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最も注目を集めたトピックス[期間:2023/5/29-6/4]
最も注目を集めたトピックス[期間:2023/5/29-6/4]

アーキテクチャーフォトで、先週(期間:2023/5/29-6/4)注目を集めたトピックスをまとめてご紹介します。リアルタイムでの一週間の集計は、トップページの「Weekly Top Topics」よりご覧いただけます。


  1. 小川貴之建築デザインによる、神奈川・川崎市の、アトリエ兼住宅「VALE」。住宅地密集地に建つ設計者の自邸。外的な環境を内部に作り“享受する術”を模索し、中央に“深さ10mのヴォイド”を設けて別れた空間を“小さな橋”で繋ぐ構成を考案。“谷間”の様な場は光と温度の変化も伝える
  2. 上林剛典 / platによる、栃木・日光市の、宿泊施設「NIKKO A棟」。山と湖を一望できる自然の中の敷地。ドームテントではない“グランピング施設”として、地域の規制や環境を尊重した“ほぼ外”の様な“空っぽの建築”を設計。木架構の高床で冬季の積雪にも対応
  3. 鈴木隆介一級建築士事務所による、愛知の「M邸」。3世代が住み継いだ家の増改築。住環境と設備面の与件を考慮し、既存RC躯体を活かす判断をして天井高と開放性を備えた機能空間を追加する構成を考案。合理的に複雑で多様な場を作る可能性も提示
  4. 吉村真基建築計画事務所|MYAOによる、愛知・岡崎市の店舗「YE BAKERS」。住宅街の家の一部を改修したパン店。他の建築家が手掛けた既存の持つ“作品性”に敬意を表し、“住宅ではないスケール”を主題とした設計を志向。住宅の尺度より大きな“木戸”と小さな“屋台的な構え”で空間を作る
  5. 村山徹と杉山幸一郎による連載エッセイ ”今、なに考えて建築つくってる?” 第4回「構造と工法」
  6. 古谷野裕一 / 古谷野工務店による、神奈川・横浜市の「下田町の家」。住宅街の坂の途中にある不整形な敷地。最大限の建築面積の確保を目指し、登り梁で“整形の生活空間”も実現した“五角形平面”の建築を考案。前面路の“坂を登る”体験を踏襲した緩やかな階段で上下階を繋げる
  7. 山田優+小阿瀬直+大嶋励 / SNARK Inc.による、東京・世田谷区の「尾山台の家」。壁面後退等の条例のある敷地。限られた建築面積に起因する縦動線の生活を豊かにする為、雁行形状と開口部の大きさや配置で“面積以上の広がり”を得る空間を構築。上階と下階の対比で“都市住宅で住む喜び”も喚起
  8. デイビッド・チッパーフィールド事務所による、韓国・ソウルの、オフィスビル「K-Project」。IT企業の新社屋。建築の耐久性と将来への適応性を求め、“ハードウェア”と呼ぶ躯体の中に“ソフトウェア”と呼ぶ可変的な労働空間が展開する構成を考案。低層部は地域の都市構造も取り込み一般に開放
  9. 吉田豊建築設計事務所による、広島市の「牛田本町の家」。駅近の大小の建物が混ざる地域。周囲と調和する矩形の外観の中に、三世代の居場所を作りつつ“立体的な回遊動線”と“様々な抜け”で多様な空間体験を創出。将来の生活変化も想定され新たな二世帯住宅への改変も可能
  10. 清水俊貴 / 福井工業大学と山田寛 / LoHAによる、福井・勝山市の店舗「nimbus」。磯崎新と伊東孝が設計した住宅を店舗に改修。“生きられた建築”を目指し、既存の保護と整理に加えてグリッド等を継承する“チューニング”としての設計を志向。既存空間が持つ“公共性”の質を更に引き出す
  11. MVRDVによる、オランダ・ロッテルダムの、オフィス兼研究施設「マトリックス・ワン」。持続可能な解決策に取り組む企業等が入る施設。サステイナブルの限界に挑み、将来的な解体と他建物の資源としての再利用も想定して設計。人々の交流を促す“社会的階段”はキャンパスのハブとして機能
  12. ヴェネチアビエンナーレ国際建築展2023の日本館。“愛される建築を目指して ─ 建築を生き物として捉える”をテーマに企画。キュレーションチームは大西麻貴・百田有希・原田祐馬・多田智美で構成。出展者としてdot architects(家成俊勝、土井亘、池田藍、宮地敬子)、森山茜、水野太史が名を連ねる
  13. 松井大佑 / Atelier komaによる、福岡・春日市の、診療所「light and space」。リハビリ設備も有する整形外科医院。患者が何度も往来する“待合”を主題とし、診療室とリハビリ室の緩衝帯にもなる“大らかな気積”で“縦横に光が溢れる”空間を考案。純白素材等の選択で光の拡散も意図
  14. レンゾ・ピアノが2018年4月にTEDで行ったトーク「世界有数の著名建築物を生んだ鬼才」の動画(日本語字幕付)
  15. 家具・プロダクト・建築部材が集まる見本市「インテリア ライフスタイル 2023」が、東京ビッグサイトで開催。芦沢啓治・トラフらが参加する展示「Upcycling Airplanes」やトークイベントも多数行われる
  16. 九州大学岩元真明研究室と関西学院大学荒木美香研究室による、福岡市の「オーゼティック・パビリオン」。金属板を加工して制作されたパーゴラ。平面に切込を周期的に入れる“幾何学的パターン”を応用し、最小限の材料で多孔質の自由曲面を作る方法を開発。レーザー加工と人力で制作でき特殊な型枠や治具は不要
  17. デイビッド・チッパーフィールド事務所による、ギリシャ・アテネの「国立考古学博物館」。19世紀築の新古典主義建築の施設を改修増築。人々と遺産を結ぶ建築を求め、既存建物の台座を通りまで延長して“街と接続”すると共に上部に公園を新設。既存建物を尊重し調和させながら展示空間等を追加
  18. 石上純也建築設計事務所による、山口の「House & Restaurant」。旧知の友人の為の住宅兼店舗。“時間と共にその重みを増していく”空間の要望に、地面に穴を掘りコンクリートを流して土の中の躯体を掘り起こしガラスを嵌める建築を考案。不確定要素を許容し使い方の発見更新を繰り返して作る
  19. 石黒泰司+和祐里 / アンビエントデザインズによる、東京・渋谷区の「tracing」。展示・販売・撮影を行う施設。施主の望む“キオスク”のイメージに応える為、キオスクの構成要素を“トレース”して壁面に加えて陳列物等も設計。“作法のある仕上げ”で内装の論理的構築を試みる
  20. 今西伴仁 / Atelier tomatoによる、高知・四万十市の「WANLIFE DOG VILLAGE」。田園の中のペットの複合施設。風景を増幅して見せる“介入”を目指し、地域の海や山並みを地盤起伏等で再現したドッグランを構築。建築は諸機能ごとに分散させて場所と動物のスケールに馴染ませる

デイビッド・チッパーフィールド事務所による、ギリシャ・アテネの「国立考古学博物館」。19世紀築の新古典主義建築の施設を改修増築。人々と遺産を結ぶ建築を求め、既存建物の台座を通りまで延長して“街と接続”すると共に上部に公園を新設。既存建物を尊重し調和させながら展示空間等を追加
デイビッド・チッパーフィールド事務所による、ギリシャ・アテネの「国立考古学博物館」。19世紀築の新古典主義建築の施設を改修増築。人々と遺産を結ぶ建築を求め、既存建物の台座を通りまで延長して“街と接続”すると共に上部に公園を新設。既存建物を尊重し調和させながら展示空間等を追加新施設を通りから見る。 image©Filippo Bolognese Images
デイビッド・チッパーフィールド事務所による、ギリシャ・アテネの「国立考古学博物館」。19世紀築の新古典主義建築の施設を改修増築。人々と遺産を結ぶ建築を求め、既存建物の台座を通りまで延長して“街と接続”すると共に上部に公園を新設。既存建物を尊重し調和させながら展示空間等を追加美術館への新しい入口。 image©Filippo Bolognese Images
デイビッド・チッパーフィールド事務所による、ギリシャ・アテネの「国立考古学博物館」。19世紀築の新古典主義建築の施設を改修増築。人々と遺産を結ぶ建築を求め、既存建物の台座を通りまで延長して“街と接続”すると共に上部に公園を新設。既存建物を尊重し調和させながら展示空間等を追加流れる様な展示空間。 image©Filippo Bolognese Images
デイビッド・チッパーフィールド事務所による、ギリシャ・アテネの「国立考古学博物館」。19世紀築の新古典主義建築の施設を改修増築。人々と遺産を結ぶ建築を求め、既存建物の台座を通りまで延長して“街と接続”すると共に上部に公園を新設。既存建物を尊重し調和させながら展示空間等を追加新旧が繋がる中央のコートヤード。 image©Filippo Bolognese Images

