

空間構想が設計した、東京・丸の内の、期間限定店舗「獺祭バー」です。2020年10月1日から約1年半の期間限定オープンとのこと。場所は新丸の内ビル7F。店舗の公式ページはこちら。
箱が人の活動を決めるのではなく、人のあり方が箱としての空間の性質を定義するような、逆のアプローチを試みました。
どうやら、旭酒造は、獺祭というお酒を通して、人と人とが結びつく状況をつくろうとしています。そのことに気づいた時に、この「獺祭バー」のコンセプトが固まりました。
ここは、人が主役の空間です。
空間構想が設計した、東京・丸の内の、期間限定店舗「獺祭バー」です。2020年10月1日から約1年半の期間限定オープンとのこと。場所は新丸の内ビル7F。店舗の公式ページはこちら。
箱が人の活動を決めるのではなく、人のあり方が箱としての空間の性質を定義するような、逆のアプローチを試みました。
どうやら、旭酒造は、獺祭というお酒を通して、人と人とが結びつく状況をつくろうとしています。そのことに気づいた時に、この「獺祭バー」のコンセプトが固まりました。
ここは、人が主役の空間です。
山路哲生建築設計事務所建築設計による、東京・新宿区の、築40年の宿泊施設のリノベーション「THE KNOT HOTEL SHINJUKU」です。また、1階レストラン・ベーカリーの設計は、Y.K.D.が、2階レストランの設計はDESIGN STUDIO GLAMが手掛けています。施設の公式サイトはこちら。
東京・西新宿の新宿中央公園に面している、築40年のホテルのリノベーション。
改修以前からホテルとしての稼働率は高く、海外からの観光客も多く訪れるものの、利用は宿泊目的というその1点のみで、都市とのつながりが築かれておらず、敷地の持つ魅力も引き出せていないように感じられた。そこで、使用されていないホテルの屋上部分や外部空間を積極的に緑化して、隣接する公園と視覚的につながりをもたせた。また、ロビーの吹き抜け空間を活用し、レストラン、バー、ラウンジ、ロビーの各機能が、1Fと2Fとあわせて立体的につながるように配置した。
また、既存の素材はできるだけ利用することで、40年間刻まれた時間を再構成した。
吹き抜けにあるレンガ調の床のタイルは既設のものであり、カッターを入れてカーペット状に残すことでより印象的に引き算した。またその上に浮かぶ象徴的な照明も既設のものであり、ただ、その数と配置を変更した。どの視点からも重ならないように立体的に再配置することで、改修前には気付かれることがなかった魅力と存在感を引き出している。
内藤廣が「島根県芸術文化センター グラントワ」について語る動画が公開されています。グラントワ自身の企画で5回の動画が公開されます。内藤の設計で2005年に竣工した建築です。こちらのページで写真を見ることができます。2020年10月1日時点で二つの動画が公開されています。
※2020年10月22日に第五回目の動画が追加されました
※2020年10月14日に第四回目の動画が追加されました
※2020年10月7日に第三回目の動画が追加されました
2020年10月、開館15年を迎えるグラントワの建築の魅力を、グラントワで働くスタッフと設計者の内藤廣さんとの対話により、全5回の動画でご紹介します。
企画 島根県芸術文化センター「グラントワ」(島根県立石見美術館、島根県立いわみ芸術劇場)
撮影・編集 株式会社 益田工房
音楽 相川 瞳
協力 内藤廣建築設計事務所
第二回目の動画。
第三回目の動画。
第四回目の動画。
第五回目の動画
長坂常 / スキーマ建築計画による、展覧会「まかない家具展/長坂 常」が開催されます。東京・千駄ヶ谷のスキーマの事務所1階が会場となっているのも注目です。会期は、2020年10月26日・27日・28日・29日・30日・11月2日・11月3日の7日間の開催(※土日休廊)。時間は13:00-18:00。観覧料:無料です。また2020年10月23日には長坂常・福元成武・高本貴志・芦沢啓治・門脇耕三が参加するオンライン座談会も行われます。
※会期に2020年11月3日が追加されました
“まかない家具”とは
