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2022.4.21Thu
2022.4.20Wed
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新居千秋都市建築設計による、神奈川・横浜市の複合施設「港南公会堂及び港南土木事務所」。地下に残る既存躯体と法規制等による制限の中、隣接住宅地への影響を最小限にすべく段々状に後退する形態とし屋上を緑化、地下駅舎への配慮と機能要求から生まれた突き出た躯体が建築を特徴づける
photo©SS / 彦坂武徳

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建材(外装・屋根)亀田浩平濱松千晶池田隆志吉崎良一彦坂武徳建材(外装・建具)建材(外構・床)建材(外構・植栽)建材(外装・壁)建材(内装・天井)建材(内装・壁)建材(内装・床)複合施設図面あり神奈川新居千秋劇場・ホール
新居千秋都市建築設計による、神奈川・横浜市の複合施設「港南公会堂及び港南土木事務所」。地下に残る既存躯体と法規制等による制限の中、隣接住宅地への影響を最小限にすべく段々状に後退する形態とし屋上を緑化、地下駅舎への配慮と機能要求から生まれた突き出た躯体が建築を特徴づける photo©SS / 彦坂武徳
新居千秋都市建築設計による、神奈川・横浜市の複合施設「港南公会堂及び港南土木事務所」。地下に残る既存躯体と法規制等による制限の中、隣接住宅地への影響を最小限にすべく段々状に後退する形態とし屋上を緑化、地下駅舎への配慮と機能要求から生まれた突き出た躯体が建築を特徴づける photo©SS / 彦坂武徳
新居千秋都市建築設計による、神奈川・横浜市の複合施設「港南公会堂及び港南土木事務所」。地下に残る既存躯体と法規制等による制限の中、隣接住宅地への影響を最小限にすべく段々状に後退する形態とし屋上を緑化、地下駅舎への配慮と機能要求から生まれた突き出た躯体が建築を特徴づける photo©SS / 彦坂武徳
新居千秋都市建築設計による、神奈川・横浜市の複合施設「港南公会堂及び港南土木事務所」。地下に残る既存躯体と法規制等による制限の中、隣接住宅地への影響を最小限にすべく段々状に後退する形態とし屋上を緑化、地下駅舎への配慮と機能要求から生まれた突き出た躯体が建築を特徴づける photo©SS / 彦坂武徳

新居千秋都市建築設計 / 新居千秋+吉崎良一+池田隆志+濱松千晶+亀田浩平が設計した、神奈川・横浜市の複合施設「港南公会堂及び港南土木事務所」です。
地下に残る既存躯体と法規制等による制限の中、隣接住宅地への影響を最小限にすべく段々状に後退する形態とし屋上を緑化、地下駅舎への配慮と機能要求から生まれた突き出た躯体が建築を特徴づけています。

公会堂、土木事務所、区民活動支援センターからなる複合施設である。

建築家によるテキストより

もともと敷地には旧・港南区総合庁舎が道路境界線ぎりぎりまで建っていて、既存地下躯体を解体することができなかった。
そこで既存地下躯体を山留めとして再利用することとし、その内側におさまるよう新築部分の平面を計画した。断面的には、道路斜線制限と地区計画高さ規制をクリアし、隣接する住宅地への圧迫感と日影も最小限にするため、段々状にセットバックする形態とし屋上緑化を施した。このように平面、断面ともに非常に厳しい形態制限のなかで、限られたボリュームの中にコンパクトに各施設をまとめる必要があった。

建築家によるテキストより

さらに隣接する地下鉄駅舎への影響を最小限とするため、地下躯体は鎌倉街道から大きく離し、かわりに上部躯体をSRC造として約8mオーバーハングさせた。これにより市民に要望された諸室面積を確保すると同時に、駅前広場に大きな軒下のような空間が生まれた。RC打放しの軒はそのまま内部のホワイエまで連続し、この建物の象徴的な空間となっている。