デイビッド・チッパーフィールド・アーキテクツによる、ギリシャ・アテネの「国立考古学博物館」です。
19世紀築の新古典主義建築の施設を改修増築する計画です。建築家は、人々と遺産を結ぶ建築を求め、既存建物の台座を通りまで延長して“街と接続”すると共に上部に公園を新設しました。また、既存建物を尊重し調和させながら展示空間等を追加する事も意図されています。

こちらは建築家によるテキストの翻訳です

デイビッド・チッパーフィールド・アーキテクツ・ベルリンは、アテネの国立考古学博物館のコンペに勝利しました。国際評価委員会が10件の最終候補の中から全会一致でデザインを決定しました。この提案は、ギリシャのキリアコス・ミトタキス首相の立会いのもとで発表されました。

アテネのエグザルチア地区にある国立考古学博物館には、先史時代や古代美術の世界的に重要なコレクションが収蔵されています。ルートヴィヒ・ランゲとエルンスト・ツィラーによるオリジナルの新古典主義建築は、1866年から1874年のもので、時代とともに追加建築が行われてきました。改装と増築により、アテネ国立考古学博物館は、品質、開放性、持続可能性の面で今日の基準に合うよう近代化されます。国立考古学博物館の再生は、現代のギリシャ人とその遺産を結ぶ強力なリンクとして、また、同国への観光客が過去最多を記録した年に続き、海外からの観光客に対するギリシャ文化の提供の強化を象徴します。

デイヴィッド・チッパーフィールド・アーキテクツ・ベルリンは、ランゲのオリジナルデザインのエッセンスを引き継いでいます。それは、都市景観のロマンティックな哲学的アイデア、密集した都市のグリッドの中に緑豊かなオープンエリアを通して明確に表現されています。また、モニュメンタルな建物を出発点として、それを自然で縁取りしています。既存建物の台座は通りまで延長され、歴史的なランドマークビルに新たな舞台を提供するとともに、地下2階のギャラリーを追加しています。ひとつの身振りで、およそ20,000m2のスペースが追加され、屋上には誰もが利用できる緑豊かな公園が誕生します。建物の歴史的価値を尊重し、増築部分は既存の建築と競合を熱望することなく、新旧のバランスを見極めながら、空間の調和したアンサンブルを形成しています。

デザインのロジックは、広大な緑の広場に面して堂々とした新古典主義建築があるという既存の敷地の地形に沿ったものです。増築部分には、美術館の主要な公共機能が含まれます。それはチケットデスク、ショップ、レストラン、講堂、常設展・企画展スペースなどです。そして、歴史的建造物を意識したシンメトリーな構成になっています。メインのエントランスは、街路レベルまで前進させられ、街と美術館の関係をより強固なものにしています。新しいファサードによって、美術館は都市環境とオープンにコミュニケーションをとり、通行人には新しい展示スペースが見えるようになっています。

美術館に入ると、来館者は2つのフロアが連続する流れるような展示空間を通り抜け、既存の建物へと導かれます。純粋で明快なヴォリューム、斜めの景色、土壁などの洗練された建築言語が、歴史的な空間と対照をなしています。光と影の緻密な戯れと相まって、地下の洞窟のような感覚を呼び起こし、コレクションから生まれた工芸品や彫刻を展示するための繊細な舞台を形成しています。

小川貴之建築デザインによる、神奈川・川崎市の、アトリエ兼住宅「VALE」。住宅地密集地に建つ設計者の自邸。外的な環境を内部に作り“享受する術”を模索し、中央に“深さ10mのヴォイド”を設けて別れた空間を“小さな橋”で繋ぐ構成を考案。“谷間”の様な場は光と温度の変化も伝える
小川貴之建築デザインによる、神奈川・川崎市の、アトリエ兼住宅「VALE」。住宅地密集地に建つ設計者の自邸。外的な環境を内部に作り“享受する術”を模索し、中央に“深さ10mのヴォイド”を設けて別れた空間を“小さな橋”で繋ぐ構成を考案。“谷間”の様な場は光と温度の変化も伝える外観 photo©太田拓実
小川貴之建築デザインによる、神奈川・川崎市の、アトリエ兼住宅「VALE」。住宅地密集地に建つ設計者の自邸。外的な環境を内部に作り“享受する術”を模索し、中央に“深さ10mのヴォイド”を設けて別れた空間を“小さな橋”で繋ぐ構成を考案。“谷間”の様な場は光と温度の変化も伝える1階、エントランスからポーチを見る。 photo©太田拓実
小川貴之建築デザインによる、神奈川・川崎市の、アトリエ兼住宅「VALE」。住宅地密集地に建つ設計者の自邸。外的な環境を内部に作り“享受する術”を模索し、中央に“深さ10mのヴォイド”を設けて別れた空間を“小さな橋”で繋ぐ構成を考案。“谷間”の様な場は光と温度の変化も伝える2階、ブリッジからリビングルームを見る。 photo©太田拓実

小川貴之建築デザインが設計した、神奈川・川崎市の、アトリエ兼住宅「VALE」です。
住宅地密集地に建つ設計者の自邸です。建築家は、外的な環境を内部に作り“享受する術”を模索し、中央に“深さ10mのヴォイド”を設けて別れた空間を“小さな橋”で繋ぐ構成を考案しました。また、“谷間”の様な場は光と温度の変化も伝えます。

神奈川県川崎市の住宅街に位置する設計者自身のアトリエ兼住宅である。

中層住宅密集地で、日当り、風通し、視線の抜けなどが良好とは言えない立地のため、外部環境を活かす設計セオリーを持ち出すのは得策ではなかった。そこで発想を変え、外部に手がかりを求めるのではなく、住宅内部に外部のような空間をつくり、その環境を享受する術を模索することにした。

建築家によるテキストより

高度地区の影響で高さは8m程度に抑えられ、4m道路の影響で容積率も必要最小限という設計条件だった。
この敷地の可能性を最大限に引き出すために、最初に地下を含めた施工可能なコンクリートのボリュームを想定した。次に幅3.6m、長さ11.4mの東西に冗長な量塊を分かつように中央に深さ10mのボイドを穿った。そして、2つに分かれたボリュームをつなぐように水平に4つの小さな橋を架け、垂直には小さならせん階段を架けた。

建築家によるテキストより

堅いコンクリートで覆われた内部が一度都市から切り離されることでそこは谷間のように、10mの自然光のグラデーション、反響する声や音と深い静謐、対流する温かい空気と冷たい空気など、視線、動線、現象が自然と集まる場となった。

建築家によるテキストより
松井大佑 / Atelier komaによる、福岡・春日市の、診療所「light and space」。リハビリ設備も有する整形外科医院。患者が何度も往来する“待合”を主題とし、診療室とリハビリ室の緩衝帯にもなる“大らかな気積”で“縦横に光が溢れる”空間を考案。純白素材等の選択で光の拡散も意図
松井大佑 / Atelier komaによる、福岡・春日市の、診療所「light and space」。リハビリ設備も有する整形外科医院。患者が何度も往来する“待合”を主題とし、診療室とリハビリ室の緩衝帯にもなる“大らかな気積”で“縦横に光が溢れる”空間を考案。純白素材等の選択で光の拡散も意図俯瞰 photo©ikumasatoshi
松井大佑 / Atelier komaによる、福岡・春日市の、診療所「light and space」。リハビリ設備も有する整形外科医院。患者が何度も往来する“待合”を主題とし、診療室とリハビリ室の緩衝帯にもなる“大らかな気積”で“縦横に光が溢れる”空間を考案。純白素材等の選択で光の拡散も意図1階、入口から見る。左:リハビリルーム、右:待合 photo©ikumasatoshi
松井大佑 / Atelier komaによる、福岡・春日市の、診療所「light and space」。リハビリ設備も有する整形外科医院。患者が何度も往来する“待合”を主題とし、診療室とリハビリ室の緩衝帯にもなる“大らかな気積”で“縦横に光が溢れる”空間を考案。純白素材等の選択で光の拡散も意図1階、リハビリルーム photo©ikumasatoshi

