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MVRDVが計画している、中国・上海の、農業技術会社の研究開発本部「LAD HQ」。棚田を参照した形状のヴォリュームを緑化し技術を盛り込んだ屋根を掛けることでサステナブルかつ企業のミッションを伝える建築を構想
MVRDVが計画している、中国・上海の、農業技術会社の研究開発本部「LAD HQ」。棚田を参照した形状のヴォリュームを緑化し技術を盛り込んだ屋根を掛けることでサステナブルかつ企業のミッションを伝える建築を構想 image©MVRDV
MVRDVが計画している、中国・上海の、農業技術会社の研究開発本部「LAD HQ」。棚田を参照した形状のヴォリュームを緑化し技術を盛り込んだ屋根を掛けることでサステナブルかつ企業のミッションを伝える建築を構想 image©MVRDV
MVRDVが計画している、中国・上海の、農業技術会社の研究開発本部「LAD HQ」。棚田を参照した形状のヴォリュームを緑化し技術を盛り込んだ屋根を掛けることでサステナブルかつ企業のミッションを伝える建築を構想 image©MVRDV

MVRDVが計画している、中国・上海の、農業技術会社の研究開発本部「LAD HQ」です。棚田を参照した形状のヴォリュームを緑化し技術を盛り込んだ屋根を掛けることでサステナブルかつ企業のミッションを伝える建築を構想しています。

こちらは建築家によるテキストの翻訳

「サステナビリティ・マシーン」MVRDVが農業技術会社Lankuaikeiの上海の研究開発本部を設計

MVRDVは、上海にあるLankuaikei Agriculture Development (LAD) の本部のデザインを公開しました。この建物は、11階建てのテラス式オフィスビルで、ハイテクとローテクの両方のサステナビリティ戦略を、テクノロジカルな急勾配の屋根の下に集約し、農業技術会社のショーケースとしています。臨港新城の中心にある湖の近くに位置するこのビルは、急速に発展する上海の都市部にある農業のオアシスであり、中国で最もグリーンでスマートなサステナブルビルの一つとして構想されています。

上空から見ると長方形の建物ですが、北側の中庭と歩行者用メインエントランスに向かって段々と降りていくテラスによって、印象的な曲線を描いています。テラスは木で覆われ、緑に覆われています。また、建物の最上部には一般の人がアクセスできるルートがあり、LADの作品や研究を紹介するスペースが設けられています。テラスの形状に沿った曲線の屋根構造が全体を覆っています。この構造は、建物の南側ではソーラーパネルを支え、北側では透過性があり、太陽の光を遮断する一方で、雨は下のテラスに届くようになっています。外壁のファサードは、ソーラーパネルとガラスがひだ状に配置されており、夏の強い日差しから室内を守り、冬の日差しを室内に取り込むように角度がつけられています。また、南側の壁は、外の幹線道路の騒音からオフィスワーカーを守る役割を果たしています。

このビルは「サステナビリティ・マシーン」として考えられており、ハイテクやローテクを駆使して、間接的にも直接的にもさまざまな課題に立ち向かっています。素材の選定とライフサイクル分析により、一般的な同種の建築物と比べて40%の環境負荷低減を実現しています。また、屋根構造とテラスにより、効率的な自然換気を実現しています。この換気と遮光対策により、必要なエネルギーを削減しています。設計に組み込まれたソーラーパネルのおかげで、この建物は運用時にはほぼエネルギーニュートラルになります。

テラスは雨水を集めてトイレなどに利用するほか、最上階まで続く緑のおかげで生物多様性や健康的な職場環境を提供しています。さらに、LADのミッションを促進する役割と、そのビジョンを実現するための展示スペースにより、公共教育や農業生産にも間接的に貢献しています。

MVRDVの設立パートナーであるジェイコブ・ヴァン・リースは言います。
「LADとの仕事はエキサイティングな経験でした。この本社ビルは、企業のミッションと完璧に一致した建築を示しています。」
「建物のあらゆる面にサステナビリティを取り入れることは、建築家にとって興味深い挑戦です。このアプローチは地球に優しいだけでなく、オフィスの利用者にも喜ばれることでしょう。テラスが提供する快適な作業環境を楽しむことができます。」

LAD社の董偉華社長は述べます。
「MVRDVのミッションは、都市や景観を持続可能で未来につながるものにすることです。LADのミッションとビジョンは、LADの知識で中国の農村の活性化と食の安全に力を与え、自然の神秘を探求し、科学技術で人々の健康を守ることです。今回の協力プロジェクトでは、両社のミッションを組み合わせた 『農業のオアシス』が実現することを期待しています。」

