高橋勝建築設計事務所による、滋賀・甲賀市の、築143年缶詰茅葺き民家の耐震・断熱改修「神山の家」 photo©住山洋
高橋勝建築設計事務所による、滋賀・甲賀市の、築143年缶詰茅葺き民家の耐震・断熱改修「神山の家」 photo©住山洋
高橋勝建築設計事務所による、滋賀・甲賀市の、築143年缶詰茅葺き民家の耐震・断熱改修「神山の家」です。
子供が独立し、二人暮らしとなって久しいご夫婦が暮らす古い缶詰め茅葺きと50年前の増築部の耐震・断熱改修です。 明治初期より受け継がれ、半世紀以上も暮らしてきた茅葺きの家屋に今後も安心して、暖かく快適に住み続けられるようにすること、また改修後でもGWや夏休みに集まる大勢の子供家族達と楽しく過ごせる家が求められました。
本計画の耐震改修では、「耐震フレーム」というあまり見慣れない構造フレームを茅葺き建物の主架構を取り囲む形で4箇所に配置し、主たる耐震要素として殆どの水平力を負担させています。「耐震フレーム」とは、105角の木材で組んだキューブ状のフレームを基礎に緊結し、X,Y、Z方向へ90角の筋交いを組み込んだ強固な構造物です。
空き家問題が深刻化する中、市場に優良な中古物件がほとんど流通していません。それは木造であれば築21年以上の中古住宅の資産価値がゼロとなる法体系と不動産慣習に原因の一つがあることが昨今指摘されています。資産価値が認められない家に誰もお金をかけてメンテナンスを行わない為です。この状態を打開すべく既存住宅インスペクション制度など徐々に既存ストック利用がなされる流れが始まりつつあると感じています。この流れはこれから更に加速し、臨界点を超えると一気に中古市場に今問題となっている空き家群が流れ込んでくる時代が近いのではないでしょうか。そのとき既存建物の改修は中古物件の資産価値をエビデンスを持って確保、記録していく事が重要になっていくと考えられます。