



葛島隆之建築設計事務所が設計した、三重・員弁郡の「Clinic O」です。
医院の増改築のプロジェクトです。建築家は、イメージの更新と機能不全の解消を求め、既存と環境を繋ぎ合わせる為の“バッファー”となる細長い量塊を増築する計画を考案しました。そして、訪問・治療・会計の流れを“生活に溶け込む”スムーズな体験へと変えます。
本計画は、院長が二代目へと変わり、業務拡大に伴う建築の機能不全を改善したいという事に加え、リニューアルに伴うイメージのアップデートを行いたいという事から始まった。機能不全としては、キッズスペースの確保、バックヤードの拡充、アプローチやトイレなどのバリアフリー化などであった。
要望に対して床面積が不足している事から、増築を選択し、東側の隣地境界際の基壇を解体して細長い廊下状のヴォリュームを計画する事とした。ヴォリューム内部には待合スペースとキッズスペースを設け、待合スペースの面積が減った既存棟内はバックヤードとしての面積を増やし、動線を整理した。
増築棟としてのヴォリュームは、周辺環境と既存棟を繋ぎ合わせる為のバッファーとして考えた。
アプローチ空間を伴うバッファーを丁寧に設計することで、クリニックに訪れ、治療を受け、会計を済ますまでの一連の体験が、生活に溶け込むスムーズなものへと変化することを目指した。そして、そのヴォリュームが取りついた外観としての現われが既存建築の持っていた強い独立性を打ち消すようになればと考えた。具体的には、踏面の広い階段やスロープの延長により、既存棟FLとGLとのレベル差を処理し、寄り付きやすいアプローチとした。構造躯体は既存建築の屈強なRCと繊細に応答できるよう、鉄骨のラーメンによって組み立てた。
緩やかにカーブする坂道沿いの壁面は全面ガラスとし、周辺から内部空間と共に既存棟が覗えるようにした。ガラススクリーンは、階段ポーチまで延長し立面を抽象化し、人々を迎え入れる。
増築棟と接する既存外壁は内壁化することから、白い保護塗料を剥がしビシャン仕上げとし、既存開口部はサッシを外して受付カウンターなどへと転用した。新たに内壁として壁を貼って仕上げたり、開口位置を変更することなく、既存建築の要素を新しい建築の要素に置き換えた。廊下状の内部空間は、田園風景と40年の時間が刻まれたテクスチャーによって作られている。
時を経て建築に求められることが変化し、アップデートを求められた今回のプロジェクトにおいて、建て替えのような大掛かりな対応は負荷も大きく、既存環境に対して無作法であるように思う。
一方で、部分的要素の付加による対処療法のようなものもまた、既存建築の魅力を損ないかねない。ここで考えた事は、増築部の適切なスケールと存在感であり、それによって生まれる新旧の建築内部の連続性、既存建築と周辺環境の風景としての連続性である。
















