清水義文 / SOU建築設計室による、東京・西東京市の、医療複合施設「LIFE MEDICAL CARE いずみ」。未病維持から看取りまでを担う地域拠点となる施設。様々な用途が“適度な距離感”で共存する場を求め、“町並み”を想起させる“小屋の集合体”の様な建築を考案。特徴的な外観は周辺の住宅街との親和性も意図 南側外観 photo©堀内広治
清水義文 / SOU建築設計室による、東京・西東京市の、医療複合施設「LIFE MEDICAL CARE いずみ」。未病維持から看取りまでを担う地域拠点となる施設。様々な用途が“適度な距離感”で共存する場を求め、“町並み”を想起させる“小屋の集合体”の様な建築を考案。特徴的な外観は周辺の住宅街との親和性も意図 公園側からのアプローチ photo©堀内広治
清水義文 / SOU建築設計室による、東京・西東京市の、医療複合施設「LIFE MEDICAL CARE いずみ」。未病維持から看取りまでを担う地域拠点となる施設。様々な用途が“適度な距離感”で共存する場を求め、“町並み”を想起させる“小屋の集合体”の様な建築を考案。特徴的な外観は周辺の住宅街との親和性も意図 診療所、訪問介護 photo©堀内広治
清水義文 / SOU建築設計室による、東京・西東京市の、医療複合施設「LIFE MEDICAL CARE いずみ」。未病維持から看取りまでを担う地域拠点となる施設。様々な用途が“適度な距離感”で共存する場を求め、“町並み”を想起させる“小屋の集合体”の様な建築を考案。特徴的な外観は周辺の住宅街との親和性も意図 ホームホスピス、リビング photo©堀内広治
清水義文 / SOU建築設計室 が設計した、東京・西東京市の、医療複合施設「LIFE MEDICAL CARE いずみ」です。
未病維持から看取りまでを担う地域拠点となる施設として計画されました。建築家は、様々な用途が“適度な距離感”で共存する場を求め、“町並み”を想起させる“小屋の集合体”の様な建築を考案しました。また、特徴的な外観は周辺の住宅街との親和性も意図されました。
人生100年時代を迎える現代において学校跡地を活用して「未病維持から看取りまで」を実現した医療複合施設。
「診療所、カフェ、ホームホスピス、フィットネス、地域交流、動物介在活動」6つのテーマを集約・連携することで医療・介護・交流の時間的連続・地理的連携を実現した。
地域活動としての建物、終の住処としての建物、それぞれが独立せずに適度な距離で共存できる場とするために中庭を囲むように配置した2層の小屋の集合体とも言えるボリュームは、隣接する公園や敷地周辺の住宅街に馴染む。平面的にも立面的にも凹凸のある建築群は内部空間に様々なシークエンスをつくり出す。時としてそれは活動する人々と療養する人々の間仕切りとなり共通の居場所ともなる。
低層のコンクリートの群れは部分的に木造の小屋組みとなっており、周囲に開けた大開口からその温かみのあるテクスチャーを覗かせ、町の医療施設としての役割を建築的にも具現化している。
町の医療として地域に開くこと、療養施設として落ち着きのある空間とすること、用途が複雑に絡み合う中で統合的に括ろうとした結果、それぞれの性格の異なる小屋が群れを成し住宅の町並みのようなカタチとなった。
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清水義文 / SOU建築設計室による、東京・西東京市の、医療複合施設「LIFE MEDICAL CARE いずみ」。未病維持から看取りまでを担う地域拠点となる施設。様々な用途が“適度な距離感”で共存する場を求め、“町並み”を想起させる“小屋の集合体”の様な建築を考案。特徴的な外観は周辺の住宅街との親和性も意図 南側外観 photo©堀内広治
