


大峯竣平+堤康浩 / デザインオツが設計した、石川・輪島市の「二ツ屋町ハウス」です。
五差路に面する敷地での計画です。建築家は、“風土的な振舞い”が背景にある住居を求め、人々の“懐のひろさ”に着目して“ひろさ”の“懐”となる建築を志向しました。そして、土間・広間・物見縁台を繋いだ気積のある空間で様々な受入れを可能にしました。
石川県輪島市に計画した夫婦と子供二人のための住まい。
敷地は生活道路が集まる五差路に面しており、その向こうには鳳至川と小さな橋があり、ぽつぽつと生業の煙が昇る里山の風景が広がる。
うちあわせに向かうと、建主夫婦と子どもたちがいつも出迎えてくれて、輪島の美味しい御食事へ連れていってくれたり、いいところを案内してくれたりするし、その親御さんや知り合い友人もみな快く出迎えてくれる懐の「ひろさ」がある。
輪島での郷土的なものとして、それが人々の精神性にも関わっていることがあると思った。この「ひろさ」が、建主の延長である建築にも何か絡まっていけないかと計画を進めていった。また、建主にはお子さんがいて、二人の兄弟である。
能登里山の風景や風土的な振舞いが住まいの背景としてあり、彼らにとって家族で過ごす空間や時間が良いものであるように願った。
玄関土間の上部には大きな吹抜け、壁にも天井にも開口部を設けた、この建物で最も陽光が入る空間である。そこから繋がる12畳程の二階のホール、輪島の景色のためのピクチャウィンドウと三角形の物見縁台がある。
上下に連続した大きな気積の空間であり、外部環境へのアクセスハブであり、住居のなかにある「そと」のようである。
お客さんとのやり取り、外の空気のにおい、景色、陽の入り方、鳳至川の水音など、何らかの外部環境の多様さが介在しやすい場とした。「そと」の気積はこの建物の中心の場所であり、家族のプライベートとしてのLDK・客室・居室が接する構成となっている。
各室から出ると「そと」に居て、日常の合間に自然な形で外部環境の情報に触れられる。「きょうのお天気は」「お客さん、果物持ってきてくれた」「きょうは朝日がきれいやわ」
この土間から吹抜け、ホールから物見縁台へと繋がる気積は、家のなかに外部環境の情報を迎える「ひろさ」という懐をもたらした。

坂茂による講演会「作品づくりと社会貢献の両立を目指して」が、群馬県建設業協会の主催で開催されます。
群馬建設会館を会場に行われ、環境との調和を重視したデザインや災害支援活動について語られる予定です。開催日は、2025年1月15日(水)。参加費無料。要事前申込(※定員になり次第締切)。参加の申込フォームはこちらです(※定員制となりますので、事前に必ず電話[027-252-1666]で申込状況を確認してくださいとのこと。メールやFAXでの申込も受付けています)。【ap・ad】
一般社団法人群馬県建設業協会(会長 青柳剛)が主催する「特別講演会」のお知らせです。
日本の建築家で、クーパー・ユニオン建築学部(NY)で建築を学び、東京、パリ、ニューヨークに事務所を構え、芝浦工業大学特別招聘教授の坂茂(ばん しげる)氏による特別講演会を開催します。
世界に誇る建築家で、環境との調和や持続可能性を重視したデザインが特徴的であり、被災地での仮設住宅や緊急避難所の設計等、災害支援活動にも力を注いでいます。名実ともに偉大な建築家をお招きし、経験談や建築デザインについて、ご講演頂きます。
建築家による講演会は昨年度の早稲田大学創造理工学部教授の古谷誠章氏(日本建築士会連合会会長)に引き続き行います。
日時は令和7年1月15日18時から。入場無料(定員制)。会場は群馬建設会館(群馬県前橋市元総社町2-5-3)の2階ホール。
講演のテーマは「作品づくりと社会貢献の両立を目指して」。お申込みはフォーム、メール、FAXにてお受けします。定員制となりますので、事前に必ず電話で申込状況を確認してください。
以下に、詳細な情報を掲載します



