文化庁による動画「専門家・写真家と一緒に 名建築を撮ろう!」です。登録有形文化財の民家を記録として撮影する過程を紹介しています。2025年10月に公開されたもの。



畠山文聡 / NTTファシリティーズが設計した、大阪・関西万博の「NTTパビリオン -感情を纏う建築-」です。
建築家は、多様性を育む“パラコンシステント”の思想の表現を求め、“建物や素材を細分化”して“体験や振舞を粒子化”する存在を志向しました。そして、布やカーボンファイバーを主要素材とする建築を考案しました。施設の公式サイトはこちら。
2025年万博では「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマとし、人とのつながりや、心地よい未来社会を描いていくことをめざしている。生命科学やAI、ゲノム研究によるサイエンスが進歩し続ける時代において、生命倫理や原点回帰の思想に今一度立ち帰り、考え続けることが重要だ。
NTTパビリオンの建築において、異なる事象が同じ場と同じ時間に共に在る関係性「パラコンシステント」の思想を表現することに取り組んだ。内と外、自分と他者、人間と自然、などあらゆる二項対立をなくし、どこまでもひとつにつながっていくような多種同在的な関係性をパビリオンで実現することをめざした。
半年という期間に適したテントのような設置・解体が容易にできる膜構造とし、独特な柔らかさをもつ空間を生み出す「布」を使用した。どちらの素材も会期後の循環性を意識し、建物が消えた後にも体験や感動が残り続けるように計画を行った。
人・自然・デジタルが溶け合う多種同在的な関係性を実現する為に体験やふるまいを粒子化し、建物や素材を細分化した。
細分化により生まれた隙間が場となり、布や構造体となるカーボンファイバー(糸)により多様なふるまいが生まれる。古来より人と環境の間に衣服が介在しているように衣服(布)を建築にまとわせ、風や動きによってゆらめく自然の機微を可視化し環境を調律する手段とした。次に、布は生分解性を有した素材を使用し、来館者の子どもたちが布を結びつけていくことで、会期を通してパビリオンを一緒につくりながら、会期後は自然に還るような循環性を意識した計画とした。またNTT技術により建物内の人の表情を読み取り、布を振幅させることで物理的な壁を越えた拡張性を表現した。



安藤祐介建築空間研究所が設計した、愛媛の「連続窓と風景片の家」です。
通りからの視認性が高い三角形の土地での計画です。建築家は、施主の個性の表現と変形敷地への応答を考慮し、規則的に窓を配列した“積み木のような段々形状”の建築を考案しました。そして、周囲の“異彩なオブジェクト群”とも“不思議な調和”を成しています。
美容業界で仕事をされるご夫婦から、自宅を建てたいと依頼を受けた。
市内最大の河川沿いにある計画地は、旗状地かつ三角形という変形敷地であった。隣地は相続放棄された空地で建物の建つ見込みがほぼ無く、眺望が大きく開けている。人通りの多い土手道から一望できるこの敷地で、住まい手の個性を主張する建物の立ち現れ方を問われた。
建物ボリュームの検討から設計をスタートし、変形地に合わせた外形であること、そして各階で必要な容積の検討から、積み木のような段々形状が導かれた。さらに段々に合わせ規則的に窓を配列することにより、外観に特徴的なリズムと連続感を生むことを考えた。
この段々形状と連続窓を、一貫した変化を繰り返す明解な形態生成規則として整理し、室の広さなどの機能性とプロポーションといったデザイン性を調整していった。今回は住宅サイズだが、同じ連続的変化を繰り返すことで、より規模の大きな建物まで応用可能な形態生成規則となっている。
また結果としてこの特徴的な建物形状は、公衆トイレや化学工場の集水ポンプといった近隣の異彩なオブジェクト群とも不思議な調和を生み出すこととなった。
段々形状と連続窓は、室内にも秩序と広がりもたらしている。一つの室がいくつの窓を含んでいるかで部屋サイズのバリエーションを設定し、Lサイズ(窓3つ):リビング・ダイニング・キッチン、Mサイズ(窓2つ):主寝室、Sサイズ(窓1つ):子供室・トイレ、といった具合に、用途機能ごとの必要面積によって振り分けた。
室内に連続的に表れる縦長窓が景色を断片的に切り取り、風景のかけらをインテリアの一部として取り込む住空間となった。




