SHARE 乾久美子への、中川エリカと浅子佳英が聞き手を務めたインタビュー「建築家として、生活者として───プログラムとパラダイムの先にあるもの」が、LIXILのウェブサイトで期間限定で無料配信。コロナ過での生活と働き方の変化、建築家を目指した背景、90年代以降の建築家の役割の変化までが語られる
- 日程
- 2021年9月10日(金)–9月30日(木)
乾久美子への、中川エリカと浅子佳英によるインタビュー「建築家として、生活者として───プログラムとパラダイムの先にあるもの」の動画が、LIXILのウェブサイトで期間限定で無料配信されています。コロナ過での生活と働き方の変化、建築家を目指した背景、90年代以降の建築家の役割の変化までが語られています。公開期間は2021年9月30日(火)まで。【ap・ad】
今回のインタビューでは、コロナ禍となり1年半が経過した今、まずはコロナ禍以降の働き方や生活の変化を改めて振り返りました。
そしてマンション、新興住宅地、農村といった三者それぞれの住体験が建築設計に及ぼした影響について話題が進みました。また「小さな風景」や「ジャイアント・ルーム」と名付けた場所から、公共における中間領域のあり方について考えます。
これからの社会において建築は、合理性・機能性に基づくプログラム型と、何かに従事する集団に対し雛形となる問題とその解決方法を提示するパラダイム型という設計手法がどのように重なり合い、新しい空間を生むのでしょうか。
最後にはLGBTに対応したパブリック・トイレの事例を端緒として、ユーザーの顔も管理者の顔も両方が見えにくいという課題を抱えるパブリック・トイレのこれからについて「メインテナンス」をキーワードに議論しました。
動画内で語られたトピック(アーキテクチャーフォトが動画から抜粋)
コロナ過での生活の振り返り / 住まいの中で働く / 窓のないオフィス空間 / 満員電車での通勤 / 働く人を快適にするのに住まい的な考え方が応用できる / 建築家は働き方が比較的自由 / 現場が止まる / ZOOMでの現場管理 / 主宰者とスタッフ全員が現場に行くのは大変 / 乾さんは夕ご飯前に家に帰るようになった / 空間や暮らし方の発見 / パンを焼く / 過程の中の楽しみを増やす / 走り出した / 場所から離れて仕事を出来る人と場所から離れると仕事ができない人がいる / テレワークができない人がいる問題 / 遠隔治療 / しゃべらなければいけない場をどうデザインするか / オフィス・レジ / 乾さんの住まいの原風景 / フラットルーフの家 / 父方・母方の家での経験 / 乾さんが建築家になろうとした切っ掛け / 週刊新潮のマイプライバシーというコーナー / 間取りを見るのが好き / 末っ子で自分の部屋がない / 中間領域の価値を再評価する / 軒先 / 土間・縁側が今の学生の課題に多い(昔は、カフェ・ギャラリー) / 都市計画の精度の中でどうやってつくっていくか / 90年代のプログラム論 / 図式的なプラン / 2000年代に用途がはっきり決まっていない空間が増える / 2010年代は機能がなくなる / 建築家がプログラムから離れていく / プログラムとプラン、今はどう捉えるか? / 脱法したものに制度が追い付いていく / コーリン・ロウ / プログラム的・パラダイム的なつくり方 / 2000年代以降は美術館とはそもそもどんなものかを考えなければいけない / ものの設計・つくり方の設計 / リサーチと設計 / 公共トイレ / LGBT / 個室が並ぶ / 一番貧しいところでみんな我慢する / 設計事務所ゴンドラの小林純子さん / 女性のトイレをきれいに便利にしてきた歴史 / タイポロジー / どうリサーチしたものを使うのか? / メンテナンス / 保存の創造性 等々
三人のプロフィール
乾久美子(いぬい・くみこ)
1969年生まれ。建築家。乾久美子建築設計事務所主宰。横浜国立大学大学院Y-GSA教授。主な作品=《みずのき美術館》(2012)、《品川区立障害児者総合支援施設》(2019)、《厳島港宮島口旅客ターミナル》(2020)など。2012年、第13回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展日本館「ここに、建築は、可能か」(伊東豊雄、藤本壮介、平田晃久、畠山直哉と協働)にて金獅子賞受賞。主な著書=『建築をそっとおいてみると』(LIXIL出版、2008)、乾久美子+東京藝術大学乾久美子研究室『小さな風景からの学び』(TOTO出版、2014)、『Inui Architects 乾久美子建築設計事務所の仕事』(LIXIL出版、2019)ほか。
中川エリカ(なかがわ・えりか)
1983年生まれ。建築家。中川エリカ建築設計事務所代表。2007~14年オンデザイン勤務。2014年中川エリカ建築設計事務所設立。主な作品=《ヨコハマアパートメント》(2009)、《コーポラティブガーデン》(2015、以上オンデザインと共同設)、《株式会社ライゾマティクス オフィス 2015-2019》(2015)、《桃山ハウス》(2016)ほか。著書=『中川エリカ 建築スタディ集 2007-2020』(TOTO出版、2021)。
浅子佳英(あさこ・よしひで)
1972年生まれ。建築家、ライター。2010年東浩紀とともにコンテクスチュアズ設立、2012年退社。2021年出版社機能を持った設計事務所PRINT&BUILD設立。作品=《gray》(2015)、《八戸市美術館》(2021)(共同設計=西澤徹夫)ほか。共著=『TOKYOインテリアツアー』(LIXIL出版、2016)。