大工などが現場の工事中に必要になる家具を、あり合わせの材料で手間をかけずに作るモノがある。
よく知られているところとして相欠(あいがき)で作られたベニヤの作業台や道具置き場などがある。
いずれも人に見せるために作られていない。あくまで、機能的で必要最低限な加工で作られ、とても素っ気ない。
ただ、その素っ気なさが最近やけに気になっている。
それはどの国の現場に行ってもある。そして、その「手間」の捉え方、ルール、そこにある材料が変わるので当然各々の国でそのあらわれ方は異なる。
国内においても気にしていなかったわけではないが、見慣れているせいか整理しようなどと思わなかったものの、最近海外でお仕事させていただく機会が多くなり、事情の違う現場で生まれたそれを見てその魅力に取り憑かれ、ちょくちょく写真を撮り集めるようになってきた。
そして、我々はそれらを総称し「まかない家具」と名付けた。
本展示はその恣意性のない「まかない家具」に、作意満々の建築家であり、デザイナーである我々が挑んだ結果というかその考察の過程を見ていただく展示である。
もはや「まかない家具」ではなく、そこから抽出した要素をデザインと捉え、我々として形に落としたギリギリ家具と言えるものだ。
そして、この「まかない家具展」は #まかない家具 というハッシュタグを介してその概念を皆で共有し、その魅力を広く堀りさげるきっかけになればと思っています。
以下、展覧会とイベントの情報です。
坂野由典 / 坂野由典建築設計事務所が設計した、山口・下松市のカーディーラー「CAROLLA YAMAGUCHI NOZOMICHO」です。店舗の公式サイトはこちら。
山口県下松市望町に計画したカーディーラーである。
この地域は古くから工場地帯として栄え、明治に起源をもつ周南コンビナートが有名だ。瀬戸内海の穏やかな、海と山の景色と、周南コンビナートをはじめとする工場地帯がミックスされた風景は、長い時を経て、地域の風景として親しまれている。新しくつくるカーディーラーを、そのような地域の風景につながるようにしたいと思い、あえて工場を想起させるような建物を考えた。外観だけでなく、内観も工場と同じつくり方を目指し、大スパンのトラス梁で内部に柱を落とさず、空調などの設備もむき出しにした。一方、スロープの手摺や壁の一部に不燃処理した杉材を使用しているため、工場のような素気なさを残しつつも、全体としては柔らかい雰囲気の空間となっている。
この建物ではミニコンサートや地域の交流会などのイベントが開かれ、家族連れからご高齢の方まで、さまざまな近隣住民の方たちが訪れ、図書館のように自由にくつろげる施設として、あるいは、コミュニケーションセンターのように活用していただいている。今後も地域の人々から、この建物のデザインコンセプトでもある、“みんなのファクトリー”として親しんでいただけたらと願っている。
「建築と今」は、2007年のサイト開設時より、常に建築の「今」に注目し続けてきたメディアarchitecturephoto®が考案したプロジェクトです。様々な分野の建築関係者の皆さんに、3つの「今」考えていることを伺いご紹介していきます。それは同時代を生きる我々にとって貴重な学びになるのは勿論、アーカイブされていく内容は歴史となりその時代性や社会性をも映す貴重な資料にもなるはずです。
乾久美子(いぬい くみこ)
1969年大阪府生まれ。1992年東京藝術大学美術学部建築科卒業、1996年イエール大学大学院建築学部修了。1996~2000年青木淳建築計画事務所勤務を経て、2000年乾久美子建築設計事務所を設立。2000〜2001年東京藝術大学美術学部建築科常勤助手、2011〜2016年東京藝術大学美術学部建築科准教授。2016年より横浜国立大学都市イノベーション学府・研究室 建築都市デザインコース(Y-GSA) 教授。
主な作品に「フラワーショップH」、「共愛学園前橋国際大学4号館Kyoai Commons」、「七ヶ浜中学校」、「釜石市立唐丹小学校・釜石市立唐丹中学校・釜石市児童館」、「延岡駅周辺整備プロジェクト 延岡市駅前複合施設 エンクロス」など。
URL:http://www.inuiuni.com/
