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森恵吾+ジャン・ジエ / ATELIER MOZHによる、中国・西安市の、ギャラリーと絵画教室「Liu painting studio」。設計検討の中で“森の礼拝堂での体験”を回顧した設計者は、天井に完璧な正円を描くことで、集まる生徒と先生の行為を支える背景としての空間を構想
森恵吾+ジャン・ジエ / ATELIER MOZHによる、中国・西安市の、ギャラリーと絵画教室「Liu painting studio」。設計検討の中で“森の礼拝堂での体験”を回顧した設計者は、天井に完璧な正円を描くことで、集まる生徒と先生の行為を支える背景としての空間を構想 photo©FUSION Photography - Zhu Runzi
森恵吾+ジャン・ジエ / ATELIER MOZHによる、中国・西安市の、ギャラリーと絵画教室「Liu painting studio」。設計検討の中で“森の礼拝堂での体験”を回顧した設計者は、天井に完璧な正円を描くことで、集まる生徒と先生の行為を支える背景としての空間を構想 photo©FUSION Photography - Zhu Runzi
森恵吾+ジャン・ジエ / ATELIER MOZHによる、中国・西安市の、ギャラリーと絵画教室「Liu painting studio」。設計検討の中で“森の礼拝堂での体験”を回顧した設計者は、天井に完璧な正円を描くことで、集まる生徒と先生の行為を支える背景としての空間を構想 photo©FUSION Photography - Zhu Runzi

森恵吾+ジャン・ジエ / ATELIER MOZHが設計した、中国・西安市の、ギャラリーと絵画教室「Liu painting studio」です。設計検討の中で“森の礼拝堂での体験”を回顧した設計者は、天井に完璧な正円を描くことで、集まる生徒と先生の行為を支える背景としての空間を構想しました。

リヨンで絵画を学んだ若いクライアントのための、ギャラリーと絵画教室の計画である。

クライアントは、慣れ親しんだ西洋のアトリエの雰囲気と同時に、たくさんの若いゲストを迎え入れられるフレッシュな雰囲気の場所を望んでいた。

建築家によるテキストより

改築前のこの場所は、平面的な広さの割りに天井が低く、そのせいで柱の無骨さも気になった。ここにクライアントの要求をどう満たすか考える中で、アスプルンドの森の礼拝堂での体験をふと思い出した。低く抑えられた平天井を支える柱の列。その奥には、白くポッカリと円形に穿たれた天井。その下で参列者たちは中心の祭壇を囲う。

建築家によるテキストより

あの場所の雰囲気 – もちろんここは教会でも何でもないのだが – を思い浮かべながら、プランに線を引いてみた。
円周上には生徒が集まり、中心を見つめることができる。中心は描写する対象(オブジェ)かもしれないし、クライアントである先生かもしれない。あるいは逆に、円の中心に立った先生が、周囲の生徒たちの様子を見渡すこともできる。さらに、円弧に沿ってカーテンを巡らせば、内部はテンポラリーなギャラリー空間として使用できる。

建築家によるテキストより
キノシタヒロシ建築設計事務所による、鳥取の「小さな図書館のある家」。蔵書を多く持つ施主からの依頼に、私設図書館として街に開くこともできる住空間を提案、防火建築帯特有のスケール感を生かし“施主の描く新しい共同体の形成の器”となることも意図
キノシタヒロシ建築設計事務所による、鳥取の「小さな図書館のある家」。蔵書を多く持つ施主からの依頼に、私設図書館として街に開くこともできる住空間を提案、防火建築帯特有のスケール感を生かし“施主の描く新しい共同体の形成の器”となることも意図 photo©キノシタヒロシ建築設計事務所
キノシタヒロシ建築設計事務所による、鳥取の「小さな図書館のある家」。蔵書を多く持つ施主からの依頼に、私設図書館として街に開くこともできる住空間を提案、防火建築帯特有のスケール感を生かし“施主の描く新しい共同体の形成の器”となることも意図 photo©キノシタヒロシ建築設計事務所
キノシタヒロシ建築設計事務所による、鳥取の「小さな図書館のある家」。蔵書を多く持つ施主からの依頼に、私設図書館として街に開くこともできる住空間を提案、防火建築帯特有のスケール感を生かし“施主の描く新しい共同体の形成の器”となることも意図 photo©キノシタヒロシ建築設計事務所

キノシタヒロシ建築設計事務所が設計した、鳥取の「小さな図書館のある家」です。蔵書を多く持つ施主からの依頼に、私設図書館として街に開くこともできる住空間を提案、防火建築帯特有のスケール感を生かし“施主の描く新しい共同体の形成の器”となることも意図されました。

たくさんの本をお持ちでその収蔵場所も兼ねた住まいを考えていた施主に、単に書庫としてだけでなく、気が向いたら私設の図書館のようにして街に開くことができる住空間としてはどうかと提案し計画が始まった。

建築家によるテキストより

入り口にあった6枚のガラス戸はそのまま転用することとし、一階はアーケードから続く土間や客間として、あるいは小さな図書館のような開かれた場所にもなり、円環状に設けられたベンチはその様々な場面で使われる。上階は躯体が持つおおらかさを存分に活かして施主の好みでもあるワンルームとした。設備を最新の高効率機器に取り替えた以外は、建築全体として大きな費用は掛けず最小限の改修に留めた。

建築家によるテキストより

躯体の1階の天井高さはアーケードと同じ3500mm、2階は3400mmと防火建築帯とほぼ同じ規格であり、またそれは一般的なマンションなどの躯体天井高さと比べて遥かに高い。この空間スケールはアーケードと同じく、大火以降から経験されてきたこの街特有のスケールであり、この地域の共同体の活動を支えて来たであろうことは容易に想像できる。施主の描く新しい共同体の形成の器として、これらを評価し積極的に設計に取り込んだ。

