハノイから100kmほど東へ。
紅河の河口に位置するハイフォンはベトナム北部で最大の港を擁し、物流と工業のハブである。
「Pizza 4P’sアークパビリオン」と名付けられたこのプロジェクトは新設のショッピングモールの一角に独立棟として設計された。

建築家によるテキストより

ハイフォンの工業都市としての特徴と価値を取り込み、新都市エリアにシンボリックなモニュメントをつくる。また、Pizza 4P’sの掲げるサスティナブルダイニングのコンセプトも反映したい。そこで人と物とが集積する巨大な港のようなショッピングモールに、都市の記憶を載せて係留された方舟(アーク)としてデザインした。

建築家によるテキストより

工業港湾都市ハイフォンでは様々な工業素材が手に入る。そのテクニカルな素材を光とともに空間の演出に用いた。エントランスドアを開けると、金属のチェーンカーテンがゲストを迎える。さらに、大きさや形状の異なる鎖をファサード、手すり、登攀植物のサポートなどに用いた。ハイサイドライトと縦スリットの窓から入ってきた光がこれらの鎖に反射し、刻一刻と変わる自然光を映し出す。
港湾都市から出る様々なスクラップ。それをリサイクルするジャンクヤードの片隅から船舶用の堅牢な照明を探し出した。

建築家によるテキストより
最も注目を集めたトピックス [期間:2022/4/11-4/17]
最も注目を集めたトピックス [期間:2022/4/11-4/17]

アーキテクチャーフォトで、先週(期間:2022/4/11-4/17)注目を集めたトピックスをまとめてご紹介します。リアルタイムでの一週間の集計は、トップページの「Weekly Top Topics」よりご覧いただけます。


