architecture archive

岡佑亮 / チドリスタジオと岡倉慎乃輔による、石川・金沢市の店舗「シンタテベイクストア」。商店街の建物に入るパン店。最小限の操作での“全体性を持った意匠”の実現を求め、色を用いて既存の痕跡を“チューニング”する“他律性”を備えた設計を志向。周辺環境の色をサンプリングして内外の一体感も創出
岡佑亮 / チドリスタジオと岡倉慎乃輔による、石川・金沢市の店舗「シンタテベイクストア」。商店街の建物に入るパン店。最小限の操作での“全体性を持った意匠”の実現を求め、色を用いて既存の痕跡を“チューニング”する“他律性”を備えた設計を志向。周辺環境の色をサンプリングして内外の一体感も創出外観 photo©鶴見哲也
岡佑亮 / チドリスタジオと岡倉慎乃輔による、石川・金沢市の店舗「シンタテベイクストア」。商店街の建物に入るパン店。最小限の操作での“全体性を持った意匠”の実現を求め、色を用いて既存の痕跡を“チューニング”する“他律性”を備えた設計を志向。周辺環境の色をサンプリングして内外の一体感も創出1階、ベーカリー、物販部分 photo©鶴見哲也
岡佑亮 / チドリスタジオと岡倉慎乃輔による、石川・金沢市の店舗「シンタテベイクストア」。商店街の建物に入るパン店。最小限の操作での“全体性を持った意匠”の実現を求め、色を用いて既存の痕跡を“チューニング”する“他律性”を備えた設計を志向。周辺環境の色をサンプリングして内外の一体感も創出1階、ベーカリー、物販部分 photo©鶴見哲也

岡佑亮 / チドリスタジオ岡倉慎乃輔が設計した、石川・金沢市の店舗「シンタテベイクストア」です。
商店街の建物に入るパン店です。建築家は、最小限の操作での“全体性を持った意匠”の実現を求め、色を用いて既存の痕跡を“チューニング”する“他律性”を備えた設計を志向しました。また、周辺環境の色をサンプリングして内外の一体感も創出しています。店舗の公式ページはこちら

石川県金沢市の中心部にある商店街に面した、2階建て木造店舗を改修し、ベーカリーを設計した。

過去には、いくつものテナントが入れ替わっており、我々が改修する前に現地調査をした時点で、その様々な痕跡が確認できた。プラスターボードが、部分的に貼られていない。重ね枚数が異なっている。塗装が途中で止まっている。屋外と室内が繋がっている。随所に度重なる改修工事のチグハグが見てとれた。

建築家によるテキストより

予算や工期の都合もあり、本改修では建物を使用するための、最低限必要な箇所の補修・メンテナンスに留めつつ、全体性を持った意匠をどのようにまとめるか検討した。
内装全体をボード貼りや上塗りすると工費が膨らむため、機能的に問題のある部分をボード等で補修、ペンキで上塗りし、既存の取り合いで問題のない箇所はそのままとした。その結果生まれる不思議な納まりに合わせて色を切り替え、他者の痕跡にこちらがチューニングするように色彩計画を重ねることで、時間軸を伴う他律性を持った内装設計を試みた。色の切り替えが通常では不可解な位置ではあるが、既存建築がもつチグハグを意匠化することができた。

建築家によるテキストより

内装設計において、テナント内部だけに留まらない拡がりを持たせることに可能性を感じ、内部から認知できる周辺環境の色を取り込んだ色彩計画を考えた。対面の建物の各要素、本建物の既存のオーニング、北陸の曇天等、自らも含めた街の構成要素をサンプリングし、塗装色番号に置き換えた。その色を用いて自律性を担保しながら色彩の位置や比率を調整して配色した。その結果、窓外の風景と親和性を持つ内部空間が現れ、室内が外まで一体であるような拡がりを獲得する一方、商店街の色彩がこの店舗の広告のようにも読み替えられる。

建築家によるテキストより
早川友和建築設計事務所による、栃木の「星乃珈琲店 宇都宮若松原店」。全国展開する店舗の新型の“ひな型”として計画。あらゆる敷地で“周辺と調和する”形式を求め、他にも適用可能な“空の借景”等の3つの“余白装置”を考案して建築に導入。屋根の連なりは柔らかな自然光も取込む
早川友和建築設計事務所による、栃木の「星乃珈琲店 宇都宮若松原店」。全国展開する店舗の新型の“ひな型”として計画。あらゆる敷地で“周辺と調和する”形式を求め、他にも適用可能な“空の借景”等の3つの“余白装置”を考案して建築に導入。屋根の連なりは柔らかな自然光も取込む南西側外観 photo©木暮伸也
早川友和建築設計事務所による、栃木の「星乃珈琲店 宇都宮若松原店」。全国展開する店舗の新型の“ひな型”として計画。あらゆる敷地で“周辺と調和する”形式を求め、他にも適用可能な“空の借景”等の3つの“余白装置”を考案して建築に導入。屋根の連なりは柔らかな自然光も取込む屋根の詳細。 photo©木暮伸也
早川友和建築設計事務所による、栃木の「星乃珈琲店 宇都宮若松原店」。全国展開する店舗の新型の“ひな型”として計画。あらゆる敷地で“周辺と調和する”形式を求め、他にも適用可能な“空の借景”等の3つの“余白装置”を考案して建築に導入。屋根の連なりは柔らかな自然光も取込む南側外観 photo©木暮伸也
早川友和建築設計事務所による、栃木の「星乃珈琲店 宇都宮若松原店」。全国展開する店舗の新型の“ひな型”として計画。あらゆる敷地で“周辺と調和する”形式を求め、他にも適用可能な“空の借景”等の3つの“余白装置”を考案して建築に導入。屋根の連なりは柔らかな自然光も取込む客席全体を見る。 photo©木暮伸也

早川友和建築設計事務所が設計した、栃木の「星乃珈琲店 宇都宮若松原店」です。
全国展開する店舗の新型の“ひな型”として計画されました。建築家は、あらゆる敷地で“周辺と調和する”形式を求め、他にも適用可能な“空の借景”等の3つの“余白装置”を考案して建築に導入しました。また、屋根の連なりは柔らかな自然光も取込みます。店舗の場所はこちら(Google Map)

星乃珈琲店の新型店舗の設計。
店舗のテンプレートをつくり全国のロードサイドに展開していく飲食店である。

建築家によるテキストより

ロードサイドの敷地といっても当然ながら全国で周辺環境や気候、条件の何もかもが違ってくる。その条件が違う中でも、星乃珈琲店の基本テーマを踏襲しながら、全国のあらゆる敷地で周辺と調和する“余白”をもつ店舗形式が出来ないかと考えた。