建物は、北に湖、南に公園を望む上層階に6,000m2のLAD本社のオフィス、下層階に9,000m2のラボと共同オフィスがあります。
下部には9,000m2の研究室と共同作業室があります。1階と2階には、調整可能なオーディトリアムと展示スペースが設けられ、1階には周辺に小さな小売店があり、中庭のパブリックエントランス、レンタルオフィスとLAD本社の独立したエントランスの3つの入口が「エキシビション・ストリート」で結ばれています。地下2階には食堂と駐車場がありますが、地下にも光と空気と緑を取り込むための空洞がいくつも設けられており、「農業のオアシス」というコンセプトが貫かれています。

岡田一樹 / R.E.A.D. & Architectsによる、神奈川・川崎市の住宅「HAUS_M」
岡田一樹 / R.E.A.D. & Architectsによる、神奈川・川崎市の住宅「HAUS_M」 photo©Nao Takahashi
岡田一樹 / R.E.A.D. & Architectsによる、神奈川・川崎市の住宅「HAUS_M」 photo©Nao Takahashi

岡田一樹 / R.E.A.D. & Architectsが設計した、神奈川・川崎市の住宅「HAUS_M」です。

住宅の設計において、最も重要なことは、光・風・眺望という3つの要素を住空間に取り込むことである。
しかし、住宅が密集する現代の住宅街においては、開放性の獲得とプライバシーの確保の両立は難しい。また現代の都市住宅においては、住空間の中に仕事場や収納など多くの機能が求められるようになったため、各機能を配置しながら快適な住空間を構築することも重要である。

建築家によるテキストより

敷地は、坂道の多い川崎市の住宅街の中にある。両隣に民家が立ち並び、北側には桜の巨木が印象的な公園が、南側には立派なクスノキが植えられた日本風の庭園が残されていた。2人の子供がいる30代夫婦のクライアントからは、シンプルで機能的な空間、天井が高く開放的な空間、職住一体のワンルーム空間、プライバシーの保たれた空間が求められた。
私は、既存の環境を手掛かりに、プライバシーを保ちつつ、豊かな緑に囲まれた開放的な職住一体の空間形式をどのように構築するかを考えることから設計を始めた。

建築家によるテキストより

まず、公園と庭園という緑の環境を住空間に取り込むため、南北に2つの吹抜け空間を設け、1階をリビング・ダイニングとし、それぞれをモルタル床の土間空間で繋いだ。リビングは天高5mの開放空間で、家族全員が座れる造作ソファから北側の公園の桜の巨木が望める。
ダイニング空間の両脇には、南側の庭が望める仕事部屋とキッチンを設け、グレーチングや家具で空間を緩やかに分けた。

建築家によるテキストより
静岡・伊東市の新図書館設計プロポで、高野洋平+森田祥子 / MARU。architectureが特定事業者に選定。提案書も公開
静岡・伊東市の新図書館設計プロポで、高野洋平+森田祥子 / MARU。architectureが特定事業者に選定。提案書も公開※プロポーザル段階での提案イメージです。 photo courtesy of MARU。architecture
静岡・伊東市の新図書館設計プロポで、高野洋平+森田祥子 / MARU。architectureが特定事業者に選定。提案書も公開※プロポーザル段階での提案イメージです。 photo courtesy of MARU。architecture

静岡・伊東市の新図書館設計プロポーザルで、高野洋平+森田祥子 / MARU。architectureが特定事業者に選定されています。次点者は山下設計でした。

令和3年6月28日(月曜日)、第2次技術提案審査対象の5事業者によるプレゼンテーション及びヒアリングを実施しました。

伊東市新図書館基本計画、基本設計及び実施設計等事業者選定委員会における審査の結果、以下のとおり特定事業者及び次点者を決定しました。

最終審査(第2次技術提案審査)の結果について

○特定事業者:有限会社マル・アーキテクチャ東京事務所
○次点者:株式会社山下設計

高野洋平+森田祥子 / MARU。architectureによる提案書と審査講評はこちら
※提案書は現段階での構想を示すものです

その他の画像は以下に掲載します。

黒崎敏 / APOLLO Architects & Associatesによる、沖縄・国頭郡のセカンドハウス「INFINITY」
黒崎敏 / APOLLO Architects & Associatesによる、沖縄・国頭郡のセカンドハウス「INFINITY」 photo©西川公朗
黒崎敏 / APOLLO Architects & Associatesによる、沖縄・国頭郡のセカンドハウス「INFINITY」 photo©西川公朗
黒崎敏 / APOLLO Architects & Associatesによる、沖縄・国頭郡のセカンドハウス「INFINITY」 photo©西川公朗