axonometricが設計した、福岡・福津市の店舗「DILLY DALLY」です。
風が強い海辺に計画された広場のある飲食店です。建築家は、風から守られた“岩陰の様な場所”を意図し、広場を囲むように細長い建築を配置する構成を考案しました。また、壁面の配置は雑多な景色を遮蔽しつつ自然の美しい風景の導入も意図しました。施設の場所はこちら(Google Map)。
美しいサンセットが眺められる海辺の敷地に、BBQや様々なイベントができる広場と、飲食を中心とした店舗をつくる計画である。
敷地は福岡県、西の海に面する福津市の浜辺の一角。海と森に囲まれた広い場所で、美しい景色を楽しめるものの、季節によっては強風で全く屋外が活用できない土地であった。
そこで、できるだけ大きく広場を囲むように細長く空間を配置し、風から守られた岩陰のような場所をつくろうと考えた。
最も海がよく見える空間はガラス張りのレストランとなり、広場からはレストランを介して海を眺めることができる。また周辺の雑多な景色は立ち上がった壁が遮蔽し、森や海が美しく切り取られるように立面を計画している。
また、この建築の外形は、風力解析を行い、広場に入る風が心地よい風力まで減衰されるように調節されている。人々が美しい自然に親しむために、環境を読み込み、最低限の操作により人のための広場を作りたいと考えた。
広大な自然環境の景色と周辺の雑多な景色、季節により吹く強い海風。このような周辺環境に応答して形成されたランドスケープと、そこに活動の場所を人々が見出すような状況を作りたいと考えた。
建築の形を決定する拠り所を徹底して周辺環境、自然環境に求めることで、建築の内的な論理によらない設計手法を模索した。

万博 休憩所4(前編)
2025年頭、これまでの事務所Schenk Hattoriをたたみ、京都にて新たにMIDW(メドウ)という名前の事務所を設立しました。
2014年にメンドリジオ建築アカデミーの同級生、スティーブンと共にアントワープでSchenk Hattoriを開設してから、あっという間に10年が経ち、僕がベルギーにいた間に始まった案件が全て一段落したことや、コロナ禍の影響で協働が難しい状況が続いたこともあり、このタイミングでそれぞれの新しい事務所を開設することになりました。
そして、MIDWとして最初に竣工した作品が、会期残り僅かとなった万博の「休憩所4」になります。
(Niimori Jamisonと協働で設計。プロポーザル応募時はSchenk Hattoriの名義で提出)
今回と次回の二回に分けて、この休憩所の設計段階からこれまで、そして今後について、段階を追って書いてみたいと思います。
以下の写真はクリックで拡大します
参加を決心するまで
2022年開催のプロポーザルで選定されて以来、万博開幕まで、3年掛かりで進めてきた「休憩所4」。実はプロポーザルが告示された当初、今の時代に万博を開催すること、そしてそれに関わることに果たしてどれだけ意義があるのか、といったことが引っかかり、参加するかどうか、とても迷っていました。
そんな時、Niimori Jamisonの新森くんから連絡を貰い、「どうせ誰かが作ることになるんだから、一緒に提案しましょう」と誘われました。
未来社会とざっくり言われてもピンとこないけれど、確かに、少なくとも建築文化に限って考えたら、万博は未だ見ぬ建築の可能性を示すための実験場としての役割があるはずです。そうであるならば、この時代に生き、建築に携わる者として、今この場で考えるべきことを提示する義務があるだろうと考えました。
そして何より、チャンスが与えられているにも関わらず、参加しない言い訳を見つけて、提案もしないで偉そうに批判だけをするのは嫌だという思いで参加を決めました。
プロポーザルにて
このプロポーザルは少し変わった形式になっていて、全部で20ある施設の受託者を一挙に選定する、というものでした。提案する対象として、休憩所、サテライトスタジオ、トイレという3つのプログラムがあり、その中から任意に選択し提案することが求められており、僕らは、せっかくなら一番大きな施設を作りたい、ということで休憩所を選択しました。
「そもそも休憩所ってなんだろう?」ということですが、休憩所という名前がついているからといって、ただ椅子があって座れることだけが求められているわけではないはずです。特に、万博という特殊な場においては、もっと多様な休憩の形があって良いと考えました。
会期中、たくさんのパビリオンを回って、疲れ果てた人がこの場所に休息に来るはずです。歩き疲れて、座ったり寝転んだり、うたた寝をしたい人もいるでしょう。あるいは、少し頭を休めようと、散歩したり、走り回りたい人だっているかも知れません。
そういった様々な人が、様々なあり方で同居することの出来る場所として、閉じた建物ではなく、ランドスケープのような、あるいはランドスケープと建築の間を繋ぐような場を作るべきだと考えました。休息という人間の本能的な欲求が喚起されるような空間を作りたい、そこから設計が始まりました。
万博の開催地である夢洲は人工島。会期前にはほとんど何も無い、まさに荒野でした。
以下の写真はクリックで拡大します
こんなところで果たして何をコンテクストとして設計の手掛かりにすれば良いのか。途方に暮れながらプロポーザルの配布資料を何度も読み返しているうちに、一つのことが目に留まりました。僕らの設計の方針を決定付けることになる、建物の基礎についての要件でした。