建築家によるテキストより

具体的には

・地窓の箱庭
・濡縁アプローチ
・空の借景

という余白装置をつくり、これらを組み合わせながら日本のあらゆる風土に溶け込む手立てにならないかと考えている。

建築家によるテキストより
川合健二による、愛知・豊橋市のコルゲートハウス(1965年竣工)が宿泊施設に転用。1棟貸のホテルとして2023年9月から運営開始
川合健二による、愛知・豊橋市のコルゲートハウス(1965年竣工)が宿泊施設に転用。1棟貸のホテルとして2023年9月から運営開始

川合健二が設計した、愛知・豊橋市のコルゲートハウス(1965年竣工)が宿泊施設に転用されます。
1棟貸のホテルとして2023年9月から運営開始されるとの事です。宿泊施設としての公式サイトはこちら

コルゲートハウスとは、トンネルや地下鉄などに使われるコルゲートパイプを使った建築です。建築家である川合健二氏が、インフラから脱却し、自然の中で自給自足の生活を送りたいという想いで、自邸として建てました。日常から切り離された生活を味わえる究極の空間としてDOCOMOMO(モダン・ムーブメントにかかわる建物と環境形成の記録調査および保存のための国際組織)に選出されて話題となった個人住宅としてセルフビルドされた建物です。

リリーステキストより

以下に、その他の写真や宿泊プランも掲載します。

西下太一建築設計室による、愛媛・伊予市の「鳥ノ木の家」。南面接道の敷地に建つ設計者の両親の住居。環境を享受しつつ静かな日常を実現する建築を目指し、通りに対し低く構えた大屋根で“守りの環境”を構築。内と外の間に“多層のレイヤー”を設けて段階的に繋げる
西下太一建築設計室による、愛媛・伊予市の「鳥ノ木の家」。南面接道の敷地に建つ設計者の両親の住居。環境を享受しつつ静かな日常を実現する建築を目指し、通りに対し低く構えた大屋根で“守りの環境”を構築。内と外の間に“多層のレイヤー”を設けて段階的に繋げる外観 photo©藤村泰一
西下太一建築設計室による、愛媛・伊予市の「鳥ノ木の家」。南面接道の敷地に建つ設計者の両親の住居。環境を享受しつつ静かな日常を実現する建築を目指し、通りに対し低く構えた大屋根で“守りの環境”を構築。内と外の間に“多層のレイヤー”を設けて段階的に繋げる左:リビングダイニング、右:土間 photo©藤村泰一
西下太一建築設計室による、愛媛・伊予市の「鳥ノ木の家」。南面接道の敷地に建つ設計者の両親の住居。環境を享受しつつ静かな日常を実現する建築を目指し、通りに対し低く構えた大屋根で“守りの環境”を構築。内と外の間に“多層のレイヤー”を設けて段階的に繋げる土間から庭を見る。 photo©藤村泰一

西下太一建築設計室が設計した、愛媛・伊予市の「鳥ノ木の家」です。
南面接道の敷地に建つ設計者の両親の住居です。建築家は、環境を享受しつつ静かな日常を実現する建築を目指し、通りに対し低く構えた大屋根で“守りの環境”を構築しました。そして、内と外の間に“多層のレイヤー”を設けて段階的に繋げました。

60代の両親のための終の住処。

建築家によるテキストより

敷地は南面道路に巾広く接道しているものの、道路の向かいには住宅が建て並んでおり、単純に南面に依存するだけでは安心感が得られない。どこか身体的なスケールに欠けたこの敷地のなかに、いかに小さな人間味のある空間を生み出せるだろうか。

この場所の南向きの開けた光は強い「正」のエネルギーを持つ一方、ありのままに生活に受け入れるにはどこか晒され過ぎている。「静」を求める日常においては、「正」のエネルギーは感じつつも、それらと少し距離をとり、穏やかに過ごすことができるようにと考えはじめた。

建築家によるテキストより

まず、敷地全体に1枚の大屋根を掛け、通りに対して低く構える。全体の骨格として守りの環境をつくる。その基本的な骨格を維持しつつ、中間領域を整えていくことにした。

老後の住まいのシーンとして、例えば、孫を含めた子世帯が集まるといった活動的なひと時は幸せなハイライトである一方、日常はあくまで静かに穏やかに過ごしたい。暮らしの中にはシーンに応じた「気持ちのグラデーション」が生まれるものだ。

光を柔らかく拡散するルーバー板塀、緑陰と木漏れ日をもたらす庭、軒下、複数の建具で内外の繋がり方を調整できる大開口、土間、そしてメインの居場所となるLDK。「活動的な窓辺(土間)」と「奥の静かなソファコーナー(LDK)」という対の関係の間には、このような多層のレイヤーが内包され、グラデーショナルな繋がりが生まれている。

建築家によるテキストより
【ap job更新】 “デザイン性・事業性・社会性”でまちを豊かにする「UDS株式会社」が、建築設計や建築企画を含む様々な職種の社員を募集中
【ap job更新】 “デザイン性・事業性・社会性”でまちを豊かにする「UDS株式会社」が、建築設計や建築企画を含む様々な職種の社員を募集中
【ap job更新】 “デザイン性・事業性・社会性”でまちを豊かにする「UDS株式会社」が、建築設計や建築企画を含む様々な職種の社員を募集中MUJI HOTEL GINZA

“デザイン性・事業性・社会性”でまちを豊かにする「UDS株式会社」の、建築設計や建築企画を含む様々な職種の社員募集のお知らせです。詳しくは、ジョブボードの当該ページにてご確認ください。アーキテクチャーフォトジョブボードには、その他にも、色々な事務所の求人情報が掲載されています。
新規の求人の投稿はこちらからお気軽にお問い合わせください

UDSは「デザイン」と、事業性と社会性を実現するしくみ=「システム」でまちを豊かに楽しくすることを目指す組織です。
「デザイン性」と「事業性」、「社会性」を兼ね備えたまちをよりよくする「新しい選択肢の提案」に、企画、設計・施工、運営が連携して取り組む独特のスタイルで活動しています。

このたび、さらなる挑戦・事業拡大のため、建築企画職、建築設計職、プロジェクトデザイナー職を募集します。
今回は3つのチームが、それぞれメンバーを募集する形式となりますため、後半のチーム紹介記事を読んで頂いた上で、ご希望のチームに応募ください。

【UDSが目指すこと】
「まち」は社会を構成するひとりひとりの生活の場であり、働く場であり、また、時に来訪者として訪ねる場です。
そんなまちを「豊かに」「楽しく」するために、UDSでは以下の視点で取り組んでいます。

– 生活に、仕事に、旅に「あったらいいな」という機能/場を提供すること。
– そのまちに住み、働き、訪れる人が集まり、つながって、コミュニティが生まれコミュニケーションが育まれること。
– それぞれの地域独特の文化がつながっていき、また新しく生まれていくこと

