大嶋励+小阿瀬直+山田優 / SNARK Inc.と横尾真 / OUVIが設計した、群馬・前橋市の店舗兼住宅「野中町の家」です。
郊外に建つ1階の一部に美容室のある住宅です。建築家は、“おおらかな”周辺環境との呼応を求め、諸機能を北側に集約して南側を“外部環境を十分に取り込む”空間とする構成を考案しました。また、時間によって“段階的に変化する場所”を作ることも意図されました。
梨畑の広がる郊外に建つ、美容室を1階に併設した住宅である。
ゆとりのある敷地のため市街地のように近隣との距離感から建物の骨格を判断していくのではなく、空が大きく感じられるおおらかな周辺環境に適合していく手法で設計を進めた。
間口14m、奥行3.6mの長方形ヴォリュームを基本に、4寸角のみを使用した架構と2階の中心部では斜めの杖柱が屋根を支える設定とし、生活に必要な住むための機能を北側1間に集約。短手方向に必要な構造壁も北側に集約することで南側1間は豊かな外部環境を十分に取り込んだ空間が東西に貫く構成とした。
この家では縦長の窓によって地面から空までの広がりの中に置かれる。隣地から大きく引きをとることで、窓から入る日射が2階のルーバー床を介して1階に影を落とす。
「外」と「内」というはっきりとした分け隔てではなく、環境や時間によって段階的に変化する場所を目指した。
そこには部屋名がなく猫が太陽の動きに合わせてくつろぐ場所を変えるように、ある時は洗濯物を干す場所になり、ある時はデスクワークをする場所になるなど、住まい手が生活のリズムや気分に合わせて自在に変化する空間である。