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デイヴィッド・チッパーフィールド・アーキテクツによる、アメリカ・ニューヨークの、複合ビル「ザ・ブライアント」。ホテル・集合住宅・店舗が入り、外観にニューヨークのタワーの伝統的な3層構成を踏襲し周辺の歴史的建造物との関連を保持しつつ現代的な解釈を付与
デイヴィッド・チッパーフィールド・アーキテクツによる、アメリカ・ニューヨークの、複合ビル「ザ・ブライアント」。ホテル・集合住宅・店舗が入り、外観にニューヨークのタワーの伝統的な3層構成を踏襲し周辺の歴史的建造物との関連を保持しつつ現代的な解釈を付与ブライアントパークからの眺め。 photo©Simon Menges
デイヴィッド・チッパーフィールド・アーキテクツによる、アメリカ・ニューヨークの、複合ビル「ザ・ブライアント」。ホテル・集合住宅・店舗が入り、外観にニューヨークのタワーの伝統的な3層構成を踏襲し周辺の歴史的建造物との関連を保持しつつ現代的な解釈を付与北側のファサードは、公園に向かって開かれた広い公園に向かって開いていくようなリズムをもっています。 photo©Simon Menges
デイヴィッド・チッパーフィールド・アーキテクツによる、アメリカ・ニューヨークの、複合ビル「ザ・ブライアント」。ホテル・集合住宅・店舗が入り、外観にニューヨークのタワーの伝統的な3層構成を踏襲し周辺の歴史的建造物との関連を保持しつつ現代的な解釈を付与ファサードのテラゾはアパートメントのインテリアにも続きます。 photo©Simon Menges

デイヴィッド・チッパーフィールド・アーキテクツが設計した、アメリカ・ニューヨークの、複合ビル「ザ・ブライアント」です。ホテル・集合住宅・店舗が入り、外観にニューヨークのタワーの伝統的な3層構成を踏襲し周辺の歴史的建造物との関連を保持しつつ現代的な解釈を付与しています。

こちらは、建築家によるテキストの翻訳

ザ・ブライアントは、マンハッタンのミッドタウンにある9エーカーの公共公園、ブライアント・パークの南西の角に位置する32階建ての複合施設です。周囲は歴史的建造物に囲まれており、北側はニューヨーク公共図書館、東側はボザール様式で有名なノックスビルに隣接しています。このビルは、14階までがホテルで、その上が個人の住居になっています。この2つの構成要素は、ストリートレベルでは2つの独立したロビーで提供され、隣接する2つの店舗ユニットがストリートフロントを活気づけます。

建物は、ニューヨークのタワーの伝統的な3つの部分(ベース、ミドル、クラウン)から構成されています。ベース部分は敷地の幅いっぱいに広がり、二層吹き抜けの1階部分とホテルの1~4階部分が入っています。ホテルのバーとラウンジのために床から天井までの高さを増やし、フットプリントを減らしたことが、ミドル部の始まりとなっています。このセットバックにより、40丁目に沿って中高層の建物が交互に並ぶ高さのパターンを維持しながら、ホテルの宿泊客と住宅のテナントの両方が利用できる屋外テラスが作られています。タワーの最上部にある2つのペントハウスのための2階建ての空間によって、クラウンが確立されています。

ファサードは、ランドマーク保全委員会の条件を遵守し、近隣の歴史的建造物との関連性を保ちつつ、現代的な解釈を加えています。コンクリートには、近隣の建物のファサードに使われている石材と同じ種類の骨材が使用されています。磨き上げられたプレキャストコンクリートのスラブと柱は、テクトニックグリッドの構成に沿っており、クラシカルな外観を持ち、街並みの中でその存在をしっかりと主張しています。

このコンクリート構造は、住宅の内部にまで及んでおり、建築物としての実体感とアイデンティティを強化しています。造り付けの家具は、収納スペースや家電製品を隠しながら、空間を仕切っているため、間仕切り壁の必要がなく、周囲の景色を遮るものがありません。床から天井まである窓からは、すべての住宅の南北面にあるジュリエットバルコニーに出ることができます。ペントハウスには2階建ての柱状のテラスがあり、都市や公園を見渡すことができます。

相坂研介設計アトリエによる、東京・葛飾区の「東立石保育園」。園児たちに“家”、“公園”、“学び舎”として使われる事に加え、災害時に地域の拠り所となる‟砦”の機能を備えた、子どもたちに愛され地域に頼られる園を構想。
相坂研介設計アトリエによる、東京・葛飾区の「東立石保育園」。園児たちに“家”、“公園”、“学び舎”として使われる事に加え、災害時に地域の拠り所となる‟砦”の機能を備えた、子どもたちに愛され地域に頼られる園を構想。近くを流れる天井川 photo©小川重雄
相坂研介設計アトリエによる、東京・葛飾区の「東立石保育園」。園児たちに“家”、“公園”、“学び舎”として使われる事に加え、災害時に地域の拠り所となる‟砦”の機能を備えた、子どもたちに愛され地域に頼られる園を構想。中庭見返し photo©小川重雄
相坂研介設計アトリエによる、東京・葛飾区の「東立石保育園」。園児たちに“家”、“公園”、“学び舎”として使われる事に加え、災害時に地域の拠り所となる‟砦”の機能を備えた、子どもたちに愛され地域に頼られる園を構想。タイヤやロープの素朴な遊具 photo©小川重雄
相坂研介設計アトリエによる、東京・葛飾区の「東立石保育園」。園児たちに“家”、“公園”、“学び舎”として使われる事に加え、災害時に地域の拠り所となる‟砦”の機能を備えた、子どもたちに愛され地域に頼られる園を構想。ひな壇テラスから屋上へ photo©小川重雄