こんな視点で、自分たちが「あったらいいな」と思う場を、新しい選択肢として社会に提案していくことを目指して活動しています。

ザハ・ハディド事務所による、中国・成都市の、橋「Jiangxi River Bridge」。自動車・自転車・歩行者の為の橋の計画。全長約300mを高さ約30mのアーチで支える構造で、形状は“彫刻的なランドマーク”としても機能。構造解析で200年に1度の気象現象にも耐えうる強度も担保
ザハ・ハディド事務所による、中国・成都市の、橋「Jiangxi River Bridge」。自動車・自転車・歩行者の為の橋の計画。全長約300mを高さ約30mのアーチで支える構造で、形状は“彫刻的なランドマーク”としても機能。構造解析で200年に1度の気象現象にも耐えうる強度も担保 photo©Arch Exist
ザハ・ハディド事務所による、中国・成都市の、橋「Jiangxi River Bridge」。自動車・自転車・歩行者の為の橋の計画。全長約300mを高さ約30mのアーチで支える構造で、形状は“彫刻的なランドマーク”としても機能。構造解析で200年に1度の気象現象にも耐えうる強度も担保 photo©Arch Exist
ザハ・ハディド事務所による、中国・成都市の、橋「Jiangxi River Bridge」。自動車・自転車・歩行者の為の橋の計画。全長約300mを高さ約30mのアーチで支える構造で、形状は“彫刻的なランドマーク”としても機能。構造解析で200年に1度の気象現象にも耐えうる強度も担保 photo©Liang Xue

ザハ・ハディド・アーキテクツが設計した、中国・成都市の、橋「Jiangxi River Bridge」です。
自動車・自転車・歩行者の為の橋の計画です。全長約300mを高さ約30mのアーチで支える構造で、形状は“彫刻的なランドマーク”としても機能します。また、構造解析で200年に1度の気象現象にも耐えうる強度も担保されました。


こちらはリリーステキストの翻訳です

成都の西線道路に架かる一連の橋の最初のものとなる全長295メートルの新しい成都西第一橋は、中国四川省の沱江の支流である江西江に架かかっています。

中央支間長185メートル、副支間長55メートル、川岸まで届く成都西第一橋梁は、蛇行する江西川に架かる道路、自転車、歩行者用の橋です。そして、西線道路が空港新都市リングロードとサイクリングルートの西側区間になることを可能にします。

アーチは120~250メートルのスパンに対して最も効率的な橋構造を提供するため、この左右対称の橋は、道路デッキの両側から立ち上がる2つの主要な鋼鉄製アーチで構成されています。上昇するにつれて、アーチは共に傾き、そのクラウンの部分で接線方向に触れ、横方向の風力から構造を安定させます。

橋を支える橋脚と橋台のダイナミックな曲率は、橋の主要なアーチと道路デッキに向かって細くなり、成都の交通インフラにおける彫刻的なランドマークとなっています。

ザハ・ハディド・アーキテクツ(ZHA)は、2019年の設計コンペに続いて橋の建設を依頼され、デザインのデジタルモデル上で構造解析ソフトウェアを使用しました。すべての材料の自重、積載荷重、交通荷重、さらに風や温度などの環境的な考慮事項を検討し、この分析によって、構造と基礎が200年に一度の気象現象に要求される基準を上回るように設計されていることが確認されました。

佐藤文+鹿嶌信哉 / K+Sアーキテクツによる、東京の「新宿SOHO」。企業の拠点機能と生活空間を内包する計画。“個性と存在感”を求め、そびえ立つ“凛とした佇まい”と遺跡の様な“長い時間軸”を備えた建築を志向。常に仕事に向合う為に“会社の一部に住空間を挿入”する様に作る
佐藤文+鹿嶌信哉 / K+Sアーキテクツによる、東京の「新宿SOHO」。企業の拠点機能と生活空間を内包する計画。“個性と存在感”を求め、そびえ立つ“凛とした佇まい”と遺跡の様な“長い時間軸”を備えた建築を志向。常に仕事に向合う為に“会社の一部に住空間を挿入”する様に作る東側外観 photo©上田宏
佐藤文+鹿嶌信哉 / K+Sアーキテクツによる、東京の「新宿SOHO」。企業の拠点機能と生活空間を内包する計画。“個性と存在感”を求め、そびえ立つ“凛とした佇まい”と遺跡の様な“長い時間軸”を備えた建築を志向。常に仕事に向合う為に“会社の一部に住空間を挿入”する様に作る2階、執務スペース photo©上田宏
佐藤文+鹿嶌信哉 / K+Sアーキテクツによる、東京の「新宿SOHO」。企業の拠点機能と生活空間を内包する計画。“個性と存在感”を求め、そびえ立つ“凛とした佇まい”と遺跡の様な“長い時間軸”を備えた建築を志向。常に仕事に向合う為に“会社の一部に住空間を挿入”する様に作る4階、キッチンとダイニング photo©上田宏

佐藤文+鹿嶌信哉 / K+Sアーキテクツが設計した、東京・新宿区の「新宿SOHO」です。
企業の拠点機能と生活空間を内包する計画です。建築家は、“個性と存在感”を求め、そびえ立つ“凛とした佇まい”と遺跡の様な“長い時間軸”を備えた建築を志向しました。また、常に仕事に向合う為に“会社の一部に住空間を挿入”する様に作りました。

敷地は新宿と飯田橋の中間地点にあたる牛込原町にある。
江戸時代には、武家地・寺社地として下町情緒のある界隈であった。今も寺社の森が点在し、近くには古くから営む小さな印刷所や、古い民家が散見され、下町の風情を残している。

一方で大久保通り沿いには高層マンション建ち並び、寺社の森と新旧の対比を見せている。敷地はその大通りから一本入った袋小路の私道に面していて、戸建て住宅やアパートなど10軒程が密集して建っているエリアにある。

建築家によるテキストより

クライアントは敷地面積が60㎡弱の小さな土地を購入し、会社の拠点機能と住宅機能を兼ね備えた建物を作り、世界に向けて情報発信をするための基地にしようと考えた。

仕事とプライベートの境が無く24時間仕事と向き合う特異な生活形態を反映して、この建物も仕事場と住まいの境が無い計画になっている。会社としては社員数が相当数いるものの、コロナ以前から全員がリモートワークで執務をしていて、ごく稀に対面で会議をする程度であるとのことだ。ある時は職場であり、ある時は住まいであり、ある時はメディアスタジオにもなるフレキシブルなプログラムが要求された。SOHOと言えど、住空間+αの執務スペースではなく、会社の一部に住空間が挿入されたようなプログラムである。

