design archive

並木通りに竣工した商業施設の環境デザインを手掛けたINVITATIONと、そのアートワークを担ったイラストレーター黒田潔、写真評論家 清水穣とユミコチバアソシエイツ千葉由美子による座談会「まち_タテモノ_アート」の内容が公開。アートの世界の話から建築に二次元表現を組み合わせるプロセスを対話
並木通りに竣工した商業施設の環境デザインを手掛けたINVITATIONと、そのアートワークを担ったイラストレーター黒田潔、写真評論家 清水穣とユミコチバアソシエイツ千葉由美子による座談会「まち_タテモノ_アート」の内容が公開。アートの世界の話から建築に二次元表現を組み合わせるプロセスを対話

銀座並木通りに竣工した商業施設「阪急阪神銀座ビル」の環境デザインを手掛けたINVITATIONの竹田大輔と平井崇と、内外装に施されたアートワークを担当したイラストレーター黒田潔写真評論家 清水穣ユミコチバアソシエイツ千葉由美子が参加した座談会「まち_タテモノ_アート」の内容が、INVITATIONのウェブサイトで公開されています。アートの世界の話から建築に二次元表現を組み合わせるプロセスを対話しています。主に建築について語られている後編はこちらです。【ap・ad】

今回は、弊社で企画・環境デザインを担当させていただいていた阪急阪神銀座ビルが竣工したので、アートワークを担当した黒田潔さんを招いて「まち_タテモノ_アート」をテーマにトークします。
進行役はギャラリー・ユミコチバアソシエイツを運営する千葉由美子さん、同志社大学教授・写真評論家の清水穣さんを迎え、前編後編に分けてお送りします。

以下に、「阪急阪神銀座ビル」の写真と動画も掲載します。

nendoによる、イタリア・ミラノの、大理石ブランド マルソットの新ショールームの写真。ファサードにも大理石が使われ、一部が窪んでいてベンチにもなるデザインが特徴的

nendoが設計した、イタリア・ミラノの、大理石ブランド マルソットの新ショールームの写真が9枚、dezeenに掲載されています。ファサードにも大理石が使われ既存建物の素材と対比すると共に、その一部が窪んでいてベンチにもなるデザインが特徴的です。

フランク・ゲーリーがデザインした、ヘネシー社の商品の150周年を記念するボトル「ヘネシー X.O マスターピース」。ゴールドとシワを表現した素材感が特徴的
フランク・ゲーリーがデザインした、ヘネシー社の商品の150周年を記念するボトル「ヘネシー X.O マスターピース」。ゴールドとシワを表現した素材感が特徴的

フランク・ゲーリーがデザインした、ヘネシー社の商品の150周年を記念するボトル「ヘネシー X.O マスターピース」です。もう一種類の150周年を記念するスペシャルデザインの限定ボトルもフランク・ゲーリーが手掛けているとの事(こちらは販売されるようです)。こちらの特設サイトでゲーリーのインタビュー動画もみることができます

フランク・ゲーリーのコメント

この作品に命を吹き込むには、ヘネシー誕生の地であるコニャックを訪れ、多くのインスピレーションを得ました。コニャックで造られるヘネシー特有のパワーを表現するために、クシャッとしたギャザーのようなデザインを取り入れることで、動きのある活き活きとしたものにしました。今回のデザインのために選んだ素材は適度に光を取り入れ、それだけでも佇まいのあるオブジェとして成り立つように考えました。それはヘネシー X.Oのボトルとは思えないような存在感になったことでしょう。

リリーステキストより
ミュラー・ヴァン・セーヴェレンに、アトリエで話を聞いている動画「Furniture for Life」。制作はルイジアナ美術館

ミュラー・ヴァン・セーヴェレンに、アトリエで話を聞いている動画「Furniture for Life」です。制作はルイジアナ美術館。

We had the pleasure of visiting the acclaimed Belgian design duo Muller Van Severen in their home and greenhouse-turned-studio in Ghent. In the video, the two designers present and talk about their material-driven, playful designs, and share the thoughts behind.