清水義文 / SOU建築設計室による、東京・西東京市の、医療複合施設「LIFE MEDICAL CARE いずみ」。未病維持から看取りまでを担う地域拠点となる施設。様々な用途が“適度な距離感”で共存する場を求め、“町並み”を想起させる“小屋の集合体”の様な建築を考案。特徴的な外観は周辺の住宅街との親和性も意図 南側外観 photo©堀内広治
清水義文 / SOU建築設計室による、東京・西東京市の、医療複合施設「LIFE MEDICAL CARE いずみ」。未病維持から看取りまでを担う地域拠点となる施設。様々な用途が“適度な距離感”で共存する場を求め、“町並み”を想起させる“小屋の集合体”の様な建築を考案。特徴的な外観は周辺の住宅街との親和性も意図 公園側からのアプローチ photo©堀内広治
清水義文 / SOU建築設計室による、東京・西東京市の、医療複合施設「LIFE MEDICAL CARE いずみ」。未病維持から看取りまでを担う地域拠点となる施設。様々な用途が“適度な距離感”で共存する場を求め、“町並み”を想起させる“小屋の集合体”の様な建築を考案。特徴的な外観は周辺の住宅街との親和性も意図 北側外観 photo©堀内広治
清水義文 / SOU建築設計室による、東京・西東京市の、医療複合施設「LIFE MEDICAL CARE いずみ」。未病維持から看取りまでを担う地域拠点となる施設。様々な用途が“適度な距離感”で共存する場を求め、“町並み”を想起させる“小屋の集合体”の様な建築を考案。特徴的な外観は周辺の住宅街との親和性も意図 診療所、受付 photo©堀内広治
清水義文 / SOU建築設計室による、東京・西東京市の、医療複合施設「LIFE MEDICAL CARE いずみ」。未病維持から看取りまでを担う地域拠点となる施設。様々な用途が“適度な距離感”で共存する場を求め、“町並み”を想起させる“小屋の集合体”の様な建築を考案。特徴的な外観は周辺の住宅街との親和性も意図 診療所、調剤薬局 photo©堀内広治
清水義文 / SOU建築設計室による、東京・西東京市の、医療複合施設「LIFE MEDICAL CARE いずみ」。未病維持から看取りまでを担う地域拠点となる施設。様々な用途が“適度な距離感”で共存する場を求め、“町並み”を想起させる“小屋の集合体”の様な建築を考案。特徴的な外観は周辺の住宅街との親和性も意図 診療所、訪問医療 photo©堀内広治
清水義文 / SOU建築設計室による、東京・西東京市の、医療複合施設「LIFE MEDICAL CARE いずみ」。未病維持から看取りまでを担う地域拠点となる施設。様々な用途が“適度な距離感”で共存する場を求め、“町並み”を想起させる“小屋の集合体”の様な建築を考案。特徴的な外観は周辺の住宅街との親和性も意図 診療所、訪問介護 photo©堀内広治
清水義文 / SOU建築設計室による、東京・西東京市の、医療複合施設「LIFE MEDICAL CARE いずみ」。未病維持から看取りまでを担う地域拠点となる施設。様々な用途が“適度な距離感”で共存する場を求め、“町並み”を想起させる“小屋の集合体”の様な建築を考案。特徴的な外観は周辺の住宅街との親和性も意図 ホームホスピス、リビング photo©堀内広治
清水義文 / SOU建築設計室による、東京・西東京市の、医療複合施設「LIFE MEDICAL CARE いずみ」。未病維持から看取りまでを担う地域拠点となる施設。様々な用途が“適度な距離感”で共存する場を求め、“町並み”を想起させる“小屋の集合体”の様な建築を考案。特徴的な外観は周辺の住宅街との親和性も意図 ホームホスピス、リビング photo©堀内広治
清水義文 / SOU建築設計室による、東京・西東京市の、医療複合施設「LIFE MEDICAL CARE いずみ」。未病維持から看取りまでを担う地域拠点となる施設。様々な用途が“適度な距離感”で共存する場を求め、“町並み”を想起させる“小屋の集合体”の様な建築を考案。特徴的な外観は周辺の住宅街との親和性も意図 ホームホスピス、リビング photo©堀内広治