成瀬・猪熊建築設計事務所が設計した、東京の「高円寺のオフィス」です。
設計者が監修した製品を用いて構成した自社の事務所の計画です。建築家は、改善や可能性のフィードバックを得る為の“実験の場”を求め、システムパーティション等を実装した空間を考案しました。そして、働く場の在り方の捉え直しと更新にも繋げることも意図されました。
成瀬・猪熊建築設計事務所の新しいオフィスです。
自社で監修した家具・パーティションシリーズcommon furniture(イトーキ)で構成したオフィスを東京都杉並区高円寺に開設しました。
common furnitureは、工場や研究施設で使われてきた機能的でカスタマイズしやすい家具、さまざまな仕切り方やデザインを可能にするシステムパーティション、そしてこれまでは無かった多彩なカラーリングを備えた、自由で創造的な空間を実現するための家具ブランドです。
今回のオフィスは、これらのツールを自身の執務空間に実装することで、使い方を検証し、改善点や可能性のフィードバックを得るための実験の場です。
具体的には、模型製作・原寸検証・サンプル確認などが入れ替わり必要になる設計事務所特有の状況を、効率よく弾力的に運用するために、common furnitureがどう活用できるかを検証してゆきます。
この拠点をきっかけとして、働く場のあり方を捉え直し、さらなる更新に繋げて行きたいと考えています。


小大建築設計事務所の、設計スタッフ(2025年新卒・既卒・経験者)・CADオペ・プロダクトデザイナー・経理職 募集のお知らせです。詳しくは、ジョブボードの当該ページにてご確認ください。アーキテクチャーフォトジョブボードには、その他にも、色々な事務所の求人情報が掲載されています。
新規の求人の投稿はこちらからお気軽にお問い合わせください。
小大スタッフ募集(1次募集締切2025年1月8日まで)
就職説明会 2024年12月6日(金)18:30-20:00 開催─────────
【募集職種】
01.小大建築設計事務所設計中途スタッフ
02.一畳十間設計中途スタッフ
03.新卒設計スタッフ(小大/一畳十間)
04.CADオペレーター
05.プロダクトデザイナー
06.経理補助───
01.小大建築設計事務所 設計中途スタッフ
■募集背景
弊社は設立10年目となりました。
これまで、日本では大型温泉旅館案件・公共スポーツ施設案件、中国では個性豊かなインテリアの仕事や地域色豊かな環境での宿泊施設を多数竣工させ、実績を重ね成長を続けてきました。
2023年にハイアット初のラグジュアリー温泉旅館ブランド「吾汝 ATONA」の指名コンペで選定して頂いたことにより、更なる業務範囲や設計規模が拡大している状況です。弊社の急速な成長に伴い従来のアトリエの枠組みを超えた組織変革(給与条件・労務環境)を行うことで、優れた設計士を新卒及び中途スタッフとして迎え入れる環境を整えました。
現在30名の設計士が在籍しており、今回の募集で35名以上のチームを目指し、設計事務所としての総合力の強化を目指しています。




山口健太郎 / KNT Architectsが設計した、北海道・札幌市の「House in MARUYAMA / 円山の自邸」です。
山裾に計画された設計者の自邸です。建築家は、豊かな緑に囲まれた敷地に対して、様々な開口部を通じて“視線が山へと抜ける”建築を考案しました。また、素材自体の表出は“職人の手”から生まれる“建築の骨”での“纏う空気”の創出も意図されました。
山麓に建つ設計者の自邸である。
敷地は長い間買い手がつかず、急斜面の条件が厳しいものであったが、豊かな緑に囲まれたこの土地を目の前にしたとき、自然と手が走りここに家族のための家を建てようと決めた。
建物は山の斜面に一部埋め込まれるようなかたちのほぼ平屋であり、地下には階段と小さな玄関があるだけである。
かなりコンパクトな空間ながら、極力間仕切りを設けず、開口部を通して山へと抜ける視線は平屋ならではの奥行を感じさせ閉塞感は少ない。リビングと寝室に設けた床のレベル差も、走り回る子供や家具を少しだけ視界の中心から外すことで空間を広く感じさせる。
また費用圧縮も兼ねて、仕上げはなるべく素材そのものを表出させ、ほぼ大工工事で完結するよう計画している。建築の骨をつくる職人の手が直接、その建築の纏う空気までをつくって欲しかった。その分納まりや躯体との取り合いはシビアになり、施工には緻密で丁寧な仕事が求められることになるが、豊富な知識と経験を持つチームはこちらの期待にとても良く応えてくれた。