建築家によるテキストより
照内創+SO&CO.による、東京・葛飾区の住宅「金町の増築」。既存建物の輪郭を手がかりに外壁等を残しつつ増築、新設部に外的な性質を持たせ“内外の存在と物質としての新旧が混ざり合う建築”を目指し、増築を契機に検査済証も取得
照内創+SO&CO.による、東京・葛飾区の住宅「金町の増築」。既存建物の輪郭を手がかりに外壁等を残しつつ増築、新設部に外的な性質を持たせ“内外の存在と物質としての新旧が混ざり合う建築”を目指し、増築を契機に検査済証も取得 photo©若林勇人
照内創+SO&CO.による、東京・葛飾区の住宅「金町の増築」。既存建物の輪郭を手がかりに外壁等を残しつつ増築、新設部に外的な性質を持たせ“内外の存在と物質としての新旧が混ざり合う建築”を目指し、増築を契機に検査済証も取得 photo©若林勇人
照内創+SO&CO.による、東京・葛飾区の住宅「金町の増築」。既存建物の輪郭を手がかりに外壁等を残しつつ増築、新設部に外的な性質を持たせ“内外の存在と物質としての新旧が混ざり合う建築”を目指し、増築を契機に検査済証も取得 photo©若林勇人

照内創+SO&CO.が設計した、東京・葛飾区の住宅「金町の増築 / Residential extension in Kanamachi」です。既存建物の輪郭を手がかりに外壁等を残しつつ増築、新設部に外的な性質を持たせ“内外の存在と物質としての新旧が混ざり合う建築”を目指し、増築を契機に検査済証も取得しました。

施主は2010年頃に既存建物を購入、木造2階建て延床面積61.27㎡の小さな住宅は、子供の成長とともに家族4人では手狭になっていた。長男の中学校入学にあわせ、長男へ自分の部屋を用意してあげたいというのが、増築を考えるきっかけであったようだ。

既存建物は2000年に発行された建築確認済証は存在したが、完了検査を受けておらず、完了検査済証がない状況であった。申請図からの大きな違いは建物位置が西側ではなく東側に寄って配置されていたこと、それ以外は筋交い位置や柱の位置の違いが複数あった。耐震診断→検査済証のない建築物に係る建築基準法適合状況調査→増築の確認申請を行い、完了検査済証を取得した。

建築家によるテキストより

本物件は都内有数の水元公園近く、駅から少し離れたロードサイドに駐車場が並ぶ低層住宅地にある。

施主は2010年頃に既存建物を購入、木造2階建て延床面積61.27㎡の小さな住宅は、子供の成長とともに家族4人では手狭になっていた。長男の中学校入学にあわせ、長男へ自分の部屋を用意してあげたいというのが、増築を考えるきっかけであったようだ。

建築家によるテキストより

既存建物は施主の代々引き継いだ建物でもなく、施主本人が建てた建物でもない。とはいえ、10年近く住み続けた記憶がある。

竣工してからの20年間存在した建物のアウトラインを一つの手がかりとして、増築することで内部化された旧外壁部やバルコニーの手すり壁、戸袋も必要最低限のみ解体し、それ以外はそのまま残置した。その上部にトップライトを設けることで、今まで屋外であった空間に増築されたことがほのかに感じられる、外のような中、中のような外、内外の存在と物質としての新旧も混ざり合う建築を目指した。

建築家によるテキストより
ヴァージル・アブロー氏が亡くなりました

ヴァージル・アブロー氏が亡くなりました。41歳でした。
建築出身のファンションデザイナーとして知られ、近年にはルイヴィトンメンズのアーティスティック・ディレクターを務めるなど注目を集めていました。またOMAなどとコラボレーションするなど建築界でも注目を集めました。2017年にはハーバード大学GSDでは講演も行っており、スニーカーへのサインを希望する学生が殺到する等も話題となりました(ヴァージル氏はナイキのスニーカーのデザインでも著名でした)。ご冥福をお祈りいたします。


こちらは、ヴァージル・アブロー氏のinstagramの公式アカウントに投稿された内容。


こちらは、2017年にハーバード大学GSDで行われた講演の動画。

最も注目を集めたトピックス [期間:2021/11/22-11/28]
最も注目を集めたトピックス [期間:2021/11/22-11/28]

アーキテクチャーフォトで、先週(期間:2021/11/22-11/28)注目を集めたトピックスをまとめてご紹介します。リアルタイムでの一週間の集計は、トップページの「Weekly Top Topics」よりご覧いただけます。