  1. 葛島隆之建築設計事務所による、静岡・浜松市の、農業用倉庫「Pergola」。山々に囲まれた自然豊かな敷地に計画、施主の暮らしに呼応する建築を求めて周囲の木々との関係性と求められる機能性を手掛かりに形態を決定、建てる事で環境を肯定する在り方を目指す
  2. 齋藤隆太郎 / DOGによる、東京・世田谷区の「代田の屏風長屋」。施主邸を含む4戸の木造長屋計画、住戸間遮音を考慮し境界沿いに建物を配置した上で南側を平屋とし中庭への採光を確保、中庭を規定する“ジグザグ屏風壁”は公私の調整・景観向上・構造安定の役割も担う
  3. 隈研吾建築都市設計事務所とCCHEによる、スイス・ジュネーブの公共的機能を持つ学生寮。寮に加え図書館等の機能を内包する施設で、地上階に公的機能を上層階に宿舎機能を配置した上でゾーニングにグラデーションを設定、地上から屋上までを繋ぐ“プロムナード”により住人同士の出会いも誘発
  4. 深江康之建築設計事務所による、愛知・安城市の「安城の家」。70代夫婦の終の棲家として計画、家族の為の部屋の集合でなく“個”に焦点をあて個室とその延長となる空間を二組つくり積層、吹抜を介し気配を繋ぐ事で適度な距離感の“添う”感覚も生み出す
  5. 遠藤隆洋建築設計事務所による、神奈川の住宅「北鎌倉ハウス」。山の上の古い閑静な住宅地に計画、地域との関係を重ねられる建築を目指して住人の活動がファサードとなる様な構成を考案、各要素の在り方を丁寧に見直してこの場所に相応しい形をつくる
  6. DDAAとSOUP DESIGN Architectureによる、長崎・波佐見町の「HIROPPA」。企業が立ち上げた広場・店舗・カフェからなる施設で、“自然な賑わいが生まれる場”の要望に対して様々に解釈可能な“地面”をデザイン、特殊なランドスケープも組み合わせ“原っぱ”と“遊園地”の両立を試みる
  7. 若松均建築設計事務所による、東京・渋谷区の住宅「富ヶ谷路地の家」。数十年変わらない雰囲気も残る住宅密集地に計画、この場の建築の在り方を求め周辺の時を経た家々に寄せた佇まいの外観を考案、内部は対照的に小さな敷地の“余白”として空間をつくる
  8. 川西敦史建築設計事務所による、兵庫・川西市の住宅「鶯の家」。周囲に閉じた家々が並ぶ郊外住宅地に計画、住まいを複数の庭で分解して再構築する事で多彩な居場所を生成、環境を取り込む庇と庭を立体化する屋根により生活環境を外に開く事を意図
  9. ネリ&フーによる、シンガポールの住宅「The House of Remembrance」。永眠した母を記憶する空間と愛着ある既存屋根形状の継承という要望に、中国伝統の中庭の家“四合院”を最解釈した構成と勾配屋根を組み合わせ設計、中央に設けた母の為の庭を囲むよう生活空間を配置
  10. 清水忠昭一級建築士事務所による、東京・杉並区の、二棟の住宅「姉弟の庭」。受け継いだ土地を分割し二つの住宅を建てる計画、二棟が一体に見える様な屋根勾配の操作に加えて建物間に共用庭を設置、相続という条件を利用し新たな場づくりを目指す
  11. 伊藤孝紀 / タイプ・エービーによる、愛知・蟹江町の、コミュニティ施設「CULVERT PARK」。施主建設会社が求める“地域に親しまれる建築”に応える為、地域の声を聴き要件から整理して子供が身体を使い遊べて人々が集える空間を構想、土木製品転用による“スケールのズレ”で様々な居場所を作る
  12. 江藤健太アトリエによる、大分の住宅「別府の家」。地域の特色の石垣が残る細長い敷地に計画、適度な距離感で二世帯住宅の利点を享受できる空間を目指して建物を貫く土間ホールを設計、限られた面積内で各諸室の延長となり緩衝と交流の役割を担う
  13. 蔵楽友美 / FIVESによる、近畿地方の住戸改修「A-HOUSE」。既存の一般住戸に不満と疑問をもつ施主の為に計画、様々な“住まいの機能改善”の要望に綿密なやり取りを重ねて問題を整理、機能と美観を両立した小さなデザインの集積で空間をつくる
  14. 堤庸策 / arbolによる、兵庫・丹波市の住宅「丹波の家」。周囲への眺望よりもプライバシー確保や世界観への没入との要望に、外部から隔てた庭とガラス張りのリビングにより“暮らしの風景”を構築、建築の内と外の異なる風景を循環する生活の空間をつくる
  15. 工藤浩平建築設計事務所による、東京・世田谷区の住戸改修「J邸」。70年代の坂倉事務所設計の住戸を改修、壁構造で間仕切りも変更不可な条件に対し施主固有の“暮らしの軌跡”を解像度高く抽出し設計する方法を考案、断片的な生活の集まりで全体の空間をつくる
  16. 神戸市が「建築家との協働による空き家活用促進事業」の概要を公開。補助金の上限は500万円とのこと
  17. 加藤直樹 / N.A.Oによる、神奈川・横浜市の住宅「HOUSE-NN」。母屋に子世帯の住まいを増築する計画、生活の営みをポジティブに許容する建築を目指して“要素の多さ”を意識し設計、限られた面積の中に二つの庭と吹抜をつくり開放性も生み出す
  18. 森岡寿起 / SO-ANによる、兵庫・神戸市の店舗「NUTS LAB」。歴史ある企業が創業地に新業態店舗を作る計画で、ラボ併設型でコンセプトの“化学”を表現する為に無機と有機の異素材を組合せ設計、厨房をオープンとしてライブ感を価値として提供
  19. 徳本賢洛 / TOK205による、新潟・北蒲原郡の住宅「聖籠35」。農村に建つ平屋の建替で集落文化に興味を持ち計画、過去から続く平面や配置を観察分析して設計に反映、地域住居の特徴の張り出す玄関を残し転用する事でも集落の固有性を継承
  20. スノヘッタによる、アメリカ・ニューハンプシャー州の、ホプキンス芸術センターの改修と拡張。大学敷地内の地域の舞台芸術と映画の拠点施設で、構内の表玄関として人々の集う場となるべく都市構造や近隣の自然を参照し計画、既存建築を補完しながら現代的な表現創造の場をつくる

OMA NYの公式アカウントで、「ap賞(アーキテクチャーフォト賞)」のトロフィーが紹介
OMA NYの公式アカウントで、「ap賞(アーキテクチャーフォト賞)」のトロフィーが紹介 photo courtesy of OMA NY

OMA NYのinstagram公式アカウントで、ap賞のトロフィーが紹介されました。
「ap賞(アーキテクチャーフォト賞)」は、弊サイトが8年前から行っているアワードで、年間のユニークユーザー数を元にランキングを制作し、上位10作品を表彰いたします。OMA NYは、建築作品「天神ビジネスセンター」にて2021年のap賞に入賞しました。
トロフィーに関して、その形態が「初期のコンセプトに驚くほど似ている」と、コメントしています。

Thank you @architecturephotonet for the honor and trophy with an uncanny likeness to an early project concept.

ap賞は、弊サイトに掲載された特集記事の建築作品が対象となります。
特定の審査員の判断によらない事を特徴としネットメディアならではの特性を生かし運営されています。今後も皆様の作品投稿をお待ちしています。

