SHARE 丹下健三、グロピウスと共同制作した桂離宮の書籍などでも建築業界で知られている写真家 石元泰博の、東京オペラシティ アートギャラリーでの回顧展「石元泰博写真展 伝統と近代」をプレビュー
- 日程
- 2020年10月10日(土)–12月20日(日)
丹下健三、ワルター・グロピウスと共同制作した桂離宮の書籍(リンク先はLIXILのサイトで書籍の紹介に加え、石元と内藤廣の対談も掲載)などでも建築業界で知られている写真家 石元泰博の、東京オペラシティ アートギャラリーでの回顧展「石元泰博写真展 伝統と近代」をプレビューします。会期は2020年10月10日~12月20日。展示作品は12のテーマに沿って分類される予定ですが、その内7つのテーマが都市や建築に関わるもので、建築に携わる人たちにとっても親和性の高い展覧会と言えます。
写真家・石元泰博の生誕100年を祝し、10月10日[土]より12月20日[日]まで「生誕100年 石元泰博写真展 伝統と近代」を開催いたします。
アメリカに生まれ、シカゴのインスティテュート・オブ・デザイン(通称ニュー・バウハウス)に学んだ写真家石元泰博(1921-2012)は、対象の構造的、空間的特性を鋭く捉えた作品によって、写真界はもとより、広く建築、デザイン、美術にわたる戦後日本の芸術界に大きなインパクトを与えました。バウハウスの流れを汲む近代的な視点から日本の伝統建築を撮影した桂離宮シリーズ、丹下健三、磯崎新、内藤廣ら同時代の建築家の作品を撮った作品、そしてライフワークとなったシカゴと東京の人と街を捉えた作品など、その成果は内外で高く評価されています。対象の本質と写真の可能性へのあくなき探究心、そして緻密な暗室作業による厳格なプリントの美学は、デジタルが一般化した今日において一層の輝きを放っています。
2021年は石元泰博の生誕100年にあたります。この記念すべき年に向け、石元の足跡を過去最大規模で回顧する展覧会シリーズを当館と東京都写真美術館、高知県立美術館との共同で開催いたします。本展は「伝統と近代」を切り口として、作家活動の前半に軸足を置き、多様な被写体を貫く石元の眼差しに注目します。なお東京都写真美術館では、「生命体としての都市」をテーマに独自の都市観にフォーカスし、中盤から晩年に至る作品を選りすぐります。2つの展覧会を通して、より多角的な視点から石元の活動の全貌が明らかとなるでしょう。高知県立美術館では来年1-3月に集大成となる展示を行います。
以下で、12のテーマとその写真をプレビューします(テキストはリリースより)。
1、初期作品
シカゴの写真クラブでのサロン写真から、インスティテュート・オブ・デザイン(通称ニュー・バウハウス)在学中の実験的な作品を中心に紹介します。
以下の写真はクリックで拡大します
2、シカゴ
シカゴの人と街は石元が生涯にわたり撮り続けた被写体です。子どもたちの躍動する姿や都市の変貌など、初期の作品を中心に紹介します。
以下の写真はクリックで拡大します
3、東京と近代化の諸相
1953年の来日以降、石元は東京を被写体に、ときに鋭い文明批評をこめて人と街への眼差しを深め続けました。産業化や公害、自然破壊など、近代化の諸相を捉えた作品とあわせて石元の東京写真を紹介します。
以下の写真はクリックで拡大します
4、桂離宮
石元の名を世に知らしめた代表作。1953、54年撮影の初期シリーズを紹介します。対象の質感や空間的特性を鋭く捉えるモダンな手法は今も色あせません。
以下の写真はクリックで拡大します
5、近代建築
丹下健三、白井晟一、磯崎新、黒川紀章、内藤廣やミース・ファン・デル・ローエ、ルイス・サリヴァンなど、石元の「建築写真」の仕事を総括的に紹介します。
以下の写真はクリックで拡大します
6、ポートレート
一時期手掛けたポートレイトより、土方巽、唐十郎、三島由紀夫、石原慎太郎らを撮影した作品を紹介。時代を画した大物たちの息づかいや時代の空気に注目です。
以下の写真はクリックで拡大します
7、周縁から
石元は、日本の周縁から近代化を捉えまた歴史や伝統を溯行する仕事に取り組み続けました。北海道や東北・北陸の暮らしや大分・国東半島の宗教文化などを取材した作品を紹介します。
以下の写真はクリックで拡大します
8、両界曼荼羅
京都・東寺(教王護国寺)の国宝、伝真言院曼荼羅を接写したシリーズ。1977年の発表時には曼荼羅ブームが起きました。国立国際美術館所蔵の大型プリント110余点を一挙公開します。
9、イスラム 空間と文様
海外に取材した作品から、イスラム寺院の空間と文様をとらえたカラーの仕事を紹介します。
10、食物誌/包まれた食物
あらゆる食材がラップされてスーパーに並び、我々の食卓に届けられるようになった1980年代。それらを即物的に捉えた本シリーズからは石元の消費社会批判が読み取れます。
11、かたち
自然が生み出す造形や人工物などを捉えた作品を紹介します。
バウハウスの流れを汲んだ構成感覚豊かな石元の特徴がよく現れた作品群です。
以下の写真はクリックで拡大します
12、伊勢神宮
石元の歴史や伝統へのまなざしは、東洋的な永遠の時間性へと向かい、1993年の式年遷宮にあわせた伊勢神宮の撮影に結実しました。
■展覧会概要
展覧会名:
生誕100年 石元泰博写真展 伝統と近代
Ishimoto Yasuhiro Centennial: Tradition and Modernity
会期:2020年10月10日[土]―12月20日[日]
会場:東京オペラシティ アートギャラリー
開館時間:11:00-19:00(入場は18:30まで)
休館日:月曜日(祝日の場合は翌平日)
主催:公益財団法人 東京オペラシティ文化財団、読売新聞社、美術館連絡協議会
特別協賛:ジャパンリアルエステイト投資法人
協賛:ライオン、大日本印刷、損保ジャパン
協力:相互物産株式会社
共同企画:高知県立美術館、東京都写真美術館
入場料:一般1200[1000]円/大・高生800[600]円/中学生以下無料
お問い合わせ:050-5541-8600(ハローダイヤル)