  1. ムトカ建築事務所による、神奈川・鎌倉市の、住宅リノベーション「家と庭と代」。再建築不可という条件に、10㎡以下の“代”を増築することで、すべての風景を肯定できる環境に変える / 山本瑠以による論考「代わるための代」
  2. 森下修 / 森下建築総研による、大阪・東大阪市の店舗兼住宅「藤田珈琲 / naked Spiral around Functions」。珈琲焙煎等の生産空間をコアに据え、そこに客席にもなるスロープが螺旋状にまとわりつき上昇する構成により、渦巻き飛翔する“フローの建築”を構想
  3. ムトカ建築事務所による、東京・小平市の、住宅改修「天井の楕円」。リビングに挿入された“スーパー楕円形状の穴の空いた天井”は、既存の開口部の在り方を変えると共に、空間の重心を中央に引き寄せ多様な居場所をつくる / 板坂留五による論考「楕円の家」
  4. 青木淳研究室による展覧会「鳥は泳ぎつづける」のレビュー。展覧会の制作プロセスを見せるという“在り方”から考えられた展示は、訪問者に関係性の視点を意識させると共に、建築の伝え方の未来までも想起させる
  5. SUGAWARADAISUKE建築事務所による、広島・三原市の、飲食店併設の製造販売施設「瀬戸内醸造所」。醸造所のコンセプトを伝える物語と風景を構築するため、35m大屋根等の要素で瀬戸内の様々な情報と環境を取捨選択し、既存風景の見え方を再編集する建築
  6. 西沢大良を迎え、中川エリカと浅子佳英が聞き手を務める対談ウェビナー「コロナ禍以降に再考する、健康な住まい」が開催。コロナ禍以降の建築の向かうべき方向性・西沢建築につながる子供時代の原風景・学生時代から続く西沢建築の本質 等について語られる
  7. 水野憲司 / mizmiz designによる、埼玉・所沢市の「東新井の家」。住民同士の関係や生活文化も色濃く地域に、応接室・縁側・間仕切りで可変できるリビングによって、日常時と来客時の変化に応じ環境が人に合わせてくれる住宅を構想
  8. SUGAWARADAISUKE建築事務所による、広島の店舗「瀬戸内醸造所 竹原直売所」。重要伝統的建造物群保存地区の古民家を改修した、数百年単位の時間軸の重層をもち、地域産煉瓦による螺旋什器が展示台からベンチまで様々な機能を担う建築
  9. 東京藝大青木淳研究室による「テンポラリーなリノベーションとしての展覧会②『鳥は泳ぎつづける』」が開催。常に工事が行われる渋谷のビル1階を会場に、展覧会の行為と時間に注目し問い直すことで、空間を変容させると共に都市空間へもアプローチ
  10. KLCによる、中国・北京の、既存倉庫を改修した飲食店「Echo House」。施主の自然との調和を求めるコンセプトに応え、一筆書き動線を既存部分に絡ませ多様な空間体験で面積を大きく感じさせると共に、“外部と内部の解像度が往復的に何度も更新される構成”をつくる
  11. 川嶋洋平建築設計事務所による、東京の、集合住宅の一住戸の改修「渋谷のリノベーション」。東西に開口を持ち明暗が時間で反転する空間を、強い光沢のある素材群を選定することにより、床天井が光の変化を反映し部屋全体の空気感を変化させる
  12. 中山英之建築設計事務所が手掛けた、東京都渋谷公園通りギャラリーの「『語りの複数性』展 会場構成」をレビュー。既存ビル内を改装したギャラリーに、動線と壁面を緻密に設計することで、自然な流れを持ったひとまとまりの展覧会という感覚と作品に深く対峙できる状況をつくりだす
  13. 【シリーズ・建築思索360°】保坂猛が語る“LOVE² HOUSE”と“建築思索”
  14. MVRDVによる、ドイツ・マンハイムの、高層集合住宅「the ‘O’」。HOMEの4文字の中の“O”の形をした建築で、“O”の中心部にパブリックテラスが設けられ、エリアの“リビングルーム”としての役割も果たす
  15. 石上純也建築設計事務所による、神奈川・厚木市の「神奈川工科大学KAIT広場」
  16. 京智健 / カイトアーキテクツと山口陽登 / YAPによる、愛媛の「伊方町観光交流拠点施設 佐田岬はなはな」。津波対策で護岸がかさ上げされた敷地にて、建物にピロティ・スロープ・ランドスケープを導入し集落と海を接続し直すことで、大自然のスケールと集落のスケールが同居する建築を構想
  17. 原田真宏+原田麻魚 / MOUNT FUJI ARCHITECTS STUDIOによる、東京・池袋の宿泊施設「hotel Siro」
  18. 90年代後半から00代前半に起こった建築とデザインのムーブメントを生み出した『BRUTUS』編集長 西田善太への、浅子佳英によるインタビュー記事「『BRUTUS』と『Casa BRUTUS』が建築にもたらしたもの ──専門誌はどこへ向かう?」
  19. 坂茂の設計で建設が進められている、愛知・名古屋市の、木質免震構造オフィスビル「タマディック名古屋ビル」
  20. y+M design officeによる、兵庫・神戸市の住宅「浮きヤネの家」

MVRDVによる、中国・深センの、既存工場ビルを改修したオフィス「アイデア・ファクトリー」。建物の歴史的痕跡を示すコンクリートフレームの外観を特徴とし、地上階から屋上に繋がる公共階段を設置することで、屋上を活動空間として地域にも開放
MVRDVによる、中国・深センの、既存工場ビルを改修したオフィス「アイデア・ファクトリー」。建物の歴史的痕跡を示すコンクリートフレームの外観を特徴とし、地上階から屋上に繋がる公共階段を設置することで、屋上を活動空間として地域にも開放 photo©Xia Zhi
MVRDVによる、中国・深センの、既存工場ビルを改修したオフィス「アイデア・ファクトリー」。建物の歴史的痕跡を示すコンクリートフレームの外観を特徴とし、地上階から屋上に繋がる公共階段を設置することで、屋上を活動空間として地域にも開放 photo©Xia Zhi
MVRDVによる、中国・深センの、既存工場ビルを改修したオフィス「アイデア・ファクトリー」。建物の歴史的痕跡を示すコンクリートフレームの外観を特徴とし、地上階から屋上に繋がる公共階段を設置することで、屋上を活動空間として地域にも開放 photo©Xia Zhi
MVRDVによる、中国・深センの、既存工場ビルを改修したオフィス「アイデア・ファクトリー」。建物の歴史的痕跡を示すコンクリートフレームの外観を特徴とし、地上階から屋上に繋がる公共階段を設置することで、屋上を活動空間として地域にも開放 photo©Xia Zhi