今、手掛けている「仕事」を通して考えていることを教えてください。
山梨県で福祉施設に関わっています。地域で、数十年、知的障害者の方々の支援を行ってきた社会福祉法人が、廃校になった小学校校舎をグループホームとして使い直すというものです。校舎を改修することと、そこからはみ出してしまった部屋を受け入れる小屋を木造で建てることをしています。
以前から自閉症や知的障害者の支援施設に関わってきていますが、障害者支援施設の建築としての面白さは、まちづくりに大きく関わっていることです。
今、関わっている社会福祉法人・名水会のプロジェクトでは、利用者の方々の活動のバラエティを広げたり、ニーズを掘り起こしたりしていく中で、周辺の耕作放棄地を借りて農業を始めたり、廃校になった校舎を使い直したり、空き家をグループホームにしたりと、人口減少によって使われなくなったものを次々とみつけてきては、活動の領域へと組み入れていきます。
その動きが実に自由な感じで良いし、また、なにかバクテリアのように、無用と思われたものを内側から変質させて、豊かな土壌へと作り変えているようなところがあって、彼らがいて活動することでまちがよくなっていくような側面があるのです。とても面白いです。
建築デザインが、そのバクテリアのような活動をどこまでサポートできるのかということに興味をもちながら関わっています。
富永大毅+藤間弥恵 / TATTAによる、岐阜・恵那市の住宅「ドーマー窓の家」です。
明治時代から代々住み継いできた住宅を建て替えるプロジェクトである。すでに子どもたちは独立している、老夫婦のための小さな住宅をつくった。
敷地は、大正時代の建物が多く残る町で、古くからの街道沿いにある。
江戸時代以降、宿場町として商店が軒を連ねていたが、ここ最近は店を畳んでしまって駐車場をつくり建物を町並みから遠ざけてしまったところも増えているが、往時の景観にならい、軒を南側の街道に対して張り出し、その下を駐車場とした。南からの採光を最大限に得るため、屋根には、大きなドーマー窓を設けている。おかげで家の中は奥まで陽が差し込み明るく、これにより、寝室は街道側、落ち着いた雰囲気のリビングが奥という、通常の住宅とは反転した平面計画となっている。
木曽ヒノキで支えられたドーマー窓を設けて生まれた空間には床を張り、屋根裏部屋のようにした。正月や盆休みには、帰省した子供たちの寝室として使われている。
(富永大毅)
ギゴン&ゴヤーのアネット・ギゴンが、2020年10月19日に行ったレクチャーの動画です。ベルギー・ブリュッセルのCentre for Fine Artsの主催で行われたものです。
Annette Gigon and Mike Guyer founded Gigon/Guyer in Zürich in 1989 and launched their career with a flying start when they won the competition to design the Kirchner Museum in Davos. Since then, their architecture practice has forged an international reputation, notably thanks to a dozen museum projects and a series of designs for residential and office buildings. Today, Gigon and Guyer are both lecturers at the EPF in Zürich. Their work has received a number of prestigious awards, including the International Fellowship of the Royal Institute of British Architects (RIBA) in 2009. A number of monographs have also been published on their work.