相坂研介設計アトリエが設計した、東京・葛飾区の「東立石保育園」です。園児たちに“家”、“公園”、“学び舎”として使われる事に加え、災害時に地域の拠り所となる‟砦”の機能を備えた、子どもたちに愛され地域に頼られる園が構想されました。

東京葛飾区の密集市街地に建つ保育園。
老朽化した区立施設の更新にあたる民営化プロポーザルに事業者とともに応募した。

旧園の歴史や周辺環境など過去を引き継ぎ、現代の複雑なニーズ・区や都の審査項目を満たすばかりでなく、未来の子どもたちに愛され、地域に頼られる園を実現させるべく、園児がのびのび遊べ保育士も保護者も安心出来る「家」、施設全体で体を動かし考える力を養う「公園」、命の尊さや食への感謝を知る「学び舎」、および近くを流れる天井川の氾濫などの災害時には地域の拠り所となる「砦」の、4つを兼ねる建築を提案し、選定された。

建築家によるテキストより

平面は、密集した近隣住戸への防音・プライバシー配慮および管理上の視認性から、外に閉じて中庭を囲む形式のうち、隣接する公園にのみ開いたC型とし、立面は街並のスケールに合わせて外壁を分割。さらに1階北側は狭い前面道路を拡げるようにセットバックし、朝夕の駐輪の混雑や一時停車による渋滞や事故の危険を回避している。

建築家によるテキストより

建物全体を行き止まりなく巡らせた動線は、常時は子どもを飽きさせない遊びのため、非常時は垂直な管理動線と合わせて、火災時は下、水害時は上へ逃げられる複数のルートを用意し、避難安全性も担保している。
特にらせん状に屋上まで上昇するスロープや広い階段は、階下に年齢差に応じた保育室の天井高や防災備蓄庫を生み出しながら、被災時には、2階のひな壇と併せて、165名の園児と職員、地域住民を含めた200~300人が、全員腰掛けながら救助を待つことが出来る設えとなっている。

建築家によるテキストより
アンサンブル・スタジオと藤本壮介が参加して行われたギャラリートーク「How Heavy? How Light?」の動画(日本語字幕付)

アンサンブル・スタジオのアントン・ガルシア゠アブリルとデボラ・メサ、藤本壮介が参加して行われたギャラリートーク「How Heavy? How Light?」の動画です。ナビゲーターはセン・クアンが務めました。TOTO・ギャラリー間での展覧会「アンサンブル・スタジオ展 Architecture of The Earth」の関連企画として行われたものです。日本語字幕付で2021年9月31日までの公開です。

アンサンブル・スタジオ展ギャラリートーク1回目(日本語字幕版)
テーマ:How Heavy? How Light? 

出演:
アントン・ガルシア゠アブリル
デボラ・メサ(建築家。アンサンブル・スタジオ)
藤本壮介(建築家。藤本壮介建築設計事務所)
ナビゲーター=セン・クアン(建築史家。東京大学特任准教授、『a+u』誌チーフ・エディトリアル・アドヴァイザー)

【展覧会情報】
展覧会名:アンサンブル・スタジオ展 Architecture of The Earth
会期:2021年6月24日(木)~9月26日(日)
開催時間:11:00~18:00
休館日:月曜・7月22日(木)、23日(金)、9月23日(木)
・夏期休暇[8月9日(月)~16日(月)]

【ap特別企画】岸和郎インタビュー「今、岸和郎に聞く 建築と人生 ─── 教育・京都・設計というキーワードを通して」(聞き手:後藤連平)
【ap特別企画】岸和郎インタビュー「今、岸和郎に聞く 建築と人生 ─── 教育・京都・設計というキーワードを通して」(聞き手:後藤連平)

京都を拠点とし約40年の設計活動を行ってきた建築家・岸和郎。
2021年6月から8月まで京都工芸繊維大学美術工芸資料館にて、これまでの活動とこれからの活動を紹介する展覧会「岸和郎:時間の真実_TIME WILL TELL」が行われた(緊急事態宣言により会期終了前に閉幕。現在は2021年10月1まで大阪工業大学にて同展のサテライト展が開催中)。
建築家として世界的に評価されてきた岸は、設計活動と同時に教育現場にも携わり数多くの教え子を育ててきた。今回、そのひとりでもある、アーキテクチャーフォト編集長の後藤連平が聞き手を務め、岸和郎に建築のみならずその人生までも振り返ってもらうという趣旨で行われたのが本インタビューである。
その内容は、建築家を目指す人のみならず、どんな建築人生を送る人にとっても大きな学びがあり勇気をあたえてくれるものであるだろう。


岸 和郎(きし・わろう)
建築家・K.ASSOCIATES/Architects主宰
1973年、京都大学工学部電気工学科卒業。
1975年、同大学工学部建築学科卒業、
1978年、同大学大学院修士課程建築学専攻修了。
1981年~1993年京都芸術短期大学、
1993年~2010年京都工芸繊維大学、
2010年~2016年京都大学、
2016年から京都造形芸術大学(現・京都芸術大学)にて教鞭をとる。
その間、カリフォルニア大学バークレー校、マサチューセッツ工科大学で客員教授を歴任。京都芸術大学大学院特別教授、京都大学名誉教授、京都工芸繊維大学名誉教授。日本建築家協会新人賞、日本建築学会賞、デダロ・ミノス国際賞審査員特別賞など、国内外において受賞多数。
WEB SITE:https://k-associates.com/