複数のプロポーザルに勝利した実績があり、地域に根差した公共施設も手掛ける「STUDIO YY」の、設計スタッフ(2026年新卒・既卒・経験者)募集のお知らせです。詳しくは、ジョブボードの当該ページにてご確認ください。アーキテクチャーフォトジョブボードには、その他にも、色々な事務所の求人情報が掲載されています。
新規の求人の投稿はこちらからお気軽にお問い合わせください。
STUDIO YYは設立から10年が経ちました。
中山間地域を中心に多くの建築に携わりながら、建築を通して“まちの未来”に関わってきた設計事務所です。
私たちの仕事は、単なる建物づくりではなく、地域に眠る歴史や文化を読み解き、人と自然が響き合う空間をデザインすること。ときに町の人と語り合い、ときに森や川に足を運びながら、プロジェクトを形にしてきました。
コロナ禍をきっかけに公共プロポーザルへ参加するようになり、これまでに道の駅、サテライトオフィス(築100年の木造改修)、蕎麦屋、カヌー艇庫、参道拠点施設、イベントホールなど、地域に賑わいをもたらし、活性化につながる公共建築も多く手掛けてきました。
今後も積極的に公共プロポーザルへ参加するとともに、中・大規模オフィスビルや温泉旅館の建替えなどのプロジェクトが控えており、今回の募集で業務範囲や設計規模に対応した環境作りを目指しています。