建築家によるテキストより

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新居千秋都市建築設計による、神奈川・横浜市の複合施設「港南公会堂及び港南土木事務所」。地下に残る既存躯体と法規制等による制限の中、隣接住宅地への影響を最小限にすべく段々状に後退する形態とし屋上を緑化、地下駅舎への配慮と機能要求から生まれた突き出た躯体が建築を特徴づける photo©SS / 彦坂武徳
新居千秋都市建築設計による、神奈川・横浜市の複合施設「港南公会堂及び港南土木事務所」。地下に残る既存躯体と法規制等による制限の中、隣接住宅地への影響を最小限にすべく段々状に後退する形態とし屋上を緑化、地下駅舎への配慮と機能要求から生まれた突き出た躯体が建築を特徴づける photo©SS / 彦坂武徳
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新居千秋都市建築設計による、神奈川・横浜市の複合施設「港南公会堂及び港南土木事務所」。地下に残る既存躯体と法規制等による制限の中、隣接住宅地への影響を最小限にすべく段々状に後退する形態とし屋上を緑化、地下駅舎への配慮と機能要求から生まれた突き出た躯体が建築を特徴づける photo©SS / 彦坂武徳
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新居千秋都市建築設計による、神奈川・横浜市の複合施設「港南公会堂及び港南土木事務所」。地下に残る既存躯体と法規制等による制限の中、隣接住宅地への影響を最小限にすべく段々状に後退する形態とし屋上を緑化、地下駅舎への配慮と機能要求から生まれた突き出た躯体が建築を特徴づける photo©SS / 彦坂武徳
新居千秋都市建築設計による、神奈川・横浜市の複合施設「港南公会堂及び港南土木事務所」。地下に残る既存躯体と法規制等による制限の中、隣接住宅地への影響を最小限にすべく段々状に後退する形態とし屋上を緑化、地下駅舎への配慮と機能要求から生まれた突き出た躯体が建築を特徴づける地下1階平面図 image©新居千秋都市建築設計
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新居千秋都市建築設計による、神奈川・横浜市の複合施設「港南公会堂及び港南土木事務所」。地下に残る既存躯体と法規制等による制限の中、隣接住宅地への影響を最小限にすべく段々状に後退する形態とし屋上を緑化、地下駅舎への配慮と機能要求から生まれた突き出た躯体が建築を特徴づける3階平面図 image©新居千秋都市建築設計
新居千秋都市建築設計による、神奈川・横浜市の複合施設「港南公会堂及び港南土木事務所」。地下に残る既存躯体と法規制等による制限の中、隣接住宅地への影響を最小限にすべく段々状に後退する形態とし屋上を緑化、地下駅舎への配慮と機能要求から生まれた突き出た躯体が建築を特徴づける南立面図 image©新居千秋都市建築設計
新居千秋都市建築設計による、神奈川・横浜市の複合施設「港南公会堂及び港南土木事務所」。地下に残る既存躯体と法規制等による制限の中、隣接住宅地への影響を最小限にすべく段々状に後退する形態とし屋上を緑化、地下駅舎への配慮と機能要求から生まれた突き出た躯体が建築を特徴づける東立面図 image©新居千秋都市建築設計
新居千秋都市建築設計による、神奈川・横浜市の複合施設「港南公会堂及び港南土木事務所」。地下に残る既存躯体と法規制等による制限の中、隣接住宅地への影響を最小限にすべく段々状に後退する形態とし屋上を緑化、地下駅舎への配慮と機能要求から生まれた突き出た躯体が建築を特徴づける北立面図 image©新居千秋都市建築設計
新居千秋都市建築設計による、神奈川・横浜市の複合施設「港南公会堂及び港南土木事務所」。地下に残る既存躯体と法規制等による制限の中、隣接住宅地への影響を最小限にすべく段々状に後退する形態とし屋上を緑化、地下駅舎への配慮と機能要求から生まれた突き出た躯体が建築を特徴づける西立面図 image©新居千秋都市建築設計
新居千秋都市建築設計による、神奈川・横浜市の複合施設「港南公会堂及び港南土木事務所」。地下に残る既存躯体と法規制等による制限の中、隣接住宅地への影響を最小限にすべく段々状に後退する形態とし屋上を緑化、地下駅舎への配慮と機能要求から生まれた突き出た躯体が建築を特徴づける矩計図 image©新居千秋都市建築設計