清水義文 / SOU建築設計室による、東京・西東京市の、医療複合施設「LIFE MEDICAL CARE いずみ」。未病維持から看取りまでを担う地域拠点となる施設。様々な用途が“適度な距離感”で共存する場を求め、“町並み”を想起させる“小屋の集合体”の様な建築を考案。特徴的な外観は周辺の住宅街との親和性も意図 ホームホスピス、個室 photo©堀内広治
清水義文 / SOU建築設計室による、東京・西東京市の、医療複合施設「LIFE MEDICAL CARE いずみ」。未病維持から看取りまでを担う地域拠点となる施設。様々な用途が“適度な距離感”で共存する場を求め、“町並み”を想起させる“小屋の集合体”の様な建築を考案。特徴的な外観は周辺の住宅街との親和性も意図 動物介在活動、受付 photo©堀内広治
清水義文 / SOU建築設計室による、東京・西東京市の、医療複合施設「LIFE MEDICAL CARE いずみ」。未病維持から看取りまでを担う地域拠点となる施設。様々な用途が“適度な距離感”で共存する場を求め、“町並み”を想起させる“小屋の集合体”の様な建築を考案。特徴的な外観は周辺の住宅街との親和性も意図 動物介在活動、フィールド photo©堀内広治
清水義文 / SOU建築設計室による、東京・西東京市の、医療複合施設「LIFE MEDICAL CARE いずみ」。未病維持から看取りまでを担う地域拠点となる施設。様々な用途が“適度な距離感”で共存する場を求め、“町並み”を想起させる“小屋の集合体”の様な建築を考案。特徴的な外観は周辺の住宅街との親和性も意図 フィットネス、フィットネス空間 photo©堀内広治
清水義文 / SOU建築設計室による、東京・西東京市の、医療複合施設「LIFE MEDICAL CARE いずみ」。未病維持から看取りまでを担う地域拠点となる施設。様々な用途が“適度な距離感”で共存する場を求め、“町並み”を想起させる“小屋の集合体”の様な建築を考案。特徴的な外観は周辺の住宅街との親和性も意図 地域交流の為の部屋 photo©堀内広治
清水義文 / SOU建築設計室による、東京・西東京市の、医療複合施設「LIFE MEDICAL CARE いずみ」。未病維持から看取りまでを担う地域拠点となる施設。様々な用途が“適度な距離感”で共存する場を求め、“町並み”を想起させる“小屋の集合体”の様な建築を考案。特徴的な外観は周辺の住宅街との親和性も意図 研修室 photo©堀内広治
清水義文 / SOU建築設計室による、東京・西東京市の、医療複合施設「LIFE MEDICAL CARE いずみ」。未病維持から看取りまでを担う地域拠点となる施設。様々な用途が“適度な距離感”で共存する場を求め、“町並み”を想起させる“小屋の集合体”の様な建築を考案。特徴的な外観は周辺の住宅街との親和性も意図 2階、廊下 photo©堀内広治
清水義文 / SOU建築設計室による、東京・西東京市の、医療複合施設「LIFE MEDICAL CARE いずみ」。未病維持から看取りまでを担う地域拠点となる施設。様々な用途が“適度な距離感”で共存する場を求め、“町並み”を想起させる“小屋の集合体”の様な建築を考案。特徴的な外観は周辺の住宅街との親和性も意図 カフェ、客席 photo©堀内広治
清水義文 / SOU建築設計室による、東京・西東京市の、医療複合施設「LIFE MEDICAL CARE いずみ」。未病維持から看取りまでを担う地域拠点となる施設。様々な用途が“適度な距離感”で共存する場を求め、“町並み”を想起させる“小屋の集合体”の様な建築を考案。特徴的な外観は周辺の住宅街との親和性も意図 屋上緑化 photo©堀内広治