松井大佑 / Atelier komaが設計した、福岡・春日市の、診療所「light and space」です。
リハビリ設備も有する整形外科医院の計画です。建築家は、患者が何度も往来する“待合”を主題とし、診療室とリハビリ室の緩衝帯にもなる“大らかな気積”で“縦横に光が溢れる”空間を考案しました。また、純白素材等の選択で光の拡散も意図されました。

福岡市のベッドタウン、春日市に新規開業する整形外科の計画。

敷地は道路拡幅事業に伴い、2区画が病院エリアとなる一角にある。隣接の内科と薬局が先行して建築されること、駐車場の配置と拡幅道路から敷地内への進入口も決まっていたこともあり、建ちかたは自然と固定されていった。そのなかで所定の面積を確保することが求められ、特にリハビリ室は建主の経験則から〇〇㎡以上必要、ということも計画を左右する条件であった。

建築家によるテキストより

クリニックの設計は建築計画学的要素が強く、特に動線計画は患者と医療従事者をつむぐ医療建築の要だ。今回の整形外科では「受付→待合→診療→待合→リハビリ→待合」の順に患者の動線がつながる。「診療」や「リハビリ」は空間の豊かさもさることながら、医師と患者のコミュニケーションによって診察/治療がなされていくため、空間はそのコミュニケーションを後推しする背景としての役割が強い。

何度も往来を重ねる「待合」に注目する。受付を済まし診療に呼ばれるまでの間、病状によってはすこしの緊張とともに過ごすこともあるだろう。また、クリニックのなかで唯一、医療行為の行き届かない場所とも言える。次第に、さまざまな心境の患者が集う「待合」について考えることが本プロジェクトの命題となっていった。

建築家によるテキストより

待合だけは空へ向かって背を伸ばし、細くて高い空間とした。空に向かって伸びた待合上方には、南側に面してハイサイドライトを設けた。挿す光が診察エリアの背となる白い壁面を照らすとともに、地上部に光をやんわりと落ちる。その光が床にバウンドして、リハビリエリアにも届くようガラスを用いて仕切り、縦横に光が溢れる空間とした。

インテリアも光を手綱に進めた。純白の壁と床を下地として、奥まった場所にはステンレスの家具を配置し、その光沢が光を拡散させるように計らった。色彩は春日市の色であるとともに医療器具にも多く用いられる萌黄色と、その補色としての朱色をアイキャッチに施し、建築と備品を馴染ませようとした。

建築家によるテキストより
吉村真基建築計画事務所|MYAOによる、愛知・岡崎市の店舗「YE BAKERS」。住宅街の家の一部を改修したパン店。他の建築家が手掛けた既存の持つ“作品性”に敬意を表し、“住宅ではないスケール”を主題とした設計を志向。住宅の尺度より大きな“木戸”と小さな“屋台的な構え”で空間を作る
吉村真基建築計画事務所|MYAOによる、愛知・岡崎市の店舗「YE BAKERS」。住宅街の家の一部を改修したパン店。他の建築家が手掛けた既存の持つ“作品性”に敬意を表し、“住宅ではないスケール”を主題とした設計を志向。住宅の尺度より大きな“木戸”と小さな“屋台的な構え”で空間を作る外観 photo©ToLoLo studio
吉村真基建築計画事務所|MYAOによる、愛知・岡崎市の店舗「YE BAKERS」。住宅街の家の一部を改修したパン店。他の建築家が手掛けた既存の持つ“作品性”に敬意を表し、“住宅ではないスケール”を主題とした設計を志向。住宅の尺度より大きな“木戸”と小さな“屋台的な構え”で空間を作る外観 photo©ToLoLo studio
吉村真基建築計画事務所|MYAOによる、愛知・岡崎市の店舗「YE BAKERS」。住宅街の家の一部を改修したパン店。他の建築家が手掛けた既存の持つ“作品性”に敬意を表し、“住宅ではないスケール”を主題とした設計を志向。住宅の尺度より大きな“木戸”と小さな“屋台的な構え”で空間を作るベーカリーショップ photo©ToLoLo studio

吉村真基建築計画事務所|MYAOが設計した、愛知・岡崎市の「YE BAKERS(イエベイカーズ)」です。
住宅街の家の一部を改修したパン店です。建築家は、他の建築家が手掛けた既存の持つ“作品性”に敬意を表し、“住宅ではないスケール”を主題とした設計を志向しました。そして、住宅の尺度より大きな“木戸”と小さな“屋台的な構え”で空間を作りました。既存の建物は、Studio Velocityによる「大門の母屋と新屋」です。店舗の公式ページはこちら

Studio Velocity作品「大門の母屋と新屋」の一部をショップと業務用厨房に改修した住宅街の小さなベーカリー。
リノベーションは、既になされた建築行為と後から加わる建築行為が層をなすところに何かが宿る。

建築家によるテキストより

既存建物の作品性に敬意を示して、住宅ではないスケールでつくることをテーマとした。具体的には、住宅スケールよりも大きな前面の木戸/住宅スケールよりも小さい屋台的なショップの構え、の組み合わせで計画している。

建築家によるテキストより

住宅街にあることを踏まえて、シャッターの代わりに軸回転の大きな木戸を用い、閉店時には店の存在を感じさせない閉じた箱になり、開店時には開いた木戸が衝立となって店構えの背景となる。これは同時に隣家に対する配慮にもなっている。

ショップのサービス空間は、もともと6畳大の離れとして計画されていた既存建物の一階にひと回り小さな屋台を嵌め込んだような構えとした。スケールも屋台に倣い、材も空間の寸法も住宅サイズの8割で押さえている。

建築家によるテキストより
山田優+小阿瀬直+大嶋励 / SNARK Inc.による、東京・世田谷区の「尾山台の家」。壁面後退等の条例のある敷地。限られた建築面積に起因する縦動線の生活を豊かにする為、雁行形状と開口部の大きさや配置で“面積以上の広がり”を得る空間を構築。上階と下階の対比で“都市住宅で住む喜び”も喚起
山田優+小阿瀬直+大嶋励 / SNARK Inc.による、東京・世田谷区の「尾山台の家」。壁面後退等の条例のある敷地。限られた建築面積に起因する縦動線の生活を豊かにする為、雁行形状と開口部の大きさや配置で“面積以上の広がり”を得る空間を構築。上階と下階の対比で“都市住宅で住む喜び”も喚起外観 photo©新澤一平
山田優+小阿瀬直+大嶋励 / SNARK Inc.による、東京・世田谷区の「尾山台の家」。壁面後退等の条例のある敷地。限られた建築面積に起因する縦動線の生活を豊かにする為、雁行形状と開口部の大きさや配置で“面積以上の広がり”を得る空間を構築。上階と下階の対比で“都市住宅で住む喜び”も喚起1階、リビング photo©新澤一平
山田優+小阿瀬直+大嶋励 / SNARK Inc.による、東京・世田谷区の「尾山台の家」。壁面後退等の条例のある敷地。限られた建築面積に起因する縦動線の生活を豊かにする為、雁行形状と開口部の大きさや配置で“面積以上の広がり”を得る空間を構築。上階と下階の対比で“都市住宅で住む喜び”も喚起1階、ダイニングからリビングを見る。 photo©新澤一平

山田優+小阿瀬直+大嶋励 / SNARK Inc.が設計した、東京・世田谷区の「尾山台の家」です。
壁面後退等の条例のある敷地に計画されました。建築家は、限られた建築面積に起因する縦動線の生活を豊かにする為、雁行形状と開口部の大きさや配置で“面積以上の広がり”を得る空間を構築しました。また、上階と下階の対比で“都市住宅で住む喜び”も喚起します。