以下、建築家によるテキストです。


公会堂、土木事務所、区民活動支援センターからなる複合施設である。

もともと敷地には旧・港南区総合庁舎が道路境界線ぎりぎりまで建っていて、既存地下躯体を解体することができなかった。
そこで既存地下躯体を山留めとして再利用することとし、その内側におさまるよう新築部分の平面を計画した。断面的には、道路斜線制限と地区計画高さ規制をクリアし、隣接する住宅地への圧迫感と日影も最小限にするため、段々状にセットバックする形態とし屋上緑化を施した。このように平面、断面ともに非常に厳しい形態制限のなかで、限られたボリュームの中にコンパクトに各施設をまとめる必要があった。

さらに隣接する地下鉄駅舎への影響を最小限とするため、地下躯体は鎌倉街道から大きく離し、かわりに上部躯体をSRC造として約8mオーバーハングさせた。これにより市民に要望された諸室面積を確保すると同時に、駅前広場に大きな軒下のような空間が生まれた。RC打放しの軒はそのまま内部のホワイエまで連続し、この建物の象徴的な空間となっている。

地下鉄との位置関係により、エントランスホールやホワイエは北側に配置される構成となるため、ホワイエには大きな開口部を設け、北からのやわらかい光を取り入れ開放感が感じられるように意図した。公会堂事務室もホワイエの自然光を妨げないよう、建物中心に入れ子状に配置し、機能的にも建物全体をくまなく見渡せる計画となっている。

公会堂事務室はかまくらのような特徴的な形状で、断面的にも入れ子状になっている。これにより限られたスペースのホワイエ空間に連続性を生み出した。劇場内部は、敷地条件等からおのずとシューボックスに近い矩形平面となった。波打つような曲面天井は音響シミュレーションにより気積・形状を決定している。壁と天井の仕上げには、特殊ケイカル板にルーター加工を施して区の花であるヒマワリを刻印した。これは装飾的役割だけでなく反射音を拡散させる機能を持っており、結果的に響きのやわらかい、音響的にも優れたホールとなった。客席椅子、緞帳もヒマワリをモチーフとして、今回のためにデザインした。

地上には24時間自由に通行できるピロティ状の遊歩道をもうけ、地下鉄駅から港南区総合庁舎までを結ぶ歩行者空間を生み出した。また鎌倉街道に面して約500㎡の駅前広場をつくることで、開かれた市民のための憩いの場が生まれた。

土木事務所として災害時拠点となることを踏まえ、重要度係数は1.5を確保した高耐震の建物とし、発電機などの非常用設備や、3日間の非常用トイレをまかなえる汚水槽などを計画している。

公会堂ということもあって、肩肘のはったデザインというよりも、地域の人たち、とくに子ども達が喜んでくれるような明るく楽しいデザインにしたいと考えた。長く市民に親しまれ、愛される建物になってくれることを願っている。

これまでの経緯
2015年5月~7月にかけて設計プロポーザルが行われた。
敷地条件などから1階が土木事務所・区民活動支援センター、2階が公会堂となるため、市民のための公会堂と街の連続性をいかに生み出すかが重要なポイントであると考え、以下の3点を主軸に提案を行った。

①1階レベルに「遊歩道」をつくり、地下鉄から新・港南区役所まで雨に濡れずに歩けること。
②敷地のレベル差を生かし、2階の公会堂にエレベーターを用いず舞台道具が搬入できること。
③鎌倉街道側に「緑の丘」を提案し、市民が公会堂にスムーズにアクセスできるようにすること。
このようなコンセプトが評価され、我々が設計者に選定された。

③についてはその後の地下鉄、地区計画、開発などの各種協議の結果、段々状の広場としては実現されなかったが、大きな屋外階段によって公会堂と街との連続性は保たれ、また軒下空間はより大きくなり開放的な駅前広場が当初のコンセプト通り実現されることとなった。