清水義文 / SOU建築設計室による、東京・西東京市の、医療複合施設「LIFE MEDICAL CARE いずみ」。未病維持から看取りまでを担う地域拠点となる施設。様々な用途が“適度な距離感”で共存する場を求め、“町並み”を想起させる“小屋の集合体”の様な建築を考案。特徴的な外観は周辺の住宅街との親和性も意図 アプローチ、夕景 photo©堀内広治
清水義文 / SOU建築設計室による、東京・西東京市の、医療複合施設「LIFE MEDICAL CARE いずみ」。未病維持から看取りまでを担う地域拠点となる施設。様々な用途が“適度な距離感”で共存する場を求め、“町並み”を想起させる“小屋の集合体”の様な建築を考案。特徴的な外観は周辺の住宅街との親和性も意図 北側外観、夕景 photo©堀内広治
清水義文 / SOU建築設計室による、東京・西東京市の、医療複合施設「LIFE MEDICAL CARE いずみ」。未病維持から看取りまでを担う地域拠点となる施設。様々な用途が“適度な距離感”で共存する場を求め、“町並み”を想起させる“小屋の集合体”の様な建築を考案。特徴的な外観は周辺の住宅街との親和性も意図 アプローチ、夕景 photo©堀内広治
清水義文 / SOU建築設計室による、東京・西東京市の、医療複合施設「LIFE MEDICAL CARE いずみ」。未病維持から看取りまでを担う地域拠点となる施設。様々な用途が“適度な距離感”で共存する場を求め、“町並み”を想起させる“小屋の集合体”の様な建築を考案。特徴的な外観は周辺の住宅街との親和性も意図 アプローチ、夕景 photo©堀内広治
清水義文 / SOU建築設計室による、東京・西東京市の、医療複合施設「LIFE MEDICAL CARE いずみ」。未病維持から看取りまでを担う地域拠点となる施設。様々な用途が“適度な距離感”で共存する場を求め、“町並み”を想起させる“小屋の集合体”の様な建築を考案。特徴的な外観は周辺の住宅街との親和性も意図 南側外観、夕景 photo©堀内広治
清水義文 / SOU建築設計室による、東京・西東京市の、医療複合施設「LIFE MEDICAL CARE いずみ」。未病維持から看取りまでを担う地域拠点となる施設。様々な用途が“適度な距離感”で共存する場を求め、“町並み”を想起させる“小屋の集合体”の様な建築を考案。特徴的な外観は周辺の住宅街との親和性も意図 南側外観、夕景 photo©堀内広治
清水義文 / SOU建築設計室による、東京・西東京市の、医療複合施設「LIFE MEDICAL CARE いずみ」。未病維持から看取りまでを担う地域拠点となる施設。様々な用途が“適度な距離感”で共存する場を求め、“町並み”を想起させる“小屋の集合体”の様な建築を考案。特徴的な外観は周辺の住宅街との親和性も意図 平面図 image©SOU建築設計室
清水義文 / SOU建築設計室による、東京・西東京市の、医療複合施設「LIFE MEDICAL CARE いずみ」。未病維持から看取りまでを担う地域拠点となる施設。様々な用途が“適度な距離感”で共存する場を求め、“町並み”を想起させる“小屋の集合体”の様な建築を考案。特徴的な外観は周辺の住宅街との親和性も意図 立面図
清水義文 / SOU建築設計室による、東京・西東京市の、医療複合施設「LIFE MEDICAL CARE いずみ」。未病維持から看取りまでを担う地域拠点となる施設。様々な用途が“適度な距離感”で共存する場を求め、“町並み”を想起させる“小屋の集合体”の様な建築を考案。特徴的な外観は周辺の住宅街との親和性も意図 断面図
清水義文 / SOU建築設計室による、東京・西東京市の、医療複合施設「LIFE MEDICAL CARE いずみ」。未病維持から看取りまでを担う地域拠点となる施設。様々な用途が“適度な距離感”で共存する場を求め、“町並み”を想起させる“小屋の集合体”の様な建築を考案。特徴的な外観は周辺の住宅街との親和性も意図 全体構成図 image©SOU建築設計室
以下、建築家によるテキストです。
