architecturephoto®

  • 特集記事
  • 注目情報
  • タグ
  • 建築
  • アート
  • カルチャー
  • デザイン
  • ファッション
  • 書籍
  • 展覧会
  • コンペ
  • 動画
  • テレビ
  • すべてのタグ

建築求人情報

Loading...
2023.9.20Wed
2023.9.19Tue
2023.9.21Thu
伯耆原洋太 / HAMS and, Studioによる、東京の住戸改修「切断の諸相04『One Nuance』」。共働きの夫婦の為の住居。多様な活動の受容と将来の変化への追従を求め、構成・色・素材の操作で空間全体に“微妙な差異”をつくる設計を志向。各部屋毎に異なる建具を用いて主空間のリビングの多様な表情も作る
photo©中村晃

SHARE 伯耆原洋太 / HAMS and, Studioによる、東京の住戸改修「切断の諸相04『One Nuance』」。共働きの夫婦の為の住居。多様な活動の受容と将来の変化への追従を求め、構成・色・素材の操作で空間全体に“微妙な差異”をつくる設計を志向。各部屋毎に異なる建具を用いて主空間のリビングの多様な表情も作る

architecture|feature
建材(内装・床)Around ArchitectureHAMS and Studio伯耆原洋太建材(内装・造作家具)建材(内装・キッチン)建材(内装・照明)建材(内装・天井)建材(内装・壁)図面あり住戸中村晃ルーヴィスリノベーション東京
伯耆原洋太 / HAMS and, Studioによる、東京の住戸改修「切断の諸相04『One Nuance』」。共働きの夫婦の為の住居。多様な活動の受容と将来の変化への追従を求め、構成・色・素材の操作で空間全体に“微妙な差異”をつくる設計を志向。各部屋毎に異なる建具を用いて主空間のリビングの多様な表情も作る左:キッチン、右:ウォッシュルーム photo©中村晃
伯耆原洋太 / HAMS and, Studioによる、東京の住戸改修「切断の諸相04『One Nuance』」。共働きの夫婦の為の住居。多様な活動の受容と将来の変化への追従を求め、構成・色・素材の操作で空間全体に“微妙な差異”をつくる設計を志向。各部屋毎に異なる建具を用いて主空間のリビングの多様な表情も作るリビング photo©中村晃
伯耆原洋太 / HAMS and, Studioによる、東京の住戸改修「切断の諸相04『One Nuance』」。共働きの夫婦の為の住居。多様な活動の受容と将来の変化への追従を求め、構成・色・素材の操作で空間全体に“微妙な差異”をつくる設計を志向。各部屋毎に異なる建具を用いて主空間のリビングの多様な表情も作るリビングからベッドルームを見る。 photo©中村晃

伯耆原洋太 / HAMS and, Studioが設計した、東京の住戸改修「切断の諸相04『One Nuance』」です。
共働きの夫婦の為の住居です。建築家は、多様な活動の受容と将来の変化への追従を求め、構成・色・素材の操作で空間全体に“微妙な差異”をつくる設計を志向しました。また、各部屋毎に異なる建具を用いて主空間のリビングの多様な表情も作る事も意図されました。

東京の郊外にある30代夫婦の住宅である。耐震改修のされたマンションに50年間住み続けるための、変化に追従できる余白あるリノベーションを計画した。

建築家によるテキストより

Nuanceとは感情や意味、色、音、表現の「微妙な差異」を指す。高度経済成長期に大量生産された既存の骨格は典型的な田の字プランによって形成され、「場」と「使われ方」が1:1の関係にある。そこには余白や余裕が介在しない。
リモートワークをする共働きの夫婦の多様な活動を受け入れ、現代の暮らしにアップデートすべく、On/Offの間のどこかの気持ち、Active/Relaxの間のどこかの気分、もしくはそのどちらでもない微妙な差異、中間領域であるNuanceを空間構成/色/素材によって創り出すことで、自身の気持ちの機微を読み取り、今は「あそこ」で「あれ」をしたいと選び取れる家を目指した。

建築家によるテキストより

典型的田の字プランの弱点ともいえる廊下空間を解体し、生活動線を明るく開放的かつ衛生的な場所としてリビング側に吸収させ、全体の広さ感を作り出した。また、リビングと小部屋がダイレクトに接することで、各部屋の行為や気配感としてのNuanceがリビングに伝搬し、賑わいと余白が創出される街路・広場空間となることを試みた。

光を取り入れる「外口」と生活を縁取る「内口」の二重開口によって、連続性と広がりのあるファサードを内部空間側に創り出す。インナーファサードの多様な表情が街路を形成し、広場としてのリビングにNuanceを与える。内口は小部屋の用途によって形を変え、また、建具(開き戸、カーテン、引戸、欄間)によって表情を変えている。住宅のもつ当然の設えがインナーファサードに細かい表情を創り出す。建具の綴じ具合に寄ってリビングの明暗というNuanceは決定的に変化する。