プロジェクトの目的を読み解き、最も相応しい構造計画の提案を目指す「MOF」の、構造設計スタッフ(2025年新卒)募集のお知らせです。詳しくは、ジョブボードの当該ページにてご確認ください。アーキテクチャーフォトジョブボードには、その他にも、色々な事務所の求人情報が掲載されています。
新規の求人の投稿はこちらからお気軽にお問い合わせください。
MOFでは2025年3月に大学卒業予定または大学院修了予定の構造設計スタッフを1名募集します。
構造設計業務がメインですが、やる気がある方であれば意匠系や環境系の方でも歓迎です。MOFは3人の共同代表が主宰する構造設計事務所です。
建築家と協同し、庁舎、文化施設、教育施設など様々な用途の新築物件の構造設計監理や、世界遺産、国宝、重要文化財の耐震診断及び補強設計監理を日本全国で行っています。
扱っている構造の種別はRC造、鉄骨造、中大規模木造、PC造、伝統木造、レンガ造など多様です。構造の安全性や合理性を考えるのはもちろんですが、それに加えてプロジェクトの目的と意味を読み解き、最も相応しい構造計画を提案することを目指しています。
社名の「MOF(エムオーエフ)」をローマ字読みした「モフ」という音の響きは、毛皮や毛布のように、人々の生活を柔らかく包み込むような建築を理想とする私たちの理念を示すものです。業務拡大に伴い、将来的に長く一緒に働いていただける方を募集しています。
MOFは東京、京都、福島を拠点として活動していますが、今回は東京拠点での募集となります。将来的には別の拠点での活動やリモートワークなども相談可能です。


隈研吾による、2つのクリスマスツリー「木漏れ日」と「木組み」です。
隈がデザインした虎ノ門と銀座のホテルで公開されます。建築家は、サステイナブルをテーマとし、小さな木のユニットを積み上げるデザインを考案しました。また、シーズン終了後は家具に転用されれます。
「木漏れ日」は東京エディション銀座にて2024年11月19日から、「木組み」は東京エディション虎ノ門にて2024年11月20日より公開されます。
隈研吾によるコメント
2020年にオープンした東京エディション虎ノ門と、2024年にオープンした東京エディション銀座のロビーに、クリスマスシーズンを華やかに彩る、木でできたツリーをデザインしました。どちらのツリーも、小さな木のユニットを積み上げて作り、それぞれの街の特色を表現します。また、複数の樹種を使うことで森の循環・育成に貢献します。クリスマスシーズンが終わった後も、ツリーのユニットは家具に転用され、違う場所に生まれかわります。そんなサステナブルで、永遠を生きるクリスマスツリーが生まれます。



北村直也建築設計事務所が設計した、岐阜・大垣市の店舗「パティスリー. ポッシュ ド アコ」です。
“デコラティブ”な洋菓子店だった建物を新たな菓子店へと改修しました。建築家は、煩雑な状況の“単純化”と商品の“強調”を意図し、内外を“ブルーグレーに統一”する計画を考案しました。また、商品に通じる“控えめで華やかな雰囲気”も意図されました。店舗の場所はこちら(Google Map)。
焼き菓子をメインとした、キッシュ、パン、ケーキを扱う店舗のリノベーション計画である。
既存建物は色や形状がデコラティブな洋菓子店の居抜き物件で、南の幹線道路へ面し対面する隣接建物へも距離があり明る過ぎる立地である。
クライアントの要望では白を基調とした店舗にしたいというものであったが、明るさの調整、煩雑すぎる状況の単純化、お菓子を強調させるため内外をブルーグレーに統一して塗装することを提案した。
エントランスの扉はお客様と商品が出会う大切な場面である。既存では両開きのガラス開き戸で中が丸見えだったため、新しく大きな木製引戸を設計し、はじめの出会いを演出した。
外から入ってきたお客様は横長の什器と対面する。什器は平面的に傾けてお客様を迎え入れるような関係を作り出し、高級感のあるクリーム色の大理石天板としお菓子の質のよさを引き立てている。
屋外開口部前に設置している外構は、利用されなくなったリサイクルボックスを塗装したものをプランターとし、植物の種類は南向きで鉢植えという過酷な環境に耐えられるようにオーストラリア原産の植物を植えている。