黒崎敏 / APOLLO Architects & Associatesが設計した、沖縄・国頭郡のセカンドハウス「INFINITY」です。

普段は北海道で暮らすクライアントが週末やバケーションを過ごすセカンドハウスがあるのは、沖縄の北部にある「GUSHIKU MUI」というマウンテンエリア。丘の上からは目前に広がる広大な海の景色と、背面にそびえる雄大な山の空気感を存分に楽しむことができる。

建築家によるテキストより

1階玄関から入ると大きなエントランスガーデンが待ち構え、中央に設えたキッチンからは特等席として落ち着いた中庭の緑の景色を堪能できる。敷地幅をフル活用して設えたLDKの端部には、屋外の絶景を楽しめるジャグジーバスルームを設け、庇月のリビングテラスとその先に設えたインフィニティープールを介して海や森などの自然と繋がる環境を演出している。

建築家によるテキストより

世界中でリモートワークが常態化し、ワーク&ライフスタイルが劇的に変化する中、都市とリゾートの二拠点を持ち、季節や気分によって生活のバリエーションを複数選択できるマルチハビテーションの考え方は、洋の東西を問わずこれからのライフスタイルのスタンダードになると確信している。

これからの住宅は単一の要素ではなく、オフィスにもホテルにもゲストハウスにもギャラリーにもなるマルチパーパスな役割が求められるだろう。それは長らく続いてきた単一用途の「プライベートハウス」の終焉を意味し、多用途を兼ねた「パブリックハウス」として新しい可能性を示唆していると言えよう。

建築家によるテキストより
【ap job更新】 東京とドバイを拠点とする建築設計事務所「waiwai」が、東京事務所の業務拡張に伴い 設計フルタイムスタッフを募集中
【ap job更新】 東京とドバイを拠点とする建築設計事務所「waiwai」が、東京事務所の業務拡張に伴い 設計フルタイムスタッフを募集中
【ap job更新】 東京とドバイを拠点とする建築設計事務所「waiwai」が、東京事務所の業務拡張に伴い 設計フルタイムスタッフを募集中AOMORI HOME/特別養護老人ホーム桜木園

東京とドバイを拠点とする建築設計事務所「waiwai」の、東京事務所の業務拡張に伴う 設計フルタイムスタッフ募集のお知らせです。詳しくは、ジョブボードの当該ページにてご確認ください。アーキテクチャーフォトジョブボードには、その他にも、色々な事務所の求人情報が掲載されています。
新規の求人の投稿はこちらからお気軽にお問い合わせください

このたび、東京事務所の業務拡張に伴い、設計フルタイムスタッフを募集します。

waiwaiは東京とドバイを拠点とする建築設計事務所です。
東京とドバイを拠点としながら、日本国内をはじめ、中東・アジア・アフリカの様々な国や地域における大規模都市開発等のマスタープランから小規模なインテリア・ファニチャーデザインまで幅広い設計・デザイン業務を手がけています。

現在進行中のプロジェクトに、数万㎡規模の美術館・アートギャラリーやホテル、大規模住宅地開発、数千㎡規模のホテル・ヴィラ/別荘・商業施設・福祉施設、その他レストランや保育所、アウトドア施設等々、多種多様なプロジェクトが動いています。

2019年以降、北海道で複数のプロジェクトが動き始めたことをきっかけに、waiwaiニセコ分室を設立しました。
まだまだ若い事務所ですが、比較的大規模な民間プロジェクトが複数同時に動いていることが特徴です。クライアントや協働する関係者も国内外多様な人々と日々関わっており、チームメンバー全員が前線に立ちますので、組織設計では手に入れることのできない経験が得られることと思います。

デザインの面においては、すべてのプロジェクトでそのプロジェクトが真に求めているものを様々な角度から分析し、各プロジェクト専用の、その都度全く異なったデザインを行うことを信条としています。
大きな視点で様々なプロジェクトに共に挑戦してくれる方の応募をお待ちしています。

今回の募集については、以下の2通りの募集を行います。

妹島和世による、東京・中央区の、浜離宮恩賜庭園でのパヴィリオン「水明」。歴史的庭園と現代的景観を繋ぎ新たな風景を創出
妹島和世による、東京・中央区の、浜離宮恩賜庭園でのパヴィリオン「水明」。歴史的庭園と現代的景観を繋ぎ新たな風景を創出 photo©architecturephoto
妹島和世による、東京・中央区の、浜離宮恩賜庭園でのパヴィリオン「水明」。歴史的庭園と現代的景観を繋ぎ新たな風景を創出 photo©architecturephoto
妹島和世による、東京・中央区の、浜離宮恩賜庭園でのパヴィリオン「水明」。歴史的庭園と現代的景観を繋ぎ新たな風景を創出 photo©architecturephoto

