伊庭野大輔と藤井亮介が設計した、和歌山・伊都郡の「高野山 café 雫」です。
世界遺産の地に新設された拠点内の店舗です。建築家は、場所の風景と水を想起させる場を求め、地域産の木柱を“林立”させ全艶塗装のテーブルの“反射”が視覚的増幅を生む空間を考案しました。そして、木立の中でくつろぐ様な体験を作り出す事も意図されました。施設の公式サイトはこちら。
標高900mの山々に囲まれた山上盆地である高野山に新設された新拠点「高野山デジタルミュージアム」内のショップとカフェの内装計画。
計画地は高野山の中心である金剛峯寺のすぐ近くに位置している。既存施設は横長の切妻屋根の建物で、その手前半分側にショップとカフェが計画された。計画範囲はほぼ3方がガラス面となっており、内外の視認性も高いため、内部からは外の景色を見通しやすく、外部からはカフェとしての特徴が伝わるような内装が求められた。
高野山は言わずと知れた世界遺産であり、特に弘法大師御廟へと続く奥之院と呼ばれる樹齢約700年の杉木立がそびえたつランドスケープは圧巻である。また、それを作り出したのは紀伊山地の山々に降り注ぐ豊かな降水であり、豊かな森を育む水は古来より人々に信仰を集めてきた。そこで本計画では、これらのランドスケープと水を想起させるべく、高野山由来の高野霊木を多用しながら、その風景を再構成することを試みた。
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以下、建築家によるテキストです。
標高900mの山々に囲まれた山上盆地である高野山に新設された新拠点「高野山デジタルミュージアム」内のショップとカフェの内装計画。
計画地は高野山の中心である金剛峯寺のすぐ近くに位置している。既存施設は横長の切妻屋根の建物で、その手前半分側にショップとカフェが計画された。計画範囲はほぼ3方がガラス面となっており、内外の視認性も高いため、内部からは外の景色を見通しやすく、外部からはカフェとしての特徴が伝わるような内装が求められた。
高野山は言わずと知れた世界遺産であり、特に弘法大師御廟へと続く奥之院と呼ばれる樹齢約700年の杉木立がそびえたつランドスケープは圧巻である。また、それを作り出したのは紀伊山地の山々に降り注ぐ豊かな降水であり、豊かな森を育む水は古来より人々に信仰を集めてきた。そこで本計画では、これらのランドスケープと水を想起させるべく、高野山由来の高野霊木を多用しながら、その風景を再構成することを試みた。
ここでは天窓から光が差し込む大きな気積の空間に、厨房施設を角に寄せて配置し、それ以外のL字型の空間をショップと着席エリアとしている。厨房施設には寄棟の屋根をかけてボックスインボックスの構成とすることで、天窓からの光も相まってそのL字型の空間が半外部的な場所と感じられるようにした。
そしてその空間にテーブル同士の距離感や動線に配慮しながら角柱をレイアウトしていった。この角柱は床スラブに穴をあけ、掘立柱として強度を確保することで、人が寄りかかってくつろぐという行為を生むと共に、テーブル同士の緩やかなプライバシーを作り出している。また、水滴をイメージした形状のテーブルには全艶塗装を施すことで、外部の緑や林立した柱が映り込み、視覚的に増幅させるように計画した。
これらの操作が高野山の杉木立の中でくつろいでいるような体験を生み出し、高野山の旅の入り口として、またそこで日々暮らす人々が自然と集える憩いの場として、地域に根付くことを目指した。
(伊庭野大輔+藤井亮介)
■建築概要
名称(日本語):高野山 café 雫
名称(英語):Koyasan café Shizuku
所在地:和歌山県伊都郡高野町高野山361
用途:飲食店(カフェ)
企画:株式会社DMC高野山
内装デザイン:伊庭野大輔+藤井亮介
構造設計協力:永井拓生
アートワーク:久住有生
施工:尾上組
テーブル・什器:イノウエインダストリィズ
延床面積:166.50m2
工期:2022年3月~2022年8月
写真:笹の倉舎 / 笹倉洋平
建材情報種別 | 使用箇所 | 商品名(メーカー名) | 内装・床 | 床 | 既存モルタル仕上床の上、防塵塗装:アクアフォルティス(アトミクス)
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内装・壁 | 壁 | PB12.5mm+EP塗装
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内装・柱 | 新規柱 | ヒノキ材 60×60/105×105/120×120(高野霊木) オイルステイン塗装 [マットクリア]
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内装・造作家具 | カウンター什器 | ヒノキ材 60×60/105×105/120×120(高野霊木) オイルステイン塗装 [マットクリア]
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