条例により敷地境界からのセットバックと一定面積の緑化が義務づけられている住宅街に建つ木造住宅である。

建築家によるテキストより

前面道路は幅員4mの通り抜け不可の私道であるが、条例のセットバックと緑化により周囲の住宅とは親密な距離をもって共存できる敷地である。その一方で、セットバック義務と駐車場や庭など必要とされる外部を考慮すると求められる諸室に対して建築可能なフットプリントは十分ではない。

半ば自動的に地下とロフトが収納に割り当てられ、縦の動線を行き来しながら生活する計画となった。

建築家によるテキストより

ヴォリュームは3つのブロックに雁行させ、前面道路側を駐車場として、その反対側を庭として、それぞれにまとまった外部を確保した。中央のブロックには大きな開口がある階段室と吹き抜けを設け、周辺に対して親密な距離で縦に展開される生活をつないでいる。

それぞれの個室は閉じた部屋とならないよう大開口の引き戸や大きなガラスで分節し、隣地の隙間を狙った開口により面積以上の広がりを得ている。階高が高いホールのような1階と階高を低くした2階が縦の生活動線にコントラストをもたらし都市住宅で住む喜びを喚起している。

建築家によるテキストより
上林剛典 / platによる、栃木・日光市の、宿泊施設「NIKKO A棟」。山と湖を一望できる自然の中の敷地。ドームテントではない“グランピング施設”として、地域の規制や環境を尊重した“ほぼ外”の様な“空っぽの建築”を設計。木架構の高床で冬季の積雪にも対応
上林剛典 / platによる、栃木・日光市の、宿泊施設「NIKKO A棟」。山と湖を一望できる自然の中の敷地。ドームテントではない“グランピング施設”として、地域の規制や環境を尊重した“ほぼ外”の様な“空っぽの建築”を設計。木架構の高床で冬季の積雪にも対応北面外観 photo©長谷川健太
上林剛典 / platによる、栃木・日光市の、宿泊施設「NIKKO A棟」。山と湖を一望できる自然の中の敷地。ドームテントではない“グランピング施設”として、地域の規制や環境を尊重した“ほぼ外”の様な“空っぽの建築”を設計。木架構の高床で冬季の積雪にも対応客室 photo©長谷川健太
上林剛典 / platによる、栃木・日光市の、宿泊施設「NIKKO A棟」。山と湖を一望できる自然の中の敷地。ドームテントではない“グランピング施設”として、地域の規制や環境を尊重した“ほぼ外”の様な“空っぽの建築”を設計。木架構の高床で冬季の積雪にも対応客室 photo©長谷川健太

上林剛典 / platが設計した、栃木・日光市の宿泊施設「NIKKO A棟」です。
山と湖を一望できる自然の中の敷地に計画されました。建築家は、ドームテントではない“グランピング施設”として、地域の規制や環境を尊重した“ほぼ外”の様な“空っぽの建築”を設計しました。また、木架構の高床で冬季の積雪にも対応します。

男体山と中禅寺湖が一望できる奥日光の自然に恵まれた環境の中に、宿泊棟を設計した。

建築家によるテキストより

グランピング施設ではあるが、所謂ドームテント的なものではなく、屋根はあるがほぼ外のような、大自然と溶け込む空っぽの建築として計画。社寺建築のように、床を高さ1.2m木架構で浮かせ、周辺を柔らかく照らし、冬季には最大1mの積雪であっても機能するように建物と地面との関係を検討した。

建築家によるテキストより

また、国立公園ならではの規制を柔軟に受け入れ、既存樹木に寄り添い、建築が主張し過ぎることがないように慎重に建物の素材やボリュームを決定した。

広大な自然に対して、少し人間に優しい居場所がある、そんな空間を目指した。

建築家によるテキストより
吉田豊建築設計事務所による、広島市の「牛田本町の家」。駅近の大小の建物が混ざる地域。周囲と調和する矩形の外観の中に、三世代の居場所を作りつつ“立体的な回遊動線”と“様々な抜け”で多様な空間体験を創出。将来の生活変化も想定され新たな二世帯住宅への改変も可能
吉田豊建築設計事務所による、広島市の「牛田本町の家」。駅近の大小の建物が混ざる地域。周囲と調和する矩形の外観の中に、三世代の居場所を作りつつ“立体的な回遊動線”と“様々な抜け”で多様な空間体験を創出。将来の生活変化も想定され新たな二世帯住宅への改変も可能東面外観 photo©田中克昌
吉田豊建築設計事務所による、広島市の「牛田本町の家」。駅近の大小の建物が混ざる地域。周囲と調和する矩形の外観の中に、三世代の居場所を作りつつ“立体的な回遊動線”と“様々な抜け”で多様な空間体験を創出。将来の生活変化も想定され新たな二世帯住宅への改変も可能2階、ダイニングキッチンの吹抜 photo©田中克昌
吉田豊建築設計事務所による、広島市の「牛田本町の家」。駅近の大小の建物が混ざる地域。周囲と調和する矩形の外観の中に、三世代の居場所を作りつつ“立体的な回遊動線”と“様々な抜け”で多様な空間体験を創出。将来の生活変化も想定され新たな二世帯住宅への改変も可能3階、リビングから吹抜方向を見る。 photo©田中克昌

吉田豊建築設計事務所が設計した、広島市の「牛田本町の家」です。
駅近の大小の建物が混ざる地域に計画されました。建築家は、周囲と調和する矩形の外観の中に、三世代の居場所を作りつつ“立体的な回遊動線”と“様々な抜け”で多様な空間体験を創出しました。また、将来の生活変化も想定され新たな二世帯住宅への改変も可能なように作られています。

広島駅からほど近い敷地周辺には、商業施設や中層集合住宅、そして低層の住宅など、様々なスケールの建物が混在している。
西側と北側には低層住宅が接し、隣地の駐車場を挟んで車通りの多い東側の幹線道路沿いには、中層の店舗付き集合住宅の立ち並んだ街路景観が形成されている。

建築家によるテキストより

三世代にまたがる二世帯6人家族の住まいとして家族それぞれの居場所のある住まいであること、また家族構成の将来変動を見据えた計画あること、これがこの住宅で求められたテーマである。
具体的には、二世代目となる夫婦だけの生活を見据え、間仕切り壁の追加や、キッチン・水廻りの増設などにより、新たな二世帯の住宅へと改変を可能とする時間軸を持った住宅計画となっている。

建築家によるテキストより

駐車スペースを確保しながら、中層の街路景観に溶け込むように矩形のボリュームとして重層させた内部では、諸室構成と動線設定のスタディを重ね、家族の居場所をつくるのと同時に、将来的な住戸の分割を可能な空間構成を導いた。

建築家によるテキストより
MVRDVによる、オランダ・ロッテルダムの、オフィス兼研究施設「マトリックス・ワン」。持続可能な解決策に取り組む企業等が入る施設。サステイナブルの限界に挑み、将来的な解体と他建物の資源としての再利用も想定して設計。人々の交流を促す“社会的階段”はキャンパスのハブとして機能
MVRDVによる、オランダ・ロッテルダムの、オフィス兼研究施設「マトリックス・ワン」。持続可能な解決策に取り組む企業等が入る施設。サステイナブルの限界に挑み、将来的な解体と他建物の資源としての再利用も想定して設計。人々の交流を促す“社会的階段”はキャンパスのハブとして機能 photo©Daria Scagliola
MVRDVによる、オランダ・ロッテルダムの、オフィス兼研究施設「マトリックス・ワン」。持続可能な解決策に取り組む企業等が入る施設。サステイナブルの限界に挑み、将来的な解体と他建物の資源としての再利用も想定して設計。人々の交流を促す“社会的階段”はキャンパスのハブとして機能 photo©Daria Scagliola
MVRDVによる、オランダ・ロッテルダムの、オフィス兼研究施設「マトリックス・ワン」。持続可能な解決策に取り組む企業等が入る施設。サステイナブルの限界に挑み、将来的な解体と他建物の資源としての再利用も想定して設計。人々の交流を促す“社会的階段”はキャンパスのハブとして機能 photo©Daria Scagliola
MVRDVによる、オランダ・ロッテルダムの、オフィス兼研究施設「マトリックス・ワン」。持続可能な解決策に取り組む企業等が入る施設。サステイナブルの限界に挑み、将来的な解体と他建物の資源としての再利用も想定して設計。人々の交流を促す“社会的階段”はキャンパスのハブとして機能 photo©Daria Scagliola