興津俊宏+内田哲広が設計した、福岡・朝倉郡の住宅「みんか2013」です。
農家の夫、管理栄養士の妻とその娘たちのための民家である。
夫が採ってきた野菜をふんだんに使い妻が料理の腕を振るう。そのための広い土間と、広い庭に面した縁側、自家製の味噌などを保存する蔵が要望であった。それらは伝統的な民家にみられる要素であり、農耕を主体とする日本の田舎には適した空間である。民家特有の空間構成を再編成することで、田舎暮らしの核家族のためのコンパクトな現代の民家を目指した。
この地域は内陸のため、夏は暑く、冬の寒さも厳しい。一年を通して省エネで安定した室内環境の住まいを目指した。
まず、建物の外周全体を外断熱(屋根100mm、壁50mm)で覆い、断熱性・気密性を確保した。さらに建物中央に配した蔵をコンクリートとすることで、土間と合わせて内部に十分な熱容量を確保した。太陽光の影響を受けない中央のコンクリートの塊は、蓄熱と放射により室内環境を安定したものとする。夏場には冷えた夜の風で冷気を蓄熱し、昼間に周囲よりも低い表面温度を保つ。冬場には、暖房により蓄熱(太陽光は土間に蓄熱)し、夜間・早朝の室内温度低下を防ぐ。また急激な温度変化を防ぐことができるため、建具を気楽に開け閉めでき、開放的で安定した室内環境を実現している。
建築情報学会(仮)の、パートタイムでの事務サポートメンバー募集のお知らせです。詳しくは、ジョブボードの当該ページにてご確認ください。アーキテクチャーフォトジョブボードには、その他にも、色々な事務所の求人情報が掲載されています。
新規の求人の投稿はこちらからお気軽にお問い合わせください。
現在、2020年11月末の正式な発足を目指して、建築内外の最先端領域の有志多数によって「建築情報学会」の設立準備が進められています。
「建築情報学会」は、昨今の社会の急速な情報化およびデジタル化の流れを受け、長い歴史の中で細分化し流動性を欠く側面を見せ始めた既存の建築界に、デジタル技術という共通基盤を通して再び横の流動性をもたらすこと、さらには人工知能やモビリティ、ARやVR、スマートシティなど多様な新興領域との拡張的連携に必要な共通言語の体系を構築することを主要な目的に、学術・産業・教育の三領域を柱として、新しい「建築情報学」の知見および技術の開発、拡張、実装を促進することを目指しています。現在学会の設立準備のため、発起人の呼びかけおよび企業協賛の依頼等の作業が進行中で、11月30日のオンライン開催が予定されている設立総会の実施へ向けて、鋭意準備を進めているところです。今回の設立総会での理事会の発足および正式な学会としての設立を経て、ある程度の試行期間を経ながら正式な法人化の手続きを進めていく予定です。
現在の各種準備作業はすべてボランティアで行われており、設立総会が近づく中で、各種連絡や登録、手続きなどの事務局的作業が徐々に増加してきています。そこで、健全かつ持続的な学会の設立準備および運営のサポート体制を整えるため、パートタイムでの事務サポートメンバーを雇用することになりました。
新しい時代の社会プラットフォームの構築を、中からサポートしてくださる方に、早期に準備チームに加わっていただきたいと、設立準備メンバー皆で心待ちにしています。業務の内容は当面は関係者や企業との連絡や登録作業の補助、イベントの企画や準備にかかわる補助作業などで、勤務形態は在宅によるフレックス勤務を想定しています。当初はわからないことも多いかとは思いますが、現メンバーが丁寧に共有およびサポートを行います。ぜひ年内限定の短期のヘルプでも、来年以降に及ぶ中長期的なサポートでも、一緒に新しい社会基盤の立ち上げを一緒に手伝ってくださる方、お待ちしています。
富永大毅+藤間弥恵 / TATTAが設計した、埼玉・越谷市の、集合住宅の一住戸の改修「垂木の住宅(西川材)」です。
材が溢れている日本の山の現状をリノベーションにもうまく活用しようという垂木材を用いたリノベーションシリーズの第二弾。
埼玉県の現場であったので、飯能の赤身の非常に美しい西川材(スギ)を利用して積層させ、壁と建具の中間のようなものをつくった。同じ製材所の在庫にサワラ材があり、片面だけ木毛板を貼ることで、半分下地のような状態のまま仕上げとして使った。