TOTO通信『2022年春号 特集:主屋を変革する増築』のオンライン版

TOTO通信『2022年春号 特集:主屋を変革する増築』のオンライン版が公開されています。宮城島崇人村山徹+加藤亜矢子増田信吾+大坪克亘平井充+山口紗由の増築作品の写真と図面を掲載しています。

誰かが五・七・五の上の句を詠んだ後にまた別の人が七・七の下の句を詠む。そしてさらに別の人が上の句を付け加えるというように、人を変えながら、言葉がつながっていく連歌。どう下の句を詠むかによって、上の句の感じ方がすっかり変わる。それと同じように、過去の人から受け継いだ建築に、新たに増築をするとき、主屋の建築のあり方を生まれ変わらせるようなアイデアがある。ただの機能の付け足しではない、既存の建築を変革するような増築を特集する。

堤庸策 / arbolによる、兵庫・丹波市の住宅「丹波の家」。周囲への眺望よりもプライバシー確保や世界観への没入との要望に、外部から隔てた庭とガラス張りのリビングにより“暮らしの風景”を構築、建築の内と外の異なる風景を循環する生活の空間をつくる
堤庸策 / arbolによる、兵庫・丹波市の住宅「丹波の家」。周囲への眺望よりもプライバシー確保や世界観への没入との要望に、外部から隔てた庭とガラス張りのリビングにより“暮らしの風景”を構築、建築の内と外の異なる風景を循環する生活の空間をつくる photo©下村康典
堤庸策 / arbolによる、兵庫・丹波市の住宅「丹波の家」。周囲への眺望よりもプライバシー確保や世界観への没入との要望に、外部から隔てた庭とガラス張りのリビングにより“暮らしの風景”を構築、建築の内と外の異なる風景を循環する生活の空間をつくる photo©下村康典
堤庸策 / arbolによる、兵庫・丹波市の住宅「丹波の家」。周囲への眺望よりもプライバシー確保や世界観への没入との要望に、外部から隔てた庭とガラス張りのリビングにより“暮らしの風景”を構築、建築の内と外の異なる風景を循環する生活の空間をつくる photo©下村康典

堤庸策 / arbolが設計した、兵庫・丹波市の住宅「丹波の家」です。
周囲への眺望よりもプライバシー確保や世界観への没入との要望に、外部から隔てた庭とガラス張りのリビングにより“暮らしの風景”を構築、建築の内と外の異なる風景を循環する生活の空間をつくる事が意図されました。

立地は兵庫県の丹波市。天然記念物の巨大な杉と、川が流れる長閑な田園風景の山内に位置する。
子どもが生まれ家族が増え、先代から受け継いだ土地に根付いた暮らしを送りたいとご相談を受けた。

建築家によるテキストより

郊外の住宅設計の特徴として、建築家の多くは“美しい景色を室内へいかに切り取るか”の「借景」をメインに考えがちで、今回も計画当初はそう考えていた。しかし、仕事で海外を飛び回る施主にとって、この周辺の風景を眺める暮らしは単調に感じるご経験がおありであること、かつ、プライオリティーが高い要素として「プライバシーの確保」のご要望があった。

建築家によるテキストより

豊かな自然環境の良さを生かしつつ都会にいるような、住み手の世界観に入り込める、洗練されて快適な暮らしを送りたい。その他にヒアリングで出てきた重要視する項目を順に並べると、「室温の快適性」「広く開放的なリビング」「各場所の広さ」「収納力」「プライバシー確保」の5つになった。

建築家によるテキストより
遠藤隆洋建築設計事務所による、神奈川の住宅「北鎌倉ハウス」。山の上の古い閑静な住宅地に計画、地域との関係を重ねられる建築を目指して住人の活動がファサードとなる様な構成を考案、各要素の在り方を丁寧に見直してこの場所に相応しい形をつくる
遠藤隆洋建築設計事務所による、神奈川の住宅「北鎌倉ハウス」。山の上の古い閑静な住宅地に計画、地域との関係を重ねられる建築を目指して住人の活動がファサードとなる様な構成を考案、各要素の在り方を丁寧に見直してこの場所に相応しい形をつくる photo©中山保寛写真事務所
遠藤隆洋建築設計事務所による、神奈川の住宅「北鎌倉ハウス」。山の上の古い閑静な住宅地に計画、地域との関係を重ねられる建築を目指して住人の活動がファサードとなる様な構成を考案、各要素の在り方を丁寧に見直してこの場所に相応しい形をつくる photo©中山保寛写真事務所
遠藤隆洋建築設計事務所による、神奈川の住宅「北鎌倉ハウス」。山の上の古い閑静な住宅地に計画、地域との関係を重ねられる建築を目指して住人の活動がファサードとなる様な構成を考案、各要素の在り方を丁寧に見直してこの場所に相応しい形をつくる photo©中山保寛写真事務所