公式プロフィールより

【ap特別企画】岸和郎インタビュー「今、岸和郎に聞く 建築と人生 ─── 教育・京都・設計というキーワードを通して」(聞き手:後藤連平)左:岸和郎、右:アーキテクチャーフォト編集長・後藤連平。(インタビューは京都と東京をzoomでつなぎ行われた。)

岸和郎と京都

後藤:今日は貴重な機会をありがとうございます。ぼくは京都工芸繊維大学を2002年卒業、大学院を2004年に修了しています。岸先生も工芸繊維大で教えていらして、三角スケールの使い方から設計課題の指導までとてもお世話になりました。思い返すと、岸先生は当時から「自分は京都の建築家である」と宣言されていましたよね。
いまでこそ、建築家が地方で活動することが一般的になったように思うのですが、岸先生はその先駆者のようにも思えます。

:最初は東京で独立しようと思っていたんですよ。それで、大学の先生に報告に行ったんです。そうしたら、建築家は設計するだけじゃなくて、営業をしないといけない、君にできるかといわれて。むずかしいのなら、教職に就いたほうがいいと勧められました。それで、ご縁があって最初は京都芸術短期大学に着任しました。

京都は学生時代を過ごした街なので親しみがありましたが、ここで、あらためて京都という都市と向きあうことになるわけです。活動を開始した80年代前半の当時は情報のなさ、遅さに驚愕しました。東京にいれば、友人から1時間くらいで仕入れられる情報が、京都では1週間かかる。これはもう、ゆっくりやるしかないな、と思いましたね。

後藤:当時は、京都という地方都市をどのように意識されていたのですか?

:ローカルな建築家になるつもりはまるでなかったので、まずは淡々と仕事をしたいと思っていました。こういう言い方はすごく失礼だと思うのだけど、あるとき、ローマやフィレンツェにはいい建築家がいないんじゃないかって気づいたんです。建築家は、どこかで自己陶酔しないとやっていけない職業なので、自分の仕事を褒めたいのだけれど、例えば京都にいて大徳寺を見ると凄く打ちのめされる。同じことが、ローマやフィレンツェでも起きているのではないでしょうか。つまり、京都にいることを意識しすぎると、自己陶酔できなくなる。京都性のようなものを引きずることは、よくないと思ったんです。そうしたことを意識しながら設計していましたね。だからなのか、ぼくの仕事を評価してくれて、最初に作品集を出してくれたのは、バルセロナの出版社でした。

「中山英之展 ,and then」愛知巡回展の会場が、ヴァーチャルツアーで公開。ギャラリー間の展示と異なり、作品“きのいし”が会場全体にばらまかれたような構成が特徴的
「中山英之展 ,and then」愛知巡回展の会場が、ヴァーチャルツアーで公開。ギャラリー間の展示と異なり、作品“きのいし”が会場全体にばらまかれたような構成が特徴的ヴァーチャルツアーのスクリーンショット(許可を得て掲載)。
「中山英之展 ,and then」愛知巡回展の会場が、ヴァーチャルツアーで公開。ギャラリー間の展示と異なり、作品“きのいし”が会場全体にばらまかれたような構成が特徴的ヴァーチャルツアーのスクリーンショット(許可を得て掲載)。
「中山英之展 ,and then」愛知巡回展の会場が、ヴァーチャルツアーで公開。ギャラリー間の展示と異なり、作品“きのいし”が会場全体にばらまかれたような構成が特徴的ヴァーチャルツアーのスクリーンショット(許可を得て掲載)。

中山英之の建築展「中山英之展 ,and then」愛知巡回展の会場が、ヴァーチャルツアーで公開されています。TOTO・ギャラリー間の展示と異なり、作品“きのいし”が会場全体にばらまかれたような構成が特徴的です。愛知淑徳大学にて2021年9月19日まで開催されています。展覧会の詳細はこちらからどうぞ

この展覧会は、TOTO株式会社が運営する「TOTOギャラリー・間」(東京・乃木坂)で開催された展覧会を、本学 建築・インテリアデザイン専攻の学生が愛知巡回展として再構成したものです。学部3年生を対象とした授業「デザインワークショップ」の受講生が会場計画・施工を担当し、本年度は「中山英之展 ,and then」愛知巡回展を開催致します。
日本を代表する建築家と学生とのコラボレーションを是非ご覧ください。

リリーステキストより

以下は会場の様子です。

設計者を対象とした“無料”オンラインセミナー「ケーススタディで学ぶ非住宅木造 受注獲得のステップ」が、木構造デザインの主催で開催
設計者を対象とした“無料”オンラインセミナー「ケーススタディで学ぶ非住宅木造 受注獲得のステップ」が、木構造デザインの主催で開催

設計者を対象とした“無料”オンラインセミナー「ケーススタディで学ぶ非住宅木造 受注獲得のステップ」が、木構造デザインの主催で開催されます。開催日時は2021年9月15日(水)13:00~14:00です。こちらのページからの要事前申し込みです。【ap・ad】

ケーススタディで学ぶ非住宅木造 受注獲得のステップ

非住宅木造に取り組む実践者に受注獲得の流れを詳しく解説してもらうオンラインセミナーを9月よりスタートします。

実例をもとに、どのように設計・営業を進めていったのかケーススタディで紹介していただきます。

内容の一部を紹介すると・・・

こんな方におすすめです!

