小林宏輔 / KOKO+が設計した、神奈川・相模原市の「東林間のアパート [CASA FORESTA]」です。
郊外の木造賃貸集合住宅です。建築家は、長期の安定した入居者確保を目指し、意匠での“競争力”を意図して特徴的な外観が多様な居場所も作る建築を考案しました。また、防耐火性能を満たして軒裏と天井の木架構の現しも実現されています。
郊外の木造賃貸アパート計画。
計画地は最寄り駅から徒歩3分・南を跨いだ二面接道・北側隣地の借景に臨む等、利便性や日照などの住環境において申し分ないロケーションに位置する。事業主の融資可能額の検討を経て、外壁面を小さくしてコストを抑えるべく、木造の片廊下型アパートという条件のもとで設計がスタートした。
ただし一般的な木造アパートを計画しても、長期的に建築物の魅力を維持し安定した入居者の確保を図ることは難しい。
そこで主要採光面であり前面道路からの顔になるバルコニーに特徴を与え、デザインによる競争力や比較優位性を担保することを考えた。
構造設計者の提案により、耐力壁をバルコニーの外側に出すことで、立面としての「意匠」・耐力壁としての「構造」・目隠しとしての「機能」を兼ねた境界面が構成された。バルコニーに接する全面にサッシを纏わせて、二層の境界面が室内外の間に多様な関係性を生み、それに応じて住まい手が居場所を選択できる環境をつくりだした。
本建築物は準防火地域における一定規模の共同住宅であるため、外壁及び軒裏の防火構造・内壁及び天井の内装制限に適合させる必要があった。近年新しく追加された告示を用いて計画することで、軒裏・天井を木架構のあらわしとできる制限の緩和を受けた。
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以下、建築家によるテキストです。
郊外の木造賃貸アパート計画。
計画地は最寄り駅から徒歩3分・南を跨いだ二面接道・北側隣地の借景に臨む等、利便性や日照などの住環境において申し分ないロケーションに位置する。事業主の融資可能額の検討を経て、外壁面を小さくしてコストを抑えるべく、木造の片廊下型アパートという条件のもとで設計がスタートした。
ただし一般的な木造アパートを計画しても、長期的に建築物の魅力を維持し安定した入居者の確保を図ることは難しい。
そこで主要採光面であり前面道路からの顔になるバルコニーに特徴を与え、デザインによる競争力や比較優位性を担保することを考えた。
構造設計者の提案により、耐力壁をバルコニーの外側に出すことで、立面としての「意匠」・耐力壁としての「構造」・目隠しとしての「機能」を兼ねた境界面が構成された。バルコニーに接する全面にサッシを纏わせて、二層の境界面が室内外の間に多様な関係性を生み、それに応じて住まい手が居場所を選択できる環境をつくりだした。
本建築物は準防火地域における一定規模の共同住宅であるため、外壁及び軒裏の防火構造・内壁及び天井の内装制限に適合させる必要があった。近年新しく追加された告示を用いて計画することで、軒裏・天井を木架構のあらわしとできる制限の緩和を受けた。材料面ではバルコニー雨掛り部分の木材には液体ガラス含浸塗装を採用し、門扉にはアセチル化処理されたMDFボードを使用した。
建築基準法に定められた防耐火性能をクリアした上で、新技術を活用して投資物件に求められる耐久性に配慮し、ローコスト賃貸において暖かみを感じさせる木質表現に挑戦した。
■建築概要
建物名称:東林間のアパート [CASA FORESTA]
建物所在:神奈川県相模原市
主要用途:共同住宅
構造工法:木造在来工法
建物規模:地上2階
建築設計:KOKO+ inc. / 小林宏輔
構造設計:円酒構造設計 / 円酒昂
施工管理:幹建設
企画管理:プリズミック
敷地面積:226.66㎡
建築面積:155.23㎡
延床面積:282.72㎡
設計期間:2021年1月~2021年8月
工事期間:2021年9月~2022年3月
資料作成:丸山遼
写真撮影:KOKO+ inc.