空間を実現するために・・・
外観上の最大の特徴である北側上部躯体の約8mのオーバーハング部分については鉄骨造とし、主体構造であるRC部分から吊ることで解決している。結果として、RC、S、SRCの3種類の構造を用いている。

跳ねだし部分は主体構造から柱梁とブレースによって支えられており、和室や公会堂会議室ではそれらの構造体を現しとしている。

また1階の遊歩道沿いにも450□の鉄骨トラスを採用し、立面に特徴を与えている。本来であればここは劇場躯体を支えるための壁が必要であったが、壁で塞いでしまうと遊歩道や土木事務所への採光・通風がなくなってしまうため、地震力を負担しつつ光と風を通すトラス状の構造体が採用された。

解体と新築を一体的に計画
前述の通り既存地下躯体を残し、山留として活用しながら新築躯体を築造する必要があったため、設計においても施工においても、常に解体と新築を一体的に計画する必要があった。また敷地は地下水位が高く、地表1mから被圧地下水が湧き出す状況であったため施工は非常に困難を極めたが、施工者の努力により無事故で工事が完了した。

内装計画
公会堂ホワイエについては、外観と同じくRC打放し仕上げを基調としている。
最も特徴的なのは2階のホワイエで、オーバーハングした軒裏がそのまま室内に入りこみ、RC打放し仕上げの天井となっている。

天井設備もすべて躯体打込みとなるため、空調、衛生、電気、舞台音響、舞台照明の各種設備の取り合い検討・および配管施工を躯体打設前にすべて完了しなければならなかった。また天井が曲面形状のため、各種設備の取付予定位置に対して、曲面形状・設備機器サイズにあわせて1カ所ずつ形が異なる特注のスタイロアンコを型枠に固定し、ヌスミを取った。

ホワイエの壁仕上にはガラスタイルを併用している。各室内の機能を満たしつつ、ホワイエの広さも確保できるギリギリのラインで平面を決定した結果、波打つような形状となったガラスタイルが自然光を反射し、光を室内深くまで導いている。硬質なイメージのホワイエに対比するように、和室や公会堂会議室では仕上げに木材を多用し、温かみのある空間になるよう意図している。

外装計画
外壁はすべてRC打放仕上げとし、水平・垂直共900mmピッチで目地を入れている。通常よりも細かく目地を入れることにより、フライタワーなどの大きなRC壁面に対しても、クラックによる漏水リスクを最小限にしている。(私たちの経験上、標準的な打継目地・誘発目地だけでは劇場建築の巨大な壁面のクラックは吸収しきれない)。

また劇場は階高が高く段床もあるため、打継目地を水平に統一することはほぼ不可能である。意図しない箇所に打継目地が入ってしまうとデザインを損ねることになってしまうが、細かく目地を入れておけばそのどこかで打継を行うことができるので、当初の外観イメージを守った施工が可能となる。

アルミサッシは窓ごとにLow-Eガラスの色を変え、ステンドグラスのように変化に富んだ外観を生み出している。また通常のRC抱き納まりではなく出窓納まりとすることで、外観に立体感と陰影を与えている。

構造計画
柱スパンが大きな客席・舞台の屋根については鉄骨梁によって支持し、屋根スラブも遮音性のためにRCスラブとした。
計画地北側の街道下に地下鉄の駅があり杭の施工範囲が制限されるため、一部ハングオーバーとなる部分を鉄骨造にして軽量化し、RC造躯体側から吊ることで支持した。

講堂の天井については、屋根構造と一体に挙動する支持構造を設け、そこに直接取付ける準構造とすることで、特定天井とならない計画とした。基礎計画としては、経済性、工期を考慮して既存躯体のうち地下外壁および底盤を残して仮設利用した。