会社の拠点機能を持つ建築として力強い個性と存在感を示すために、どのような建築であるべきなのかを模索することとなった。

建築家によるテキストより

世界発信の基地としては空にそびえ立つような建築が相応しいと考えていた。
そこで、天空率を使用し、建物形状と高さの検討を重ね、建物の両サイドのボリュームを欠き取ることで建物高さを最大限確保することにした。幅員の狭い前面道路からは建物を仰ぎ見る形となり、空にそびえ立つ凛とした佇まいの建築になる。

また、どこにでもあるような近代的なビルではなく、石切場か遺跡のような長い時間軸に寄り添う建築にし、存在感を示したいと考えた。将来周辺の建物が建て替わっても、この場に静かに存在し続けるような力強いデザインイメージである。

建築家によるテキストより
胡実建築設計事務所による、岡山市の「サン・クリニック産後ケアセンター」。既存病棟を改修した育児の補助を行う施設。合理性が重視された建物を“命の喜びを分かち合う”場にする為、アーチと列柱を用いて“ヒューマンスケールな規律”を空間に付与。光を柔らかく拡散させ母子を包み込む
胡実建築設計事務所による、岡山市の「サン・クリニック産後ケアセンター」。既存病棟を改修した育児の補助を行う施設。合理性が重視された建物を“命の喜びを分かち合う”場にする為、アーチと列柱を用いて“ヒューマンスケールな規律”を空間に付与。光を柔らかく拡散させ母子を包み込む2階、廊下からホールを見る。 photo©田中克昌
胡実建築設計事務所による、岡山市の「サン・クリニック産後ケアセンター」。既存病棟を改修した育児の補助を行う施設。合理性が重視された建物を“命の喜びを分かち合う”場にする為、アーチと列柱を用いて“ヒューマンスケールな規律”を空間に付与。光を柔らかく拡散させ母子を包み込む2階、ホール photo©田中克昌
胡実建築設計事務所による、岡山市の「サン・クリニック産後ケアセンター」。既存病棟を改修した育児の補助を行う施設。合理性が重視された建物を“命の喜びを分かち合う”場にする為、アーチと列柱を用いて“ヒューマンスケールな規律”を空間に付与。光を柔らかく拡散させ母子を包み込む2階、ホール photo©田中克昌

胡実建築設計事務所が設計した、岡山市の「サン・クリニック産後ケアセンター」です。
既存病棟を改修した育児の補助を行う施設です。建築家は、合理性が重視された建物を“命の喜びを分かち合う”場にする為、アーチと列柱を用いて“ヒューマンスケールな規律”を空間に付与しました。また、光を柔らかく拡散させ母子を包み込む事も意図されました。

産後ケアセンターは、母と生まれたばかりの子が、ゆっくり体を休め、育児に必要なサポートを受ける施設である。
子どもを生む環境づくりが重要視されるいま、着目されはじめている産後ケアセンターだが、事業主である岡山サン・クリニックは早くから産後ケアセンターの重要性に注目し、事業に着手してきた。

建築家によるテキストより

リノベーションの対象となる建物は、旧産婦人科病棟の建物である。
機能性重視の建物であり、窓の配置や各部屋のレイアウトは合理性によってなされていた。
対して、産後ケアセンターは、機能的である必要もあるのだが、命の喜びを分かち合い精神性を感じる空間を作り出す必要があると感じた。

建築家によるテキストより

機能性の空間を、精神性の空間に変えるために、規律を与える試みをした。
元々の産婦人科病棟の建物のガラス窓の大開口に、リピートするアーチと列柱を加えた。機能的で無機質さを感じさせる既存病棟に、ヒューマンスケールな規律を加えることで、重厚で静溢な空間へと生まれ変わった。アーチ状のポツ窓から差し込む光がすりガラスによって分散し、さらにヴォールト状の天蓋によって光が拡散され、スペースを柔らかく包む。ソフトな光と空気が、母と子を包み込み、ゆったりとした時間が流れる。

建築家によるテキストより
堤由匡建築設計工作室による、中国・上海の店舗「ASICS上海尚賢坊フラッグストア」。洋風建物に入居する日本のブランドの店。空間の普遍性と上階への誘導を目指し、企業ロゴを意識した“螺旋階段”が3フロアを繋ぐ構成を考案。各階毎の用途に応える内装材を選択して“ふさわしい”雰囲気も作る
堤由匡建築設計工作室による、中国・上海の店舗「ASICS上海尚賢坊フラッグストア」。洋風建物に入居する日本のブランドの店。空間の普遍性と上階への誘導を目指し、企業ロゴを意識した“螺旋階段”が3フロアを繋ぐ構成を考案。各階毎の用途に応える内装材を選択して“ふさわしい”雰囲気も作る外観、夜景 photo©朱潤資
堤由匡建築設計工作室による、中国・上海の店舗「ASICS上海尚賢坊フラッグストア」。洋風建物に入居する日本のブランドの店。空間の普遍性と上階への誘導を目指し、企業ロゴを意識した“螺旋階段”が3フロアを繋ぐ構成を考案。各階毎の用途に応える内装材を選択して“ふさわしい”雰囲気も作る2階、シューズディスプレイ photo©朱潤資
堤由匡建築設計工作室による、中国・上海の店舗「ASICS上海尚賢坊フラッグストア」。洋風建物に入居する日本のブランドの店。空間の普遍性と上階への誘導を目指し、企業ロゴを意識した“螺旋階段”が3フロアを繋ぐ構成を考案。各階毎の用途に応える内装材を選択して“ふさわしい”雰囲気も作る3階、イベントスペース photo©朱潤資

堤由匡建築設計工作室が設計した、中国・上海の店舗「ASICS上海尚賢坊フラッグストア」です。
洋風建物に入居する日本のブランドの店です。建築家は、空間の普遍性と上階への誘導を目指し、企業ロゴを意識した“螺旋階段”が3フロアを繋ぐ構成を考案しました。また、各階毎の用途に応える内装材を選択して“ふさわしい”雰囲気を作る事も意図されました。

上海で最も開発が進んでいる淮海中路のエリアに1921年に建てられたスペインバロック様式の歴史建築物群が残っている。
スポーツブランドのアシックスがここにフラッグショップを出店することになり、我々がコンペにより指名を受けた。

大都市上海、中華民国時代の洋風建築物、日本発のスポーツブランド。多岐にわたる価値観が混ざり合う中で、普遍性を持ちうる力強い空間を作ることが我々の最大の目標であった。

建築家によるテキストより

既存の建築は、3階建てで細かい部屋に分かれており、さらに前後で高さが異なる複雑な構成であった。我々は、いかに顧客を奥へ、上階へと誘うかということを重点的に検討した。前後を隔てる壁は全て撤去してスキップフロアとして移動できるようにし、フロアの一部に大きな吹き抜けを設け、アシックスの代表的なロゴ「アシックス・スパイラル」を意識した螺旋階段を設置することにした。