妹島和世と西沢立衛の対談「穴が開くほど見る―建築写真から読み解く暮らしとその先 第10回」の動画がLIXILのサイトで期間限定で無料配信されています。
其々が選んだ、厳島神社、中野本町の家、サヴォア邸、スカイハウスの写真を題材に議論されています。視聴申込期間は、2024年12月20日(木)まで。また、本記事では、テーマとなった写真と語られた内容のキーワードも掲載します。【ap・ad】
LIXILと「新建築住宅特集」は、これまで「穴が開くほど見る──建築写真から読み解く暮らしとその先」と題し、名作住宅の建築写真を隅々まで掘り下げて読み取る企画を展開してきました。
1枚の写真から時代背景、社会状況、暮らし、建築家の思いなど、読み取る側の想像も交えながら細部まで紐解くことで、時代を超えた大切なものを見つめ直し、未来に向けた建築のあり方を探ります。
今回は、「新建築住宅特集」24年10月号に掲載された、本企画 第10回目の妹島和世氏と西沢立衛氏の対談動画を、期間限定で配信いたします。ぜひご登録のうえ、ご視聴ください。
(2024年8月1日 東京都港区 SHIBAURA HOUSEにて収録)
妹島和世が冒頭に語ったキーワード(アーキテクチャーフォト編集部が抜粋)
伊東豊雄事務所でプレス係をしていて、スライドを並べ替える仕事をしていて、並べ方によって印象が変わることが分かった / 多木浩二が撮影した「代田の町家」のローアングルの写真が印象に残っている / その他
西沢立衛が冒頭に語ったキーワード(アーキテクチャーフォト編集部が抜粋)
写真が白黒、ネットもなく写真にかける思いが強かった時代 / 雑誌ではなくアーカイブで写真を見ていた / ミース・ファン・デル・ローエのアーカイブ / アーカイブは編編集がない(断片の集積) / 雑誌では編集と一緒に写真をみることになる / 雑誌に関しては、雑誌の物語の一部として写真を捉えている / 写真ではないが、ミースのフリードリヒ・シュトラーセの高層ビルのドローイングは正に穴が開くほど見た記憶がある / 80年代後半から90年代初頭のEl Croquisの鈴木久雄さんの写真にはハットするものがあった / GAの二川幸雄さんの再春館製薬女子寮のシンメトリーで撮った写真には驚かされた / その他




山田伸彦建築設計事務所が設計した、宮崎市の「佐土原 下那珂の家」です。
通りを挟んで施設が建つ分譲地での計画です。建築家は、朝日を感じられる住宅との要望に、平面中央に天窓と階段を設けて“柔らかな光を落とす”構成を考案しました。また、階段空間を介し全体を繋げて“常に家族の気配”の感受も可能にしました。
宮崎市内の木造2階建のスキップフロアの新築住宅。
敷地は分譲されて最後まで残った土地ではあるが、前面が開け高台からの眺望にも恵まれた場所にある。ただ、敷地の高低差(がけ条例)として建てられる部分の形状から建てられる部分は小さいため、このような2階建を提案して建築している。
主な要望としては、朝日を感じたい(※東は隣地あり)西側は公民館等があり目線を合わせたくない、常に家人の気配を感じたい、使いたい素材のこと、趣味の話が主にあった。
中心の階段室を井戸のような深い吹き抜けと棚の家具のような箱階段としている。トップライトと合わせて柔らかな光を中心に落とすことで、この空間を介して全体がつながり、気配を感じることができる。
畳室までの階高を2.2mとしてできるだけ低くての届くくらいの高さとすることでより親密な空間とした。玄関周りも同じ土間空間とし、キャンプ道具をいじったり、庇下の部分で機械いじりなどをできるような趣味の空間イメージもある。
部屋を細かく囲い込むことなく、例えば洗面も同じ空間に同列にした。


