三上建築事務所・押田建築設計事務所共同企業体による、富山の「砺波市立砺波図書館」
photo©新写真工房 堀内広治

三上建築事務所・押田建築設計事務所共同企業体による、富山の「砺波市立砺波図書館」

三上建築事務所・押田建築設計事務所共同企業体による、富山の「砺波市立砺波図書館」 photo©新写真工房 堀内広治
三上建築事務所・押田建築設計事務所共同企業体による、富山の「砺波市立砺波図書館」 photo©新写真工房 堀内広治
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三上建築事務所押田建築設計事務所共同企業体が設計した、富山の「砺波市立砺波図書館」です。施設の公式ページはこちら

砺波平野は比類なき静かな絶景である。加賀百万石を支える穀倉地帯であった散居村の様が今も美しい田園風景として継承されている。ここに住む人々の中に宿る合理性と豊かな心情を兼ね備えた高い品格に由来するものだと、あずまだちと呼ばれるその母屋の佇まいにその所以を感じた。そうした心象を抱きながら市内を縦断する幹線道路に面する「大屋根の下のワンルームの図書館」を構想した。

大屋根はその大きさとともに緩やかなうねりをもって砺波市の新たなランドマークとなることを企図した。それはあずまだちの現代的な解釈であると同時に、未来に飛翔するペーガソスの翼のように市民の教養の象徴でもある。そして、西側の通りと平行に低く構えた軒下から館内の様子を通りに開くように設えた。

建築家によるテキストより

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三上建築事務所・押田建築設計事務所共同企業体による、富山の「砺波市立砺波図書館」 photo©新写真工房 堀内広治
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以下、建築家によるテキストです。


大屋根の下のワンルームの図書館

砺波平野は比類なき静かな絶景である。加賀百万石を支える穀倉地帯であった散居村の様が今も美しい田園風景として継承されている。ここに住む人々の中に宿る合理性と豊かな心情を兼ね備えた高い品格に由来するものだと、あずまだちと呼ばれるその母屋の佇まいにその所以を感じた。そうした心象を抱きながら市内を縦断する幹線道路に面する「大屋根の下のワンルームの図書館」を構想した。

大屋根はその大きさとともに緩やかなうねりをもって砺波市の新たなランドマークとなることを企図した。それはあずまだちの現代的な解釈であると同時に、未来に飛翔するペーガソスの翼のように市民の教養の象徴でもある。そして、西側の通りと平行に低く構えた軒下から館内の様子を通りに開くように設えた。

その館内は、大屋根のうねりが反転して表出するひとつながりの空間である。天井の傾斜の強い北側では市民が立ち寄り触れ合うことから生まれるにぎわいを誘発しながら、奥に進むにしたがって緩くなる。子どもから高齢者まで来館するすべての市民は、濃密な木の温もりと高窓から注ぐ柔らかな自然の光に包まれる。天井の傾斜の和らぎとともに知の世界に畏敬の念を抱きながらも本の森の静けさに身を置く安堵感が得られるように仕掛けている。

2方の階段から上がる上階もまたひとつながりの空間を共有しながら館内を見晴らすことができる。そこから眺める階下の床にはチューリップの写真を拡大しモザイク状にカーペットを敷き詰めた。そもそも学ぶことは楽しいことである。しかもその様は砺波市の図書館だからこそ可能な設えである。

従前の図書館が誕生した頃、富山県は全ての自治体が図書館を設置した唯一の県であった。新たな砺波市立砺波図書館の誕生はその崇高さが継承されることを意味している。

■建築概要

建築概要
名称:砺波市立砺波図書館
所在地:富山県砺波市
主要用途:図書館
敷地面積:7,446.84m2
建築面積:2,819.48m2
延床面積:3,342.62m2
階数:地上2階
構造:RC造一部S造
竣工年月:2020年7月
(基本設計期間:2016.5-2017.3 実施設計期間:2017.4-2018.3 工事期間:2018.6-2020.7)
収蔵可能冊数
開架:200,000冊
閉架:165,000冊
———
設計
三上建築事務所・押田建築設計事務所共同企業体
総括:益子一彦/三上建築事務所
建築:株式会社 三上建築事務所(担当:冨田武俊 真崎学 高麗夏実)
株式会社 押田建築設計事務所(担当:浜潟幸生)
構造:株式会社 三上建築事務所(担当:倉持勝己 川又祐介)
電気設備:株式会社 明野設備研究所(担当:川島孝康)
機械設備:株式会社 明野設備研究所(担当:松田真明 中村仁子)
———
監理
三上建築事務所・押田建築設計事務所共同企業体
建築:株式会社 三上建築事務所(担当:冨田武俊)
株式会社 押田建築設計事務所(担当:浜潟幸生)
構造:株式会社 三上建築事務所(担当:倉持勝己)
電気設備:株式会社 押田建築設計事務所(担当:奥村昌之)
機械設備:株式会社 明野設備研究所(担当:松田真明)
———
施工
建築:佐藤工業・砺波工業共同企業体
電気:北陸電気工事・川田電気商会共同企業体
機械:菱機・寺田共同企業体
地中熱:菱機・デムラ共同企業体
———
照明デザイン:株式会社 近田玲子デザイン事務所
写真:新写真工房 堀内広治

建材情報
種別使用箇所商品名(メーカー名)
外装・屋根屋根

カラーステンレス FKライン333富源商事

外装・壁外壁

アルミスパンドレル RA-10-4(理研軽金属工業

外装・建具開口部

アルミ建具 ARM-S U三協アルミ

外装・その他設備目隠し

アルミルーバー スカイフィット SHS-2010理研軽金属工業

内装・床風除室床

300角床タイル マイクロガードフロア アレスLIXIL

内装・建具自動ドア

ロスカドアⅢ型ナブコシステム

内装・家具書架

Smart Style Iイトーキ

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延床20m2を下回る戸建の事例、鴨長明による方丈庵(一丈四方9.18m2)、ル・コルビュジェによるカップマルタンの小屋(16.85m2)、立原道造によるヒアシンスハウス(15.15m2)など、周辺環境と共にその小屋での生活全体をこよなく愛していたことを参考、LOVE HOUSEでの自然要素(太陽の光、雨、雪、動物、植物、人など)がある生活経験も踏まえ、古代ローマ人がヴィラ生活で大切にした5つの要素(学問、入浴、演劇、音楽、美食)を、この小さな家で充実させたいと考え、削ぎ落とされたミニマリズムではなく、あらゆるものをより膨らませて生活を豊かにするよう計画した。

建築家によるテキストより
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