MVRDVが設計した、オランダ・ロッテルダムの、オフィス兼研究施設「マトリックス・ワン」です。
持続可能な解決策に取り組む企業等が入る施設です。建築家は、サステイナブルの限界に挑み、将来的な解体と他建物の資源としての再利用も想定して設計しました。また、人々の交流を促す“社会的階段”はキャンパスのハブとして機能します。

こちらはリリーステキストの翻訳です

解体されることを想定したデザイン:MVRDVが、実験的なソーシャルスペースを備えたオフィス兼研究所「マトリックス・ワン」を完成

アムステルダム・サイエンス・パークの中心に位置するMVRDV設計の研究所兼オフィスビル「マトリックス・ワン」が竣工しました。マトリックス・イノベーション・センターのメインハブとして、6階建て、13,000㎡のビルは、キャンパス内に重要なソーシャルスペースとアメニティを提供します。重要なこととして、このプロジェクトは、サステイナブルデザインの限界にも挑んでいます。解体可能な建設、「社会的階段」、スマート照明のための太陽光発電、大量の駐輪場など、あらゆる可能性からサステイナブルな考えを取り入れています。マトリックス・ワンは、アムステルダムの意欲的なエネルギー使用目標を達成し、BREAAM-Excellentの認定を受けています。このビルの利用者は、サステナビリティのソリューションにも取り組んでいます。アムステルダム大学のサステナラボは、ここで持続可能な未来のための技術に取り組んでいます。

マトリックス・ワンは、アムステルダム・サイエンス・パークの一部であるマトリックス・イノベーション・センターを構成する7つの建物の中で最大のもので、科学者や起業家が現在および将来の問題に対する持続可能な解決策に取り組んでいる場所です。マトリックス・ワン自体には、科学研究所とオフィスが混在しています。クアルコムを含むハイテク企業や、フォトノール、スカイツリー、スタートアップのFULフーズなどのサステイナビリティ企業です。

マトリックス・イノベーション・センターのメインの建物であるマトリックス・ワンは、アムステルダム・サイエンスパークやそれを越えて、他の建物のサステイナブルな模範となることを目指しています。建物は取り外し可能な設計になっています。ネジやボルトのようなシンプルな接合は、建物の各部を更新する際に取り外して再利用することを可能にします。建物の床においても、接合部のないプレハブのコンクリートスラブを使用することで、建物の寿命が尽きても再利用できるようにしています。Madasterというプラットフォームは、包括的なマテリアル・パスポート・システムを提供し、12万を超える個々の部品について、使用する素材や 製品、CO2貯蔵量を把握することができるようになっています。

屋上には1,000㎡のソーラーパネルがあり、建物のエネルギーの一部を発電しています。また、インターネットに接続された照明器具や暖房器具がエネルギー消費の削減に役立っています(重要な研究機器の電源は別回路で供給されます)。このように、発電とエネルギー消費の削減を組み合わせることで、建物自体が消費するエネルギーのかなりの割合を生産しているため、エネルギー性能に関するアムステルダムの野心的な目標を達成しているのです。

マトリックス・イノベーション・センターのメインの建物として、マトリックス・ワンはキャンパスのソーシャルハブとしての役割を担っています。MVRDVのデザインのカギとなる要素は、建物南角のメインエントランスのすぐ横にある大きな「社会的階段」で、これはキャンパス全体に見られるジグザグした小道の続きとして構想されています。この階段は、プレゼンテーション用のトリビューン型シート、インフォーマルなミーティング用のテーブル、コーヒーステーションを備えており、異業種のワーカーが交流し、アイデアを共有することを可能にします。MVRDVがup architectureと共同で開発したこのスペースのインテリアデザインには、ガラスファサードを通して見える複数の緑豊かな壁があり、他の場所では柔らかいフェルト仕上げが音の反響を劇的に減らし、ソーシャルスペースに穏やかで親密な雰囲気を与えています。

この社会的階段は、建物のアメニティによって補完されており、1階にはレストラン、階段の上部にはバーがあります。これらの社会的機能は「クラブ・マトリックス」を形成し、周囲のマトリックスビルの労働者が利用することができます。また、マトリックス・ワンが知識の創造と共有のための中心的な拠点となることを確証する、100席のオーディトリアムも備えています。

【ap job更新】 素材感を大切に設計し、“佇む”建築をつくる「中尾英己建築設計事務所」が、設計スタッフ(2023年新卒・既卒・経験者)とアルバイトを募集中
【ap job更新】 素材感を大切に設計し、“佇む”建築をつくる「中尾英己建築設計事務所」が、設計スタッフ(2023年新卒・既卒・経験者)とアルバイトを募集中
【ap job更新】 素材感を大切に設計し、“佇む”建築をつくる「中尾英己建築設計事務所」が、設計スタッフ(2023年新卒・既卒・経験者)とアルバイトを募集中

素材感を大切に設計し、“佇む”建築をつくる「中尾英己建築設計事務所」の、設計スタッフ(2023年新卒・既卒・経験者)とアルバイト募集のお知らせです。詳しくは、ジョブボードの当該ページにてご確認ください。アーキテクチャーフォトジョブボードには、その他にも、色々な事務所の求人情報が掲載されています。
新規の求人の投稿はこちらからお気軽にお問い合わせください

弊社では、業務拡大に伴い、一緒に楽しく建築に携わってくれる建築設計スタッフ(正社員、アルバイト・パートタイム(時間応相談))を募集します。

主に住宅・集合住宅・店舗・オフィス・保育施設・クリニック・リノベーション等、様々な用途の設計・監理業務を行っています。会社は小規模ですが、上記の用途に加え木造・鉄筋コンクリート造・鉄骨造と構造種別も多岐にわたりますので、色々な設計・監理を習得できると思います。

オンラインセミナーやオープンオフィス、賃貸住宅の収支計画などのコンサルティング業務も業務の一部として行っておりますので、仕事のスキルアップにも繋がると思います。

設計は打ち合せやヒアリングをじっくりと行いその内容を理解し、クライアントのコミュニケーションを図り、いかに展開するかであると考えます。造形美や機能美のみにとどまらず、楽しみを感じられる場や空間が建物の中にいくつも存在する、そんな建物を追求しております。
家づくりをはじめどの用途の建物でも、設計には様々な回答があり、答えは一つではありません。
使い勝手を含めた平面計画や「素材感」を大切に設計を行い、自己主張しすぎない「佇む」建築を一緒に創っていきたいと思っております。

設計活動は多くの人たちとコラボレーションしながらの仕事です。
私どもの設計活動や事務所としての方針に共感していただける方、心よりお待ちしております。
雑誌等の掲載も多々あります。
設計事務所にありがちな夜遅くまでの長時間労働はあまり望みませんので、出来るだけ効率的に時間を使いながら、一緒に仕事をしていきたいと思っております。

ご応募お待ちしております。

村山徹と杉山幸一郎による連載エッセイ ”今、なに考えて建築つくってる?” 第4回「構造と工法」
村山徹と杉山幸一郎による連載エッセイ ”今、なに考えて建築つくってる?” 第4回「構造と工法」

「今、なに考えて建築つくってる?」は、建築家の村山徹と杉山幸一郎によるリレー形式のエッセイ連載です。彼ら自身が、切実に向き合っている問題や、実践者だからこその気づきや思考を読者の皆さんと共有したいと思い企画されました。この企画のはじまりや趣旨については第0回「イントロダクション」にて紹介しています。今まさに建築人生の真っただ中にいる二人の紡ぐ言葉を通して、改めてこの時代に建築に取り組むという事を再考して頂ければ幸いです。
(アーキテクチャーフォト編集部)


第4回 構造と工法

text:杉山幸一郎

 
 
モノの関係をつくる

こんにちは、杉山幸一郎です。第3回から少し時間が経ってしまいましたが、第4回は「構造と工法」というテーマについて考えていきます。突然ですが、このテーマを聞いて皆さんは何を思うでしょうか?