Van Severen and Muller talk about how they collaborate and the contemplations that go into their choice of materials – and colours: “It’s not something we do as an addition to the design. For us, it’s like a material. We don’t play with it afterwards. It’s there from the beginning.” Changing the colour of an object, they feel, changes it completely, which reflects their way of thinking about design: “We just try to make – with the same objects – as many combinations as possible. We want to try different things in one object.” Architecture and space are also essential to them, and when they design an object, they are always very aware of the floor, the walls and the ceiling: “It’s important for us to also grab the room behind it, and to see it through the furniture.” Finally, the couple emphasize the importance they place on designing things that last a long time: “We want to make tables or furniture that are for life.”

元木大輔 / DDAAによる、アアルトのスツールとそのジェネリック品を改変する100パターンのアイデアをリリースするプロジェクト「Hackability of The Stool」
元木大輔 / DDAAによる、アアルトのスツールとそのジェネリック品を改変する100パターンのアイデアをリリースするプロジェクト「Hackability of The Stool」#2_MINI DESK photo©長谷川健太
元木大輔 / DDAAによる、アアルトのスツールとそのジェネリック品を改変する100パターンのアイデアをリリースするプロジェクト「Hackability of The Stool」#18_BENCH photo©長谷川健太
元木大輔 / DDAAによる、アアルトのスツールとそのジェネリック品を改変する100パターンのアイデアをリリースするプロジェクト「Hackability of The Stool」#49_LAMP photo©長谷川健太

元木大輔 / DDAAによる、アアルトのスツールとそのジェネリック品を改変する100パターンのアイデアをリリースするプロジェクト「Hackability of The Stool」です。2020年6月23日よりinstagramで毎日そのアイデアをポスト中です。

アアルトが1933年にデザインした名作Stool 60と、そのジェネリック品を改変する100パターンのアイデアを発表します。6月23日よりSNSで1日に1つづつ発表します。

Stool 60は、アルテックより発売されている、20世紀を代表する名作スツールです。デザインはシンプルで美しく、曲げ木の技術を使った製造技術を引き合い出すまでもなく、流通やパッケージに至るまで細部までデザインしつくされたモダニズムの考え方を代表するプロダクトです。そればかりか、大量に生産されているリプロダクト品にいたっては、生産コスト、メンテナンスコスト、クレーム対応や輸送の合理性などを徹底的に考えることで、なんと1脚1000円程度で販売されており、同じ量の木材を買うより安い値段で手に入れることができます。

Stool 60は、誰もが見たことがあるマスターピースがゆえに「典型的なスタッキングスツール」というステレオタイプな形をしています。そして、Stool 60に代表されるモダニズムのデザインは、最大公約数的にできているけれど万能ではありません。シンプルであるということは、逆説的にあらゆるものを削ぎ落としている、と言い換えることもできます。

「Hackability of The Stool」 (スツールの改変可能性)は、最大公約数なデザインの過程で削ぎ落とされてしまった、多様で、ニッチで、ささやかな機能を付加していくプロジェクトです。モダニズムや大量生産品の良いところはキープしたまま、大量生産品を下敷きに、多品種小ロットで、少しだけ便利で、多様なプロダクトをできるだけ簡単に作るためのリサーチとアイデア集です。

建築家によるテキストより
元木大輔 / DDAAによる著書『工夫の連続: ストレンジDIYマニュアル』の中身をプレビュー。ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展への参加でも注目される建築家による初の著書
元木大輔 / DDAAによる著書『工夫の連続: ストレンジDIYマニュアル』の中身をプレビュー。ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展への参加でも注目される建築家による初の著書

元木大輔 / DDAAによる初の著書『工夫の連続: ストレンジDIYマニュアル』の中身をプレビューします。発売は2020年10月2日を予定。元木は、ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展日本館への参加でも注目される建築家です。元木大輔 / DDAAの作品は、アーキテクチャーフォトでも多数紹介してきており、こちらから閲覧可能です。

視点を変えるだけで、あらゆるものは素材になる。ゼロから考えずに、すでにあるものをハックする方法を獲得しよう。まわりの環境を変える工夫を身につければ、世界はより豊かで楽しいものになる!
自由に形を考えられるフルーツ・ボウルから駅の階段を使った劇場まで、さまざまなスケールのものを自らの手で作り、考えるための画期的なDIYマニュアル。
ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展への出展などで注目を浴びる建築家、元木大輔による初の著書!