10階まで担ぎあげるのは大変だろうということで全ての材はEVに入る長さとし、短くなったことで生まれるディテールを新たに考えている。
建て主は幼稚園児2人を抱える4人家族で、将来的に子供部屋を仕切れるよう、しばらくは回遊できるワンルームとして用意することで、限られた面積を最大限広く感じてもらえるようにしている。
階下や隣住戸への騒音へ配慮し、元々直床だった床は上げて防音対策し、コルク床や木毛板などあらゆる素材は吸音を前提にして選んでいる。
(富永大毅)
本記事は学生国際コンペ「AYDA2020」を主催する「日本ペイント」と建築ウェブメディア「architecturephoto」のコラボレーションによる特別連載企画です。4人の建築家・デザイナー・色彩計画家による、「色」についてのエッセイを読者の皆様にお届けします。第4回目は色彩計画家の加藤幸枝氏に色彩設計の意義や役割について綴っていただきました。
色彩を設計するということ
以下の写真はクリックで拡大します
これまで6回にわたる連載では、中山英之・藤原徹平・原田祐馬3氏による色彩の経験・体験やご自身の作品における色彩の位置づけ等が語られてきました。
それぞれ、特に前編の「深く印象に残った/蘇った色彩」については、瞬間の印象や感動もさることながら、のちにご自身の活動が続けられていく中で色の知覚や配色がもたらす効果などの現象性が「再認識」されていく様子が大変興味深く、そうした「記憶に残る色彩の体験」がいかに創作に欠かせないものであるかを示している、と感じています。
私は長く「色彩設計」という実務に携わっています。日々の仕事の中では、どちらかというと「色に対するさまざまな困りごと」に対し「色彩(を含めた/を切り口とする)のあり方をその状況に応じた手法と精度で紐解き、(関係者間で)共有可能な最適解を提示する」ことが中心となっています。自身の仕事は冒頭に示したような「記憶に残る色彩の体験」とは程遠いものですが、私自身は色彩による切れ味の鋭い・見たこともないような表現や演出よりも、そうした体験が生み出されるための環境の構築や再生に興味を惹かれてきました。
「なぜ、そこにその色を使うのか/必要があるのか」を明らかにすること、が色彩を設計することの意義や役割なのではないか、と考えています。
私たちの身の回りには、改めていうまでもなく実に様々な色があります。特に都市部や公共空間では文字情報をはじめ聴覚・臭覚などへの刺激とも相まって、膨大な情報を瞬時に/ゆるやかに認識し、判断することを強いられます。
色は周囲や背景にあるものとの関係性(対比)により見え方が決まりますので、面積の大小も含め、どんなに強い色でも「その色だけ」を見ていることはまずありません(例えば吹雪によるホワイトアウト等は、単一色に視界を覆われた状態の一例です)。
言い換えれば、対象自体の色が変わらずとも、周囲の色が変化することにより対象の色までもが変化して見えるということであり、私たちの日常の中で「変化する色彩の見え方」にも(意識的かどうかにかかわらず)、かなり柔軟に対応している、と感じることが多々あります。
色で環境を/景色を整える
私は色にこの「相互作用」という機能があることに、やや大げさですが絶大な信頼を置いています。対象物そのもの存在は必要不可欠であり、多くの役割を担っているけれど「その環境においてその色でなければならない」理由が見当たらないもの、は実に多く存在していて、形状や位置等は現状のままでも「色が変わる」だけで周囲の環境の見え方までも大きく変化して見えることがある、という体験を重ねてきました。
例えば、山梨県内で長く続けられている「風景ペイント」。豊かな自然環境の中で突出して目立っていた防護柵等を低明度のブラウンに塗装することで、存在感を残しつつも周囲の景観に融和し、同時に引き立て役にも成り得る、という効果が発揮されることがわかりました。これはもともと地域のまちづくり団体の方々が取り組んでこられた活動でしたが、私は他の市町からやってみたい・何色がよいか、と相談を受ける機会が増え、市役所の方や地域の住民の方々と「その地域や対象にふさわしい色」をともに考えながら、主に住民参加型の「景色のお色直し」に携わってきました。