■建築概要

事務所名:株式会社 新居千秋都市建築設計
建築名称:港南公会堂及び港南土木事務所
所在:横浜市港南区港南中央通10-1
建築主:横浜市
用途:公会堂、土木事務所、区民活動支援センター
───
設計・監理
建築:新居千秋都市建築設計 担当/新居千秋、吉崎良一、池田隆志、濱松千晶、亀田浩平(元所員)
構造:金箱構造設計事務所 担当/金箱温春、内山裕太
音響:永田音響設計 担当/稲生眞、箱崎文子、服部暢彦
劇場コンサルタント:シアターワークショップ 担当/戸田直人
道路:丸眞 担当/河合真吾
監理:新居千秋都市建築設計 担当/新居千秋、吉崎良一、池田隆志
───
施工
建築:松尾・大洋・安藤建設共同企業体 担当/大越巨、竹内繁充
設備:ヨコレイ・エヌケイテクノ建設共同企業体 担当/宮本雅敏
電気:向洋・エスシーイー建設共同企業体 担当/金子治
空調:ヨコレイ・エヌケイテクノ建設共同企業体 担当/宮本雅敏
舞台音響:ヤマハサウンドシステム株式会社 担当/阿部真
舞台照明:パナソニックLSエンジニアリング株式会社 担当/唐沢翔太
リフター:朝日輸送株式会社 担当/鈴木智裕、中村亮
昇降機:フジテック株式会社 担当/廣川泰重
発電機:荏原商事株式会社 担当/森聡
───
規模
敷地面積:3007.95m2
建築面積:1920.69m2
延床面積:5940.57m2
建蔽率:63.8%(許容80%)
容積率:158.8%(許容300%)
各階床面積:地下1F/1417.70m2,1F/1605.98m2,2F/1677.48m2,3F/1084.44m2,4F/91.48m2,スノコレベル/63.49m2
階数:地上4階,地下1階
階高/天井高:3.7m/2.4m
最高軒高/最高高さ:19.62m/20.67m
駐車台数:26台
───
敷地条件
地域地区:(近隣商業)
道路幅員:東6.2m,南4.0m,北21.9m
───
構造
主体構造:鉄筋コンクリート造、一部鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄骨造
杭・基礎:現場打ちコンクリート杭
───
期間
設計期間:2015年8月〜2018年3月
施工期間:2018年12月〜2021年3月

建材情報
種別使用箇所商品名(メーカー名)
外装・屋根屋根

アスファルト防水3層、ポリスチレンフォーム、押えコンクリート

外装・壁外壁

コンクリート打放し仕上げ

外装・建具開口部

アルミ建具、ステンレス建具

外構・床舗床

石貼り、コンクリート刷毛引き仕上げ

外構・植栽植栽

クロガネモチ、シラカシ、タブノキ、陽光サクラ、サツキツツジ、オオムラサキツツジ、ハマヒサカキ、ドウダンツツジ

外構・植栽屋上緑化

サカキトリカラー、オオムラサキツツジ、ハイビャクシン、フィリフェラオーレア

内装・床ホワイエ床

石貼り

内装・壁ホワイエ壁

コンクリート打放し仕上げ、ガラスモザイクタイル

内装・天井ホワイエ天井

コンクリート打放し仕上げ、有孔金属天井

内装・床客席床

チーク縁甲板t15着色ウレタン塗装

内装・壁客席壁

特殊ケイカル板 ヒマワリ柄レリーフ加工

内装・天井客席天井

繊維混入石膏板 ヒマワリ柄レリーフ加工

内装・床和室床

本畳

内装・壁和室壁

天然木練付不燃合板

内装・天井和室天井

天然木練付不燃合板

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※この情報は弊サイトや設計者が建材の性能等を保証するものではありません