リリーステキストより

こちらは元木自身がtwitterに投稿した本書籍の紹介内容をまとめたものです。

これは、「デザイン=工夫」と捉えることでフルーツ・ボウルから駅の階段を使った劇場まで、さまざまなスケールのものを自らの手で作り、考えるためのちょっと変わったDIY的方法論についての本です。

DIYをテーマに間口を広くを意識しつつ、ビスの留め方からタクティカルアーバニズムや都市まで、できるだけ広く深く様々なスケールのデザインについて考えていることをまとめました。この本は、写真、テキスト、イケア的な作り方マニュアルの3つの要素から構成されています。

はじめは「合板」や「スポンジ」だったDIYの材料がだんだん「ガードレール」や「駅の階段」になっていくちょっと変わったなDIYの作り方マニュアル。happaで撮影した作ったものたちの写真。写真、テキスト、ドローイング全て未発表の撮り下ろし、書き下ろしです。

ブックデザインは今までもいくつものプロジェクトでご一緒しいている安定の橋詰宗さん。巻頭カラーのグラビアページはほぼセレクトから並び順まで、ほぼゴッティンガムにお任せしました。

ミュラー・ヴァン・セーヴェレンによる、ファッションブランド カッスル・エディションズのアイコンとなるバッグを参照してデザインされたソファの写真

ミュラー・ヴァン・セーヴェレン(Muller Van Severen)がデザインした、ファッションブランド カッスル・エディションズ(Kassl Editions)のアイコンとなるバッグを参照してデザインされたソファの写真が9枚、dezeenに掲載されています。参照されたバッグの写真はこちらで。2017年に収録された彼らの日本語で読めるインタビューはこちら

ソウルのデザインスタジオ SWNAによる、3Dプリントコンクリート製のインスタレーションの写真。風に吹かれるカーテンの起伏の表現を探求。

ソウルのデザインスタジオ SWNAによる、3Dプリントコンクリート製のインスタレーションの写真が8枚、designboomに掲載されています。風に吹かれるカーテンの起伏の表現を探求しているようです。

宮川清志 / SESNによる、東京・港区の、ロボットを開発している企業のオフィス「UNIVERSAL ROBOTS」
宮川清志 / SESNによる、東京・港区の、ロボットを開発している企業のオフィス「UNIVERSAL ROBOTS」 photo©見学友宙
宮川清志 / SESNによる、東京・港区の、ロボットを開発している企業のオフィス「UNIVERSAL ROBOTS」 photo©見学友宙
宮川清志 / SESNによる、東京・港区の、ロボットを開発している企業のオフィス「UNIVERSAL ROBOTS」 photo©見学友宙

宮川清志 / SESNが設計した、東京・港区の、ロボットを開発している企業のオフィス「UNIVERSAL ROBOTS」です。

港区にある協業できるロボットを開発しているユニバーサルロボット社のオフィスデザイン。
ロボットの持つ、複雑性と単純性が同居するデザインを目指しています。複雑な物をシンプルに、シンプルな物で複雑さを表現できる様に見る位置や角度など視点が変われば多様性を持てる様な空間としています。

デザイナーによるテキストより
DOMINO ARCHITECTS 大野友資と、知財系法規に詳しい法律家 水野祐らが参加して行われた座談会『この時代の「著作」のあり方とは?』の内容

DOMINO ARCHITECTS 大野友資と、知財系法規に詳しい法律家 水野祐、広告の編集長 小野直紀が参加して行われた座談会『この時代の「著作」のあり方とは?』の内容が、雑誌 広告のnoteページに掲載されています。

以下は、その中の印象的な部分。(CC BY 4.0に基づいて『この時代の「著作」のあり方とは?』(水野祐・大野友資・照沼健太)を掲載)

建築家はひとりでは作品をつくれない
委ねたあとに創造性が”振動”する

小野:水野さんは著作特集号のなかでとくにおもしろかった記事として、大野さんの「振動する著作」をあげていましたね。どんな内容なのか、著者である大野さんから解説いただけますか?

