吉村真基建築計画事務所|MYAOによる、愛知・名古屋市の「やまさと保育園増築棟」。職員の執務空間等の計画。敷地奥の園舎と擁壁に囲まれた場を建築地に選び、屋根を掛けた上に小屋が載る構成を考案。要求機能に加えて建物同士を繋ぐハブ空間の役割も与え園全体の動線を再編 photo©谷川ヒロシ / ToLoLo Studio
吉村真基建築計画事務所|MYAOによる、愛知・名古屋市の「やまさと保育園増築棟」。職員の執務空間等の計画。敷地奥の園舎と擁壁に囲まれた場を建築地に選び、屋根を掛けた上に小屋が載る構成を考案。要求機能に加えて建物同士を繋ぐハブ空間の役割も与え園全体の動線を再編 photo©谷川ヒロシ / ToLoLo Studio
吉村真基建築計画事務所|MYAOによる、愛知・名古屋市の「やまさと保育園増築棟」。職員の執務空間等の計画。敷地奥の園舎と擁壁に囲まれた場を建築地に選び、屋根を掛けた上に小屋が載る構成を考案。要求機能に加えて建物同士を繋ぐハブ空間の役割も与え園全体の動線を再編 photo©谷川ヒロシ / ToLoLo Studio
吉村真基建築計画事務所|MYAO が設計した、愛知・名古屋市の「やまさと保育園増築棟」です。
職員の執務空間等の計画です。建築家は、敷地奥の園舎と擁壁に囲まれた場を建築地に選び、屋根を掛けた上に小屋が載る構成を考案しました。そして、要求機能に加えて建物同士を繋ぐハブ空間の役割も与え園全体の動線を再編しました。
名古屋市内の保育園の小さな増築計画である。
シュタイナー教育で有名な園で、既存園舎は90年代初頭に建築家笠嶋淑恵氏により全面改修が行われている。
長年の運営の中で保育形態も変化し保育室が増えて、築40年を迎える既存園舎内には現在職員室がないという。そこで職員の執務スペースと面談室など多目的に使える小空間を作りたいということであった。敷地内のどこにつくるか、というところから検討を始めることとなった。
ほぼ平場のない敷地の中で、最終的に園舎と擁壁に囲まれたドン詰まり、一番奥の滝壺のような場所に増築を行うことにした。そこには先代の理事長先生が使っていた小屋が、今はあまり使われないまま残っていた。この小屋も特徴的な意匠の建物であったので、使えそうなものはなるべく再利用する計画とした。
既に三方を構造物で囲まれた場所だったため、考える順番を変えて壁を建てるところからではなく、屋根をかけるところから始めることにした。まずは擁壁と既存園舎との間を取り持つ新たな面をかける。その上部に初めて外形を持った小屋を建てる。新たな面をかけることで、擁壁で寸断された園舎を擁壁がつなぐ園舎に変えるのである。
地上レベルは建物の外形を作らず、擁壁と園舎外壁に囲まれた場所をそのまま内部空間にして既存園舎と一体化した。ここから擁壁の上に建つ木造の事務棟を階段でつなげ、園庭に対しても開いた。この場所を介して園舎、園庭、事務棟、斜面がつながり、ドン詰まりが一転、ハブ空間に裏返った。
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吉村真基建築計画事務所|MYAOによる、愛知・名古屋市の「やまさと保育園増築棟」。職員の執務空間等の計画。敷地奥の園舎と擁壁に囲まれた場を建築地に選び、屋根を掛けた上に小屋が載る構成を考案。要求機能に加えて建物同士を繋ぐハブ空間の役割も与え園全体の動線を再編 photo©谷川ヒロシ / ToLoLo Studio
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吉村真基建築計画事務所|MYAOによる、愛知・名古屋市の「やまさと保育園増築棟」。職員の執務空間等の計画。敷地奥の園舎と擁壁に囲まれた場を建築地に選び、屋根を掛けた上に小屋が載る構成を考案。要求機能に加えて建物同士を繋ぐハブ空間の役割も与え園全体の動線を再編 photo©谷川ヒロシ / ToLoLo Studio
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吉村真基建築計画事務所|MYAOによる、愛知・名古屋市の「やまさと保育園増築棟」。職員の執務空間等の計画。敷地奥の園舎と擁壁に囲まれた場を建築地に選び、屋根を掛けた上に小屋が載る構成を考案。要求機能に加えて建物同士を繋ぐハブ空間の役割も与え園全体の動線を再編 1階平面図 image©吉村真基建築計画事務所
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吉村真基建築計画事務所|MYAOによる、愛知・名古屋市の「やまさと保育園増築棟」。職員の執務空間等の計画。敷地奥の園舎と擁壁に囲まれた場を建築地に選び、屋根を掛けた上に小屋が載る構成を考案。要求機能に加えて建物同士を繋ぐハブ空間の役割も与え園全体の動線を再編 ドローイング image©吉村真基建築計画事務所
吉村真基建築計画事務所|MYAOによる、愛知・名古屋市の「やまさと保育園増築棟」。職員の執務空間等の計画。敷地奥の園舎と擁壁に囲まれた場を建築地に選び、屋根を掛けた上に小屋が載る構成を考案。要求機能に加えて建物同士を繋ぐハブ空間の役割も与え園全体の動線を再編 模型 photo©吉村真基建築計画事務所
