MVRDVによる、中国の「深セン・ウーマン&チルドレンズ・センター」です。
都市の急成長で生まれた90年代の建物を改修しました。建築家は、先駆的事例として“再利用”の可能性の提示も意図し、既存の構造体を活かして現代の要望に適合させる設計を志向しました。また、色彩豊かな外観のフレームで施設の用途を強く明示する事も意図されました。
こちらはリリーステキストの翻訳です
中国における再利用の先駆的事例:MVRDVが深セン・ウーマン&チルドレンズ・センターの改築を完了
MVRDVが設計した深セン・ウーマン&チルドレンズ・センターが竣工し、古い複合タワーが、ホテルや女性や児童福祉のためのさまざまな施設を内包する、活気に満ちたカラフルな超高層ビルに生まれ変わりました。ここには、図書館、オーディトリアム、子ども劇場、「ディスカバリー・ホール」、セラピー・ルーム、スタッフのためのオフィスなど、女性や子どもたちのためのさまざまな施設があります。カラフルなファサードを持つこのビルは、深センの福田地区で爽やかな存在感を放っています。さらに重要なのは、高さ100メートルというこのビルが、間もなく「再利用の大きな波」が押し寄せる深センで、ビルを再利用するための重要な先例となることです。
このタワーはもともとは1994年に完成し、深センの最初の爆発的な成長期の一部を形成していました。オリジナルの設計に対する急ぎすぎたアプローチは、すぐに明らかになりました。火災安全上の懸念が根強いため、台座部分の商業施設は2002年までオープンせず、タワー自体もいつまでも空き家のままでした。
建物利用者のニーズが変化するにつれ、環境要件が不足しており、2019年までには、建物がもはや目的に適合していないことは明らかでした。2030年までにカーボンピークを達成し、2060年までにカーボンニュートラルを達成するという中国の公約に基づき、このビルは国家発展改革委員会によって24の活性化モデル事例のひとつに選ばれました。
MVRDVは、この建物の問題を解決するために、建物の構造を再利用できるような包括的な変革をデザインしました。それは、解体して建て直すよりもはるかに持続可能なアプローチです。この変革の最も目に見える要素は、新しいファサードです。マルチカラーの外観フレームのグリッドが、ファサードの奥行きを1メートルにも広げています。これらのフレームは、熱上昇を抑えるために遮光性を高めるとともに、内側に自然換気を可能にする開閉可能なパネルを組み込んでいます。そして、これにより、居住者の快適性を向上させ、空調への依存を減らすことができます。
このデザインは、また、建物の複数の要素も変化させています。タワー・クラウンは、アクセスの良い大きなテラスを覆い、眼下に広がる近隣の360度のパノラマを提供しています。もともと駐車場だった中庭は、フードコートのある公共スペースに転用されました。地下鉄の入り口は、以前は外の舗道に散らかっていましたが、公共交通網との接続を良くし、自動車依存からの脱却を強化するため、建物内に移されました。
この建物の変身は、元の構造から約24,000㎥のコンクリートを節約しながら達成され、この再利用により、アムステルダムから深センまでの11,800回分のフライトに相当する二酸化炭素の削減につながりました。また、構造体にも小さな増築が施され、元の設計のぎこちない幾何学的な部分を埋めることで、シンプルで効率的なフロアプランが実現しました。