妹島和世が設計した、東京・中央区の、浜離宮恩賜庭園でのパヴィリオン「水明」です。歴史的庭園と現代的景観を繋ぎ新たな風景を訪問した人たちに感じさせる作品となっています。“パビリオン・トウキョウ2021”の一環として制作された作品です。作品の設置場所はこちら(Google Map)。開催期間は2021年9月5日(日)まで。

こちらはアーキテクチャーフォトによるレポート(特別な許可を得て芝生内で撮影しています。ご了承ください)

妹島和世が設計したパヴィリオン「水明」は、東京・中央区の、浜離宮恩賜庭園内・延遼館跡につくられた。
施設にて配られている資料によれば、浜離宮は江戸時代には、江戸城の出城としての機能を果たしていた徳川将軍家の庭園であった。明治維新後は皇室の離宮となり浜離宮と名付けられた。関東大震災や戦災により建造物や樹木は損傷したが、東京都に下賜され整備の後1946年に浜離宮恩賜庭園として公開された。そのような歴史を持った場所である。

また浜離宮は、東京の海辺に位置し、築地川・汐留川・東京湾に囲まれている。加えて、庭園内に海水を引き入れた「潮入の池」と呼ばれる池があるのも特徴的だ。その他にも内堀や二つの鴨場(かつて鴨猟が行われていた場所)があったり、小さな小川が流れていたりする。このように様々な形の水辺が特徴的な場所である。

妹島のパヴィリオンは、浜離宮の大手門から入ってすぐの場所に位置している。ここは浜離宮内の最も北側部分にあり、見え上げると高層ビル群が間近に目に入る場所でもある。古くから続いている庭園と同時に現代的な高層ビルが目に入るという特徴をもった場所だと言える。
そして、妹島はこの場所を「歴史と現代という東京のふたつの側面にふれることができる場所だ」と表現する。その言葉は、このパヴィリオンを体験する大きなヒントになりえると思えた。

実際の作品を経験して感じたのは、この敷地の環境や歴史に対し絶妙な関係性をもってこの作品が完成しているということだ。また、この作品に、みる人たちが思い思いの感情をそこに重ねられる作品になっているということである。

まず印象的だったのは、その作品の長さ。幅80cmの水面が約111m続いているのだという。この作品の水平に展開する様子は、周囲にたつ高層ビル群の垂直に伸びる様子と対比させる意図でデザインされているように感じた。垂直のビル群を背景として、作品が水平に伸びやかに広がっているように感させてくれる。そして168m続く水面の平面形状は幾何学が特徴的だ。それはこの庭園の植栽の中にあっては明らかに人工物として作品としての明確な存在感を示しているが、無機質な人工物という視点では周囲のビル群とは呼応しているようにも感じられる。また無機質ではあるのだが、水面を支える素材の鏡面仕様は、周囲の植栽や景観を映し出し、その場所に溶け込むかのような効果を持っているように見える。
このように作品のそれぞれの要素が周辺環境に対し対比的であったり調和的であったりしていて、強いコントラストをつくりだしたり、完全に調和するようなデザインの、どちらも巧妙に避けているように感じられた。それによって何が生まれているのか。

そのようなデザイン操作によって生み出された「水明」という作品は、この場所における“歴史的な庭園”と“現代的なビル”との間に関係性をつくり、今までは対比的な存在であった両者をつなぐ役割を果たし、この場所の風景として一体として感じさせる装置のような役割を果たしていると感じた。歴史的庭園と現代的景観を繋ぎ新たな風景が創出されているのだ。

最後になるが、作品の出発点となるコンセプトが「曲水(平安時代の庭園にあった水路)」であったことは、浜離宮恩賜庭園が多様な水辺をもつ場所であったことによるのは言うまでもない。それはこの作品が景観だけでなく、日本固有の歴史とも接続していることを意味している。

筆者は、この場所の固有性に妹島がどう向き合ったのかという視点で感じたところを書き綴ってきたが、同時に作品の視覚的な美しさや、妹島作品らしさということ等にも思いがめぐらされた。それは、この場所にパヴィリオンをつくるという課題に対し様々な視点や意味が、思考され、検討され、重ねられ、ひとつの形に到達しているからに他ならない。

