初谷遼建築設計事務所による、福岡の住宅「Yana」。四人家族の為の住まい。“誰かと一緒に楽しむ”生活の具現化を目指し、大きなリビングの中に幾つものリビングがある様な“自己相似的”な空間を構想。素材や色を変化させて様々な居心地の多用途に使える場を用意外観、北側の道路より見る。 photo©ISSEI
初谷遼建築設計事務所による、福岡の住宅「Yana」。四人家族の為の住まい。“誰かと一緒に楽しむ”生活の具現化を目指し、大きなリビングの中に幾つものリビングがある様な“自己相似的”な空間を構想。素材や色を変化させて様々な居心地の多用途に使える場を用意1階、食堂から座敷側を見る。 photo©初谷遼建築設計事務所
初谷遼建築設計事務所による、福岡の住宅「Yana」。四人家族の為の住まい。“誰かと一緒に楽しむ”生活の具現化を目指し、大きなリビングの中に幾つものリビングがある様な“自己相似的”な空間を構想。素材や色を変化させて様々な居心地の多用途に使える場を用意1階、座敷から階段越しに中庭を見る。 photo©初谷遼建築設計事務所
初谷遼建築設計事務所による、福岡の住宅「Yana」。四人家族の為の住まい。“誰かと一緒に楽しむ”生活の具現化を目指し、大きなリビングの中に幾つものリビングがある様な“自己相似的”な空間を構想。素材や色を変化させて様々な居心地の多用途に使える場を用意中庭から開口部越しに内部を見る、夕景 photo©ISSEI
初谷遼建築設計事務所が設計した、福岡の住宅「Yana」です。
四人家族の為の住まいです。建築家は、“誰かと一緒に楽しむ”生活の具現化を目指し、大きなリビングの中に幾つものリビングがある様な“自己相似的”な空間を構想しました。素材や色を変化させて様々な居心地の多用途に使える場を用意しました。
福岡県内の市街地に建つ4人家族のための住宅である。
計画地は、ある構想によって新たにつくられ、土地区画整理事業によって整備された街の一角にあり、周辺には大小様々な公園や、車で10分ほどの場所には海があるなど自然豊かで、環境にも恵まれている。
北側に道路、東西南側は隣地に囲まれ、南側の隣地側の境界には高さ3.6mほどの擁壁が建っているが、計画地を含むこの一画だけ計画地と同時に売り出されていた空き地のまま残されており、何が建つか予測のつかない状態で設計が始まった。
建主は、当初シンプルに大きなリビングを要望として挙げていた。その後、友人の招待、畳敷きの小上がりでの昼寝、キッチンを挟んでの家族との会話、テラスでのBBQ、少し落ち着いた場所で仕事をし、その隣で子供が勉強をすること、ガーデニング、家庭菜園など、日常的にやりたい些細なことを少しずつ伝えてもらった。
その多くが、誰かと一緒に楽しみたいようなことばかりであった。そこから、大きなリビングのような空間の中に、人が集まり好きなように過ごせるいくつものリビングのような場所を内包する、というイメージが浮かんだ。全体の事として見えていたことが、個々でも同じように感じられてくる、という自己相似的な話が、新しい生活スタイルを生み出すヒントになるのではないかと考えた。
前庭と中庭に挟まれた“広間”と名付けた空間は二つの庭をつなぐ半内部という位置付けで、玄関であり客間でもあるパブリックな場所となっている。“広間”から“食堂”、“座敷”は間仕切られることなく連続しつつ、素材や色の選択によって居心地を変化させている。
2階へ上がるとプライベートな空間へと移り変わっていく。2階の“居間”と1階の“広間”は吹抜けで繋がりながらも、その境は木製框窓で仕切られている。また、この吹抜けは空調によって暖められた床下からの空気を上階へ届ける役割も果たしており、その居心地も相まって直線的な濃度の変化では測れない奥行き感を生んでいる。