建築家によるテキストより

1階は主にシューズがディスプレイされる。テクノロジーに裏付けされた商品にふさわしいインダストリアルな空間を意識し、テラゾー、木毛セメント板、鏡面ステンレス、木目プリントのアルミルーバーなどの工業製品を採用し、壁面にはLEDディスプレイを設置した。シューズ売り場は木毛セメント板の半円形の壁面で覆われ、発光するアクリル板上に商品が陳列される。
鏡面ステンレスの天井により発光アクリル板が反復され、近未来的な売り場を作り出す。奥には試着室があり、エンボス加工のステンレスが青白い光で照らされ、海中のような不思議な体験をすることができる。

建築家によるテキストより
成瀬・猪熊建築設計事務所と&K architectsによる、東京・中野区のシェアハウス「Social Base東中野」。街中の旧社員寮を転用。中庭のある“ロの字型”平面の活用を意図し、庭に近い場所の壁等を解体し外部化して中庭から共用部が広がる様に再構成。素材や色の選択は都会の喧騒から離れられる“落ち着いた空間”を意図
成瀬・猪熊建築設計事務所と&K architectsによる、東京・中野区のシェアハウス「Social Base東中野」。街中の旧社員寮を転用。中庭のある“ロの字型”平面の活用を意図し、庭に近い場所の壁等を解体し外部化して中庭から共用部が広がる様に再構成。素材や色の選択は都会の喧騒から離れられる“落ち着いた空間”を意図外観 photo©西川公朗
成瀬・猪熊建築設計事務所と&K architectsによる、東京・中野区のシェアハウス「Social Base東中野」。街中の旧社員寮を転用。中庭のある“ロの字型”平面の活用を意図し、庭に近い場所の壁等を解体し外部化して中庭から共用部が広がる様に再構成。素材や色の選択は都会の喧騒から離れられる“落ち着いた空間”を意図渡り廊下 photo©西川公朗
成瀬・猪熊建築設計事務所と&K architectsによる、東京・中野区のシェアハウス「Social Base東中野」。街中の旧社員寮を転用。中庭のある“ロの字型”平面の活用を意図し、庭に近い場所の壁等を解体し外部化して中庭から共用部が広がる様に再構成。素材や色の選択は都会の喧騒から離れられる“落ち着いた空間”を意図1階、左:エントランスホール、右:ダイニング photo©西川公朗
成瀬・猪熊建築設計事務所と&K architectsによる、東京・中野区のシェアハウス「Social Base東中野」。街中の旧社員寮を転用。中庭のある“ロの字型”平面の活用を意図し、庭に近い場所の壁等を解体し外部化して中庭から共用部が広がる様に再構成。素材や色の選択は都会の喧騒から離れられる“落ち着いた空間”を意図1階、ダイニング photo©西川公朗

成瀬・猪熊建築設計事務所&K architectsが設計した、東京・中野区のシェアハウス「Social Base東中野」です。
街中の旧社員寮を転用する計画です。建築家は、中庭のある“ロの字型”平面の活用を意図し、庭に近い場所の壁等を解体し外部化して中庭から共用部が広がる様に再構成しました。また、素材や色の選択は都会の喧騒から離れられる“落ち着いた空間”が意図されました。

築57年の旧JR東日本東中野寮を耐震補強・リノベーションし、シェアハウスとして再生したプロジェクトです。

敷地は東中野駅のほど近く、店舗や住宅、高層マンションが混在する雑多な街の中にある。既存建物の一番の特徴はロの字型の構成だが、その大きな中庭空間は、外部からは感じられず、またその中央に屋内廊下があることで庭が二つに分断され、本来の可能性を活かしているとは言えない状況だった。

建築家によるテキストより

私たちはこのロの字形の構成を生かすため、もともと室内であった中庭を貫通する廊下やエントランスといった屋内空間62㎡を、屋根を残して解体した。室内の共用部は、この中庭を中心に広がるよう再構成し、浴室だった場所を段差のあるラウンジやワークスペースに、閉じていた厨房をオープンなキッチンに、管理人の寝食スペースだった場所を防音室やトレーニングジムに、また寮室の一部とメールコーナーをシャワールームに置き換えた。

建築家によるテキストより

仕上げについては、中庭を含む外壁を落ち着いたグレーの階調に塗装し直し、室内は共用部をダークトーンと木でまとめ、中庭にむかって大きく開きながらも、素材が豊で手触りがある、落ち着いた空間とした。情報量の多い都会の喧騒から一気に離れることのできる、精神的にも空間的にも余白を生み出す住まいとなっている。

建築家によるテキストより
最も注目を集めたトピックス[期間:2023/8/7-8/13]
最も注目を集めたトピックス[期間:2023/8/7-8/13]

アーキテクチャーフォトで、先週(期間:2023/8/7-8/13)注目を集めたトピックスをまとめてご紹介します。リアルタイムでの一週間の集計は、トップページの「Weekly Top Topics」よりご覧いただけます。