地域に根を生やし、公共施設から住宅までを手掛ける「株式会社 三省設計事務所」の、設計スタッフとBIMモデラー募集のお知らせです。詳しくは、ジョブボードの当該ページにてご確認ください。アーキテクチャーフォトジョブボードには、その他にも、色々な事務所の求人情報が掲載されています。
新規の求人の投稿はこちらからお気軽にお問い合わせください。
株式会社三省設計事務所では設計スタッフ(経験者、一級建築士の有資格者、BIMモデラー)を募集します。
弊社は長崎県長崎市を拠点に、GA JAPANに掲載された「神話の里トイレ」をはじめとして、公共施設、福祉施設、住宅など大小さまざまな建築の設計・監理を手掛けています。設計プロポーザル・コンペにも積極的に参加しており、PFI事業へも参画しております。本年度も様々な公共案件の設計・監理が進行中です。業務増大に伴い新規スタッフの募集を行います。
弊社は長崎県長崎市という地方都市に拠点を置き、地元に根をしっかりと生やし、地元ならではの独特の地形や気候へ真摯に向き合うことを心掛け建築をつくってきました。小規模住宅から大規模な公共建築まで、幅広い知識・技術を習得し、基本設計から竣工までの一連の建築設計の仕事を経験できます。
長崎は海と山に挟まれた土地が多く、港から発展したまちです。一町を除いてすべての市町村が海に面し、島の数も日本一であり、港町の風景が生活の一部となって溶け込んでいます。また長崎には「和華蘭」というごちゃまぜ感が魅力のちゃんぽん文化があり、多彩で多様な文化が交わって形成された独特の街並みも数多くあります。
代表の田中健一郎は「INTERMEDIA」で設計経験を積み、2010年三省設計事務所に入所後、取締役を務め、県立ろう学校や口之津港ターミナルビル、南島原市学校給食センターの設計プロポーザルでは最優秀賞を受賞しました。現在は設計活動と同時に長崎総合科学大学建築学コースにて非常勤講師を務めています。
これからの建築を共に考え、実現し、議論していけるような意欲的な人と一緒に仕事がしたいと思っています。意欲と熱意にあふれた方々を歓迎いたします。

ヘルツォーグ&ド・ムーロンが、アメリカ・ニューヨークの、マルセル・ブロイヤー設計の旧ホイットニー美術館(1966年竣工)を改修するとのことです。オークションハウスのサザビーズが建物を取得して計画を発表しています。詳細は、上記リンク先のプレスリリースからどうぞ(PDF)。




矢野泰司+矢野雄司 / 矢野建築設計事務所が設計した、高知・吾川郡の「いの町観光拠点施設 仁淀川にこにこ館」です。
地域の憩いの場となっている河川敷に面する敷地での計画です。建築家は、隣接地が持つ“余白のある広がり”に着目し、“柔らかく接続”して一体的な環境を形成する建築を志向しました。また、機能毎に建物を分けて行止まりのない連続性も生み出しています。
高知県いの町に建つ観光拠点施設の建替計画である。
この建物が面する仁淀川は町の基幹産業である和紙製造に欠かせない水源であり、中心市街地が程近い中流域の河川敷は日常的な町民の憩いの場でもある。夏には花火が川の中洲から打ち上がり、町民にとって昔から大切な場所であり、魅力的なパブリックスペースである。
本計画において、そういった河川敷が持つ、おおらかで余白ある広がりを途切れることなく建物に自然に引き込み、一体的な環境を形成する事を重要視した。敷地は川以外にも国道、工場、住宅地といった複数の異なる環境とスケールに取り囲まれた多角形形状をしており、どの面に対しても裏とならないように敷地形状に沿って建物を配置し、屋根面を多方向に向ける構成とした。さらに、半外部空間を室の周りに設けて、風が敷地内を通り抜け、行き止まりのない連続性を確保した。
外観は空や山を引き立てる橙色をした量塊感のある建ち方によって、隣接する市町村の結節点でもある地域のランドマークとしての役割を果たしている。敷地内に入ると、開放的な木造架構を通して周辺地域の風景に意識が飛んでいく。
また、川側から住宅地側にいくに従い、屋根の高さと柱の径を徐々に小さくして、川の大きなスケールから住宅の小さなスケールが違和感なく繋がり、敷地境界を超えて河川敷を含めた一体の環境の中に自分がいるような感覚になる。