MVRDVが設計した、中国・深センの、既存工場ビルを改修したオフィス「アイデア・ファクトリー」です。建物の歴史的痕跡を示すコンクリートフレームの外観を特徴とし、地上階から屋上に繋がる公共階段を設置することで、屋上を活動空間として地域にも開放する建築です。

こちらは建築家によるテキストの翻訳

MVRDVが、深センで使われなくなった工場ビルを、緑のパブリックルーフを持つ「創造的な工場」に変身させる

MVRDVは、深センの都市部の南投にある旧工場ビルを、解体・再構築ではなく、持続的に再利用・改良する施設として「アイデア・ファクトリー」を完成させました。このプロジェクトには、中国万科の都市研究所のオフィスと賃貸オフィスが混在していますが、こうしたプログラムにもかかわらず、その特徴は公共性にあります。6階建てのビルを貫くように階段が設置されており、屋上には生きた竹の「壁」で囲まれた一連の「部屋」があり、さまざまなアメニティやアクティビティが提供されています。

南投は古代から歴史的な街ですが、現在は深センの都市内集落となっており、周囲の超高層ビルに圧倒されています。このアイデア・ファクトリーは、万科社が提案する数多くのリノベーションの中でも最大のプロジェクトです。万科社のリノベーションは、南投の文化的・創造的拠点化を加速させるために、国内外の著名な建築家が設計を担当しています。

解体して建て直すのではなく、使われなくなった工場の建物を持続的にリノベーションすることで、南投の歴史の一部を維持しつつ、新築に比べて二酸化炭素の排出量を抑えた設計になっています。この建物は、元々の構造が強化されているため、床面積を最大化するために上に更にフロアを追加することができました。一方、オリジナルのファサードは取り除かれ、建物の歴史の痕跡を示すためにコンクリートのフレームが露出して保存されています。新しいファサードは構造体の端からセットバックし、建物全体を包み込むようにオープンなロッジアを作っています。これにより回遊性が生まれ、同僚との偶然の出会いによってダイナミックな創造性を発揮することができるようになっています。

1階の小さな広場に面して、木で覆われた突出したチューブ状の構造体が、建物を貫通する公共階段の入り口となっています。階段の内部は鏡で覆われ、鮮やかなネオンサインで飾られており、深センの都市化の初期の頃を思い起こさせるような美しさがあります。4階では、この階段がビルの反対側に突き出ており、周囲の屋根を眺めることができます。そして、折り返して屋上に上がります。

川嶋洋平建築設計事務所による、東京の、集合住宅の一住戸の改修「渋谷のリノベーション」。東西に開口を持ち明暗が時間で反転する空間を、強い光沢のある素材群を選定することにより、床天井が光の変化を反映し部屋全体の空気感を変化させる
川嶋洋平建築設計事務所による、東京の、集合住宅の一住戸の改修「渋谷のリノベーション」。東西に開口を持ち明暗が時間で反転する空間を、強い光沢のある素材群を選定することにより、床天井が光の変化を反映し部屋全体の空気感を変化させる photo©ikunori yamamoto
川嶋洋平建築設計事務所による、東京の、集合住宅の一住戸の改修「渋谷のリノベーション」。東西に開口を持ち明暗が時間で反転する空間を、強い光沢のある素材群を選定することにより、床天井が光の変化を反映し部屋全体の空気感を変化させる photo©ikunori yamamoto
川嶋洋平建築設計事務所による、東京の、集合住宅の一住戸の改修「渋谷のリノベーション」。東西に開口を持ち明暗が時間で反転する空間を、強い光沢のある素材群を選定することにより、床天井が光の変化を反映し部屋全体の空気感を変化させる photo©ikunori yamamoto

川嶋洋平建築設計事務所が設計した、東京の、集合住宅の一住戸の改修「渋谷のリノベーション」です。東西に開口を持ち明暗が時間で反転する空間を、強い光沢のある素材群を選定することにより、床天井が光の変化を反映し部屋全体の空気感を変化させることを意図しました。

東京都の都心部渋谷区の古いマンションのリノベーション案件です。

建築家によるテキストより

敷地の特徴としてはメゾネットタイプの部屋の窓から街路樹が望め、遠くに公園が見えるような比較的視界が開けた部屋です。また住戸の中で東に面した窓と、西に面した窓を持つのも大きな特徴です。両方位に開口を持つため、明るい部屋と暗い部屋が午前中と午後には反転するようなマンションです。

建築家によるテキストより

リノベーション計画ではその明るさと暗さの移り変わりが部屋の全体の空気感に反映されるように計画しました。

床面はグレーの大判タイル、天井面は既存躯体にクリア塗装、どちらも強い光沢が特徴の素材を選定しました。またポイントで黒い透過アクリルを使用しました。それらの素材は明るさや暗さを反射や透過で繊細に反映させます。

建築家によるテキストより
青木淳研究室による展覧会「鳥は泳ぎつづける」のレビュー。展覧会の制作プロセスを見せるという“在り方”から考えられた展示は、訪問者に関係性の視点を意識させると共に、建築の伝え方の未来までも想起させる
青木淳研究室による展覧会「鳥は泳ぎつづける」のレビュー。展覧会の制作プロセスを見せるという“在り方”から考えられた展示は、訪問者に関係性の視点を意識させると共に、建築の伝え方の未来までも想起させる会場を外から見る。ガラス張りで中が良く見える場所である。 photo©architecturephoto
青木淳研究室による展覧会「鳥は泳ぎつづける」のレビュー。展覧会の制作プロセスを見せるという“在り方”から考えられた展示は、訪問者に関係性の視点を意識させると共に、建築の伝え方の未来までも想起させる展示室正面を見る。左側壁は本展の為につくられた。内部で鑑賞している姿を、街ゆく人々に鑑賞されるという構図が面白い。 photo©architecturephoto
青木淳研究室による展覧会「鳥は泳ぎつづける」のレビュー。展覧会の制作プロセスを見せるという“在り方”から考えられた展示は、訪問者に関係性の視点を意識させると共に、建築の伝え方の未来までも想起させる展示の為につくられた壁面裏のスペース。この日は、ドアと脚立が展示されていた。 photo©architecturephoto