元木大輔 / DDAAによる、東京・港区の、東京ミッドタウン内の店舗「BOUQUET COLORS’ PLEATS PLEASE ISSEY MIYAKE」。くるくると巻いてコンパクトに収納可能なブランド商品の特徴を生かし、巻かれた状態をそのまま見ることができる什器をデザイン
元木大輔 / DDAAによる、東京・港区の、東京ミッドタウン内の店舗「BOUQUET COLORS’ PLEATS PLEASE ISSEY MIYAKE」。くるくると巻いてコンパクトに収納可能なブランド商品の特徴を生かし、巻かれた状態をそのまま見ることができる什器をデザイン photo : Shin Inaba ©ISSEY MIYAKE INC.
元木大輔 / DDAAによる、東京・港区の、東京ミッドタウン内の店舗「BOUQUET COLORS’ PLEATS PLEASE ISSEY MIYAKE」。くるくると巻いてコンパクトに収納可能なブランド商品の特徴を生かし、巻かれた状態をそのまま見ることができる什器をデザイン photo : Shin Inaba ©ISSEY MIYAKE INC.
元木大輔 / DDAAによる、東京・港区の、東京ミッドタウン内の店舗「BOUQUET COLORS’ PLEATS PLEASE ISSEY MIYAKE」。くるくると巻いてコンパクトに収納可能なブランド商品の特徴を生かし、巻かれた状態をそのまま見ることができる什器をデザイン photo : Shin Inaba ©ISSEY MIYAKE INC.

元木大輔 / DDAAが設計した、東京・港区の、東京ミッドタウン内の店舗「BOUQUET COLORS’ PLEATS PLEASE ISSEY MIYAKE」です。くるくると巻いてコンパクトに収納可能なブランド商品の特徴を生かし、巻かれた状態をそのまま見ることができる什器がデザインされました。店舗の公式ページはこちら

「PLEATS PLEASE ISSEY MIYAKE」の衣服は独自の「製品プリーツ」手法により、伸縮して着心地がよく、軽くてシワにならずに水洗いすることができる。またシワにならないのでプリーツ方向にくるくると巻いてコンパクトに収納することができる。

普段は収納の中で隠れてしまう、くるくると巻かれた状態をそのまま見ることができる什器をデザインした。
この什器は、陳列棚とストックを兼ねた3段のタンス状になっていて、製品をくるくると巻いた状態で収納している様子がつねに見えるように、引出しが最後まで閉まらないようになっている。

また、普通のタンスのように外側の箱から引出部分がスライドされるのではなく、重なった箱がそのままダルマ落としのように横にずれ、カラフルなプロダクトのカラーバリエーションを見せることができる。

建築家によるテキストより
中本尋之 / FATHOMによる、広島・東広島市の「金光酒造 蔵元販売所」。 隣接の登録有形文化財である酒蔵の水平ラインを意識し踏襲しつつ、一部を隆起させたラインが特徴的な外観
中本尋之 / FATHOMによる、広島・東広島市の「金光酒造 蔵元販売所」。 隣接の登録有形文化財である酒蔵の水平ラインを意識し踏襲しつつ、一部を隆起させたラインが特徴的な外観 photo©足袋井竜也 (足袋井写真事務所)
中本尋之 / FATHOMによる、広島・東広島市の「金光酒造 蔵元販売所」。 隣接の登録有形文化財である酒蔵の水平ラインを意識し踏襲しつつ、一部を隆起させたラインが特徴的な外観 photo©足袋井竜也 (足袋井写真事務所)
中本尋之 / FATHOMによる、広島・東広島市の「金光酒造 蔵元販売所」。 隣接の登録有形文化財である酒蔵の水平ラインを意識し踏襲しつつ、一部を隆起させたラインが特徴的な外観 photo©足袋井竜也 (足袋井写真事務所)

中本尋之 / FATHOMが設計した、広島・東広島市の「金光酒造 蔵元販売所」です。
隣接の登録有形文化財である酒蔵の水平ラインを意識し踏襲しつつ、一部を隆起させたラインが特徴的な外観となっています。店舗の公式サイトはこちら

広島県東広島市黒瀬町にある創業明治13年から続く金光酒造の直売所の改修工事。

国道沿いから見える登録有形文化財である酒蔵の大きな壁面を初めて見たときに酒造りの歴史が積み重なった地層を見ているように感じた。

建築家によるテキストより

焼杉の羽目板貼りに漆喰と街の特徴の一つである赤煉瓦の屋根。
三つの素材が重なっていくことでその境界に現れる二本の線。伝統を長い間守り積み重ねることで生まれた美しい水平ライン。隣接する直売所は酒蔵から続く水平ラインを意識しつつ、一部分が有機的に隆起する新しいラインを作り上げた。

建築家によるテキストより

既存建物の少し飛び出ていた庇部分を下方向によりボリュームを持たせラインを作っている。日本酒は神のために造られ始めたといわれている事から、神社や仏閣を連想させるように漆喰で仕上げた。この空間内に接する起点であるエントランスの部分のラインを隆起させる事で、これから直売所に訪れるすべての人々が蔵の伝統や歴史に新たな1ページを加える起点になるようにと思いを込めた。