なんだか大学のカリキュラムにありそうで、電車の帰りに疲れた頭で読むには全然気が進まない、、。と僕なら思ってしまいます(笑)。なので、今日はテーマを少し噛み砕いて、もっと簡単な視点からリラックスして攻めていくことにしましょう。


とその前に、前回の村山徹さんの「かたちと寸法」のエッセイから。

ヨーロッパ留学経験のあるスタッフが「ヨーロッパの大学では恣意的なかたちであることは良いことだと判断されるけれど、日本は逆で悪いことであり言葉にすることをはばかられる風潮がある」と話していました。(中略) さらに社会性や事業性が重んじられ、かたちが後回しにされる昨今の建築状況もあってか、今の日本の学生はかたちに無頓着な人が多く、そして図面を重視しない人が多い。といったことについて、スイス連邦工科大学チューリッヒ校で教えている杉山さんがどう思っているのか、聞かせてもらえるとうれしいです。

今、なに考えて建築つくってる? 第3回「かたちと寸法」より

なるほど、面白い指摘です。
僕がいるスイスドイツ語圏の状況からすれば、むしろ「かたち」については制限があるように思います。平面図に表れるかたちについて言えば、例えば学校の実施設計コンペでは、クラスルームは72㎡、グループルームは36㎡など、要項を見ると面積が一桁まで細かく指定されています。それにほぼ沿うように考えてみると、スパンは8mx9mとして、その半分をグループルームにしてください、、。と暗に指示されているように聞こえなくもありません。

さらに場合によっては、学校側からガイドラインとして「4つのクラスルームと2つのグループルーム、その間にある廊下をまとめてクラスターとして考える」というように指示があったりします。結果、基準階に関しては平面計画の自由度、それにともなうかたちのヴァリエーションは限られてしまいます。資格製図試験のような条件で、かなり合理的に解いていく必要があるんです。

つまりグリッドに載ってこない壁や柱、曲線を含んだ平面の「かたち」は、コストや使い勝手という面からも、あまり好まれていないことを過去のコンペの結果を見ても感じます。そうした背景を元にできあがるリジッドなスイス建築は「スイスボックス」として、皆さんも思い浮かべやすいかもしれません。

そんな状況にあっても、スイスにはかたちの持つ力を信じている建築家が多いのも確かです。
イコノグラフィックな図面の意味と、その空間への効果を追求する考え方は学生のみならず、実務でややもすれば現実的すぎる建物の設計に慣れた建築家にはとても魅力的に映ります。

昨今は「かたち」そのものよりも、環境問題に対する建築家の姿勢として「部材の転用や建設時のCO2削減」に至るテーマが大きな比重をもっており、僕たちは学生に、建築設計の基本的な考え方は「最小の材料を使って、最大限の空間を作ること」と教えています。学部一年生には、かたちを作る根拠、なぜそうなければいけないのか。を厳しく追求するように伝え、「なんとなくいい感じ」で無自覚にできてしまったものは、それが仮に良さそうに見えても、論理的な思考の組み立て方を奨めています。

それはETHZ(スイス連邦工科大学チューリッヒ校)の学部一年生への教育目的が「空間をつくり、その空間同士をどう繋げて全体をつくっていくか」ということを念頭に置いているからです。その目的にあまり関係のない要素をできるだけ削ぎ落とすことで、主題をよりわかりやすく伝えるように工夫しているとも言えます。基本を学べば、高学年、修士課程へと進んでいった時に自分なりの「かたちの出し方」を身につけられるだろうと。そしてそれは結局、自分で試行錯誤しながら学んでいくものだと僕は思います。

新しく建築を学び始めたばかりの学部一年生はCADを教わる前に、一学期からRhinoceros(3D)を教わります。そして3Dプリンターを駆使するカリキュラムが組みこまれています。学生たちの頭の中では、まず空間を内包するヴォリュームがあって、平面図や断面図はそれを切ったもの。という認識です。それは僕自身が学生時代に平面図と断面図、立面図を描き、そこから立体を想像していたのとは真逆のプロセス。だからこそ、村山さんが前回のエッセイで話していたように、二次元だからこそ読み取れる空間「図面に現れる二次元的なかたち」を組み立てる術を知れば、空間のつくり方の可能性が2D>3D>2Dと、もっと広がると思うのです。

それでは本題に入っていきましょう。

古谷野裕一 / 古谷野工務店による、神奈川・横浜市の「下田町の家」。住宅街の坂の途中にある不整形な敷地。最大限の建築面積の確保を目指し、登り梁で“整形の生活空間”も実現した“五角形平面”の建築を考案。前面路の“坂を登る”体験を踏襲した緩やかな階段で上下階を繋げる
古谷野裕一 / 古谷野工務店による、神奈川・横浜市の「下田町の家」。住宅街の坂の途中にある不整形な敷地。最大限の建築面積の確保を目指し、登り梁で“整形の生活空間”も実現した“五角形平面”の建築を考案。前面路の“坂を登る”体験を踏襲した緩やかな階段で上下階を繋げる外観 photo©西川公朗
古谷野裕一 / 古谷野工務店による、神奈川・横浜市の「下田町の家」。住宅街の坂の途中にある不整形な敷地。最大限の建築面積の確保を目指し、登り梁で“整形の生活空間”も実現した“五角形平面”の建築を考案。前面路の“坂を登る”体験を踏襲した緩やかな階段で上下階を繋げる玄関ホールの前にある2階への階段。 photo©西川公朗
古谷野裕一 / 古谷野工務店による、神奈川・横浜市の「下田町の家」。住宅街の坂の途中にある不整形な敷地。最大限の建築面積の確保を目指し、登り梁で“整形の生活空間”も実現した“五角形平面”の建築を考案。前面路の“坂を登る”体験を踏襲した緩やかな階段で上下階を繋げる2階、LDK photo©西川公朗

古谷野裕一 / 古谷野工務店が設計した、神奈川・横浜市の「下田町の家」です。
住宅街の坂の途中にある不整形な敷地に計画されました。建築家は、最大限の建築面積の確保を目指し、登り梁で“整形の生活空間”も実現した“五角形平面”の建築を考案しました。また、前面路の“坂を登る”体験を踏襲した緩やかな階段で上下階を繋げる事も意図されました。

坂の途中に位置する不整形の敷地に計画した戸建て住宅。
敷地の建築可能な範囲は擁壁下のレベルから約1.5mの高さに位置し、東西南面に対して丘の上に建つような感覚がある環境である。

建築家によるテキストより

造成された建築可能な範囲に五角形の平面で最大の建築面積を確保した。
五角形の平面の中、南北に縦断する登り梁を通しその梁にもたれかかるように東西にそれぞれ梁を架けることで、建物の東側に整形の生活空間、西側には敷地形状を縮小したような特徴的な形状の階段を計画している。地形に沿ったゆったりとした階段によって、通りの坂を登る一連の流れのまま2階の住空間に人を導きたいと考えた。

建築家によるテキストより

東西に展開した2階の住空間からはそれぞれ異なる見晴らしを感じることができ、東西に開けられた開口と空間を隔てる南北方向の梁と壁によって、一日の中で東西の空間の明暗が反転する。

敷地形状と地形に沿った平面計画とその空間にふさわしい一枚屋根の架構の在り方を模索した計画である。

建築家によるテキストより
鈴木隆介一級建築士事務所による、愛知の「M邸」。3世代が住み継いだ家の増改築。住環境と設備面の与件を考慮し、既存RC躯体を活かす判断をして天井高と開放性を備えた機能空間を追加する構成を考案。合理的に複雑で多様な場を作る可能性も提示
鈴木隆介一級建築士事務所による、愛知の「M邸」。3世代が住み継いだ家の増改築。住環境と設備面の与件を考慮し、既存RC躯体を活かす判断をして天井高と開放性を備えた機能空間を追加する構成を考案。合理的に複雑で多様な場を作る可能性も提示俯瞰 photo©RYUSUKE SUZUKI
鈴木隆介一級建築士事務所による、愛知の「M邸」。3世代が住み継いだ家の増改築。住環境と設備面の与件を考慮し、既存RC躯体を活かす判断をして天井高と開放性を備えた機能空間を追加する構成を考案。合理的に複雑で多様な場を作る可能性も提示南側外観 photo©RYUSUKE SUZUKI
鈴木隆介一級建築士事務所による、愛知の「M邸」。3世代が住み継いだ家の増改築。住環境と設備面の与件を考慮し、既存RC躯体を活かす判断をして天井高と開放性を備えた機能空間を追加する構成を考案。合理的に複雑で多様な場を作る可能性も提示1階、リビング photo©TAKASHI UEMURA
鈴木隆介一級建築士事務所による、愛知の「M邸」。3世代が住み継いだ家の増改築。住環境と設備面の与件を考慮し、既存RC躯体を活かす判断をして天井高と開放性を備えた機能空間を追加する構成を考案。合理的に複雑で多様な場を作る可能性も提示1階、キッチンとダイニング photo©TAKASHI UEMURA