  1. 後藤周平建築設計事務所による、静岡・磐田市の「Blue house / Blue office」。設計者が子供時代から知る建物を自邸兼事務所に改修。次世代への“橋渡し”を求め、既存に宿る“設計者の意思”に“新たな意思”を継ぎ足す設計を実践。新旧が密接に関係した“意思”の混合する空間を作る
  2. 岡佑亮 / チドリスタジオによる、石川・金沢市の「北陸住居 No.2」。隣接する空地を挟み樹木を望む敷地。未来に建物が建つ可能性を考慮し、“空洞のようなテラス”を介して内部空間を離れた風景に対して開く構成を考案。道路にも視線の抜けを提供して“周辺環境の固有性”を顕在化
  3. 建築家の青木淳と写真家の鈴木理策の対談「穴が開くほど見る―建築写真から読み解く暮らしとその先 第8回」の動画がLIXILのサイトで期間限定で無料配信。其々が選んだ、セザンヌのアトリエ、桂離宮、ファニャーノ・オローナの小学校、テルメ・ヴァルスの写真を題材に、建築と写真の関係性や可能性を議論
  4. 小山光+KEY OPERATIONによる、神奈川・葉山町の別荘「Hayama Huts」。住宅が建ち並ぶ地域に計画。隣地等への配慮と周辺からの視線を考慮し、プールを備えた中庭を5つの小屋が取り囲む“景色に馴染む集落”の様な建築を考案。断面寸法や勾配も既存住宅との良好な関係を意識して決定
  5. 栗生明+北川・上田総合計画による、奈良・桜井市の「聖林寺 観音堂」。国宝の像を安置する収蔵庫の増改築。参拝も可能な“祈りの空間”として、奈良時代の設置方法を参照して“外陣”から“内陣の観音像”を仰ぎ見る構成を考案。独立免震展示ケースを用いて四周からの拝観も可能にする
  6. 一色暁生建築設計事務所による、兵庫・明石市の「林崎松江海岸の家 / カレーハウスバブルクンド」。海に近い住宅を改修した設計者の自邸兼事務所と店舗。既存から想起した“東南アジアの日本人街”を発端とし、各国文化や新旧素材等の“混在”を主題とする建築を志向。日本に根付いた“多国籍な住宅”の更新も意図
  7. 古城龍児+小畑俊洋 / STUDIO MOUNによる、長崎の「雲仙の住宅」。施主所有の農舎の隣に計画。既存建物と新住居が一体となる“生活の場”を目指し、寸法や形状等を協調させて両者が呼応する関係を構築。日常風景を様々な場所に設けた開口部で切取り“新たな景色”として見せる
  8. 若松均建築設計事務所による、京都・中京区の住戸改修「室町通りのいえ」。施主家族が住み慣れた住まいを刷新する計画。既存の生活形式にも応える“柔軟な”在り方を求め、部屋の連結と分割が出来る“可動建具”で多様な用途に応える空間を構築。日常のささやかな変化も楽しめる場を作る
  9. 長坂常 / スキーマ建築計画による、東京・渋谷区の店舗「TODAY’S SPECIAL 恵比寿」。複合施設内の雑貨店。期待感と“一期一会のワクワク感”の為に、変化のある什器群に加え裏側の雑音を敢えて導入して“賑わい”と“活気”を創出。最小限の防煙垂れ壁として用いたLGSを内装でも主要素材とする
  10. 小野龍人+三浦朋訓+ヤン・シカン / T2Pアーキテクツによる、東京・町田市の「[X] office_UNITEX」。磁気テープを扱う企業の社屋を改修。新たな顔の創出と街の記憶継承を求め、製品の曲面を想起させる“ドレープ状のメッシュ”で既存を覆う意匠を考案。社名をモチーフにした建築要素を散りばめ“本社らしさ”も付与
  11. 元木大輔 / DDAAとUDSによる、東京・渋谷区の、宿泊施設「all day place shibuya」。“まちのパブリックハウス”を主題に計画。街に積極的にはみ出し“日常の一部として機能する”存在を求め、道との境界も曖昧にして内外が連続する建築を志向。主要素材のタイルを外構から客室の浴室まで連続させる
  12. 木元洋佑建築設計室による、東京・渋谷区の「旬゛喫茶パンエス」。広い共用部に面した区画のビルオーナー直営の店舗。諸条件を読み解き、専有部に加え“移動できる小さな小屋”の客席が共用部に並ぶ構成を考案。配列の変化で様々な人数での訪問にも対応可能
  13. 石上純也建築設計事務所による、山口の「House & Restaurant」。旧知の友人の為の住宅兼店舗。“時間と共にその重みを増していく”空間の要望に、地面に穴を掘りコンクリートを流して土の中の躯体を掘り起こしガラスを嵌める建築を考案。不確定要素を許容し使い方の発見更新を繰り返して作る
  14. 山口誠デザインによる、東京・台東区の、オフィスビル「MONOSPINAL」。ゲーム制作会社の本社。従業員の“集中力”と“リラックス”のバランス確保を目指し、環境要素も向上をさせる“斜壁”を持つ建築を考案。小スケールの素材を集積をさせる仕上げで“あらたな風景”を作る
  15. 若松均建築設計事務所による、東京・世田谷区の、集合住宅「セタガヤテラス」。住宅街の角地のコーポラティブハウス。地域の環境維持を願う地主の想いに応え、部屋やテラス等を“筒”と捉え構成して“家”と“街”が繋がる様な状況を創出。生活の場を道路側に設ける計画で外との関係構築も促す
  16. 髙木貴間建築設計事務所による、北海道・札幌市の、二世帯住宅兼事務所「西日の長屋」。長屋を改修した設計者の自邸。家を“暖かく安定した環境に作る”地域の定石を外し、様々な環境特性を持つ空間を並べた“自然の変化を体感”する建築を考案。気候に合わせた移動等も“生活の楽しみ”と捉える
  17. オンデザインパートナーズによる、神奈川・横浜市の「まちのような国際学生寮」。多様な学生が住む寮。共同生活で“交流を促進”する存在を目指し、最小限の“個室”と様々な特徴を持つ居場所“ポット”を散在させた生活機能を担う“共用部”で構成。小さな滞在空間の“連続体”として建築を作る
  18. ザハ・ハディド事務所による、中国・西安の「Daxia Tower」。新技術の主要拠点となる地域の開発地区に計画。高さ210m床面積12万㎡の建築でオフィスや店舗と付帯施設を内包。自然採光と通風の最適化に加えて最新技術で入居者の行動を解析して快適性を保つ
  19. 牧戸奈須加+吾郷隆 / 牧戸建築環境設計事務所による、島根・出雲市の「YT邸」。古くから葦が群落する小さな湖の近くの敷地。日本建築の与件と土地への応答を求め、イネ科植物が持つ固有の感覚を翻訳した“縦格子”で覆われた建築を考案。伝統民家を参照した高床は防湿等の機能的役割も果たす
  20. 今津康夫 / ninkipen!による、大阪・八尾市の住宅「A」。道を挟み小学校の校庭がある敷地。正対するように“1.5階建”の切妻屋根を掛け、“街の余白”に向け軒を伸ばして“縁側”を配置。内部を特徴づける“大垂木の架構”が規則的なリズムを刻んで空間全体を包み込む

保阪猛による、約38㎡の自邸「LOVE HOUSE」(2005年竣工) の現在の様子を紹介する動画。2022年2月に公開されたものでインタビューも収録(日本語)

保阪猛が設計した、神奈川・横浜市の約38㎡の自邸「LOVE HOUSE」(2005年竣工) の現在の様子を紹介する動画です。2022年2月に公開されたもので保坂のインタビューも収録されています(日本語)。写真等はこちらのページで閲覧可能です。

(翻訳)
3.3m×10mのシンプルな白い箱の中に、窓はなく、長方形のドアが1つあるだけのLoveHouseは、建築家 保阪猛の「外に住んでいるような感覚を味わえる家に住みたい」という夢を叶えました。家に入ると、カーブした中庭と家の2階へと導く屋外階段が迎えてくれます。上部は、座って本を読んだりコーヒーを飲んだりする場所としてよく使われ、グリフィス・アッシュの木を通り過ぎ、木枠のガラス・ポケット・ドアを通ってメインのリビング・スペースへと続いています。メインのリビングエリアはシンプルで、最小限の家具と明かりはろうそくだけ。隣接するキッチンには、2.7mのカウンター、3口ガスコンロ、冷蔵庫、食器洗い機がカウンターと壁の間の小さなスペースにすっきりと収まっています。かつては寝室だった1階は、現在はくつろぎのスペースとして使われ、トイレとバスルームもあります。この家の考え抜かれたデザインと屋内外のライフスタイルは、都市ではめったに見られない方法で日常生活と自然を結びつけています。