建築家によるテキストより
t e c oと小坂森中建築による、千葉・八街市の、高齢者福祉施設と地域交流スペース「なっつらぼ」と論考「健康へ向かう建築の5原則」。個室グリッドを展開しつつ土間広場や高窓などで余白の気積を生むことにより“現代における健康へ向かう建築”を構想
t e c oと小坂森中建築による、千葉・八街市の、高齢者福祉施設と地域交流スペース「なっつらぼ」と論考「健康へ向かう建築の5原則」。個室グリッドを展開しつつ土間広場や高窓などで余白の気積を生むことにより“現代における健康へ向かう建築”を構想 photo©森中康彰
t e c oと小坂森中建築による、千葉・八街市の、高齢者福祉施設と地域交流スペース「なっつらぼ」と論考「健康へ向かう建築の5原則」。個室グリッドを展開しつつ土間広場や高窓などで余白の気積を生むことにより“現代における健康へ向かう建築”を構想 photo©森中康彰
t e c oと小坂森中建築による、千葉・八街市の、高齢者福祉施設と地域交流スペース「なっつらぼ」と論考「健康へ向かう建築の5原則」。個室グリッドを展開しつつ土間広場や高窓などで余白の気積を生むことにより“現代における健康へ向かう建築”を構想 photo©森中康彰

金野千恵 / t e c o小坂怜+森中康彰 / 小坂森中建築が設計した、千葉・八街市の、高齢者福祉施設と地域交流スペース「なっつらぼ」と論考「健康へ向かう建築の5原則」です。個室グリッドを展開しつつ土間広場や高窓などで余白の気積を生むことにより“現代における健康へ向かう建築”を構想しています。

今、集まることへの不安は街の風景や建築に空洞化を生み、ITのようなスピードで対応できない実空間は暮らしの変化から置き去りになっている。これからの都市空間や建築は、いかに不安を取り除き健康な暮らしを志向することができるのか。

建築家によるテキストより

「健康」という概念は時代や環境によって変化するものであり、WHO憲章の前文においても、肉体的な観点のみならず精神的、社会的に満たされた状態とされている。健康と空間の関係に着目した中でも、19世紀、感染症や飢餓の広がる社会において医療の環境改革を図った看護師ナイチンゲールは、『住居の健康』を5つの基本的な要点「清浄な空気、清浄な水、効果的な排水、清潔、陽光」として論じた。上下水道の整備も不十分な時代の切実さが感じられると同時に、今、私たちの生きる環境を問う視点とも捉えられる。ここでは、この要点を踏まえながら精神的、社会的な視点を加え、現代における健康へ向かう建築の5原則『1陽光、2清浄な空気、3他者の余地、4律動、5調整のスキル』を提起したい。

建築家によるテキストより

千葉県八街市における高齢者福祉施設と地域交流スペースの計画。
主たる矩形ボリュームは通い・宿泊・訪問を組み合わせた小規模多機能型居宅介護の拠点であり、面積規定に則ると、少なからず平面に個室グリッドが現れる。このグリッドを積極的に建物全体に展開しながら、前面道路へ顔を出すように三角形の土間広場を設けたり、屋根中央を断面的にずらして高窓を設けることで、静的なグリッドに余白を纏う気積を生むことを考えた。まさにこれら余白の気積が、健康へ向かう建築の5原則を可能にしているのである。

建築家によるテキストより
中村竜治建築設計事務所による、東京・品川区の、多目的な使用も想定された美容室・ギャラリー「MA nature」。物とも空間とも言えない存在感の円形鏡により、サロンを目的空間と無目的空間の間ぐらいとし、他の用途が入り込む余地をつくることを意図
中村竜治建築設計事務所による、東京・品川区の、多目的な使用も想定された美容室・ギャラリー「MA nature」。物とも空間とも言えない存在感の円形鏡により、サロンを目的空間と無目的空間の間ぐらいとし、他の用途が入り込む余地をつくることを意図 photo©Ryuji Nakamura
中村竜治建築設計事務所による、東京・品川区の、多目的な使用も想定された美容室・ギャラリー「MA nature」。物とも空間とも言えない存在感の円形鏡により、サロンを目的空間と無目的空間の間ぐらいとし、他の用途が入り込む余地をつくることを意図 photo©Ryuji Nakamura
中村竜治建築設計事務所による、東京・品川区の、多目的な使用も想定された美容室・ギャラリー「MA nature」。物とも空間とも言えない存在感の円形鏡により、サロンを目的空間と無目的空間の間ぐらいとし、他の用途が入り込む余地をつくることを意図 photo©Ryuji Nakamura
中村竜治建築設計事務所による、東京・品川区の、多目的な使用も想定された美容室・ギャラリー「MA nature」。物とも空間とも言えない存在感の円形鏡により、サロンを目的空間と無目的空間の間ぐらいとし、他の用途が入り込む余地をつくることを意図 photo©Ryuji Nakamura

中村竜治建築設計事務所が設計した、東京・品川区の、多目的な使用も想定された美容室・ギャラリー「MA nature(マー・ネイチャー)」。物とも空間とも言えない存在感の円形鏡により、サロンを目的空間と無目的空間の間ぐらいとし、他の用途が入り込む余地をつくることが意図されました。店舗の公式サイトはこちら

美容師と音楽家夫婦のための空間である。

大森駅に近い築40年の鉄筋コンクリート造7階建の集合住宅の1階で、左右に並んだほぼ同じ形状の2つの部屋の界壁を取り払い1つの部屋にしたと思われる50m2ほどの空間を改装している。