鈴木隆介一級建築士事務所が設計した、愛知の「M邸」です。
3世代が住み継いだ家の増改築です。建築家は、住環境と設備面の与件を考慮し、既存RC躯体を活かす判断をして天井高と開放性を備えた機能空間を追加する構成を考案しました。また、合理的に複雑で多様な場を作る可能性も提示されています。

3世代に住み継がれてきた土地の中央に築55年の家が建ち、南側には木造小屋(築40年)と庭、北側には1台分の駐車場があった。
当初の家主である今回の建主の祖父は設計者で、当時は仕事で不在が多く、家族を守るため家を頑丈な壁式RC造で建てた。その目論み見通り、躯体は今尚健全な状態だった。

継承可能な躯体に対し、南側を覆う木造小屋と生い茂った樹々による閉塞性と設備の老朽化、管理しきれない庭や駐車場不足があり、建主が求める住環境(広さ・開放性)と機能面(設備・駐車場3台)を備えるために、RC躯体を残し増改築することになった。

建築家によるテキストより

工場やアパート、交通量の多い裏道に面した雑多な周辺環境や、大胆な改修が不向きな壁式構造という状況の中で、周辺から守ると同時に開き、家全体を開放的にする増築のあり方を考えた末、南面の外構を整えるように増築を考えていくことにした。

建築家によるテキストより

RC棟南面を、駐車場を外して間口いっぱいに木塀でぐるりと囲み、西側半分を庭、東側をダイニングキッチンとする。ダイニングは4本の壁柱で天井が高く持ち上げられた開放的な場所とし、キッチンのうえに住空間を包み込むようなL型の勾配屋根を架けた。
勾配屋根と木塀は周辺環境から開く・閉じるべき方向を見定め、寸法を決定。既存バルコニーは一部解体し、その端部を既存と同断面のR形状でつくり、造形の独立性を強調した。また、既設のバルコニーと新設の木塀、勾配屋根、壁柱が同等の存在感になるように、それぞれのスケールと造形、仕上げを検討した。

建築家によるテキストより
最も注目を集めたトピックス[期間:2023/5/22-5/28]
最も注目を集めたトピックス[期間:2023/5/22-5/28]

アーキテクチャーフォトで、先週(期間:2023/5/22-5/28)注目を集めたトピックスをまとめてご紹介します。リアルタイムでの一週間の集計は、トップページの「Weekly Top Topics」よりご覧いただけます。


  1. 石黒泰司+和祐里 / アンビエントデザインズによる、東京・渋谷区の「tracing」。展示・販売・撮影を行う施設。施主の望む“キオスク”のイメージに応える為、キオスクの構成要素を“トレース”して壁面に加えて陳列物等も設計。“作法のある仕上げ”で内装の論理的構築を試みる
  2. nevertheless / 佐河雄介建築事務所による、福島の「仕立ての家」。若い施主夫婦が購入した木造住宅の改修。初期から“穴を穿つ”と“引き剥がす”設計を志向。上階床に“穴”を開けて“家族の気配が感られる”空間を構築し、壁を“剥がし”既存躯体と親和性のある素材で仕上げる
  3. 松島潤平建築設計事務所による、東京・豊島区の「西巣鴨 西方寺銅門塀」。生活道路にある門塀。此岸と彼岸の“美しく曖昧な境界”を求め、寺に関わる“銅鏡”と“見返り招き猫”から着想して片面緑青仕上の“銅板”を“捻り”並列。視点で変化する表情が道行く人々にも特別な体験を提供
  4. 大城禎人建築設計事務所による、沖縄・中城村の三世帯住宅「400」。設計者自身の住まいも含む建築。地域で典型の中層建物を“再構築”したプロトタイプを目指し、“一般的な工法”を用いながらも“最大限に生かす”設計を志向。柱等の構造体は内装の要素としても役割を果たす
  5. ヴェネチアビエンナーレ国際建築展2023の日本館。“愛される建築を目指して ─ 建築を生き物として捉える”をテーマに企画。キュレーションチームは大西麻貴・百田有希・原田祐馬・多田智美で構成。出展者としてdot architects(家成俊勝、土井亘、池田藍、宮地敬子)、森山茜、水野太史が名を連ねる
  6. 湯浅友絵+萬玉直子+オンデザインによる、東京・中央区の「TOKYO MIDORI LABO.」。植物を扱う企業が複数入居。緑と建築の混合に加えて街のスケールとの調和を求め、量塊をずらしテラス等を外部に表出させた“多面的な”構成を考案。植物に加え働く人も“自然と捉え”て相互が影響し合う状況を作る
  7. 今西伴仁 / Atelier tomatoによる、高知・四万十市の「WANLIFE DOG VILLAGE」。田園の中のペットの複合施設。風景を増幅して見せる“介入”を目指し、地域の海や山並みを地盤起伏等で再現したドッグランを構築。建築は諸機能ごとに分散させて場所と動物のスケールに馴染ませる
  8. 清水俊貴 / 福井工業大学と山田寛 / LoHAによる、福井・勝山市の店舗「nimbus」。磯崎新と伊東孝が設計した住宅を店舗に改修。“生きられた建築”を目指し、既存の保護と整理に加えてグリッド等を継承する“チューニング”としての設計を志向。既存空間が持つ“公共性”の質を更に引き出す
  9. 宇治川和樹+大園未来 / 宇治川大園建築設計事務所による、京都・与謝郡の「マルハウス」。歴史ある街の新旧が混在する地域。敷地の記憶を辿り適切なスケールを求め、伝統建築を参照して“平入り切妻”の量塊に“片流れ”の下屋がつく構成を考案。内部では“ズレ”を意識的に用いて空間に多様性を与える
  10. 今津康夫 / ninkipen!による、京都市の店舗「camisimo」。半地下の区画の服飾店の計画。“地階”と“路面”の特徴を兼ね備える既存に対して、入口窓のみ“透明度を下げる”等の操作で“境界線を強める”設計を志向。レジカウンターの“凹”形状はこの場所らしさも形容
  11. 重松象平・中川エリカ・秋吉浩気・映画監督 樋口真嗣らが審査する、未来の住宅や生活とコミュニティの在り方をテーマとするコンペ「ミライREBORN スマイ プロジェクト」が応募作品を募集中。学生部門と建築家部門で行われ、優秀作品は大阪・関西万博での展示を予定。賞金は総額約1,000万円を用意
  12. 九州大学岩元真明研究室と関西学院大学荒木美香研究室による、福岡市の「オーゼティック・パビリオン」。金属板を加工して制作されたパーゴラ。平面に切込を周期的に入れる“幾何学的パターン”を応用し、最小限の材料で多孔質の自由曲面を作る方法を開発。レーザー加工と人力で制作でき特殊な型枠や治具は不要
  13. 石川素樹による、プリズミックギャラリーでの建築展「FORMS」。幅広い分野で創作する建築家の展覧会。自身の思考から生まれたものを“FORMS”と題して模型や映像を通して紹介。展示物での“抽象的な思考”と3DVRでの“具象的な体験”を訪問者に提示
  14. 山口誠デザインによる、東京・台東区の、オフィスビル「MONOSPINAL」。ゲーム制作会社の本社。従業員の“集中力”と“リラックス”のバランス確保を目指し、環境要素も向上をさせる“斜壁”を持つ建築を考案。小スケールの素材を集積をさせる仕上げで“あらたな風景”を作る
  15. 家具・プロダクト・建築部材が集まる見本市「インテリア ライフスタイル 2023」が、東京ビッグサイトで開催。芦沢啓治・トラフらが参加する展示「Upcycling Airplanes」やトークイベントも多数行われる
  16. 妹島和世が監修を務めたイベント「PRADA MODE 東京」の会場写真。西沢立衛による仮設パヴィリオン等が会場内に設置。妹島が館長を務める東京都庭園美術館を会場に開催
  17. 米田雅樹 / ヨネダ設計舎による、三重の「猿田彦珈琲 伊勢国多気店」。地方再生を目的とする施設の中に計画。店名を文脈として読み解き、由来する神社に向けた軸線を設定。景観を取り込むと同時に“人間的尺度”と“神殿性”を併存させる構成を追求
  18. ドットアーキテクツによる、TOTOギャラリー・間での建築展「POLITICS OF LIVING」。分業制の建築の枠組みを越えて実践する建築家の展示。“小さな自治空間”を生み出す“生きるための力学”を社会変革の鍵として提示。全ての人が建築の創造に能動的に関わる可能性も見せる
  19. 池内健 / studio colife3による、愛媛・松山市の「風と火と農家住宅」。意欲的な若い米農家の為に計画。現代で先人の知恵を継承する在り方を求め、地域の古い農家住宅を参照した“地域の卓越風”を取り込む“門型構造”の建築を考案。外装には古来から瀬戸内で用いられる“焼杉”を採用
  20. 宮城島崇人建築設計事務所による、北海道・札幌市の住宅「Oプロジェクト」。公園に面する家の改修と増築。食に関わる施主の“ラボラトリー”となる建築を目指し、2本の柱でスラブを支え全方向に開放性を持つ“キッチン棟”を考案。公園との新たな関係を作ると共に既存の内部環境も一変させる