ある人はこの作品に美しさを強く感じるかもしれない。ある人は妹島建築の進化に感銘を受けるかもしれない。また筆者と同じように場所性の読み解き方に驚嘆する人もいるだろう。「水明」はそんな多様な解釈を誘発する作品であることは間違いない。そして建築や芸術の世界の歴史を振り返っても評価を得続けている作品にはそんな様々な評価を想起させる力を持ったものが多い。
本作品は、実際に体験した喜びや驚きを与えてくれると同時に、デザインへの取り組み方への知的な学びも与えてくれる作品である。

トラフ建築設計事務所の会場構成による「KUMA EXHIBITION」。無観客で展示会場をデジタルスキャンしたオンライン展示会の開催を前提として設計
トラフ建築設計事務所の会場構成による「KUMA EXHIBITION」。無観客で展示会場をデジタルスキャンしたオンライン展示会の開催を前提として設計 photo©大木大輔
トラフ建築設計事務所の会場構成による「KUMA EXHIBITION」。無観客で展示会場をデジタルスキャンしたオンライン展示会の開催を前提として設計 photo©大木大輔
トラフ建築設計事務所の会場構成による「KUMA EXHIBITION」。無観客で展示会場をデジタルスキャンしたオンライン展示会の開催を前提として設計 photo©大木大輔

トラフ建築設計事務所の会場構成による「KUMA EXHIBITION」。無観客で展示会場をデジタルスキャンしたオンライン展示会の開催を前提として設計されました。会期は終了しています。主催したクマ財団のサイトはこちら。また会場は先日アーキテクチャーフォトでもレポートした、トラフ設計で竣工した「TOKYOBIKE TOKYO」の建物でした。

学生クリエイターの活動を支援するクマ財団のプログラムの一貫で行われる『KUMA EXHIBITION』。

建築家によるテキストより

昨年、トラフが手掛けていた青山スパイラルでの開催はCOVID-19の影響により直前で中止となり、本年度は、後TOKYOBIKE TOKYOの新店舗となる、清澄白河にある築58年の倉庫を敷地に『KUMA EXHIBITION 2021』として開催され、『New Normal, New Future』をテーマに41名の学生クリエイターたちの作品が展示された。

建築家によるテキストより

実空間はありながらも、その展示空間を丸ごとスキャンし、デジタル空間に展示会場を完全再現したオンライン展示会となっており、無観客展示という特殊な条件から、撮影してアーカイブされることを前提に新たな展示方法を試みた。通常は順路に従って通路幅をとりながら配置されるべき作品が、あえて距離を近づけて配置され、人の目線で見やすい高さにあるべき作品が天井高を活かして空中に浮遊している。

建築家によるテキストより
中本尋之 / FATHOMによる、広島市のヘアーサロン「neute by maitre」
中本尋之 / FATHOMによる、広島市のヘアーサロン「neute by maitre」 photo©足袋井竜也
中本尋之 / FATHOMによる、広島市のヘアーサロン「neute by maitre」 photo©足袋井竜也
中本尋之 / FATHOMによる、広島市のヘアーサロン「neute by maitre」 photo©足袋井竜也

中本尋之 / FATHOMが設計した、広島市のヘアーサロン「neute by maitre」です。店舗の公式サイトはこちら

広島市の本通のアーケードに面したテナントビルの裏通りからエレベーターで5階に上がる。
既存店舗の解体後スケルトンの状態を初めて見た時に感じたのは地上とは全く異る景色だった。
細長い空間には長手方向に窓が両面に設けられていて、そこには他のビルの屋上部分の室外機やダクトなどのインフラ設備が一面に広がり、工場建築のような美しさが垣間見えた。地上の賑わいや華やかさと対比されて私にはこの風景がとても魅力的に感じた。一様にベージュで塗られたインフラの集合体から生まれる景色を現代都市の砂漠として捉えて、そこに生まれたオアシスのような透き通ったリキッドな空間が作れないか考えた。

建築家によるテキストより

長細い空間の中心のコア部分にサロンのメイン機能であるカットブースを設けてそれらの仕切りをブルーの透明アクリルで作ることで空間にリキッドな潤いをもたらせた。
ミラーは窓から入り込む陽の光の形が平行四辺形になっていることに着目し、大きく斜めの形にトリミングしたものを取り付けた。ブルーアクリルの水面が幾重にも重なりそこに光が差し込むように日々のサロンワークの景色がカットインされる。