建築家によるテキストより

道路に面し大きな開口があり、内装下地用のボンド跡が残った古びた躯体が露出した、気を使わないおおらかな場所であった。自宅の近所で1人で営業する隠れ家的な美容室から始まったプロジェクトであったが、元々オープンマインドな施主の心をその場所性が刺激し、もう1人の音楽家の施主も巻き込みながら、美容室という固定化されたイメージから少し離れ、展示やイベントなどにも使える多目的で開かれた場所へと目標が徐々に変化していった。

建築家によるテキストより

躯体が露出した状態をほぼそのままに、水周り(トイレ、シャンプー台、消毒室)を集約的に配置後、残りの空間(4.3×5.2m)の中央に、カットスペースと待合スペースの間仕切を兼ねた円形(直径2.4m)の鏡を床と天井の間にちょうど挟まるように設置している。

鏡は身長を超えるサイズまで大きくなり、物から空間に近づきながらも、円形であることがそれに歯止めをかけ、どちらともつかない宙吊りの状態となる。

それによりサロンという目的空間と無目的空間の間ぐらい空間となり、他の用途が入り込む余地をつくる。

建築家によるテキストより
最も注目を集めたトピックス [期間:2021/8/30-9/5]
最も注目を集めたトピックス [期間:2021/8/30-9/5]

アーキテクチャーフォトで、先週(期間:2021/8/30-9/5)注目を集めたトピックスをまとめてご紹介します。リアルタイムでの一週間の集計は、トップページの「Weekly Top Topics」よりご覧いただけます。


  1. ファラによる、ポルトガル・ポルトの、住宅「house along a wall」。リビングとその他の空間を波打つような白い面で区切り、床の三角形のテラゾパターンとキッチンカウンター、3枚のドア、円形開口部によって空間を定義
  2. 烏野良子 / 烏野建築設計室による、滋賀の住宅「湖東の家」
  3. 田邉雄之建築設計事務所による、神奈川・鎌倉市の店舗「コケーシカ / 憩写真館」。中村好文が設計した築約20年の建物の一階を改装し既存店舗に写真館機能を追加
  4. 元木大輔 / DDAAによる、東京の、宿泊施設の部屋のインテリア「BnA_WALL Room 403 | 405 Framed Function」。宿泊費の一部が作家に還元されるプロジェクトに、デザイナーとして機能が“作品のように”振る舞う部屋を考案
  5. 烏野良子 / 烏野建築設計室による、京都市の住宅「スキップ町家」。市内の鰻の寝床狭小敷地で、街並みへの調和と居住性の為の容量確保の両立を志向
  6. トラフ建築設計事務所による、東京・清澄白河の、既存倉庫を改修した自転車ブランド“tokyobike”の旗艦店「TOKYOBIKE TOKYO」。複数店舗が入居し、自転車ファンだけでない様々な目的を持った人々を受けいれる“解放された大階段”をもった空間を設計
  7. 川嶋洋平建築設計事務所による、宮城の店舗「JINS 仙台泉店」。ロードサイド風景に馴染みつつ埋没しない事を意識し、構造計画と雁行するガラス面によって透過と反射がファサードに複雑な表情を生む建築を構想
  8. 小野直紀+山本侑樹 / YOYによる、BAO BAO ISSEY MIYAKEのウィンドウディスプレイ用什器「MASS II」。コンクリートのテクスチャーを印刷したポリエステルメッシュでアクリルボックスを覆うことにより認知的不協和の実体化を意図
  9. MVRDVらによる、スリランカ・コロンボのオフィスビル「Veranda Offices」。日本大使館も入居する、伝統織物のパターンを参照した外観と未来の生活様式に対応できる将来性と柔軟性をもった建築
  10. クリスト&ガンテンバインの設計で、チューリッヒに、チョコレート会社の博物館「リンツ・ホーム・オブ・チョコレート」が完成。建築を特徴づける高さ15mのアトリウムは古典的で秩序を感じさせる空間
  11. 宇野友明による、愛知・名古屋市の「徳川町のゲストハウス」。住宅規模では使うことのない木材のヴォリュームに寸法を与え、遠い未来に最も美しく輝く建築を構想
  12. 原田圭 / DO.DO.が会場構成を手掛けた、世田谷文学館での「イラストレーター安西水丸展」。作家の制作方法から参照された“工作のように空間を構成する”方法を用い、空間と作品の調和が生まれることを意図。
  13. 黒木大亮 / lyhtyによる、兵庫の住宅「赤穂の家(モルタルの家)」
  14. OMA / デイヴィッド・ジャーノッテンによる、オランダ・アムステルダムの、オフィスビル「Apollolaan 171」。20世紀初頭のベルラーヘの歴史的建築物が建つ地域に、ガラスとレンガを外観に使用し透明性と触覚性を備えた建築を構想
  15. UID前田圭介・原浩二・山澤達義が審査する中国電力主催の建築アワードが、新築住宅部門・リフォーム住宅部門・学生部門の応募作品を募集中。賞金総額は約160万円
  16. 藤本壮介による、ハンガリー・ブダペストの音楽施設「ハンガリー音楽の家(House of Hungarian Music)」が竣工間近。音の振動を視覚的に表現した波から着想を得た浮屋根が公園の森の中に浮かぶ
  17. 隈研吾による、中国・北京の、エルメス傘下ブランドのシャンシアの店舗「Shangxia New Beijing Store」の写真
  18. 三井嶺建築設計事務所による、神奈川・逗子市の住宅「逗子の家『森の図書館』」
  19. 二俣公一 / ケース・リアルによる、佐賀・嬉野市の、登録有形文化財の蔵を改修したカフェ&ラボ「MILKBREW COFFEE」。内外の既存状態を生かしながら必要機能を加えることで、新旧が統合されたハイブリッドな空間を意図
  20. 西沢大良・乾久美子・藤村龍至による、2020年7月に収録された鼎談「ウイルス・都市・住宅──変革の今、建築と人がもつべき想像力」