ザハ・ハディド・アーキテクツによる、セルビアの「アルタ・タワー」です。
銀行本社に加えて住戸・オフィス・公共広場を内包しています。建築家は、施主の価値観である“安定性・安全性・強靭性”を体現すると共に、市民の重要な拠点にもなる存在を志向しました。そして、タワーと基壇を組み合わせた構成の建築を考案しました。
こちらはリリーステキストの翻訳です(文責:アーキテクチャーフォト)
アルタ銀行がベオグラードに新たなアルタ・タワーを発表
セルビア共和国、ニュー・ベオグラード
ザハ・ハディド・アーキテクツ(ZHA)はビューロー・キューブ・パートナーズ(BCP)と協力し、セルビアのニュー・ベオグラードにおける新たなアルタ・タワーの設計に関する国際コンペで優勝者に選ばれました。
新たなアルタ・タワーにおけるZHAとBCPの設計は、銀行の中核的価値観である「安定性、安全性、そして強靭性」によって定義されています。これらの重要な原則を建築に体現することで、このタワーは銀行の継続的な成長と成功に貢献します。人々を結び付け、協働を促進する進化するビジネス・エコシステムの中で、21世紀の働き方を支える将来にわたって有効な業務拠点を提供します。
カフェや店舗が並ぶ新たな歩行者専用の公共広場を取り入れることで、アルタ・タワーはニュー・ベオグラードにおいて、住民、オフィスワーカー、訪問者、そしてタワーに隣接する新しい大学センターの多くの学生や研究者にとって、重要な市民の拠点を創出します。
ニュー・ベオグラードは、バスや路面電車の路線網に加え、都市鉄道システム「BG Voz」が運行されており、市内の他の地域やニコラ・テスラ国際空港と直接結ばれています。市が計画している地下鉄システムの1号線における将来のメルカトル駅は、新たなアルタ・タワーのすぐ隣に位置することになります。広範囲にわたる交通網を有するニュー・ベオグラードは、国内外の主要企業を擁するこの地域の主要なビジネス地区として発展を続けています。
ニュー・ベオグラードのブロック32に位置するこの新しいタワーは、メルカトル・ショッピングセンターに隣接しており、サヴァ川とドナウ川の合流点にあるウシュチェ公園の遊歩道からも徒歩圏内にあります。これらの特有の敷地条件が、タワーの35階建ての設計における構成と向きを決定づけました。

SHARE 妹島和世の企画監修による、東京の名住宅建築を見学できる「TOKYO HOUSE TOUR」が開催。東孝光の「塔の家」、伊東豊雄の「花小金井の家」「小金井の家」が対象。アートウィーク東京の一環として実施
- 日程
- 2025年11月7日(金)・11月8日(土)


妹島和世の企画監修による、東京の名住宅建築を見学できる「TOKYO HOUSE TOUR」が開催されます。
東孝光が設計した「塔の家」、伊東豊雄が設計した「花小金井の家」と「小金井の家」が対象となっています(1家づつの個別申込)。アートウィーク東京の一環として実施されます。開催日は、2025年11月7日・8日。要事前申込です(※応募多数の場合は抽選 / 締切は2025年10月10日)。
「TOKYO HOUSE TOUR」は、東京の街に佇む名住宅建築を巡る建築プログラム。東京に現存する住宅建築の保存継承、そして東京の暮らし全般に関心のある方たちに向け、2024年に始まりました。本年は、東京都心に建つ東孝光設計の住宅建築「塔の家」、そして自然が残る郊外に立つ住宅建築として伊東豊雄が設計した「花小金井の家」、「小金井の家」(現・ムジナの庭)を訪れます。企画監修は妹島和世です(協力:妹島和世、東理恵、ムジナの庭)。
以下の写真は拡大して閲覧可能です。


新オフィスを開設し増員を進め、公共と民間の多様な建築にチームで挑む「共同設計」の、意匠・構造・設備・BIM・CG・広報・営業のお知らせです。詳しくは、ジョブボードの当該ページにてご確認ください。アーキテクチャーフォトジョブボードには、その他にも、色々な事務所の求人情報が掲載されています。
新規の求人の投稿はこちらからお気軽にお問い合わせください。
「個性とチームワークでつくる建築」
【多様なプロジェクトに、一貫して関われる環境です】
私たち共同設計は、1948年の創業以来、教育施設・庁舎・図書館・美術館・警察署・消防署・交通施設などの公共施設や、ホテル・商業施設・事務所ビル・生産施設・物流倉庫など、分野や規模を問わず、多様な設計に取り組んできました。各プロジェクトは、その都度チームを作り、チーフを中心としたメンバーで設計体制をとっています。若いスタッフも早い段階からプロジェクトに参画でき、企画提案から基本設計、実施設計、現場監理まで一貫して取り組むことができます。トップダウンではなく、一人ひとりの個性や意見が尊重される対話的な設計環境が、私たちの強みです。
2025年現在、学校、図書館、動物園、集合住宅、ホテル、商業施設など多様なプロジェクトが進行中。
新たなプロジェクトも続々とスタートするなかで、共に建築をつくる仲間を募集しています。