遠藤隆洋建築設計事務所が設計した、神奈川の住宅「北鎌倉ハウス」です。
山の上の古い閑静な住宅地に計画、地域との関係を重ねられる建築を目指して住人の活動がファサードとなる様な構成を考案、各要素の在り方を丁寧に見直してこの場所に相応しい形をつくる事も意図されました。

敷地は北鎌倉の山の上にあり、雨戸やカーテンを締め切った住宅が目立つ古い閑静な住宅地である。

建築家によるテキストより

閉じられた開口部は、周辺環境や地域との関係を持つことを拒む意思表示のように感じられ、結果として住宅が地域に対して背を向けているかのような寂しい雰囲気を生み出してしまう。あらたに建築をそこにつくることで、その地域が少し賑やかに、少し明るくなるきっかけとなり、またそれが継続されていくためにはどうすればいいかを考えた。

建築家によるテキストより

具体的には寝室を内側に、それ以外の食べる・くつろぐ・読む・仕事をするなどの場所を外側に配置した。
その外側の場所を「みんなのための場所」と呼ぶ。「みんなのための場所」は動線を兼ねて一階から二階まで立体的に連続していく。内側には「ひとりのための場所」を配置する。寝室・便所・風呂などがそれにあたる。さらに内側には「光庭」を配置する。

建築家によるテキストより
川西敦史建築設計事務所による、兵庫・川西市の住宅「鶯の家」。周囲に閉じた家々が並ぶ郊外住宅地に計画、住まいを複数の庭で分解して再構築する事で多彩な居場所を生成、環境を取り込む庇と庭を立体化する屋根により生活環境を外に開く事を意図
川西敦史建築設計事務所による、兵庫・川西市の住宅「鶯の家」。周囲に閉じた家々が並ぶ郊外住宅地に計画、住まいを複数の庭で分解して再構築する事で多彩な居場所を生成、環境を取り込む庇と庭を立体化する屋根により生活環境を外に開く事を意図 photo©田中克昌
川西敦史建築設計事務所による、兵庫・川西市の住宅「鶯の家」。周囲に閉じた家々が並ぶ郊外住宅地に計画、住まいを複数の庭で分解して再構築する事で多彩な居場所を生成、環境を取り込む庇と庭を立体化する屋根により生活環境を外に開く事を意図 photo©田中克昌
川西敦史建築設計事務所による、兵庫・川西市の住宅「鶯の家」。周囲に閉じた家々が並ぶ郊外住宅地に計画、住まいを複数の庭で分解して再構築する事で多彩な居場所を生成、環境を取り込む庇と庭を立体化する屋根により生活環境を外に開く事を意図 photo©田中克昌

川西敦史建築設計事務所が設計した、兵庫・川西市の住宅「鶯の家」です。
周囲に閉じた家々が並ぶ郊外住宅地に計画、住まいを複数の庭で分解して再構築する事で多彩な居場所を生成、環境を取り込む庇と庭を立体化する屋根により生活環境を外に開く事が意図されました。

周囲の環境に表の2つの庭と内側の3つの庭でつながる住宅である。

建築家によるテキストより

住まいを庭で分解し、再構築することで、たくさんの居場所を形作りながら、互いに距離を取り、環境に緩やかに開いていく。木造L型の平屋と2階建てが少しズレて噛み合い、その間に風が抜け、光が差し、緑の影が揺らめく。

春に鶯が鳴く、昭和50年代に山を切り開き開発された郊外の住宅地はシルバータウン化した時代を経て代替わりが進み、かつての活気を取り戻しつつある。

建築家によるテキストより

間口いっぱい前面道路に迫り出した庇下の庭では近所の子供たちが遊び、腰掛に座り、DIYや薪作りスペースとなる。風を導く南角の庭は作物を育て、夏には河川敷に花火が上がり、遠くに大阪中心部を望む。内側3つの庭は表の庭と内部をつなぐバッファーとなる。

周辺の街並みは二階建てと庭、それらを囲む塀といった典型的な郊外の住宅地の装いで互いに閉じている。そのような周辺環境に対して大きな緩勾配の平屋の屋根を架けることによって、環境を取り込む庇と庭を立体化する屋根というプラットフォームをつくることを考えた。

建築家によるテキストより

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