西沢大良・乾久美子・藤村龍至による、2020年7月に収録された鼎談「ウイルス・都市・住宅──変革の今、建築と人がもつべき想像力」

西沢大良乾久美子藤村龍至による、2020年7月に収録された鼎談「ウイルス・都市・住宅──変革の今、建築と人がもつべき想像力」がLIXILのウェブサイトに掲載されています。

アトリエ・ワンの塚本由晴と貝島桃代が2021年7月に行った、ロンドンの王立芸術院主催の講演会の動画

アトリエ・ワンの塚本由晴と貝島桃代が2021年7月2日にオンラインで行った、ロンドンの王立芸術院主催の講演会の動画です。イベントの公式ページはこちら

In the lecture, which is titled Architectural Behaviorology, the architects discussed the architectural impact of the Olympic Games in Tokyo in 1964 and 2021 and how it has affected their own practice.

The duo explained their approach to architecture –how they try to create a continuous loop between research, teaching and their own design work – before discussing how they have increasingly shifted their attention to rural areas of Japan.

Projects featured in the talk include Atelier Bow-wow’s work over a number of years in Momonoura, a small fishing village that was devastated by the Tsunami in 2011.

Tsukamoto presented projects including the studio’s Tanada Terrace Office pavilion, a concept for a rural office that Atelier Bow-Wow built with Muji in an area of Japanese farmland dominated by terraced rice fields.

【ap job更新】 保育園・高齢者向け施設を手掛ける、東証一部上場学研グループの「株式会社シスケア」が、建築意匠設計スタッフ・省エネ計算業務スタッフを募集中
【ap job更新】 保育園・高齢者向け施設を手掛ける、東証一部上場学研グループの「株式会社シスケア」が、建築意匠設計スタッフ・省エネ計算業務スタッフを募集中
【ap job更新】 保育園・高齢者向け施設を手掛ける、東証一部上場学研グループの「株式会社シスケア」が、建築意匠設計スタッフ・省エネ計算業務スタッフを募集中大型案件、複合用途 / cocofump 静岡南八幡_北側外観【2021.07竣工】

保育園・高齢者向け施設を手掛ける、東証一部上場学研グループの「株式会社シスケア」の、建築意匠設計スタッフ・省エネ計算業務スタッフ募集のお知らせです。詳しくは、ジョブボードの当該ページにてご確認ください。アーキテクチャーフォトジョブボードには、その他にも、色々な事務所の求人情報が掲載されています。
新規の求人の投稿はこちらからお気軽にお問い合わせください

東証一部上場学研グループの株式会社シスケアでスタッフを募集しています。

■シスケアについて
1986年に創業した、一級建築士事務所です。2000年に日本では介護保険法が成立し、高齢化社会への対応を求められる時代に突入しました。2009年に弊社が開発した高齢者住宅のシステムが国土交通省『第1回 高齢者居住安定化モデル事業』にシステム選定され、高齢者住宅の開発、設計に特化する設計事務所としてスタイルを変化させてきました。

2014年に多くのサービス付き高齢者住宅・保育園を運営する学研ココファングループに参画し、現在は設計をはじめ土地開発から施設開業コンサルティング業務、BELS申請の他、建築環境評価や補助金申請代行業務と依頼主を様々なニーズからトータルでサポートしています。

そこに住む方や関わるすべての人に誇りある人生の背景を提供できるよう、これまで培ってきたスキルとノウハウを活かし、取り組みを進めています。

すべてのスタッフがワンフロアで顔を合わせ仲間を尊敬、尊重し、提案し、お互いの成長を願い、認めあう組織であることが私たちの強みです。

提供する建築やサービスを通してすべての人に幸せになってほしいという裏方としての私たちの想いに共感し、ホスピタリティを追求し、また、設計の仕事を長く続けたいと考える仲間を募集しております。

烏野良子 / 烏野建築設計室による、京都市の住宅「スキップ町家」。市内の鰻の寝床狭小敷地で、街並みへの調和と居住性の為の容量確保の両立を志向
烏野良子 / 烏野建築設計室による、京都市の住宅「スキップ町家」。市内の鰻の寝床狭小敷地で、街並みへの調和と居住性の為の容量確保の両立を志向 photo©笹の倉舎 / 笹倉洋平 
烏野良子 / 烏野建築設計室による、京都市の住宅「スキップ町家」。市内の鰻の寝床狭小敷地で、街並みへの調和と居住性の為の容量確保の両立を志向 photo©笹の倉舎 / 笹倉洋平 
烏野良子 / 烏野建築設計室による、京都市の住宅「スキップ町家」。市内の鰻の寝床狭小敷地で、街並みへの調和と居住性の為の容量確保の両立を志向 photo©笹の倉舎 / 笹倉洋平 

烏野良子 / 烏野建築設計室が設計した、京都市の住宅「スキップ町家」です。京都市内の鰻の寝床狭小敷地にて、街並みへの調和と居住性の為の容量確保の両立が志向されました。