連勇太朗が代表理事を務め、“新たな住環境モデル”の発明を目指す「CHAr」の、設計スタッフ(2025年新卒・既卒・経験者)募集のお知らせです。詳しくは、ジョブボードの当該ページにてご確認ください。アーキテクチャーフォトジョブボードには、その他にも、色々な事務所の求人情報が掲載されています。
新規の求人の投稿はこちらからお気軽にお問い合わせください。
【CHArについて】
NPO法人CHAr一級建築士事務所は、「つながりを育む、まちをつくる」をビジョンに掲げ、デザイン・建築設計・まちづくりを軸としながら、自社サービスの運営を通じて多様なアクターと協働しながらプロジェクトを進めている組織です。
人/時間/空間を再び繋ぎ合わせ、新たな価値観と想像力によって、21世紀の社会に求められるネットワークを創造することを目指しています。現代における住環境には住宅や家といったビルディングタイプに限定されず、地域社会やコミュニティまで含めた包括的な視点から住環境モデルの大胆な構想と再編が求められています。CHArは小さな手すりの改修から、大きな都市の計画まで、スケールや領域を横断しながら次の時代に求められる新たな住環境モデルを発明し、実装することをミッションとします。
これまでは改修設計や利活用提案・コンサルティング・自社事業の運営が中心でしたが、それぞれの事業・協働者が成長し、これまでよりも規模の大きい設計案件や地方の案件・ユニークな案件が増えてきています。一方でほんの小さな変化で空間の質が変容するようなミクロなデザインのクオリティも追求しています。
また建築設計だけにとどまらず、企画提案・プログラム提案・プログラム開発・事業モデル開発など、多岐にわたる業務を横断しながらプロジェクトを進めています。
建築・まちづくり・クリエイティブへの情熱があり、建築設計を軸足としながらさまざまなチャレンジをしたい方のご応募お待ちしています!



妹島和世+西沢立衛 / SANAAとフォルマファンタズマの会場デザインによる展覧会「ブルガリ カレイドス 色彩・文化・技巧」です。
本展は、国立新美術館で開催されています。建築家たちは、光・色彩・反射が来場者を発見の旅へと誘い、クラフツマンシップと文化の深遠さを解き明かす空間を志向しました。そして、カラカラ浴場のモザイクのパターンと東京のイチョウの葉の形に着想を得てデザインしました。
会期は、2025年12月15日まで。展覧会の公式ページはこちら。
SANAAによるコメント
「ブルガリカレイドス色彩・文化・技巧」展では、光、色彩、そして反射が来場者を新たな発見の旅へと誘う空間─イタリアと日本の間に詩的な架け橋を築きながら、ブルガリのクラフツマンシップと文化の深遠さを解き明かす空間─を創り出したいと考えました。古代のカラカラ浴場のモザイクのパターンと東京のイチョウの葉の形にインスピレーションを得たこの展覧会は、物語、シンボル、そして感情が織りなす生きた万華鏡になるでしょう



ツバメアーキテクツが設計した「コンポスト屋台 ノーマル&デラックス」です。
移動式の堆肥をつくる装置です。建築家は、集合住宅や商業施設での使用を想定し、“ネコ車とショッピングカートのハイブリッド”と言える形態を考案しました。また、手軽なサイズの“ノーマル”とステーションの役割も持つ“デラックス”を用意しています。
ツバメアーキテクツで設計しているコンポスト屋台。
団地や集合住宅、菜園、農地で生ゴミを回収し、堆肥を作ったり、育てた野菜を配布する。農地や都市を行き来するのでネコ車とショッピングカートのハイブリッドと言えよう。FARM SPOTというコンポストを起点とした場づくりの取り組みで、団地や集合住宅、商業施設の中で使われていく。
そのため、有機物が分解していく過程を観察できるように透明バケツを使い、福引機のような機構とすることで、コンポスト化のプロセスを楽しめるデザインとした。手軽なサイズである「ノーマル」とステーションとしての役割も持つ「デラックス」を用意した。
使い方としては、手始めに菜園を併設するカフェの運営者が使用することで、生ごみのトレーサビリティを担保しながら小さな循環を試行する。菜園にはバイオネストもつくった。収穫し終わった野菜の残渣を溜めと、コンポストの処理が追いつかない時に生ごみを受け入れるバッファとして使用する。
菜園の看板は、既存の柵をサンドイッチするディテールをもち、麻紐で後付けできるようになっていて、カフェと菜園を視覚的につなげる。