OKDOが設計した、静岡の「森を育む丘の家」です。
森を切り拓いた新興街区での計画です。建築家は、地域の成長や豊かさにも寄与していく存在を目指し、敷地境界の内外を緩やかに接続する“丘のような”建築を考案しました。また、人と犬の快適な共存も意図して建築の内と外も曖昧にしています。
静岡県某所にある区画整理事業地の一角に、丘のような住宅を設計しました。
森を切り拓いて作られた敷地周辺には、設計当初は街路樹や公園などの緑が一切なく、人工的な風景が続いていました。新興街区に建ち始めた建築は配置も高さもバラバラでとりとめがなく、町並みとして目指す方向が定まっていないように見えました。私達はこの場所に、町の成長や豊かさに寄与するような、そんな風景を作りたいと考えました。
住み手は、人間と犬が垣根なく快適に共存できる空間を求めていました。
まず敷地の高低差を利用して丘状の地盤を設計し、地盤内に「外部のように開放的な内部空間」や「内部のように落ち着く外部空間」を作ることで、屋内と屋外の境界を曖昧にしました。つぎに敷地の気候環境を丁寧に検証し、空調システムに頼らなくても快適で、四季の移ろいを愛おしみながら生活できるように設計を進めました。
敷地境界を塀で囲わずに緩やかに繋げたことで、住宅内から眺める空はおおらかに広がり、道往く人々は豊かな緑を享受します。こうして、一般的には公共性の希薄な住宅に、町との良好な関係性を生み出しました。