東京藝術大学青木淳研究室による展覧会「鳥は泳ぎつづける」をレビューします。展覧会の制作プロセスを見せるという“在り方”から考えられた展示は、訪問者に関係性の視点を意識させると共に、建築の伝え方の未来までも想起させる内容となっています。入場可能期間は2021年11月29日まで(12月2日までは外部から見ることが可能)。展覧会の詳細はこちらのページにて紹介されています。

※2021年11月26日夜の会場写真を末尾に追加しました

こちらは、実際に会場を訪問したアーキテクチャーフォトによるレビュー

東京藝術大学青木淳研究室による展覧会「鳥は泳ぎ続ける」が渋谷区桜丘町で始まった。
会場となっている桜丘ビル1Fは、渋谷の再開発が進む一角にあり、ここに歩いてくるまでにも工事中の景色が自然と目に入ってくる場所だ。歩道橋を渡ってスペースの前にたどり着くとこのビル自体も改修の最中にあることが分かる。そのような場所で行われているのが本展である。

まず、説明しなければいけないのは、この展覧会がただ一回訪れて展示されているものをみて、分かった気分になるというような質の展覧会ではない、ということだ。

簡潔に説明してみたい。本展は、展覧会というものの前提に立ち返り、その在り方や意味のレベルから再考して企画が進められている。具体的には、会期や公開時間をいくつかのフェーズに分割し、展覧会自体の制作プロセス自体を作品として展示するという仕組みが設計されている。そして、このプロセスを作品として展示するにあたり仮想の展覧会が設定されたという。つまり仮想の展覧会のための会場をつくる、というプロセスを展示するという複雑な枠組みをもった展示なのである(詳細はこちらのページにある出展者による解説を読んでいただきたい)。

また、筆者は会場が公開された初日(2021/11/20)の午前に訪問してこのレビューを書いているのだが、このような質の展覧会であるために、この紹介がこの展覧会の全貌を捉えられていないことはあらかじめ了承いただきたい。

KLCによる、中国・北京の、既存倉庫を改修した飲食店「Echo House」。施主の自然との調和を求めるコンセプトに応え、一筆書き動線を既存部分に絡ませ多様な空間体験で面積を大きく感じさせると共に、“外部と内部の解像度が往復的に何度も更新される構成”をつくる
KLCによる、中国・北京の、既存倉庫を改修した飲食店「Echo House」。施主の自然との調和を求めるコンセプトに応え、一筆書き動線を既存部分に絡ませ多様な空間体験で面積を大きく感じさせると共に、“外部と内部の解像度が往復的に何度も更新される構成”をつくる photo©Yuming Song (Beijing Ruijing Photography)
KLCによる、中国・北京の、既存倉庫を改修した飲食店「Echo House」。施主の自然との調和を求めるコンセプトに応え、一筆書き動線を既存部分に絡ませ多様な空間体験で面積を大きく感じさせると共に、“外部と内部の解像度が往復的に何度も更新される構成”をつくる photo©Yuming Song (Beijing Ruijing Photography)
KLCによる、中国・北京の、既存倉庫を改修した飲食店「Echo House」。施主の自然との調和を求めるコンセプトに応え、一筆書き動線を既存部分に絡ませ多様な空間体験で面積を大きく感じさせると共に、“外部と内部の解像度が往復的に何度も更新される構成”をつくる photo©Yuming Song (Beijing Ruijing Photography)

KLCが設計した、中国・北京の、既存倉庫を改修した飲食店「Echo House」です。施主の自然との調和を求めるコンセプトに応え、一筆書き動線を既存部分に絡ませ多様な空間体験で面積を大きく感じさせると共に、“外部と内部の解像度が往復的に何度も更新される構成”をつくりだすことを意図しました。

中国北京市郊外、60年代北京の紡績時代を支えたレンガ造倉庫を改修したVegan飲食店。

施主は自然との調和を求めるコンセプトで活動しており、設計においても積極的に外在要素を意識することを求めた。我々は「並存(Coexist)」という概念の下、8つの具体的な設計ルールを設け、施主の要望を受け止めることにした。それらのルールは全て両様的な意味を孕む設えとし、立ち現れる空間や物の細部に僅かな違和感を付与させ、概念的な歪みや不旋律が生み出す冗長的空間体験を模索した。

建築家によるテキストより

用途の配置を考える上で、外部との関係において最適箇所を導いた。
集客効果も期待されたラボや販売スペースは、路面と内部からも視認性がよい1階北側。陽当りや土壌管理を重要視する温室は1階南側の陽当りが良い場所。ギャラリーは作品を外部からも臨めるように路面に向けると共にガラス張り。一方で作品保全に配慮して直射日光の当たらない2階北面とした。またプライベートな集いであるワークショップスペースは人目に付きにくい2階南西に配置とした。

建築家によるテキストより

用途の配置が決まるとそれらが一体的な繋がりを持つよう一筆書きの動線を貫入させて既存レンガ倉庫に絡ませた。商業施設では一般的に動線は最短距離でコンパクトに納めることで商業床面積を最大限に確保するが、この建物では出来るだけ動線距離は引き伸ばし、多様な用途間を回遊させ、小規模な店舗面積を多様な空間体験で最大限に大きく感じさせる提案をした。