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吉村真基建築計画事務所|MYAOによる、愛知・名古屋市の「やまさと保育園増築棟」。職員の執務空間等の計画。敷地奥の園舎と擁壁に囲まれた場を建築地に選び、屋根を掛けた上に小屋が載る構成を考案。要求機能に加えて建物同士を繋ぐハブ空間の役割も与え園全体の動線を再編 工事前の様子 photo©吉村真基建築計画事務所
吉村真基建築計画事務所|MYAOによる、愛知・名古屋市の「やまさと保育園増築棟」。職員の執務空間等の計画。敷地奥の園舎と擁壁に囲まれた場を建築地に選び、屋根を掛けた上に小屋が載る構成を考案。要求機能に加えて建物同士を繋ぐハブ空間の役割も与え園全体の動線を再編 工事前の様子 photo©吉村真基建築計画事務所
吉村真基建築計画事務所|MYAOによる、愛知・名古屋市の「やまさと保育園増築棟」。職員の執務空間等の計画。敷地奥の園舎と擁壁に囲まれた場を建築地に選び、屋根を掛けた上に小屋が載る構成を考案。要求機能に加えて建物同士を繋ぐハブ空間の役割も与え園全体の動線を再編 工事前の様子 photo©吉村真基建築計画事務所
以下、建築家によるテキストです。
場所を反転するマイクロアーキテクチャ
名古屋市内の保育園の小さな増築計画である。
シュタイナー教育で有名な園で、既存園舎は90年代初頭に建築家笠嶋淑恵氏により全面改修が行われている。
長年の運営の中で保育形態も変化し保育室が増えて、築40年を迎える既存園舎内には現在職員室がないという。そこで職員の執務スペースと面談室など多目的に使える小空間を作りたいということであった。敷地内のどこにつくるか、というところから検討を始めることとなった。
既存園舎はRC二階建、北垂れの斜面地を受け止める道路際に構えている。園舎に向かって傾斜する急斜面には擁壁が間隔を開けて段状に設けられ、園舎の前に幅4mの「園庭」を残すのみ。その総高さは7mを超える。園舎は全体的に手狭になっており、かといってまとまった平場のない敷地のため、1段目の擁壁の上には木造の事務棟、2段目の擁壁の上には職員休憩用の小屋が別棟で建てられていた。
擁壁との関係で、園舎の体験は1階と2階では見える風景も環境も全く異なっていた。1階の園庭は擁壁と建物に囲まれることで、室内的な場所になっている。2階に上がると環境は一転し、空が開け外廊下越しの眼前に雑木林の斜面が広がる。
ほぼ平場のない敷地の中で、最終的に園舎と擁壁に囲まれたドン詰まり、一番奥の滝壺のような場所に増築を行うことにした。そこには先代の理事長先生が使っていた小屋が、今はあまり使われないまま残っていた。この小屋も特徴的な意匠の建物であったので、使えそうなものはなるべく再利用する計画とした。
既に三方を構造物で囲まれた場所だったため、考える順番を変えて壁を建てるところからではなく、屋根をかけるところから始めることにした。まずは擁壁と既存園舎との間を取り持つ新たな面をかける。その上部に初めて外形を持った小屋を建てる。新たな面をかけることで、擁壁で寸断された園舎を擁壁がつなぐ園舎に変えるのである。
地上レベルは建物の外形を作らず、擁壁と園舎外壁に囲まれた場所をそのまま内部空間にして既存園舎と一体化した。ここから擁壁の上に建つ木造の事務棟を階段でつなげ、園庭に対しても開いた。この場所を介して園舎、園庭、事務棟、斜面がつながり、ドン詰まりが一転、ハブ空間に裏返った。
さらに新たな屋根面で軒を作って回し、その軒下で擁壁と既存建物のサッシ面を新たな開口部で縫い合わせて、来園者を受け止める新たな顔を作っている。上に建つ小屋は面談室・休憩室・静寂室と多目的に使える小空間となっている。小屋を経由して斜面地の上方に繋げたことで、園全体の動線に一気に立体的なつながりが生まれた。
新たに張った面には積極的に曲線を用いているが、これは既存園舎の特徴的な意匠との間に連続性を持たせたものである。また既存の小屋に使われていた窓枠や建具等も随所に用いた。
建物の成り立ちの順序をひっくり返す、ドン詰まりはハブに裏返る。寸断されていた動線がつながり、擁壁を介して立体的な行き来が生まれた。これは反転によって1000平米超の敷地全体を編集しなおす10坪余りの極小建築である。
■建築概要
名称:やまさと保育園増築棟
建築主:社会福祉法人太陽の家
用途:保育所
種類:増築
所在地:愛知県名古屋市昭和区
意匠設計:吉村真基建築計画事務所|MYAO 吉村真基
構造設計:永井拓生/Eureka
施工:株式会社箱屋
構造:木造 地上2階
敷地面積:1068.86m2
建築面積:30.54m2(増築部分のみ)
床面積:34.37m2(増築部分のみ)
設計期間:2019年6月~
工事期間:2020年8月~
竣工年:2021年3月
撮影:谷川ヒロシ / ToLoLo Studio
建材情報 種別 使用箇所 商品名(メーカー名) 外装・屋根 屋根 ガルバリウム鋼板横葺き
外装・床 床 モルタル金ゴテ押さえ
デッキ材
外装・壁 外壁 合板+FRP仕上げ
ガルバ波板小波
内装・床 床 コルクタイル張り
内装・壁 壁 PB+AEP塗装
内装・天井 天井 PB+AEP塗装
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Micro architecture that inverse the place