アーキテクチャーフォトで、先週(期間:2024/10/28-11/3)注目を集めたトピックスをまとめてご紹介します。リアルタイムでの一週間の集計は、トップページの「Weekly Top Topics」よりご覧いただけます。
- 日建設計が最優秀者に選定された、鎌倉市の新庁舎等基本設計プロポーザルの、最終プレゼンの動画。石本建築事務所 横浜事務所、内藤廣・松田平田設計共同企業体、隈研吾建築都市設計事務所・梓設計共同体のプレゼン動画も公開
- 東孝光による「塔の家」(1966) と 伊東豊雄による「花小金井の家」(1983) の建築ツアーが開催。妹島和世の監修でアートウィーク東京の一環として実施
- ザハ・ハディド・アーキテクツによる、カタールの集合住宅「ザ・グローブ」。湾岸沿いの敷地での計画。店舗が並び“交流の中心となる遊歩道”のある、先進的な冷却技術で“屋外でも快適に過ごせる”建築を考案。様々な再生可能エネルギーを取入れてラグジュアリーと持続可能の両立も意図
- 鎌倉市の新庁舎等基本設計プロポーザルで、日建設計が最優秀者に選定。コンセプトは「ひとつながりの未来の庁舎『鎌倉ONE』」。提案のイメージも公開
- 大西麻貴+百田有希 / o+hによる、静岡・浜松市の店舗「まちのコモンズとしての店舗」。郊外のメガネ店の計画。暮らしを豊かにする“コモンズ”としての店舗を目指し、放射状に壁を配置して売場だけではない“性格の異なる居場所”を備えた建築を考案。地域の素材も使用して“暖かみのある空間”とする
- 山田誠一建築設計事務所による、静岡の「House A」。往来のある“碁盤の目の”街区の敷地。防犯対策しつつも“街と大らかな関係”を結ぶ建築を求め、街に対し“45度”振ったグリッドを用いて”視線の抜け”や“余白”を創出。周囲と繋がる為のテラス等も散りばめる
- BIGによる、デンマーク・コペンハーゲンの「BIG HQ」。国際的に活動する設計事務所の自社ビル。湾岸地域の先端部分を敷地として、コンクリート壁が支え合う“ピラネージ風”の“開放的”な空間を備えた建築を考案。社内の5つの専門部署が綿密に協働して造り上げる
- 建築家の石上純也が、エルメスの2025AWメンズコレクションのランウェイに出演。長谷川博己・大沢たかお・松田翔太らもモデルとして参加
- 山縣洋建築設計事務所による、山梨・南都留郡の別荘「KM」。別荘が建ち並ぶ地域の開けた傾斜地に計画。地形自体の“美しさ”に着目し、斜面と呼応する緩やかな勾配屋根をもつ“シンプルな直方体”を浮遊させる建築を考案。床のレベル差と開口の配置で様々な雰囲気の場も作る
- 竹山聖 / 設計組織アモルフによる、東京・目黒区の「OAK BLDG II」。“地形的な結節点”となる敷地に計画。“街の起点”で“道を祝福する”建築を求め、人流を取込み“開きつつ閉じる”形態を模索。環境と呼応するように壁面や開口を操作して“立体的な都市のファサード”を生み出す
- 一色暁生建築設計事務所による、東京・新宿区の「上落合の家」。都市部の約10坪の敷地。建て込む環境を“ひと繋がりの岩山のような塊”と感じて、積上げるのではない“住宅を削り出す”ような設計を志向。シンプルな量塊の中に諸室を配置して環境と呼応する大小の窓を配置する
- 篠原一男の展覧会が、TOTOギャラリー・間で2025年4月-6月に開催。2025年7月-10月には「(仮)1980年以降生まれの建築家展」が行われる
- 宇賀神亮 / アトリエルルによる、埼玉の住宅改修「久喜の家」。戸建て住宅が建ち並ぶ地域での計画。瓦屋根で“重たい印象”の既存を、部分的に陸屋根に変更して“風景に馴染みながらも新しさのある”外観に転換。元々の梁を現しとして“過去の時間が持つ空気感”の継承も意図
- 川口裕人 / 1110建築設計事務所による、神奈川・川崎市の「蔵と倉」。土蔵の飲食店への改修と倉庫棟の新築に加えて庭も整備。土蔵では、上階床を撤去し気積を大きくして光が降り注ぐ空間を創出。倉庫棟では、既存や周辺の建物の肯定と未来への希望を意図して建ち方や素材を選定する
- 山田優+小阿瀬直+大嶋励 / SNARK Inc.による、東京・原宿の「Tiny Kiosk」。商業施設“オモカド”の屋上イベント用の移動式キッチン。未稼働時の地下物置での保管も想定し、搬入用のエレベーターに載るサイズの“小屋”を考案。前面開口の建具は上下に展開してカウンターや庇の役割も担う
- キー・オペレーションとパーク・コーポレーションによる、富山市の「十全化学本社社屋」。医薬関係の製造企業の新社屋。自由な交流の尊重を意図し、“集中”と“交流”の切替が可能となるゾーニングの建築を考案。四周のバルコニーは環境調整や気分転換の役割に加えて“陰影のあるファサード”も生み出す
- 髙濱健嗣建築設計事務所による、兵庫の住戸改修「T Flat」。二面を外気に面した区画。開放的な家との要望に、水廻り等の機能を“木の箱”に集約して大きなワンルーム空間を確保する構成を考案。用途に応じてカーテンで間仕切れる仕様とし“家族の距離感”の調整も可能にする
- 山﨑健太郎デザインワークショップによる、千葉・八千代市の「52間の縁側」。高齢者の為のデイサービス施設。問題を抱える人も“日常を送れる”環境を目指し、木架構の中に様々な“小さな居場所”のある建築を志向。一直線の床と構造体が作る“大きな構え”は地域の人々も迎え入れる
- 「高知市のルイ・ヴィトン高知店跡にセブン―イレブン」(高知新聞)
- MVRDVによる、オランダの「トリポリス・パーク」。アルド・ファン・アイクの晩年作品の改修と増築。歴史的建築に敬意を払いながら変化した環境への対応も意図し、既存の背後に“ランドスクレイパー”を配置する計画を考案。記念碑的建物の不動産価値も再確立させる