大野:画家や彫刻家と違い、建築家は大勢の人に仕事を発注しなければ建物をつくれません。そこで感じる「自分のつくったものについて、どこまで『自分がやった』と言えるのか?」という問い、そして「自分が設計したものを委託する際、依頼の仕方によって創造性がどのように変化するのか?」という興味を原点とした論考です。僕がずっと考えていたこの2点を、小野さんと打ち合わせを重ねてまとめたものですね。

水野:「振動」という言葉の使い方もうまいなと思いました。

大野:打ち合わせのなかで何気なく使った言葉だったんですけど、それを小野さんが「おもしろい!」と言ってくれたのでタイトルに使うことになりました。

水野:「振動する著作」は基本的にはプロ同士のコラボレーションで起こる振動について書かれていますが、一方でユーザーとの間に起こる振動の可能性として、建築家アレハンドロ・アラヴェナ率いる設計事務所エレメンタルによる集合住宅キンタ・モンロイが紹介されていました。そこで質問なんですけど、大野さん自身は、ユーザーをコラボレーターとして想定することには肯定的ですか? それとも否定的ですか?

大野:それについては、僕自身もすごく考えています。そのうえで、基本的には、プロ同士の間で起こる振動がいちばん刺激的だと思っています。というのも、振動させる相手を知ったうえで、振幅自体はコントロールしたいからです。振動のあとに収束せずに発散させてしまうと、何も決めていない状態に戻ってしまい、無責任に放り出すことと同じになってしまうからです。だから、ユーザーとの間で振動させる場合は、ガイドラインをつくってお手本を示すのが大事だと考えていますね。でも、それはプロとユーザーの間だけでなく、プロ同士の場合でも必要な、手放し方の工夫のひとつだと思います。もちろんプロ同士の場合「この人は自立させた方がおもしろそうだ」と思ったらもっと触発されるような発注の仕方になるでしょうけど。

青木淳と菊地敦己の対談イベントがオンラインで開催。菊地はグラフィックデザイナーで青森県立美術館や大宮前体育館でも青木と協働

青木淳菊地敦己の対談イベントがオンラインで開催されます。開催日は2020年8月25日。参加費は無料、要事前予約です。2020年9月2日まで行われている展覧会「菊地敦己 2020」に合わせて企画されたものです。
菊地はグラフィックデザイナーで青森県立美術館や大宮前体育館でも青木と協働していることでも知られています。10+1websiteには2016年3月に行われた青木淳と菊地敦己の対談の内容が掲載されていますので、こちらを事前に読んでおくといいかもしれません。

クリエイションギャラリーG8では、企画展ごとにトークショーを開催しています。
第22回亀倉雄策賞受賞記念展「菊地敦己 2020」では、ゲストに青木淳さんをお迎えし、オンライントークイベントを開催します。どのようなお話がうかがえるのか、どうぞお楽しみに!

新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止のため、ご参加いただく皆さまの健康と安全を考慮し、ご予約いただいた方を対象に配信いたします。会場にお越しいただくことはできませんのでご了承ください。

「菊地敦己 2020」対談
日時:2020年8月25日(火) 7:10p.m.-8:40p.m.
参加費:無料、要事前予約
出演:青木淳 菊地敦己  ※敬称略

大口進也による、花瓶「Picture / Flower Vase」
大口進也による、花瓶「Picture / Flower Vase」 photo courtesy of OGUCHI / DESIGN

大口進也による、花瓶「Picture / Flower Vase」です。こちらのオンラインショップから購入も可能

花はつぼみの状態から、咲いて、枯れるまですべて美しい。その一瞬一瞬を映し出す装置としての花瓶。アーティストは花の絵をよく描く。ゴッホのひまわりや、モネの睡蓮など、上げたらきりがないほど。花に同じものはないし、状態によっても見え方が変わってくる。そして、なにしろ人は花を自然と美しいと感じる。だからアーティストにとって魅力的な題材なのだろうと思う。アーティストは筆で花をキャンバスに定着させるが、この花瓶では生きた花を生きたまま絵にできないかと考えた。

デザイナーによるテキストより
宮川清志 / SESNによる、東京・大田区の「セガ モーションキャプチャースタジオ」
宮川清志 / SESNによる、東京・大田区の「セガ モーションキャプチャースタジオ」 photo©見学友宙
宮川清志 / SESNによる、東京・大田区の「セガ モーションキャプチャースタジオ」 photo©見学友宙
宮川清志 / SESNによる、東京・大田区の「セガ モーションキャプチャースタジオ」 photo©見学友宙