成瀬・猪熊建築設計事務所が設計した、東京・杉並区の集合住宅「Nishiogi comichi terrace」です。
細い道が縦横に通り緑溢れる住宅街に計画されました。建築家は、“地域の成立ちに近い状況”の創出を求め、敷地を横断する“こみち”を内包した23住戸の建築を考案しました。また、こみちと各玄関の間の“細やかなレイヤー”設定で自然な関係も構築しました。
この住まいは、西荻窪から徒歩10分程度の戸建て住宅地の中に新たに計画された集合住宅です。
西荻窪といえば駅周辺の飲み屋街や個人のこだわりの店舗をイメージしますが、駅から少し歩けば細い道が縦横に走り、家々の庭には緑が元気に育つ、豊かな住環境が広がっています。
我々は、約1600㎡の延べ床面積が要求されたこの計画を敷地に落とし込むにあたって、できる限り地域の成り立ちに近い状況をこの場に生み出したいと考え、23軒の長屋をつないで一棟としつつ、東西を通り抜ける小径を生み出しました。
基本的に、各住戸は1階にリビング・ダイニングがありますが、小径と玄関扉の間には地被植物・盛土・中高木・軒といった細やかなレイヤーを設定し、室内と小径の自然な関係を作れるよう細心の注意を払っています。
小径は、住人の生活動線であり、立ち話の場所であり、子供たちの遊び場であり、それとなく互いの生活の雰囲気を感じられる場所です。