建築家によるテキストより
SUGAWARADAISUKE建築事務所による、広島の店舗「瀬戸内醸造所 竹原直売所」。重要伝統的建造物群保存地区の古民家を改修した、数百年単位の時間軸の重層をもち、地域産煉瓦による螺旋什器が展示台からベンチまで様々な機能を担う建築
SUGAWARADAISUKE建築事務所による、広島の店舗「瀬戸内醸造所 竹原直売所」。重要伝統的建造物群保存地区の古民家を改修した、数百年単位の時間軸の重層をもち、地域産煉瓦による螺旋什器が展示台からベンチまで様々な機能を担う建築 photo©楠瀬友将+阿野太一
SUGAWARADAISUKE建築事務所による、広島の店舗「瀬戸内醸造所 竹原直売所」。重要伝統的建造物群保存地区の古民家を改修した、数百年単位の時間軸の重層をもち、地域産煉瓦による螺旋什器が展示台からベンチまで様々な機能を担う建築 photo©楠瀬友将+阿野太一
SUGAWARADAISUKE建築事務所による、広島の店舗「瀬戸内醸造所 竹原直売所」。重要伝統的建造物群保存地区の古民家を改修した、数百年単位の時間軸の重層をもち、地域産煉瓦による螺旋什器が展示台からベンチまで様々な機能を担う建築 photo©楠瀬友将+阿野太一

SUGAWARADAISUKE建築事務所が設計した、広島・竹原市の店舗「瀬戸内醸造所 竹原直売所」です。重要伝統的建造物群保存地区の古民家を改修した、数百年単位の時間軸の重層をもち、地域産煉瓦による螺旋什器が展示台からベンチまで様々な機能を担う建築となっています。クリエイティブディレクションとコンセプトデザインもSUGAWARADAISUKE建築事務所が手掛けています。店舗の公式サイトはこちら

本計画は、竹原市の重要伝統的建造物群保存地区に位置する、地元住民と旅人の交流機能を兼ねた瀬戸内醸造所の販売拠点。
この地域の歴史性によって、新しい交流や活動を支える商店空間の在り方を目指した。

建築家によるテキストより

先ず、100年単位で改修されている既存古民家の部材のひとつひとつを取捨選択し、木軸の補強、土壁の追加、解体などを行い、数百年単位の時間軸が重層する空間をつくった。

建築家によるテキストより

さらに、どっしりとした木軸グリッドの街並みと、古民家内部に対比させるように、竹原特産のレンガ螺旋状に配置した。螺旋什器は変化する形態に沿って、展示台や受付カウンター、デスクやベンチなど様々な機能を持ち、木造グリッドとの配置関係で、様々な奥行きや連続性を生みだしている。

建築家によるテキストより
森下修 / 森下建築総研による、大阪・東大阪市の店舗兼住宅「藤田珈琲 / naked Spiral around Functions」。珈琲焙煎等の生産空間をコアに据え、そこに客席にもなるスロープが螺旋状にまとわりつき上昇する構成により、渦巻き飛翔する“フローの建築”を構想
森下修 / 森下建築総研による、大阪・東大阪市の店舗兼住宅「藤田珈琲 / naked Spiral around Functions」。珈琲焙煎等の生産空間をコアに据え、そこに客席にもなるスロープが螺旋状にまとわりつき上昇する構成により、渦巻き飛翔する“フローの建築”を構想 photo©Katsu Tanaka
森下修 / 森下建築総研による、大阪・東大阪市の店舗兼住宅「藤田珈琲 / naked Spiral around Functions」。珈琲焙煎等の生産空間をコアに据え、そこに客席にもなるスロープが螺旋状にまとわりつき上昇する構成により、渦巻き飛翔する“フローの建築”を構想 photo©Tomoki Hahakura
森下修 / 森下建築総研による、大阪・東大阪市の店舗兼住宅「藤田珈琲 / naked Spiral around Functions」。珈琲焙煎等の生産空間をコアに据え、そこに客席にもなるスロープが螺旋状にまとわりつき上昇する構成により、渦巻き飛翔する“フローの建築”を構想 photo©Tomoki Hahakura
森下修 / 森下建築総研による、大阪・東大阪市の店舗兼住宅「藤田珈琲 / naked Spiral around Functions」。珈琲焙煎等の生産空間をコアに据え、そこに客席にもなるスロープが螺旋状にまとわりつき上昇する構成により、渦巻き飛翔する“フローの建築”を構想 photo©Katsu Tanaka

森下修 / 森下建築総研が設計した、大阪・東大阪市の店舗兼住宅「藤田珈琲 / naked Spiral around Functions」です。珈琲焙煎等の生産空間をコアに据え、そこに客席にもなるスロープが螺旋状にまとわりつき上昇する構成により、渦巻き飛翔する“フローの建築”が構想されました。店舗の公式サイトはこちら

人を曳きつけ螺旋上に巻き込み昇華する、そんな建築を目指した。

下町の構造が集積する東大阪市内、かつては貨物線であった高架線路の際に位置する。

建築家によるテキストより

人の営み行為、生活が混沌と交わるそんな艶めかしい街中に珈琲焙煎機を中心とし、その周辺を人のフローが巻き上がるプランを創り上げた。建物中心の四角いコアにはパン焼き工房やカフェのカウンターも鎮座し生産の場となる。それを求めにやってくる顧客や従業員、あるいは引き寄せられた周辺に住まい働く人々がコアにまとわりつき上昇する。建物は透明化され渦巻くスロープや生産のコアが視覚化し、機能や人々のフローが周辺に意味を発する。一度この渦巻きを見たものを建物内に誘引する。