(原文)
Set inside a simple 3.3.m x 10m white box with no windows and only one rectangular door, creating LoveHouse fulfilled architect Takeshi Hosaka’s dream to live in a house that feels like you are living outside. Entering the home, you’re greeted by a curved courtyard and outdoor staircase leading to the second floor of the house. The top, often used as a place to sit, read and drink coffee, leads into the main living space past a Griffiths Ash Tree and through a series of wooden framed glass pocket doors. The main living area is kept simple, with minimal furniture and only a candle for light. The adjoining kitchen accommodates a 2.7m counter, 3 burner gas stove, an integrated fridge and dishwasher neatly squeezed into a small space between the counter and the wall. The first floor, once the bedroom, is now used as a relaxation space, and also contains the toilet and bathroom. The home’s thoughtful design and indoor/outdoor lifestyle connect daily life with nature in a way seldom seen in cities.

また、保坂は二件目の自邸として、東京・文京区に約18㎡の「LOVE2 HOUSE」を2019年に完成させています。その動画も以下に掲載します。

妹島和世によるプレゼンテーションの動画。イギリスの建築誌主催のアワードの受賞記念に2023年3月に行われたもの

妹島和世によるプレゼンテーションの動画です。イギリスの建築誌主催の、女性とノンバイナリーを対象とした建築関係者を称えるアワードの受賞記念に2023年3月3日に行われたものです。詳細はこちらに

元木大輔 / DDAAとUDSによる、東京・渋谷区の、宿泊施設「all day place shibuya」。“まちのパブリックハウス”を主題に計画。街に積極的にはみ出し“日常の一部として機能する”存在を求め、道との境界も曖昧にして内外が連続する建築を志向。主要素材のタイルを外構から客室の浴室まで連続させる
元木大輔 / DDAAとUDSによる、東京・渋谷区の、宿泊施設「all day place shibuya」。“まちのパブリックハウス”を主題に計画。街に積極的にはみ出し“日常の一部として機能する”存在を求め、道との境界も曖昧にして内外が連続する建築を志向。主要素材のタイルを外構から客室の浴室まで連続させるアプローチと外構 photo©長谷川健太
元木大輔 / DDAAとUDSによる、東京・渋谷区の、宿泊施設「all day place shibuya」。“まちのパブリックハウス”を主題に計画。街に積極的にはみ出し“日常の一部として機能する”存在を求め、道との境界も曖昧にして内外が連続する建築を志向。主要素材のタイルを外構から客室の浴室まで連続させる2階、レセプション photo©長谷川健太
元木大輔 / DDAAとUDSによる、東京・渋谷区の、宿泊施設「all day place shibuya」。“まちのパブリックハウス”を主題に計画。街に積極的にはみ出し“日常の一部として機能する”存在を求め、道との境界も曖昧にして内外が連続する建築を志向。主要素材のタイルを外構から客室の浴室まで連続させるパーティースイート photo©長谷川健太
元木大輔 / DDAAとUDSによる、東京・渋谷区の、宿泊施設「all day place shibuya」。“まちのパブリックハウス”を主題に計画。街に積極的にはみ出し“日常の一部として機能する”存在を求め、道との境界も曖昧にして内外が連続する建築を志向。主要素材のタイルを外構から客室の浴室まで連続させるウィークエンドスイート photo©長谷川健太

元木大輔 / DDAAUDSが設計した、東京・渋谷区の、宿泊施設「all day place shibuya」です。内装・外構設計をDDAAが、建築設計をUDSが手掛けています。
“まちのパブリックハウス”を主題に計画されました。建築家は、街に積極的にはみ出し“日常の一部として機能する”存在を求め、道との境界も曖昧にして内外が連続する建築を志向しました。そして、主要素材のタイルを外構から客室の浴室まで連続させました。施設の公式サイトはこちら

これは、まちのパブリックハウスというテーマでUDSが運営する160室を有するホテルのプロジェクトだ。
敷地は、渋谷メトロの出口から徒歩1分、渋谷から青山、まさに谷から山へ向かう坂の中腹に位置している。渋谷と青山両方の雰囲気を併せ持ち、かつてON THE CORNERというとても素敵なカフェがあった場所だ。目の前には美竹公園があって、その公園と呼応するように自由なふるまいやノイズを許容するおおらかで公共性のあるホテルを目指したいと考えた。

建築家によるテキストより

そんななか、クライアントからパブの語源である「パブリックハウス」というキーワードを頂いた。「パブ」が「パブリック」からきているとは、という単純な驚きとともに、ホテルのロビー機能が街へ積極的にはみ出していく様子をイメージするのに十分なキーワードだった。ホテルは自分たちの敷地だけで完結し閉じている状態ではなく、パブリックスペースや公園のように外ににじみ出ていると良い。ホテルのお客さんだけのためではなく、渋谷の日常の一部として機能し、旅行者にとっては渋谷の日常を感じることができる。だれかの日常は誰かにとっての非日常であるように、地元の人たちも、旅行者やビジネスマンも渋谷の日常を楽しむことができる場所を目指したい。

建築家によるテキストより

ホテルのエントランスとして大きく構えるのではなく、多様かつ自由に使えるおおらかさが欲しく、正面をより開放的にしたい。アフターコロナのデザインとしても風通しの良さは重要だろう、というシンプルな理由から、あけられる扉は全て開放するデザインを提案することにした。正面を街に開け放つことで、春から秋口まで外で楽しめるコンテンツ、例えばビール屋さんとかアイス屋さんとか、お花屋さんなどが入って街に向かってはみ出して使ってもらうのだ。ホテルの利用者だけでなく、周辺の人たちが朝から晩まで多様に使える状態を、積極的に許してくれるような雰囲気をデザインしたい。