宮川清志 / SESNが設計した、東京・大田区の「セガ モーションキャプチャースタジオ」です。宮川はWonder wall出身のデザイナー。
モーションキャプチャーとは「実の人物や物体の動きをデジタル的に記録する技術である。(中略)映画などのコンピュータアニメーションおよびゲームなどにおけるキャラクターの人間らしい動きの再現に利用される。(wikipidiaより)」

大田区にあるセガゲームスのモーションキャプチャースタジオのデザイン。
工場からスタジオへのコンバージョンを行い、機能性を求められる用途に対し、機能性を担保しながら断熱と防音性能のある発泡材を全体に張り巡らせ、エモーショナルな状態を実現させています。

デザイナーによるテキストより
グラフィックデザイン事務所 トーニックが、MMX・アルキテクテンと共同で設計した、アムステルダムの自社オフィスの写真と図面。ファーサードや内装の二次元的表現が特徴的

グラフィックデザイン事務所 トーニック(thonik)が、MMX・アルキテクテンと共同で設計した、オランダ・アムステルダムの自社オフィスの写真と図面が45枚、archdailyに掲載されています。

中国の家電メーカー・シャオミが発表した、“世界初の量産型透明テレビ”の写真

中国の家電メーカー・シャオミが発表した、“世界初の量産型透明テレビ”(5.7mmの透明スクリーンを使用)の写真がdesignboomに掲載されています。価格は49,999人民元(約77万円 ※2020年8月15日時点)だそう。使用していない際には透明になるとの事。シャオミのブログでも説明の文章を読むことができます

DOMINO ARCHITECTSの大野友資による、様々な分野の事例を紹介しつつ他者を介入させデザインすることを思考した論考「振動する著作」

DOMINO ARCHITECTSの大野友資による、様々な分野の事例を紹介しつつ他者を介入させデザインすることを思考した論考「振動する著作」が、広告のnoteで公開されています。今のところ全文を読むことができます(2020年8月15日7時時点)。

以下は、その導入部分(CC BY-ND 4.0に基づいて『振動する著作』(大野友資)を掲載)

予算を決め、ターゲットを決め、大きさを決め、手触りを決め、発注先を決め、あれを決め、これを決め、決め、決め……。

ものをつくることは決定の連続だ。

ときに決定を覆したり翻したりすることもあるけれど、原則は一方通行。最初はいろんな可能性をはらんで漠然としているイメージを、決定を重ねて可能性を収束させながら、具体的なアウトプットにまで持っていく。だから決定にはエネルギーを使うし、後悔をしたくないので必死で検証・スタディをする。つくり手が高い密度で決定を繰り返すほど、完成品の純度は上がっていき、強いメッセージ性を帯びるようになる。一般的には「いいもの」と言うと、こうやって何度も検討を重ねたもののことをイメージするんじゃないだろうか。

つくり手としては、検討し、考察し、ときには直感にも頼りながら自分で決定を積み重ねることで、コンセプトから細部にいたるまで、徹底的にこだわり抜いたものを届けることができたなら理想的だ。ものづくりの手綱を最後まで緩めないことで、つくり手の意図を色濃く反映することができる。銘の入った包丁のように、つくり手とアウトプットが一対一で結びつくようなものづくりのあり方だ。

このように、つくり手が明確に立っている著作に対して、つくり手が誰か不明瞭な、「他者」を介入させる前提の著作のあり方はないだろうか。あるとすれば、それはどういったものだろう。

ものづくりのプロセスにおいて「(自分で)決める」の対極に「(他人に)任せる」という行為がある。どこかのタイミング以降の決定を他者に任せるというのは想像以上に勇気がいることだけれど、イレギュラーでアンコントローラブルな他者を巻き込むことで、従来の決定のプロセスとはまた違ったおもしろさが生まれることがある。最後まで決めきるつくり方に対しての、最後まで決めきらないつくり方。そこにはどんな違いがあるのだろう。

Subscribe and Follow

公式アカウントをフォローして、
見逃せない建築情報を受け取ろう。

「建築と社会の関係を視覚化する」メディア、アーキテクチャーフォトの公式アカウントです。
様々な切り口による複眼的視点で建築に関する情報を最速でお届けします。

  • 情報募集建築・デザイン・アートの情報を随時募集しています。
  • メールマガジン メールマガジンで最新の情報を配信しています。