SHARE 長坂常 / スキーマ建築計画+オンデザインパートナーズによる、東京・日本橋の、古い蔵を移動させ再構築したニューバランスの店舗「T-HOUSE New Balance」
長坂常 / スキーマ建築計画+オンデザインパートナーズが設計した、東京・日本橋の、古い蔵を移動させ再構築したシューズブランド ニューバランスの店舗「T-HOUSE New Balance」です。店舗の公式ページはこちら。
川越から古い蔵を移動させ、それを再構築するとともに新たな空間を作るプロジェクトである。ただ、移築とはいえ、移動してそのまま建てるわけではなく、それを覆うように全く異なる構造で新築し、その中に移築した軸組を組む計画で、まるで博物館の古民家展示みたいになりかねないものだった。そのハリボテ感が気になっていて、そこからこのプロジェクトの考えが始まった。
このT-HOUSEはニューバランスがブランドをリードする原動力「エナジープロジェクト」として設立した新しいスペースで、世界の中で日本が選ばれたのはやはりものづくりの国としての評価とともに、アジア戦略の拠点として見据えられていた結果であろう。そして、同時にそのキャラクターとしても日本らしさが期待され、蔵の移築が承認を受けて進んだ。その後、我々のところに依頼があった。
最初にその依頼を聞いた時、それは普段全く着ることがないのに、海外で行われる表彰式などに着物を着るような感覚と同じで、日本らしさを意識させられるプロジェクトであると感じ、そのままそれを演じるわけには行かないと思ったが、なかなか覆す術が見つからず、悩んだ。その悩みを吹き飛ばしてくれたのが、その蔵の骨組みを組んでいる職人さんだった。
偶然にも、その蔵の柱にもともと刻まれていた貫部分を利用して即席掃除用具置場、最近我々でいう“まかない家具”を見たことがきっかけだった。それをみて、ああ、そうか「建築、そしてこのハリボテの蔵の骨組、さらにそのさきにその骨組みを利用し機能を与えることで、そのハリボテが機能しハリボテじゃなくなる。」と考えたのだった。
以下の写真はクリックで拡大します
■建築概要
題名:T-HOUSE New Balance
設計:長坂常/スキーマ建築計画+オンデザインパートナーズ
担当:内間絢美、上野黄、大西康隆
所在地:東京都中央区日本橋浜町3丁目9−2
主用途:物販
施工:ワクト、山翠舎(蔵移築再生)
協力:遠藤照明(照明)
階数:2
延床面積 : 123.08m² ( 1F 71.54 m² / 2F 51.54m² )
構造 : 鉄骨造
竣工:06/2020
オープン:07/2020
撮影:長谷川健太
※建材情報は後日追加予定です