デイビッド・チッパーフィールド事務所による、韓国・ソウルの、オフィスビル「K-Project」。IT企業の新社屋。建築の耐久性と将来への適応性を求め、“ハードウェア”と呼ぶ躯体の中に“ソフトウェア”と呼ぶ可変的な労働空間が展開する構成を考案。低層部は地域の都市構造も取り込み一般に開放
デイビッド・チッパーフィールド事務所による、韓国・ソウルの、オフィスビル「K-Project」。IT企業の新社屋。建築の耐久性と将来への適応性を求め、“ハードウェア”と呼ぶ躯体の中に“ソフトウェア”と呼ぶ可変的な労働空間が展開する構成を考案。低層部は地域の都市構造も取り込み一般に開放鳥瞰 image courtesy of David Chipperfield Architects London
デイビッド・チッパーフィールド事務所による、韓国・ソウルの、オフィスビル「K-Project」。IT企業の新社屋。建築の耐久性と将来への適応性を求め、“ハードウェア”と呼ぶ躯体の中に“ソフトウェア”と呼ぶ可変的な労働空間が展開する構成を考案。低層部は地域の都市構造も取り込み一般に開放外観 image courtesy of David Chipperfield Architects London
デイビッド・チッパーフィールド事務所による、韓国・ソウルの、オフィスビル「K-Project」。IT企業の新社屋。建築の耐久性と将来への適応性を求め、“ハードウェア”と呼ぶ躯体の中に“ソフトウェア”と呼ぶ可変的な労働空間が展開する構成を考案。低層部は地域の都市構造も取り込み一般に開放内部のアトリウム image courtesy of David Chipperfield Architects London
デイビッド・チッパーフィールド事務所による、韓国・ソウルの、オフィスビル「K-Project」。IT企業の新社屋。建築の耐久性と将来への適応性を求め、“ハードウェア”と呼ぶ躯体の中に“ソフトウェア”と呼ぶ可変的な労働空間が展開する構成を考案。低層部は地域の都市構造も取り込み一般に開放オフィス(ハードウェア) image courtesy of David Chipperfield Architects London

デイビッド・チッパーフィールド・アーキテクツによる、韓国・ソウルの、オフィスビル「K-Project」です。
IT企業の新社屋の計画です。建築家は、建築の耐久性と将来への適応性を求め、“ハードウェア”と呼ぶ躯体の中に“ソフトウェア”と呼ぶ可変的な労働空間が展開する構成を考案しました。また、低層部は地域の都市構造も取り込み一般に開放されます。2024年の建設開始を予定しています。

こちらは建築家によるテキストの翻訳です

この韓国のIT企業の新本社は、ソウルの聖水地区に位置し、地元の建築家やコンサルタントと緊密に連携して設計されました。この建物は、会社の多様な活動、スタッフ、訪問者を現在と将来の両方で受け入れる柔軟性を備えたインフラストラクチャーとして構想されています。単一の固定された建築イメージを作ろうとするのではなく、このコンセプトは、本社の強いアイデンティティを定義するために、会社の生活とエネルギー、そして近隣の生活とエネルギーを使うというものです。これは、周囲の都市の生活を基盤にした多目的アトリウムと文化的なマルチプレックスによって視覚的に─そのダイナミックなファサードを通して、またプログラム的にも─実現されています。

建物のインフラストラクチャー的なコンセプトは、「ハードウェア」と「ソフトウェア」のレイヤーを軸に展開します。このハードウエアは、5つの大きなオープンプランのフロアに、8つの垂直な円筒形のコアがあり、そこにはサーキュレーションとサービスが含まれています。このソフトウェアは、フレキシブルなフロアシステムで構成され、ハードウェアスラブの間に中二階として組み込まれ、通常、各構造床の間に2つの中二階を備えています。軽量な構造体は、ワークスペースの柔軟な構成と再構成をサポートし、将来の働き方とコラボレーションへの成長と適応を可能にします。

ハードフロア間のカーテンウォールシステムは、上部構造のスケールを崩し、外壁に多様性を持たせることを目的としています。凹型のファサードが屋外テラスや庭園を作り、社会的な交流を促す一方で、フラッシュ状のファサードはルーバーで覆われ、光の反射や太陽熱の上昇を抑えることができます。

H&deMのジャック・ヘルツォーグ、タチアナ・ビルバオ、ベカ&ルモワンヌによる鼎談「空間がもつ感情的な力」の動画。2023年5月にヴェネチアで行われたもの

ヘルツォーグ&ド・ムーロンのジャック・ヘルツォーグ、タチアナ・ビルバオベカ&ルモワンヌによる鼎談「空間がもつ感情的な力」の動画です。2023年5月17日にヴェネチアで行われたもの

(翻訳)
ビジュアルアーティストのベカ&ルモワンヌは、2001年にプリツカー建築賞を受賞した建築家のジャック・ヘルツォーグと、2022年のAWアーキテクト・オブ・ザ・イヤーのタチアナ・ビルバオを招いて、自分たちの空間の感じ方を共有します。

空間と私たちの関係において、感情はどのように、そしてなぜ生じるのか? 何が私たちの感情を規定するのか? 空間は、その物質性において、私たちの心理状態にどのような影響を与えるのか? そして、建築が引き起こすことのできる感覚的、感情的なインパクトに対して、私たちはもっと意識を向け、繊細な注意を払うことができるのでしょうか。このトークでは、私たちと空間との関係において作用する直感的、感情的、非合理的な力を探ります。

このトークは、イラ・ベカとルイーズ・ルモワンヌによる著書『The Emotional Power of Space』の出版を記念して、ヴェネツィアのパラッツォ・グラッシ劇場が企画しました。

(原文)
Visual artists Beka & Lemoine invite architects Jacques Herzog, winner of the Pritzker Architecture Prize in 2001, and Tatiana Bilbao, AW Architect of the Year 2022, to share their own way of sensing space.

How and why do emotions arise in our relationship with space? What defines what we feel? How does space, in its materiality, affect our psychological state? And could we develop more awareness and subtle attention towards the sensorial and emotional impact that architecture is able to provoke? The talk will explore the intuitive, emotional and irrational forces at play in our relationship to space.

This talk has been organized by the Teatrino di Palazzo Grassi in Venice on the occasion of the release of the book “The Emotional Power of Space” by Ila Beka & Louise Lemoine.

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