興津俊宏が設計した、大阪市の住宅「みんか2020」です。
大阪市内、上町大地のエッジにある入り組んだ住宅街に建つ夫婦+子3人のための住宅。
家族の団欒と子供の成長に対応できる大らかな空間を目指し、昔の民家のような大屋根に包まれたみんなの大きな居場所と、少しワクワクする屋根裏のような小さないくつかの居場所を持つ構成とした。敷地は、風致地区に指定されており建蔽率40%、隣地境界から1mセットバックが必要。かつ準防火地域のため、木現しの架構にしようとすると、準耐火構造とする必要のない2階建てとなる。この敷地条件をそのまま形にすると、同平面形状の1,2階、5 人家族には少し足りない床面積(89.76 ㎡)、かつ隣地との間に使えない1mの隙間をもった住宅となってしまう。
そこで、軒を1階まで下ろし、屋根・2 階外壁、軒までを大屋根として捉え、1階に大屋根に包まれたみんなの居場所を、大きな屋根裏となる2階にいつくものレベルの違うパーソナルな居場所をつくり、家族の成長や日々の多様な暮らしに対応できる間仕切りのない大らかな構成とするとともに、面積に入らない高さの低い空間で床面積を補った。
富永大毅+藤間弥恵 / TATTAが設計した、東京・北区の「四寸角の写真スタジオ」です。
商品や雑誌などの撮影を住宅のシーンで撮るための自然光メインの写真スタジオである。
鉄骨造の倉庫状の建物の中に自立する木造の建屋だが、5m超えるスパンを実現するために、3m、4m長の四寸角の多摩産材を12本束ねて、構造的に冗長性のある“重ね梁”とし、南からの光を取り入れるための採光層に現すことにした。
倉庫の架構を作業場に見立て、製材所から直接届いた四寸角流通材230本を、その場で手刻みで加工して、組み上げることでコストとスケジュールの両立を果たした。
(富永大毅)
越膳博明 / 乃村工藝社が設計した、東京・港区の店舗「トレーディングポスト青山本店」です。店舗の公式サイトはこちら。
トレーディングポストは、1984年に「日本に知られていない海外の優れた靴を紹介するセレクトショップ」をコンセプトにスタート。「レザーシューズを履く文化を日本に定着させる」「時代と共に進化する革製品の今を積極的にご紹介する」提案型セレクトショップである。
旧青山店は、2003年にオープンしその後、本店機能として青山本店として位置づけられ、各地での同ブランドの展開を行っている。また2013年に10周年全面リニューアルを手掛け、トータル17年の歳月を経て移転が計画され今回の地に新たな青山本店としてこの地にたどり着いている。
東京北青山に位置するRC造であるこの建物がファサード2層分のガラススクリーンで覆う計画とした。
通り沿いからの見え方や昼と夜の見え方に配慮するべきと考えたからだ。
特にユーザーアプローチである外部から内部への繋がりを意識したファサードを計画している点で外部のガラススクリーンの内側で構成されたレンガスクリーンがファサードでの同店の顔作りの機能も果たしながら、緩やかに店内へ繋がりそのまま内装造作へと昇華され、革靴を陳列する什器造作となっているのが特徴でもある。本来であれば通りから見えるのは、革靴であり商品を陳列した什器であるが、この場所の空間づくりでは、そういった物販店特有のショップの見え方を変え、1階に大きな白く長い天板のバーカウンターが照明の反射でスタッフの表情を明るくさせ、接客の姿や一見、革靴店とは判断しにくい点を外部へあえて発信し、世界観の印象付けを試みている。
またファサードでは、大きく掲げがちなサインも極力排除し、特徴的なレンガスクリーンのファサードが通りからのアイキャッチになることを主としている。
アーキテクチャーフォトで、先週(期間:2020/10/12-10/18)注目を集めたトピックスをまとめてご紹介します。リアルタイムでの一週間の集計は、トップページの「Weekly Top Topics」よりご覧いただけます。
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