建築家によるテキストより

コロナによる自粛生活の日々。ネットの発展により離れた場所同士での会議も可能となり在宅勤務の方も増え、自宅で全ての事が行われることにも疑問を抱かなくなった今、商業空間は役割も変わっていかなければならないと思う。クライアントの欲求に対するサービスがいわゆる単純に一次元的なものであれば自宅空間で体験できることが明確となった。
では商業空間の役割は何なのかと考えると”豊かさ”ではないだろうか?普段感じれない非日常感をそのひと時だけは味わえたり一つのサービスに対して深く複層的にレイヤで様々なサービスを織り込ませる事で豊かさや非日常感が得られなければ足を運んでもらえないのではと肌で感じている。

建築家によるテキストより
後藤周平建築設計事務所が改修を手掛けた、静岡・磐田市の事務所兼用住宅「Blue house/Blue office(仮)」の内覧会が開催
後藤周平建築設計事務所が改修を手掛けた、静岡・磐田市の事務所兼用住宅「Blue house/Blue office(仮)」の内覧会が開催 photo courtesy of 後藤周平建築設計事務所
後藤周平建築設計事務所が改修を手掛けた、静岡・磐田市の事務所兼用住宅「Blue house/Blue office(仮)」の内覧会が開催 photo courtesy of 後藤周平建築設計事務所
後藤周平建築設計事務所が改修を手掛けた、静岡・磐田市の事務所兼用住宅「Blue house/Blue office(仮)」の内覧会が開催 photo courtesy of 後藤周平建築設計事務所

後藤周平建築設計事務所が改修を手掛けた、静岡・磐田市の事務所兼用住宅「Blue house/Blue office(仮)」の内覧会が開催されます。開催日は2021年7月17日・18日です。

内覧会のご案内

静岡県磐田市にて設計監理しておりました鉄筋コンクリート造、事務所兼用住宅の改修工事が完成致しました。
みなさまにご覧いただける機会を設けることが出来ましたので、ご案内致します。

リリーステキストより
最も注目を集めたトピックス [期間:2021/7/5-7/11]
最も注目を集めたトピックス [期間:2021/7/5-7/11]

アーキテクチャーフォトで、先週(期間:2021/7/5-7/11)注目を集めたトピックスをまとめてご紹介します。リアルタイムでの一週間の集計は、トップページの「Weekly Top Topics」よりご覧いただけます。


  1. 小山光+KEY OPERATION INC. / ARCHITECTSによる、東京・杉並区の、アニメーション制作会社のスタジオ「MAPPAスタジオ分室」。職場環境の向上も意識しデスク素材の選定やラウンジ空間を重視
  2. 佐藤可士和による新国立美術館で行われた展覧会が3Dバーチャルツアーで閲覧可能
  3. 小堀哲夫が特定された「東海国立大学機構(東山)プラットフォーム新営」設計プロポのプレゼン動画が公開。次点者の伊東や候補者の槇・千葉・SANAAの動画も公開
  4. 石上純也による、東京・千代田区の、20世紀初頭に建てられた邸宅の庭にたつパヴィリオン「木陰雲」のレポート。敷地のもつ空間の質を、建築によって増幅
  5. トラフ建築設計事務所による、東京・清澄白河の、トーキョーバイクの旗艦店「TOKYOBIKE TOKYO」のレポート。コーヒースタンドやプランツショップも入店し売るだけでない今の時代に求められる店舗を構想
  6. OMAの研究機関AMOがデザインを手掛けた、パリの、ファッションブランドOff-Whiteの旗艦店。パリの建築要素を再解釈し店内に都市を持ち込むことを意図
  7. 五十嵐淳建築設計事務所による、北海道・札幌市の、店舗とギャラリー「gallery 22.149 / MAGAACY」
  8. 藤貴彰+藤悠子による、東京・渋谷区の、設計者の自邸兼事務所「出窓の塔居」
  9. 佐野健太建築設計事務所による、台湾・雲林県の「恵生大薬局」。台湾の薬局の商法の変化に“まちなかの公園”にインスピレーションを得た空間を提案
  10. ピーター・ズントーによる、スイス・バーゼルの、バイエラー財団美術館の増築。展示棟・サービス棟・イベント棟の3つの建物がピアノ設計の既存美術館の周囲に建設
  11. ザハ・ハディド・アーキテクツによる、上海での建築展「ZHA Close Up – Work & Research」の会場写真
  12. 石本建築事務所・石上純也JVが、神奈川の「厚木市複合施設基本設計」プロポで受注候補者に選定。提案書も公開
  13. 牛田英作+キャサリン・フィンドレイが1993年に完成させた町田の住宅「TRUSS WALL HOUSE」が約6千万円で販売中
  14. 妹島和世と西沢立衛が参加して、長谷川祐子が聞き手を務め2021年6月に行われたトークセッション「建築の未来支度」の動画
  15. 高橋勝建築設計事務所による、山口・下松市の、介護福祉施設「ほしのさとday service center」と保育園「HUG GARDEN ほしのさと Kids」。二つの建築に囲われた庭を中心とし新しい交流を生み出す関係性を設計
  16. トラフ建築設計事務所による、東京・六本木の、ジュエリーブランドの店舗「Hirotaka 東京ミッドタウン店」
  17. 隈研吾が設計を進め2023年の完成を予定する、東京の「(仮称)江戸川区角野栄子児童文学館」の基本設計概要版が公開
  18. アルヴァ・アアルトがデザインした名作家具が、ガチャ(カプセル玩具)として発売。アルヴァ・アアルト財団とアルテックが制作を監修
  19. 藤森照信が設計した、東京・渋谷区のパヴィリオン「茶室『五庵』」のレポート。藤森建築の言語が詰め込まれた国立競技場を臨む茶室
  20. 山本嘉寛建築設計事務所による、奈良の「透き間の家」