小学校跡地を活用した「医:診療所、食:カフェ、住:ホスピス、動:メディカルフィットネス、学:地域交流、犬:動物介在活動」6つをテーマとした医療複合施設。誰もが立ち寄りやすく気軽に利用できる施設とし、各テーマを連携させることが求められた。
地域に配慮し住宅のスケールを身にまとったこの施設は、道路側から敷地を挟んで反対側の公園が見えるように半外部空間のエントランスがある。各テーマへ直接出入りできる、誰もが利用しやすい施設とした。
また、ここでは終末期を過ごすホスピスの住人もいる。一つの施設で体調の良い日には落ち着きのある“リビング”から、中庭に沿って“散策の森”や“屋上の緑”、公園の見える“テラス”、多様なシーン眺め地域の人々とカフェで食事ができるような、各テーマの連携を生み出しながら、地域住民の健康を支える施設とした。
概要
学校跡地を活用した医療複合施設。高齢者のみの世帯増加を勘案し、未病維持から看取りまで医療と介護の融合により地域の健康を支え安心して暮らすための地域交流拠点を計画。学校跡地という集いの場を残しながら「医・食・住・動・学・犬」のテーマ集約。動物介在活動など、テーマを連携させ拠点になることで時間的連続・地理的連携を実現した。
デザインのポイント
①医療・介護・地域の拠点を整備することで、未病から看取りまで時間的連続・地理的連携を実現
②6つのテーマの集約、ゆとりの空間を持たせることで動物介在活動など連携した多様プログラムを生み出した
③終末期を医療の枠組みに閉じ込めず、住み慣れた地域と関わりながら安心して過ごせる環境整備
デザインが生まれた理由・背景
人生100年時代を迎える現代において、高齢者のみの世帯が増加する一方で医師数や診療所が少ないことが問題となっている。これまで事業主は動物介在活動・診療所・老人ホームに関連しており「何でも屋のコンビニエンス・クリニック」として「未病維持や看取りの場の充実」を課題として本計画へ取組むこととなった。
敷地は住宅地にある小学校跡地。公共用地の活用が求められており、先述の課題に取り組むほか、単なる医療複合施設ではなく地域の人々が誰もが気軽に集う交流の場を設けることで市に選定され計画である。
取組むテーマは6つ「診療所・動物介在活動・ホームホスピス・フィットネス・カフェ・地域交流」であり、それぞれのテーマが連携することで生活に根付いた健康増進のメニューを増やし時間的連続を実現。また本施設を拠点として訪問による医療・介護のサポートにより地理的連携をねらった。
経緯とその成果
6つのテーマをコの字型に配置し、テーマ毎の適度な距離を確保。「地域交流」や「交流の庭」でゆとりを持たせながらテーマを集約することで「診療所とカフェ」による食生活相談、「ホームホスピスと動物介在活動」によるアニマルセラピー、「診療所とフィットネス」による通所リハビリ、「ホームホスピスと地域交流」によるワークショップなど多数のプログラムを生み出すことを可能にした。今後のアイディアで多様な発展を期待できる。
またホスピスは「散策の森」により中庭からの視線と距離を制御。「施設でもない自宅でもないもうひとつの家」として住み慣れた地域と関わりながら安心して過ごせる環境を整備した。テーマの連携は敷地内にとどまらない。隣接した公園のイベント時には「交流の庭」を開放することで公園とも連携した催しが可能となる。また、公園を一望できる見晴らしのよいカフェはイベントのみならず地域住人の憩いの場にもなるだろう。
デザインの工夫点について
医療複合施設としての特徴は医療・介護・地域の融合のもとに成り立った、地域に根付き未病維持から看取りまで支援できるプログラムである。本施設のテーマは一体的に事業主によって管理されているためスムーズかつ柔軟な連携が可能となる。医療・介護の支援のほか地域交流の活動も事前に検討されている。