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    山下貴成建築設計事務所による、埼玉・新座市の「森のクリニック」。小児専門の歯科医院。緑の生い茂る土地という与件に対し、敷地内の木々と“緩やかに混ざり合う”建築を志向。折れ曲がり連続する屋根は、内部では“部屋の分節を希薄”にして外部では“周囲の家並み”と呼応する
  • 2023.12.14Thu
    山田優+小阿瀬直+大嶋励 / SNARK Inc.による、東京・渋谷区のギャラリー「NANZUKA UNDERGROUND」。実験的な姿勢のアートギャラリーの為に新築で計画。法規制と要望から形態を導き出し、所属作家が外壁ペイント等を施して“それ自体がアートピース”となる建築を具現化。屋外部分も展示可能なように素材等を選択
  • 2023.11.17Fri
    花本大作建築設計事務所による、広島・呉市の「広本町の家」。様々な用途や規模の建物が並ぶ商店街の敷地。周囲の“雑多さ”と連続する在り方を求め、必要諸室を分解して“再構築”した“中心性の弱い構成”の建築を考案。街を散策する様な小さな場面が連続する空間を生み出す
  • 2023.11.16Thu
    浅利幸男 / ラブアーキテクチャーによる、東京・府中市の「花藏院霊園『ようようの庭』」。社会変化への対応も主題とした墓地。現代的な墓の在り方を考慮し、“個別墓”と“合祀墓”を連携した“生命の循環”にも対応する形式を考案。其々の墓を“苔庭”と“築山”に分散配置し回遊式の日本庭園として造る
  • 2023.11.06Mon
    井上亮+吉村明 / Inoue Yoshimura studioによる、東京・世田谷区の「交錯線のワンルーム住宅」。住宅街の“鉄塔が食い込んだ”変形敷地での計画。状況を活かした建築を求め、“街区”と“送電線”の2つのグリッドを取込む設計を志向。必然的に出来る“歪な空間”を援用して多様な質の居場所を住宅内に作り出す
  • 2023.11.06Mon
    伊瀬和裕 / テトラワークスによる、広島・三原市の「糸崎の家」。三方を道が囲む海を見下ろす敷地。外からの視線の遮断と存在する自然との接続を求め、敷地の形に沿った“くの字”形状で環境に応じて窓のサイズ等を調整した建築を考案。リビングの大開口から瀬戸内の景色を取込む
  • 2023.4.03Mon
    川嶋洋平建築設計事務所による、東京・武蔵野市の、テナントビル「O_building」。二面接道の旗竿形状の様な敷地。場の特性に応える在り方を求め、隣地との“隙間”も積極的に検討して公道同士を繋ぐ“小道”を創出。“ハーフミラー”の塀で不利な条件を緩和しながら多様な体験と景色を作る
  • 2023.1.18Wed
    小野良輔建築設計事務所による、鹿児島の住宅「奄美大島の家型」。“新しい住宅”と“民家”が並ぶ集落に計画。現代の工業的建築に伝統的建築の“因子”を継承した新形式を求め、平面や屋根に新旧の“ハイブリッド”を志向。“懐古主義”に陥らない未来に繋がる建築を作る
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    【ap job更新】 +ft+/髙濱史子建築設計事務所が、設計スタッフ(実務経験者・新卒既卒)を募集中

    ap job 【ap job更新】 +ft+/髙濱史子建築設計事務所が、設計スタッフ(実務経験者・新卒既卒)を募集中

    architecture|job
    建築求人情報
    【ap job更新】 +ft+/髙濱史子建築設計事務所が、設計スタッフ(実務経験者・新卒既卒)を募集中
    【ap job更新】 +ft+/髙濱史子建築設計事務所が、設計スタッフ(実務経験者・新卒既卒)を募集中Nakamata Laboratory Store / photo: Hideaki Hamada
    アーキテクチャーフォトジョブボードに新しい情報が追加されました
    job.architecturephoto.net

    +ft+/髙濱史子建築設計事務所の、設計スタッフ(実務経験者・新卒既卒)募集のお知らせです。詳しくは、ジョブボードの当該ページにてご確認ください。アーキテクチャーフォトジョブボードには、その他にも、色々な事務所の求人情報が掲載されています。
    新規の求人の投稿はこちらからお気軽にお問い合わせください。

    +ft+/髙濱史子建築設計事務所は事業拡大により、実務経験者スタッフ(新卒・既卒も可)を募集します!