ETHZのgta(建築史・建築理論研究所)に所属するアダム・ジャスパーが、ペーター・メルクリのドローイングについての研究を解説している動画「Drawing upon Painting」

ETHZ(スイス連邦工科大学チューリッヒ校)のgta(建築史・建築理論研究所)に所属するアダム・ジャスパー(Adam Jasper)が、ペーター・メルクリのドローイングについての研究を解説している動画「Drawing upon Painting」です。様々な歴史的絵画とメルクリのドローイングが比較して語られています。イギリスのアーキテクチャー・ファンデーションの主催で行われたものです。ペーター・メルクリがキュレーションするオンラインイベント「For the Love of Architecture」の一環で行われたもの。

ペーター・メルクリが、未発表の進行中のプロジェクト等を解説しているレクチャー「Work in Progress」の動画

ペーター・メルクリが、未発表の進行中のプロジェクト等を解説しているレクチャー「Work in Progress」の動画です。英語字幕付きです。イギリスのアーキテクチャー・ファンデーションの主催で行われたものです。ペーター・メルクリがキュレーションするオンラインイベント「For the Love of Architecture」の一環で行われたもの。同企画でメルクリは異なるレクチャーも行っていてその様子も公開されています。

アンサンブル・スタジオによる、ギャラリー・間での建築展「Architecture of The Earth」のガイド動画

アンサンブル・スタジオによる、TOTOギャラリー・間での建築展「Architecture of The Earth」のガイド動画が公開されています。2021年6月に公開されたアンサンブル・スタジオによるメッセージ動画に、会場の様子を追加した動画となっています。会期は2021年9月12日まで要事前予約で開催中。展覧会の公式ページはこちら

以下に、アーキテクチャーフォトが取材した会場写真の一部も紹介します。

高橋勝建築設計事務所による、山口・下松市の、介護福祉施設「ほしのさとday service center」と保育園「HUG GARDEN ほしのさと Kids」。二つの建築に囲われた庭を中心とし新しい交流を生み出す関係性を設計
高橋勝建築設計事務所による、山口・下松市の、介護福祉施設「ほしのさとday service center」と保育園「HUG GARDEN ほしのさと Kids」。二つの建築に囲われた庭を中心とし新しい交流を生み出す関係性を設計介護福祉施設「ほしのさとday service center」と保育園「HUG GARDEN ほしのさと Kids」が二棟並ぶ。 photo©松村芳治
高橋勝建築設計事務所による、山口・下松市の、介護福祉施設「ほしのさとday service center」と保育園「HUG GARDEN ほしのさと Kids」。二つの建築に囲われた庭を中心とし新しい交流を生み出す関係性を設計「ほしのさとday service center」の食堂・機能訓練室。 photo©松村芳治
高橋勝建築設計事務所による、山口・下松市の、介護福祉施設「ほしのさとday service center」と保育園「HUG GARDEN ほしのさと Kids」。二つの建築に囲われた庭を中心とし新しい交流を生み出す関係性を設計「HUG GARDEN ほしのさと Kids」の三角テラスと読み聞かせ・遊戯スペース。 photo©松村芳治

高橋勝建築設計事務所が設計した、山口・下松市の、介護福祉施設「ほしのさとday service center」と保育園「HUG GARDEN ほしのさと Kids」です。二つの建築に囲われた庭を中心とし新しい交流を生み出す関係性を設計しています。

