古野善昭 / エフプランと神谷幸治 / Qukan空間工作所が設計した、北海道・夕張郡の生花店「ナカイフローリスト」です。
人通りのある場の老舗花店の建替計画です。建築家は、環境との関係を考慮し、街の中心部に向けたショーウィンドウにもなる隅切りの開口部を考案しました。そして、外観を特徴づける家型を内部でも展開して“看板建築”の拡張も意図しました。店舗の公式サイトはこちら。
北海道夕張郡栗山町の老舗の花屋の建て替えの計画である。
町の主要な道路である中央通に面し南大通りとの交差点が近く商店街からは多少離れているものの役場や小学校が近く比較的人通りが多い場所である。
平面計画は作業場の配置からスタートした。木造かつプレカットで可能な範囲の梁せいで取れる7m×8mの1層の無柱空間を道路面から奥になる東側に配置し、西の道路側に残りの売場とアレンジメント教室や売場の一部となる様な多目的スペースを設けた2層の建物としている。
半階上がった階段踊場にも売場スペースを設け2階への空間の連続性を保ちつつ、北西部分に隅切られた2層に及ぶ壁に開口を設ける事で街の中心部である北西側に向けてのショーウィンドウとした。売場部分は土壁や無垢材を利用した什器を用いてオーセンティックな内装としつつも曲線を使った什器を併用する事で変化を与えている。壁は白を基調とし花や植栽のキャンバスとなる。
以下の写真はクリックで拡大します
以下、建築家によるテキストです。
看板建築の拡張
北海道夕張郡栗山町の老舗の花屋の建て替えの計画である。
町の主要な道路である中央通に面し南大通りとの交差点が近く商店街からは多少離れているものの役場や小学校が近く比較的人通りが多い場所である。小売販売だけではなく冠婚葬祭等の花のアレンジメントの製作も行う為、広い作業場を求められた。
平面計画は作業場の配置からスタートした。木造かつプレカットで可能な範囲の梁せいで取れる7m×8mの1層の無柱空間を道路面から奥になる東側に配置し、西の道路側に残りの売場とアレンジメント教室や売場の一部となる様な多目的スペースを設けた2層の建物としている。
半階上がった階段踊場にも売場スペースを設け2階への空間の連続性を保ちつつ、北西部分に隅切られた2層に及ぶ壁に開口を設ける事で街の中心部である北西側に向けてのショーウィンドウとした。売場部分は土壁や無垢材を利用した什器を用いてオーセンティックな内装としつつも曲線を使った什器を併用する事で変化を与えている。壁は白を基調とし花や植栽のキャンバスとなる。
主要な道路に面した北側の一部と西側の外壁は左官仕上げの外壁とし窓やポーチ部分を家形で施したアイコニックなファサードを形成している。「看板建築」は一部のファサードが看板の様に性格づけられている建築物である。この店舗も同様なファサード形態ではあるが、内部にも同様な家形を施した開口を設けることで内と外の連続性を確保しその範囲を拡張する様試みた。
写真は店舗がオープンして約1年の時に撮影したが、内外に心地よく配置された花や植栽がこの連続性をより引き立たせている。
■建築概要
名称:ナカイフローリスト
所在地:北海道夕張郡栗山町
主要用途:生花店
規模構造:木造在来工法地下1階地上2階建
設計監理:エフプラン / 古野善昭+Qukan空間工作所 / 神谷幸治
構造設計:Kオフィス / 細野浩樹
施工:有限会社山崎建設
敷地面積:383.38m2
延床面積:250.49m2
設計期間:2019年6月~2020年5月
竣工:2020年11月
写真:佐々木育弥