アーキテクチャーフォトで、先週(期間:2025/9/29-10/5)注目を集めたトピックスをまとめてご紹介します。リアルタイムでの一週間の集計は、トップページの「Weekly Top Topics」よりご覧いただけます。
- アーティストユニット・原倫太郎+原游の展覧会が、渋谷の“原広司+アトリエ・ファイ建築研究所”を会場に開催
- KUMA & ELSAによる、埼玉の「House by the temple」。“別世界”と言える巨大な境内と向い合う敷地。“ミラーリング・ワールド”を主題とし、“囲われた世界とその中の建築”と捉えた寺の構成を踏襲。利他性も倣い隣家への寄与を考えて母家の平面を“1/4円”とする
- BIGによる、アメリカ・ロサンゼルスの「ロバート・デイ・サイエンス・センター」。大学キャンパス内での計画。アイデアの交換を促進する刺激的な場を目指し、各階のヴォリュームを45°回転させて積層する建築を考案。中心に作られた吹抜空間を多様な属性の人々たちの交流の場として機能させる
- AMP / PAM・park street studio・アオイランドスケープデザインによる、さいたま市の休憩施設「氷川神社 ゆうすいてらす」。“水・光・風の流れの回復”に向けて、ランドスケープ的介入の一部として建築を定位。“聖と俗のあわい”の場も意図し、全方位からの“流れ”を迎え入れる分棟型の構成を考案
- 青木淳と中村竜治が共同で外装デザインを行う「JINS新宿店」が、2026年夏にオープン。内装は中村竜治が単独で手掛ける
- ヘルツォーク&ド・ムーロンによる、アメリカ・フィラデルフィアの美術館「カルダー・ガーデンズ」。20世紀を代表する彫刻家の為の美術館。高速道路沿いの“都市の空白地”に造られる建築として、人々の目的地であると共に“新たなタイプの芸術と過ごす空間”を志向。“内部に建物を含んだ庭”としての施設を考案
- 室宏アトリエによる、大分市の「上野丘の改修」。南北に“景色と風が抜ける”住戸を改修した設計者の自邸。特徴を活かした計画を求め、中央に配置した“角度を45°振った箱”で全体を緩やかに分ける構成を考案。自身の手で解体して“空間を掌握”してから設計
- SDレビュー2025の入選作品の展覧会レポート(前編)。“実施を前提とした設計中ないしは施工中のもの”という条件での建築コンペで、若手建築家の登竜門としても知られる
- SANAAによる、台湾の「Taichung Green Museumbrary」が2025年12月にオープン。旧軍用空港跡地の公園内に計画された美術館と図書館を統合した施設。軽やかで開かれた存在を目指し、アルミとガラスの二重構造のファサードで地上レベルに全方向からアクセス可能な公共広場を備えた建築を考案
- 妹島和世+西沢立衛 / SANAAによる、台湾の「Taichung Green Museumbrary」がプレオープン。妹島と西沢も現地を訪問。地元の新聞社が報道したもの
- 川島範久による建築展「自然とつながる建築をめざして」。大阪・日本橋の安藤忠雄設計の建築を会場に開催。地球環境危機の時代に求められる“サステナブルでデライトフルな建築”を、模型・素材・ドローイングを通じて提示
- SDレビュー2025の入選作品の展覧会レポート(後編)。“実施を前提とした設計中ないしは施工中のもの”という条件での建築コンペで、若手建築家の登竜門としても知られる
- AMO / OMAによる展覧会「DIAGRAMS」。ヴェネツィアのプラダ財団で開催。ダイアグラムを“グラフィック装置および思考体系”として捉え、“知識の構造”や“我々の世界の理解”への貢献について考察。12世紀から現代までの300点以上の資料を展示
- フォスター+パートナーズによる、大阪・関西万博の「サウジアラビアパビリオン」。国の魅力を伝える場として、町や都市を探訪する体験を想起させる存在を志向。迷路の様な曲がりくねる路地を探索する空間構成を考案。ローカルアーキテクトとして梓設計も参画
- studioSHUWARIによる、富山市の住宅「Work / Life / Archive」。“クリエイティブな仕事”をする施主夫婦の為に計画。大量の資料などの整理と保管という与件に対し、自身でカスタムできる壁面収納を備えた建築を考案。全体をスキップフロアとして其々の空間を緩やかに分節する
- 【ap job更新】 社会への影響力のある建築を手掛け、リモートも取入れた環境で働く「E.A.S.T.architects」が、設計スタッフ(経験者・既卒)を募集中
- 池田靖史・下田悠太・林盛による、千葉・館山市の「POP-UP ORIGAMI ROOF」。海辺の地域での相撲の土俵に屋根を掛ける計画。“折り紙の動き”を応用し、膜を引張材としカーボンパイプ等を圧縮材とした“テンセグリティ構造”の屋根を考案。超軽量を活かして人力作業かつ低コストで完成させる
- リナ・ゴットメによる、大阪・関西万博の「バーレーンパビリオン」。“海をつなぐ”をテーマに計画。同国と海の繋がりを伝える施設として、“伝統的な船の製造技術”の参照に加えて“日本の木組の技術”も融合させる建築を考案。持続可能性を考慮して殆どの材料を再利用可能とする
- 小野寺匠吾建築設計事務所による、大阪・関西万博の「いのちめぐる冒険(河森正治館)」。環境問題や廃棄解体問題も主題に計画。建築の循環プロセスの可視化を目指し、海運規格の輸送性の高い鉄骨フレーム、大阪湾の海水100%のコンクリート、分解や再構築の効率が高い構造システム、で造る建築を考案
- 阿曽芙実建築設計事務所による、岐阜・多治見市の住宅「Kaleido scape」。余裕のある“T型の敷地”に計画。物価上昇に対応する為にシンプルな構成を意識し、家型で筒状のヴォリュームを交差させた“様々な外部と関わりをもつ”建築を考案。“万華鏡”の様に室内に光が入り込み空間を彩る
安藤忠雄を特集したウェブ番組「建築家 安藤忠雄 青春の軌跡、未来へ」の動画です。全国賃貸オーナーズフェスタの制作で2025年9月に公開されたもの。















