ネリ&フーが設計した、中国・秦皇島市のアート施設「Aranya Art Center」です。海辺リゾートに位置し、地域住民の為の共同スペースとなる中庭を内包した建築です。
以下は、建築家によるテキストの翻訳
啓発的なディベロッパーであるAranyaが、海辺のリゾートコミュニティ内に位置するアートセンターの設計をネリ&フーに依頼したとき、ネリ&フーは、アートのためのスペースと共同スペースの概念に疑問を投げかける機会を得ました。アートセンターというストレートな表現にもかかわらず、アランヤはコミュニティとして、環境との一体感という精神的なライフスタイル思想を強く打ち出しています。そのため、デザインスキームは、センターで展示される展覧会と同様に、住民のための共同スペースである内部の中庭を重視しています。
建物のデザインは、夏には青く穏やかで、冬には砕けた氷のような四季折々の海からインスピレーションを得て、水の自然の素晴らしさをその中核に据えようとしています。敷地面積を最大限に活用しながら、中央部は純粋な円錐形にし、底部には階段状の円形劇場を設けています。中央のヴォイドスペースは、様々な方法で再構成して使用することができます。水が満たされているときは水景として、水が抜かれているときは機能的なパフォーマンスや集いの場として使用することができます。上の展示ギャラリーは、パブリックスペースとの融合の恩恵を受けていますが、このプロジェクトを単なる展示の場ではなく、共有の場にもしています。
厚みのある建物のボリュームの中には、いくつかの連動したスペースがあり、訪問者はその中を自由に歩き回り、ゆっくりと上昇し、内側と外側の両方に向けられた景色の中で、演出された旅を楽しむことができます。ギャラリーはアートを楽しむための空間です。このプロジェクトも同様で、すべてのスペースに螺旋状の道が設けられており、もっと見たいという欲求に駆られて先に進むことができます。カフェ、多目的ギャラリー、屋外円形劇場から始まり、5つの異なるギャラリーを経て、360度眼下に広がるルーフトップへと続きます。
この建物のファサードと素材感は、骨材を使用したものと使用していないものがあり、重厚感があり、変化する環境の中でしっかりと存在する岩のようです。滑らかな表面は変化する空を映し出し、成形されたモジュールユニットは一日の中での影の動きを拾い上げます。重厚なファサードのアクセントとなっているブロンズのパーツは、光を受けて各ギャラリーの入り口に注目を集めます。カスタムメイドの照明やディテールが、控えめな色調に複雑なタッチを加えています。夕方になると、オープンモジュールから光が差し込むようになり、この建物は海辺のコミュニティの中心にある宝石のような存在になります。