界隈は商業地区のはずれのお寺の点在する地域。大通りから少し入った建てこんだ住宅街で、落ち着いた雰囲気だった。敷地は間口4.9m、奥行10.5mで北側にコブ付、南側接道。

京都市内はうなぎの寝床で有名なように、間口が狭く、奥行の長い土地が多くある。
狭い間口に居住性を確保するため、目一杯建物を広げると、両サイドからの採光は難しくなる。旧来であれば坪庭をとるところかもしれないが、現実は旧来の敷地をさらに小分けし、狭小敷地になっているため、敷地内に坪庭を確保すると建築面積が不足する。

建築家によるテキストより

間口2間半、奥行5間、建坪12.5坪をいかに広く使うか、
空地や余地を共有して成立している市街地のワンピースとしていかに縫い込んでいくか、
が課題だった。

建築家によるテキストより

形態は既存の街並みに合わせ、道路側の軒高は低く抑え、長い奥行きを利用して奥に向かって容量を増やす形状とすることで、道路を歩いた時の建物からの圧迫感を抑えながら容量を確保した。

南北短辺側からのみの採光では窓から遠い一階の中央部分に光が届きにくい。二階の床を割り、容量の大きくなっている北側の床レベルを半階上げることで、明るい二階の光を一階まで届けるようにした。スキップフロアにすることで、廊下と階段を兼ねることができ、動線に使う面積が少なくて済む。階段の吹き抜けを通して建物全体をほぼワンルームにし、個室は必要な時に区切るよう建具をつけた。階段は蹴込のない形状とし、階段の吹きぬけを通して、下階から風がぬけていく。

建築家によるテキストより
MVRDVらによる、スリランカ・コロンボのオフィスビル「Veranda Offices」。日本大使館も入居する、伝統織物のパターンを参照した外観と未来の生活様式に対応できる将来性と柔軟性をもった建築
MVRDVらによる、スリランカ・コロンボのオフィスビル「Veranda Offices」。日本大使館も入居する、伝統織物のパターンを参照した外観と未来の生活様式に対応できる将来性と柔軟性をもった建築 photo©Ramitha Watareka
MVRDVらによる、スリランカ・コロンボのオフィスビル「Veranda Offices」。日本大使館も入居する、伝統織物のパターンを参照した外観と未来の生活様式に対応できる将来性と柔軟性をもった建築 photo©Ramitha Watareka
MVRDVらによる、スリランカ・コロンボのオフィスビル「Veranda Offices」。日本大使館も入居する、伝統織物のパターンを参照した外観と未来の生活様式に対応できる将来性と柔軟性をもった建築 photo©Ramitha Watareka

MVRDVPWA・アーキテクツ(PWA Architects)ACS・インテグレーテッド・アーキテクツ(ACS Integrated Architects)が設計した、スリランカ・コロンボのオフィスビル「Veranda Offices」です。日本大使館も入居する、伝統織物のパターンを参照した外観と未来の生活様式に対応できるよう将来性と柔軟性をもった建築です。

こちらは建築家によるテキストの翻訳

MVRDVとパートナー企業が、スリランカ・コロンボにノルウェー大使館と日本大使館が入居する「ベランダ・オフィス(Veranda Offices)」を竣工

MVRDVは、PWA・アーキテクツ、ACS・インテグレーテッド・アーキテクツと共同で、スリランカのコロンボに「ベランダ・オフィス」を完成させました。このプロジェクトは、スリランカの歴史的な文化と現代的なオフィスのニーズを融合させた、過去と未来を見据えたデザインとなっており、急速な変化を遂げている都市に敏感に対応しています。このプロジェクトの質の高さを示すように、「ベランダ・オフィス」には現在2つの大使館が入居しており、スリランカのノルウェー大使館には恒久的な住居を、日本大使館には一時的なスペースを提供しています。

床面積12,000m2、8階建てのこのビルは、周囲の低層ビルに比べて突出していますが、既存の都市構造と近隣に建設されている大型の超高層ビルとの中間的なスケールを提供しています1階部分には店舗が入り、周囲のランドスケープと相まって、通りのネットワークに組み込まれ、歩きやすく持続可能な地域を支えています。建物は南側の通りからセットバックしており、緑地や彫刻を設置した小さな広場を、他の建物が密集している地域に作っています。

このデザインは、スリランカのオフィスに対する現在の期待に応えるために、様々な戦略を用いています。一方で、近い将来、より持続可能な生活様式に適応できるよう、将来性と柔軟性を維持しています。例えば、建物は閉じていても完全に空調されていますが、建物の名前の由来となった開閉可能なパノラマウィンドウや各階のベランダから自然に換気することもできます。同様に、1階と2階は駐車場になっていますが、上階のオフィスと同じように高い天井と広いファサード開口部が与えられており、コロンボがより歩きやすく、車中心でなくなってきたときに、オフィスに変更することができます。

各階を最大4つの異なるテナントに貸すことができますが、すべてのオフィスはベランダの屋外スペースにアクセスでき、サーキュレーションコアに直接アクセスできます。これにより、将来の使用者や用途の変化に容易に対応でき、建物の寿命を延ばすことができます。
ファサードのデザインは、スリランカの伝統的な織物のパターンからインスピレーションを得ています。このパターンは、ベランダ、パノラマウィンドウ、無垢の塗り壁を交互に配置することで、1階のパブリックスペースから、ファサードを構成するベランダ、屋上の彫刻庭園まで、ビル全体に一連の屋外スペースを形成しています。

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