地域交流のスペースも単なる広い空間ではなく、柔らかい柔道畳を使用することで盲目の方の転倒時の受け身練習や地域の子どもを集めた映画上映会などが開催できるようにしている。そこに面する廊下はギャラリーとして活用され地域のアーティストの作品も展示される。
このような取り組みを行える機能を取り入れることで、地域を巻き込んだ交流拠点でもあり医療・介護を支える医療拠点になるとなる新たな取り組みを実現した。人生100年時代の現代において、医療複合施設として新たな取り組みを生み出すことができた。
これまでの実績
市の「小学校跡地活用高齢者福祉施設整備・運営事業」の公募により本事業主が選定された。また、「廃小学校を核にした地域の再生と発展~地域に開かれた多世代交流多機能拠点とみとりの拠点整備事業~」として国土交通省の「人生100年時代を支える住まい環境整備モデル」へ選定された。医療と介護の融合のもと、地域の高齢者の健康増進から訪問看護・診療、看取りまで時間的連続・地理的連携が時宜にかなっていると共に、終末期を過ごせる施設整備の提案、学校跡地活用のモデルとしても興味深いものと評価されている。
また、地域交流スペースのギャラリーへ展示された作品が購入されており、地域のアーティストたちの支援にもつながっている。施設のオープン後では地域の方がカフェを利用する姿も見え今後様々な活動の展開が期待できる。
その他
住宅地での配慮と近隣との景観配慮により建物のボリュームを分割し勾配屋根とすることで地域へ溶け込むシルエットとした。その際、公園に囲まれる恵まれた敷地であるため、勾配屋根の部分には公園が見える眺望のよく開放的な大開口を設け、その天井は木で架構を造り表しにすることで、開放的な高天井と温かみのある木質空間を実現している。事務室スペースも高天井とすることで、スタッフの勤務環境向上に配慮した。
建物へアクセスする道路側には開放的な半外部空間のエントランスホールがあり、道路から中庭が見え隠れすることで明るく開放的で地域の方がアクセスしやすいエントランスを実現した。中庭では動物介在活動の犬を走らせることもでき、犬の生活環境も充実させている。内部を歩くと緑豊かなコの字型の建物を様々な面で見ることができ、見どころを多々もつ医療複合施設を実現した。
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人生100年時代を迎える現代において学校跡地を活用して「未病維持から看取りまで」を実現した医療複合施設。
「診療所、カフェ、ホームホスピス、フィットネス、地域交流、動物介在活動」6つのテーマを集約・連携することで医療・介護・交流の時間的連続・地理的連携を実現した。
地域活動としての建物、終の住処としての建物、それぞれが独立せずに適度な距離で共存できる場とするために中庭を囲むように配置した2層の小屋の集合体とも言えるボリュームは、隣接する公園や敷地周辺の住宅街に馴染む。平面的にも立面的にも凹凸のある建築群は内部空間に様々なシークエンスをつくり出す。時としてそれは活動する人々と療養する人々の間仕切りとなり共通の居場所ともなる。
低層のコンクリートの群れは部分的に木造の小屋組みとなっており、周囲に開けた大開口からその温かみのあるテクスチャーを覗かせ、町の医療施設としての役割を建築的にも具現化している。
町の医療として地域に開くこと、療養施設として落ち着きのある空間とすること、用途が複雑に絡み合う中で統合的に括ろうとした結果、それぞれの性格の異なる小屋が群れを成し住宅の町並みのようなカタチとなった。
(清水義文)
■建築概要
建物名称:LIFE MEDICAL CARE いずみ
所在地:東京都西東京市
主要用途:医療複合施設
施主:株式会社SHエステート
設計監理:SOU建築設計室 担当/清水義文、木村雅貴
構造設計:yAt構造設計事務所
設備設計:さくら設計事務所
施工:桂建設
構造階数:鉄筋コンクリート造、地上2階建て
敷地面積:1635.32㎡
延床面積:1246.96㎡
竣工:2021年12月
写真:堀内広治