    +ft+は、スイス・バーゼルの設計事務所ヘルツォーク&ド・ムーロン出身の髙濱史子が率いる建築設計事務所です。
    2022年からは、坂茂建築設計出身のパートナー小松智彦も参画してその事業を拡大中です。

    +ft+では、医療施設、商業施設、オフィス、住宅の新築・リノベーション、会場構成、家具やインスタレーションなど 国内外の様々な用途と規模のプロジェクトに取り組んで来ました。現在プロジェクト数も増加し、更に保育施設といった中規模のプロジェクトも動いていることから、追加でスタッフを募集します。

    我々が探求しているのは、形態によって生まれる空気感であり、時間であり、ストーリーです。その場所が我々の提案により纏うことになる新しい空気感に意識的になりたいと考えています。

    我々は立場や経験にとらわれず、フラットでオープンな作業環境の中で、チームとして各プロジェクトのポテンシャルを最大限に引き出していく働き方を目指しています。敷地やクライアントと同様に、チーム構成も一期一会と捉え、毎回それぞれのコラボレーションでしか生まれない空間の形態や質に興味があります。

    経験者の方にとってはクライアントから協力事務所まで素晴らしいコラボレーターとの協働によって、今までにない建築を作り上げるプロセスが共有できるので、前職とは違った経験値が積める職場になると思います。また、産休・育休後に仕事復帰されたい方や、独立前の準備期間にアトリエ事務所を覗いてみたい方なども歓迎で、時短勤務や、プロジェクト契約などフレキシブルな働き方にも対応します。

    新卒の方にとっては、基本計画から現場監理まで設計の思考を鍛えながら、建築をつくりあげる一連のプロセスが経験できる、やりがいや成長を実感できる職場環境です。将来独立を視野に入れている方は独立後のすぐの動き方が学べますし、長期的に働きたい方は、ちょうどこの事務所が次の規模へ成長するタイミングで、一緒に事務所をつくり、成長させていく喜びが分かち合えると思います。

    楽しむ力、コミュニケーション力を持った、一緒にものづくりをしていくことのできる方の応募をお待ちしております。

    job.architecturephoto.net
    • ap job
    建築求人情報
    2022.04.21 Thu 19:11
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    UENOA architectsによる、東京・台東区の住戸改修「北上野のリノベーション」。建て込んだ地域のビル内住戸を改修、解体後の躯体状態で見た光景から空間が持つ外部との繋がりの可能性を発見、外周に連続する空間を設けてその環境を生かしつつ建具による分割で生活変化へも対応
    photo©Naomichi Sode

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    architecture|feature
    東京リノベーション長谷川欣則走出直道住戸堀越ふみ江台東区建材(外装・床)建材(外装・壁)建材(外装・建具)UENOA architects
    UENOA architectsによる、東京・台東区の住戸改修「北上野のリノベーション」。建て込んだ地域のビル内住戸を改修、解体後の躯体状態で見た光景から空間が持つ外部との繋がりの可能性を発見、外周に連続する空間を設けてその環境を生かしつつ建具による分割で生活変化へも対応 photo©Naomichi Sode
    UENOA architectsによる、東京・台東区の住戸改修「北上野のリノベーション」。建て込んだ地域のビル内住戸を改修、解体後の躯体状態で見た光景から空間が持つ外部との繋がりの可能性を発見、外周に連続する空間を設けてその環境を生かしつつ建具による分割で生活変化へも対応 photo©Naomichi Sode
    UENOA architectsによる、東京・台東区の住戸改修「北上野のリノベーション」。建て込んだ地域のビル内住戸を改修、解体後の躯体状態で見た光景から空間が持つ外部との繋がりの可能性を発見、外周に連続する空間を設けてその環境を生かしつつ建具による分割で生活変化へも対応 photo©Naomichi Sode

    長谷川欣則+堀越ふみ江 / UENOA architectsが設計した、東京・台東区の住戸改修「北上野のリノベーション」です。
    建て込んだ地域のビル内住戸を改修、解体後の躯体状態で見た光景から空間が持つ外部との繋がりの可能性を発見、外周に連続する空間を設けてその環境を生かしつつ建具による分割で生活変化へも対応する事が意図されました。