建築家によるテキストより

当初から、創業者はここに住まうことを前提に、新規事業となるカフェと高級食パンの工房を設置することを条件としていた。自らが住まう場所ではあるが「インスタ映えする」すなわち人々が思い描いた心象風景のような人の行為からなる渦が上昇し、ある姿が呈される場を求めていた。事象は人のフローが定着されたような偶発のイベントであり、物を作る上での作意としては直方体のキューブを設定し、そこに人のフローが巻きつくさまを定着させる。それだけである。形を創るのではなく、そこに現れるでき事を意識した。

建築家によるテキストより
90年代後半から00代前半に起こった建築とデザインのムーブメントを生み出した『BRUTUS』編集長 西田善太への、浅子佳英によるインタビュー記事「『BRUTUS』と『Casa BRUTUS』が建築にもたらしたもの ──専門誌はどこへ向かう?」

90年代後半から00代前半に起こった建築とデザインのムーブメントを生み出した『BRUTUS』編集長 西田善太への、浅子佳英によるインタビュー記事「『BRUTUS』と『Casa BRUTUS』が建築にもたらしたもの ──専門誌はどこへ向かう?」が、LIXILのウェブサイトに掲載されています。2011年11月29日まで公開中の動画を記事化したものです。インタビュー記事も充実していますが、動画ではここでに収まらなかったトピックも多々ありお勧めです。

西澤徹夫と青木淳が参加して、2021年9月にJIAの主催で行われた講演「歴史的建築に現代の息吹を与える 京都市京セラ美術館のリノベーション」の動画

西澤徹夫青木淳が参加して、2021年9月3日にJIAの主催で行われた講演「歴史的建築に現代の息吹を与える 京都市京セラ美術館のリノベーション」の動画です。

京都京セラ美術館のリノベーション[西澤徹夫]…現存する最古の公立美術館である京都市美術館は、1933 年に開館して以来、京都の文化的な中心地としての役割を果たして来ましたが、築後 80 年あまりを経て各所で老朽化が進行していました。また、近年の増加著しい観光客や観覧者が求める都市空間とサービス機能への対応も求められました。大型化し素材や展示方法も多様化した現代の美術作品に適した展示空間を提供できない状況でした。このため、歴史的な美術館の姿を後世に残しながらも現代のニーズに応える「保存と活用」をいかにすべきかとの課題に、私たちは西側正面広場をスロープ状に掘り下げて、新たなエントランスにすること、そこから中央ホールへ階段であがり、東側の日本庭園へ抜ける東西貫通動線を骨格としました。京都市美術館がこれまで育んできた文化的な厚み、美術館の可能性など、歴史を重層させるリノベーションについてお話しさせて頂きます。

ムトカ建築事務所による、東京・小平市の、住宅改修「天井の楕円」。リビングに挿入された“スーパー楕円形状の穴の空いた天井”は、既存の開口部の在り方を変えると共に、空間の重心を中央に引き寄せ多様な居場所をつくる / 板坂留五による論考「楕円の家」
ムトカ建築事務所による、東京・小平市の、住宅改修「天井の楕円」。リビングに挿入された“スーパー楕円形状の穴の空いた天井”は、既存の開口部の在り方を変えると共に、空間の重心を中央に引き寄せ多様な居場所をつくる / 板坂留五による論考「楕円の家」 photo©長谷川健太
ムトカ建築事務所による、東京・小平市の、住宅改修「天井の楕円」。リビングに挿入された“スーパー楕円形状の穴の空いた天井”は、既存の開口部の在り方を変えると共に、空間の重心を中央に引き寄せ多様な居場所をつくる / 板坂留五による論考「楕円の家」 photo©長谷川健太
ムトカ建築事務所による、東京・小平市の、住宅改修「天井の楕円」。リビングに挿入された“スーパー楕円形状の穴の空いた天井”は、既存の開口部の在り方を変えると共に、空間の重心を中央に引き寄せ多様な居場所をつくる / 板坂留五による論考「楕円の家」 photo©長谷川健太

村山徹+加藤亜矢子 / ムトカ建築事務所が設計した、東京・小平市の、住宅リノベーション「天井の楕円」です。リビングに挿入された“スーパー楕円形状の穴の空いた天井”は、既存の開口部の在り方を変えると共に、空間の重心を中央に引き寄せ多様な居場所をつくります。また、RUI Architectsの板坂留五による論考「楕円の家」も掲載します。

築20年の戸建て住宅のリノベーションである。
オーナーが変わり、夫婦と子供ふたりの家族が新たに住むことになった。

建築家によるテキストより

この住宅の最大の特徴は、勾配屋根が架かった45m2の大きなワンルームの2階リビングで、幅3.5×高さ3.7mの南向きの大開口部をもっていることである。この大きなワンルームに、ひとつの極大なオブジェクトを入れることで、人の流れ、力の流れ、風の流れ、光の流れを更新し、新しい家族に合った建築をつくろうと考えた。

建築家によるテキストより

そこで南窓の横架材の高さ1.8mのレベルに、スーパー楕円形状の穴の空いた天井を挿入した。
空間の重心が南側に偏っていることで拠り所のなかったリビングの重心を中央に引き寄せ、楕円の回りに多様な居場所をつくった。