建築家によるテキストより
小野龍人+三浦朋訓+ヤン・シカン / T2Pアーキテクツによる、東京・町田市の「[X] office_UNITEX」。磁気テープを扱う企業の社屋を改修。新たな顔の創出と街の記憶継承を求め、製品の曲面を想起させる“ドレープ状のメッシュ”で既存を覆う意匠を考案。社名をモチーフにした建築要素を散りばめ“本社らしさ”も付与
小野龍人+三浦朋訓+ヤン・シカン / T2Pアーキテクツによる、東京・町田市の「[X] office_UNITEX」。磁気テープを扱う企業の社屋を改修。新たな顔の創出と街の記憶継承を求め、製品の曲面を想起させる“ドレープ状のメッシュ”で既存を覆う意匠を考案。社名をモチーフにした建築要素を散りばめ“本社らしさ”も付与外観、夜景 photo©中野幸英
小野龍人+三浦朋訓+ヤン・シカン / T2Pアーキテクツによる、東京・町田市の「[X] office_UNITEX」。磁気テープを扱う企業の社屋を改修。新たな顔の創出と街の記憶継承を求め、製品の曲面を想起させる“ドレープ状のメッシュ”で既存を覆う意匠を考案。社名をモチーフにした建築要素を散りばめ“本社らしさ”も付与外観 photo©中野幸英
小野龍人+三浦朋訓+ヤン・シカン / T2Pアーキテクツによる、東京・町田市の「[X] office_UNITEX」。磁気テープを扱う企業の社屋を改修。新たな顔の創出と街の記憶継承を求め、製品の曲面を想起させる“ドレープ状のメッシュ”で既存を覆う意匠を考案。社名をモチーフにした建築要素を散りばめ“本社らしさ”も付与1階、ロビー photo©中野幸英

小野龍人+三浦朋訓+ヤン・シカン / T2Pアーキテクツが設計した、東京・町田市の「[X] office_UNITEX」です。
磁気テープを扱う企業の社屋を改修する計画です。建築家は、新たな顔の創出と街の記憶の継承を求め、製品の曲面を想起させる“ドレープ状のメッシュ”で既存を覆う意匠を考案しました。また、社名をモチーフにした建築要素を散りばめ“本社らしさ”も付与させました。

東京町田市の歴史ある「絹の道」に位置する、創業30年のLTO(データ保存磁気テープ)を扱う企業が、創業者の代替わりを契機に既存社屋を本社として改修する。機械式駐車場であった1階と地階を、顧客向けの展示と社員同士の交流空間に転用し、金属メッシュのファサードとともに新たな会社の顔となる空間としてデザインした。

建築家によるテキストより

記録媒体の磁気テープを扱う本社として、テープの曲線を連想するドレープ状の金属メッシュで既存のタイル貼外壁を覆い、新旧要素の重なる外観が街の記憶を継承する。
金属メッシュは直射光を拡散し熱負荷を減らす環境装置でもあり、白を基調とした内装が拡散光を奥に導く。会社ロゴのX字をモチーフにした1階の引戸は、内部の使い方に応じて開閉することで街と交感する。

建築家によるテキストより

各部のデザインについては、企業や製品を想起する3つのモチーフを展開し、本社ビルらしい個性のある空間づくりを心掛けた。
1つ目は、社名のUNITEXのロゴで強調される「X」字モチーフで、ファサード引戸や1階展示壁、手摺子、家具、照明等に「X」字を繰り返し用いた。2つ目は磁気テープの「曲線」モチーフで、ドレープ状の金属メッシュファサードや、ステンレス製の「曲線」形状の内外看板と室名のサインは、直線的な空間と対比をなして場所を彩る。
3つ目は巻かれた磁気テープの「積層」モチーフで、家具や展示コーナーはシナ共芯積層合板を用い、年輪のように「積層」面を見せることで、LTOという情報を蓄積する企業イメージを表現した。

建築家によるテキストより
若松均建築設計事務所による、京都・中京区の住戸改修「室町通りのいえ」。施主家族が住み慣れた住まいを刷新する計画。既存の生活形式にも応える“柔軟な”在り方を求め、部屋の連結と分割が出来る“可動建具”で多様な用途に応える空間を構築。日常のささやかな変化も楽しめる場を作る
若松均建築設計事務所による、京都・中京区の住戸改修「室町通りのいえ」。施主家族が住み慣れた住まいを刷新する計画。既存の生活形式にも応える“柔軟な”在り方を求め、部屋の連結と分割が出来る“可動建具”で多様な用途に応える空間を構築。日常のささやかな変化も楽しめる場を作るキッチンからリビングを見る。 photo©東郷憲志
若松均建築設計事務所による、京都・中京区の住戸改修「室町通りのいえ」。施主家族が住み慣れた住まいを刷新する計画。既存の生活形式にも応える“柔軟な”在り方を求め、部屋の連結と分割が出来る“可動建具”で多様な用途に応える空間を構築。日常のささやかな変化も楽しめる場を作る左:主寝室、右:客間 photo©東郷憲志
若松均建築設計事務所による、京都・中京区の住戸改修「室町通りのいえ」。施主家族が住み慣れた住まいを刷新する計画。既存の生活形式にも応える“柔軟な”在り方を求め、部屋の連結と分割が出来る“可動建具”で多様な用途に応える空間を構築。日常のささやかな変化も楽しめる場を作る主寝室の建具を閉めた状態。 photo©東郷憲志

若松均建築設計事務所が設計した、京都・中京区の住戸改修「室町通りのいえ」です。
施主家族が住み慣れた住まいを刷新する計画です。建築家は、既存の生活形式にも応える“柔軟な”在り方を求め、部屋の連結と分割が出来る“可動建具”で多様な用途に応える空間を構築しました。また、日常のささやかな変化も楽しめる場を作る事も意図されました。

京都、烏丸御池の室町通りに面するマンションの改修。
家族3人が住み慣れた築25年程の分譲マンションをリニューアルしたいとの要望から計画がはじまる。

建築家によるテキストより

7階の端の住戸で東南北の3方向で採光・通風・眺望が確保できる。家での暮らしのなかで、お気に入りの眺めがあること、日中は全ての扉を開放し、ひとつながりのワンルームとして使うこと、知り合いを招き料理をふるまう機会が多いことなどの生活スタイルに対応できる柔軟な計画が求められた。制限の多いマンション形式の1住戸の枠の中でいかに「暮らしの自由さ」を展開できるかがテーマとなった。

建築家によるテキストより

マンション特有の鰻の寝所状の空間構成を活かし、南北に延びる大きなLDK、それと並列に寝室や水廻りからなる小さな室で間取りをつくる。最小限の壁と可動建具により構成し室同士の連結・分割し、使い方に応じて場の大きさや形が変わる。可動建具を折り畳み移動すると窓辺が開放され、部屋の奥からでも周囲の環境とダイレクトに繋がり、視線は内側から室を横断し外へと拡がり、部屋のどこにいても外が感じられ、京都特有の碁盤の目の都市構造のなかにあることにつながっていく。南北軸に伸びるパースペクティブな空間と東西方向に細かく設定された生活の場が、それぞれ直交し併存することで重層的なシーンが展開される。

建築家によるテキストより

Subscribe and Follow

公式アカウントをフォローして、
見逃せない建築情報を受け取ろう。

「建築と社会の関係を視覚化する」メディア、アーキテクチャーフォトの公式アカウントです。
様々な切り口による複眼的視点で建築に関する情報を最速でお届けします。

  • 情報募集建築・デザイン・アートの情報を随時募集しています。
  • メールマガジン メールマガジンで最新の情報を配信しています。