    30年前に建てられた5階建てビルのワンフロアの住居のリノベーション計画である。

    クライアントのご主人はこの住居で育ち、ここ数年は奥さんと小さなお子さん2人と一緒に竣工当時の間取りのままに暮らされていた。このビルが建つ東京北上野は狭い道路に面して小規模のビルが建ち並び、窓先の景色や採光といった外部環境を取り入れることが難しい街並みとなっている。改修前の住居も細かく仕切られた機能的な各室に小さな窓がポツポツと取り付けられていて、外部環境とはあまり積極的には接点を持っていなかった。

    建築家によるテキストより

    既存の内装を解体しスケルトンにしてみたところで状況は一変する。
    各室に一対一で取り付けられていた小さな窓から入る小さな光が群を成し大きな光となってスケルトンの空間に広がっていた。 小さいながら4周すべてに開口部を持っていたために、建て込んだ街並みでのわずかな抜けや反射光が集められ、これまで内省的と思われた場所を外部環境と積極的に関わりを持った場所へと変えた。

    建築家によるテキストより

    既存のRCの梁がかつての間取りのなごりを残していたように、建具レールを兼ねた木の下がり壁は「2番目の躯体」としてこれからの生活の補助線となる。建物の正方形平面を9つに割るように整然と井桁状に設定した2番目の躯体は、単なる建具レールやフレキシブルな間取りのための装置という役割を超え、時間を持ち合わせた存在として建物と一緒に長く残るものであることを願っている。

    建築家によるテキストより
    • 残り17枚の写真と建築家によるテキスト
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    東京リノベーション長谷川欣則走出直道住戸堀越ふみ江台東区建材(外装・床)建材(外装・壁)建材(外装・建具)UENOA architects
    2022.04.21 Thu 07:54
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    2022.4.20Wed
    • 【ap job更新】 まちづくりから建築設計に加え運営にも取り組む「TIT一級建築士設計事務所」が、設計スタッフ(新卒既卒・経験者)と学生アルバイトを募集中
    • 湯浅良介による、神奈川・大磯町の住宅「FLASH」。人間としてあることの喜びを表層に見出し、建物の“面”に注目して在るべき姿を求めスケッチを描き続け検討、模様・形・色の自由な選択で“見せる”と“隠す”を突き詰めるプロセスで建築をつくる
    • 平井充+山口紗由 / メグロ建築研究所による、東京・武蔵野市の「棚畑ハウス」。地域風景の残る街で僅かな浸水予測がある道に接した敷地、未来への備えと環境への応答を兼ねた“土手が庭を兼ね建築を取り巻く”構成を考案、内部では“ウチニワ”と呼ぶ機能を固定しない場が多様な活動を許容
    • 住宅作家としても著名な泉幸甫が校長を務める「家づくり学校」が第14期の受講生を募集中。実務者を対象とした、実際に建てるための知識を学び、自分らしく生きる道を見つける場
    • MADによる、中国・黒竜江省の国際会議場。国内最大のスキータウンに計画された施設で、周囲の景観や地形に溶け込む事を目指して雪山をイメージした特徴的な屋根を設計、中央の天窓から木で覆われたロビーに注がれる光が存在感を放つ建築
    2022.4.22Fri
    • 建築家が遊具等のデザインを手掛けた「PLAY EARTH PARK」の会場写真。中村竜治・noiz・大野友資・Sawada Hashimura・山田紗子・佐藤研吾・platが参加して東京ミッドタウンで開催
    • 植木幹也+進士茶織 / スタジオシナプスによる、群馬・太田市の飲食店「WANDERLUST」。地域に根差し約40年営業するパン店の建替え計画、店の“あたりまえ”を引継いだ上で“集い・学び・交流する場”との要望に応える為に周辺までを視野に入れて設計、人々の多様な振舞の起点となる建築をつくる
    • デイビッド・チッパーフィールド・アーキテクツによる、スイスの美術館の増築棟「Kunsthaus Zurich」の新しい写真。建築を都市と文化の文脈に埋め込む事を目指し、地域の石造建築を参照して伝統と革新を融合させた外観を設計、内部では“house of rooms”をテーマに部屋毎に特徴を持った空間をつくる

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