建築家によるテキストより
水野憲司 / mizmiz designによる、埼玉・所沢市の「東新井の家」。住民同士の関係や生活文化も色濃く地域に、応接室・縁側・間仕切りで可変できるリビングによって、日常時と来客時の変化に応じ環境が人に合わせてくれる住宅を構想
水野憲司 / mizmiz designによる、埼玉・所沢市の「東新井の家」。住民同士の関係や生活文化も色濃く地域に、応接室・縁側・間仕切りで可変できるリビングによって、日常時と来客時の変化に応じ環境が人に合わせてくれる住宅を構想 photo©神宮巨樹
水野憲司 / mizmiz designによる、埼玉・所沢市の「東新井の家」。住民同士の関係や生活文化も色濃く地域に、応接室・縁側・間仕切りで可変できるリビングによって、日常時と来客時の変化に応じ環境が人に合わせてくれる住宅を構想 photo©神宮巨樹
水野憲司 / mizmiz designによる、埼玉・所沢市の「東新井の家」。住民同士の関係や生活文化も色濃く地域に、応接室・縁側・間仕切りで可変できるリビングによって、日常時と来客時の変化に応じ環境が人に合わせてくれる住宅を構想 photo©神宮巨樹

水野憲司 / mizmiz designが設計した、埼玉・所沢市の「東新井の家」です。住民同士の関係や生活文化も色濃く地域に、応接室・縁側・間仕切りで可変できるリビングによって、日常時と来客時の変化に応じ環境が人に合わせてくれる住宅が構想されました。

敷地は所沢駅から徒歩圏内の住宅地にあり、古くからの農家の屋敷が多く、住民同士の関係や生活文化も色濃く残っている。

お施主様の要望は、今までのように玄関脇に来客用の応接室、縁側での作業や住民同士の談話スペース、開放的で風通しが良く、暑さ寒さにも万全な住まいが要望だった。

建築家によるテキストより

建物は、お施主様が高齢のため、上がり下がりが少ない平屋とした。
敷地の北側には、桜の名所として知られる東川に面しており、建物の南北に開口部を設けることにより家中に風が通り抜ける。

建築家によるテキストより

間取りは、自然と家族が集まるような空間全体がのびやかなリビングになるようにした。
また来客が多く、地域や仕事上の来客、親戚、親族の来客によって招き入れる空間を変えることができるようにするため、お施主様と来客の動線を工夫し、間仕切りを可変できるようにした。環境に人が合わせるのではなく、環境が人に合わせてくれるように環境の変化も楽しめる住まいをデザインした。

建築家によるテキストより
SUGAWARADAISUKE建築事務所による、広島・三原市の、飲食店併設の製造販売施設「瀬戸内醸造所」。醸造所のコンセプトを伝える物語と風景を構築するため、35m大屋根等の要素で瀬戸内の様々な情報と環境を取捨選択し、既存風景の見え方を再編集する建築
SUGAWARADAISUKE建築事務所による、広島・三原市の、飲食店併設の製造販売施設「瀬戸内醸造所」。醸造所のコンセプトを伝える物語と風景を構築するため、35m大屋根等の要素で瀬戸内の様々な情報と環境を取捨選択し、既存風景の見え方を再編集する建築 photo©楠瀬友将+阿野太一
SUGAWARADAISUKE建築事務所による、広島・三原市の、飲食店併設の製造販売施設「瀬戸内醸造所」。醸造所のコンセプトを伝える物語と風景を構築するため、35m大屋根等の要素で瀬戸内の様々な情報と環境を取捨選択し、既存風景の見え方を再編集する建築 photo©楠瀬友将+阿野太一
SUGAWARADAISUKE建築事務所による、広島・三原市の、飲食店併設の製造販売施設「瀬戸内醸造所」。醸造所のコンセプトを伝える物語と風景を構築するため、35m大屋根等の要素で瀬戸内の様々な情報と環境を取捨選択し、既存風景の見え方を再編集する建築 photo©楠瀬友将+阿野太一
SUGAWARADAISUKE建築事務所による、広島・三原市の、飲食店併設の製造販売施設「瀬戸内醸造所」。醸造所のコンセプトを伝える物語と風景を構築するため、35m大屋根等の要素で瀬戸内の様々な情報と環境を取捨選択し、既存風景の見え方を再編集する建築 photo©楠瀬友将+阿野太一

SUGAWARADAISUKE建築事務所が設計した、広島・三原市の、飲食店併設の製造販売施設「瀬戸内醸造所」です。醸造所のコンセプトを伝える物語と風景を構築するため、35m大屋根等の要素で瀬戸内の様々な情報と環境を取捨選択し、既存風景の見え方を再編集する建築となっています。また、クリエイティブディレクションとコンセプトデザインもSUGAWARADAISUKE建築事務所が手掛けています。施設の公式サイトはこちら

本計画は、元造船所跡地に建つワイナリー「瀬戸内醸造所」のレストランを併設した製造販売拠点。

醸造所が掲げる、「旅するワイナリー」を体験として伝える物語と風景の構築が求められた。そこで、時間と共に移ろう海と島並、山と空が見渡せる瀬戸内らしい敷地特性を活かし、見学ツアーやカフェ利用などの気軽な滞在、バーベキューやコース料理などの様々な飲食、大小の式典など、様々な過ごし方が屋内外での展開する多様な居場所群を目指した。

建築家によるテキストより

2棟の建築ボリューム、植栽と造船所の廃材で構成した蛇篭壁や盛り土によって、海と一体化したまとまりのある広場をつくった。前面道路から海岸線まで真っ直ぐ延びる軸線は、この広場を貫通して、海と山の風景を対比的に接続すると共に、大屋根ゲートによる空と島並のフレーミングで、アプローチの高揚感をつくっている。

建築家によるテキストより

また、35mの傾斜した大屋根は、瀬戸内の水平線を強調し、山並みへ視線を誘導する。建築屋内外で起伏する地面や床面、小上りや段々デッキ、カウンターといった居場所と共に、周辺環境の特徴的な風景への視線の誘導、開閉する空間密度や屋内外が一体化した広がりを生成している。

建築家によるテキストより

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