Extention of a nursery school in Nagoya city.
The existing building is a two-story reinforced concrete building located on the border with the road on the north side of the slope.
They needed a small space that could be used for multiple purposes, and an office space for staff.
We decided to start considering where to make it on the premises.
In the site with almost no flat ground, we finally decided to add an extension to the innermost dead end surrounded by the building and the retaining wall.
Since it was surrounded by structures on three sides, I decided to change the order of thinking and start from building the roof instead of building the wall. It would be nice to put up a new surface between the retaining wall and the existing garden building…A hut with an outer shape would be built above it.
There is no longer an outline of the building at the ground level. The innermost space was changed to an interior space and connected to the existing building so that it could be opened to the playgroud.
The dead end turned into a hub space.
A new eave is built to connect the retaining wall and the sash of the existing building to create a new face to welcome visitors.
The hut built on it is a small space that can be used for multiple purposes.
By connecting to the upper part of the slope via the hut, a three-dimensional connection appeared at once in the flow line of the entire site.
Curves are actively used in the design of the extension, which provides continuity with the characteristic design of the existing building.
The order of the buildings is reversed, and the dead end is turned over to the hub.
This is a building of inversion which is only 10 square feet that re-edits the entire site of over 1000 square meters.
Small Extention for Yamasato nursery school
client: Social welfare corporation
category: nursery school
type: extension
location: Aichi pref. Japan
completion year: 2021.Mar
Architect: Maki Yoshimura
Firm: Maki Yoshimura Architecture Office | MYAO
Structure Design: Takuo Nagai / Eureka
contractor: Hakoya
Structure: wood, 2 stories
site area: 1068.86m2
foot print: 30.54m2 (extension part only)
Gross floor area: 34.37m2 (extension part only)
Photo Credit: Hiroshi Tanigawa / Tololo Studio