庭を中心とした50人規模のデイサービスセンター「ほしのさとday service center」と定員19人の小さな企業主導型保育園「HUG GARDEN ほしのさと Kids」の計画である。

敷地は1990年代後半に下松市が医療福祉施設に限定した地区計画のために造成した丘陵地にあり、民家や幹線道路からは200mほど離れた静かで自然豊かな場所である。そこに計画された「ほしのさと」は法面含め約1.6haの広い敷地を持ち、複数の施設で介護事業を運営している。

2年ごとの介護保険法の改正でひとりあたりの介護予算が徐々に削減される厳しい流れの中で、庭を中心とした新しい交流を生み出す活動的な介護環境を提案する、というクライアントが推し進めるプロジェクトの一環でもある。

建築家によるテキストより

計画は、立地を活かして広い庭を中心とした豊かな自然環境の外部空間を用意し、活動的な介護を実践する(歩行訓練や畑での園芸リハビリなど積極的な回復を意図した介護)。また、事業所内保育所を備え、子育て中でも働きやすい環境を整備し、優秀な介護スタッフを確保する。さらにデイサービスセンターの活動する庭と保育園の園庭を重ねることで世代間交流を喚起し,相乗的な好影響を及ぼし合えるような施設が求められた。

建築家によるテキストより

園児やデイサービス利用者をいかに庭に誘い出し、遊んだり散歩したりしたくなるような空間をどう設えるかを重点的に検討した。結果、木々や芝生の中を歩く時、気持ちのよい開放性を得るため,建築は極力押さえたボリュームとし、温かな景色づくりを意図して、軒の低い勾配屋根を持つ木造平屋とした。二棟はお互い気配を感じながら近すぎない丁度よい距離感で庭を囲む配置計画としている。

建築家によるテキストより
宮川清志 / SESNによる、東京の、伊勢丹新宿での化粧品のポップアップショップ「ETVOS POP UP SHOP」
宮川清志 / SESNによる、東京の、伊勢丹新宿での化粧品のポップアップショップ「ETVOS POP UP SHOP」 photo©SESN
宮川清志 / SESNによる、東京の、伊勢丹新宿での化粧品のポップアップショップ「ETVOS POP UP SHOP」 photo©SESN

宮川清志 / SESNが設計した、東京の、伊勢丹新宿での化粧品のポップアップショップ「ETVOS POP UP SHOP」です。期間限定店舗のため公開は既に終了しています。

伊勢丹新宿店のETVOSポップアップショップのデザイン。

ミネラルUVパウダーという商品の先行発売に際して行われるポップアップショップとなり、パウダー状の商品の質感をショップ全体で表現できないかと考えている中、商品パッケージに着目をした。

商品パッケージ、空箱の色味やマットな素材感、手書きのフォントタイプ、手に持った時に感じる商品パッケージ全体から得られる素材感、手触りのある触感を集積する事でミネラルUVパウダーの質感を表現できるのではないかと考え、タイルを敷き詰める様に目地幅や設置する奥行きを1mm以下の単位で微調整を繰り返し、浜辺にある砂がその一粒では成り立たないが、圧倒的な量と反復を繰り返す事で砂場として成立する様に、ここでは空箱を集積し空間として成立する様に構成しています。

建築家によるテキストより
妹島和世と西沢立衛が参加して、長谷川祐子が聞き手を務め2021年6月に行われたトークセッション「建築の未来支度」の動画

SANAAの妹島和世と西沢立衛が参加して、長谷川祐子が聞き手を務め2021年6月15日に行われたトークセッション「建築の未来支度」の動画です。

※2021年6月15日(火)にライブ配信した動画のアーカイブです。

この4月に就任した長谷川祐子新館長によるトークシリーズ「未来支度の部屋」を始めます。

今、私達は大きな転換点を迎えています。さらにコロナウイルスの世界的な感染拡大により、加速度をつけ様々なシステムが変わりつつあります。
美術館もそうした環境と無関係ではありません。この「未来支度の部屋」では、様々なジャンルで未来を模索しながら先端を走り続けるゲストをお迎えし、それぞれの視点から“今”を捉え、未来を迎えるにあたりその指針や希望を紐解き、みなさんとともに未来支度を始めます。

第1回のテーマは「建築の未来支度」。ゲストに、金沢21世紀美術館の建築設計者であるSANAAのお二人(妹島和世・西沢立衛)を迎え、美術館建設当時の秘話からその後の活動、そしてそれらを経て建築の未来はどのような変化を遂げるのかを語ります。

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