建築家によるテキストより

以下の写真はクリックで拡大します

伯耆原洋太 / HAMS and, Studioによる、東京の住戸改修「切断の諸相04『One Nuance』」。共働きの夫婦の為の住居。多様な活動の受容と将来の変化への追従を求め、構成・色・素材の操作で空間全体に“微妙な差異”をつくる設計を志向。各部屋毎に異なる建具を用いて主空間のリビングの多様な表情も作る土間からセカンドリビングを見る。 photo©中村晃
伯耆原洋太 / HAMS and, Studioによる、東京の住戸改修「切断の諸相04『One Nuance』」。共働きの夫婦の為の住居。多様な活動の受容と将来の変化への追従を求め、構成・色・素材の操作で空間全体に“微妙な差異”をつくる設計を志向。各部屋毎に異なる建具を用いて主空間のリビングの多様な表情も作る左:セカンドリビング、右:土間 photo©中村晃
伯耆原洋太 / HAMS and, Studioによる、東京の住戸改修「切断の諸相04『One Nuance』」。共働きの夫婦の為の住居。多様な活動の受容と将来の変化への追従を求め、構成・色・素材の操作で空間全体に“微妙な差異”をつくる設計を志向。各部屋毎に異なる建具を用いて主空間のリビングの多様な表情も作る左:キッチン、右:ウォッシュルーム photo©中村晃
伯耆原洋太 / HAMS and, Studioによる、東京の住戸改修「切断の諸相04『One Nuance』」。共働きの夫婦の為の住居。多様な活動の受容と将来の変化への追従を求め、構成・色・素材の操作で空間全体に“微妙な差異”をつくる設計を志向。各部屋毎に異なる建具を用いて主空間のリビングの多様な表情も作るウォッシュルーム photo©中村晃
伯耆原洋太 / HAMS and, Studioによる、東京の住戸改修「切断の諸相04『One Nuance』」。共働きの夫婦の為の住居。多様な活動の受容と将来の変化への追従を求め、構成・色・素材の操作で空間全体に“微妙な差異”をつくる設計を志向。各部屋毎に異なる建具を用いて主空間のリビングの多様な表情も作るセカンドリビングからキッチンを見る。 photo©中村晃
伯耆原洋太 / HAMS and, Studioによる、東京の住戸改修「切断の諸相04『One Nuance』」。共働きの夫婦の為の住居。多様な活動の受容と将来の変化への追従を求め、構成・色・素材の操作で空間全体に“微妙な差異”をつくる設計を志向。各部屋毎に異なる建具を用いて主空間のリビングの多様な表情も作る左手前:キッチン、右奥:リビング photo©中村晃
伯耆原洋太 / HAMS and, Studioによる、東京の住戸改修「切断の諸相04『One Nuance』」。共働きの夫婦の為の住居。多様な活動の受容と将来の変化への追従を求め、構成・色・素材の操作で空間全体に“微妙な差異”をつくる設計を志向。各部屋毎に異なる建具を用いて主空間のリビングの多様な表情も作るキッチンからリビングを見る。 photo©中村晃
伯耆原洋太 / HAMS and, Studioによる、東京の住戸改修「切断の諸相04『One Nuance』」。共働きの夫婦の為の住居。多様な活動の受容と将来の変化への追従を求め、構成・色・素材の操作で空間全体に“微妙な差異”をつくる設計を志向。各部屋毎に異なる建具を用いて主空間のリビングの多様な表情も作るリビング photo©中村晃
伯耆原洋太 / HAMS and, Studioによる、東京の住戸改修「切断の諸相04『One Nuance』」。共働きの夫婦の為の住居。多様な活動の受容と将来の変化への追従を求め、構成・色・素材の操作で空間全体に“微妙な差異”をつくる設計を志向。各部屋毎に異なる建具を用いて主空間のリビングの多様な表情も作るリビング photo©中村晃
伯耆原洋太 / HAMS and, Studioによる、東京の住戸改修「切断の諸相04『One Nuance』」。共働きの夫婦の為の住居。多様な活動の受容と将来の変化への追従を求め、構成・色・素材の操作で空間全体に“微妙な差異”をつくる設計を志向。各部屋毎に異なる建具を用いて主空間のリビングの多様な表情も作るリビング photo©中村晃
伯耆原洋太 / HAMS and, Studioによる、東京の住戸改修「切断の諸相04『One Nuance』」。共働きの夫婦の為の住居。多様な活動の受容と将来の変化への追従を求め、構成・色・素材の操作で空間全体に“微妙な差異”をつくる設計を志向。各部屋毎に異なる建具を用いて主空間のリビングの多様な表情も作るリビングからベッドルームを見る。 photo©中村晃
伯耆原洋太 / HAMS and, Studioによる、東京の住戸改修「切断の諸相04『One Nuance』」。共働きの夫婦の為の住居。多様な活動の受容と将来の変化への追従を求め、構成・色・素材の操作で空間全体に“微妙な差異”をつくる設計を志向。各部屋毎に異なる建具を用いて主空間のリビングの多様な表情も作るリビングからベッドルームを見る。 photo©中村晃
伯耆原洋太 / HAMS and, Studioによる、東京の住戸改修「切断の諸相04『One Nuance』」。共働きの夫婦の為の住居。多様な活動の受容と将来の変化への追従を求め、構成・色・素材の操作で空間全体に“微妙な差異”をつくる設計を志向。各部屋毎に異なる建具を用いて主空間のリビングの多様な表情も作るリビングのダイニングテーブル photo©中村晃
伯耆原洋太 / HAMS and, Studioによる、東京の住戸改修「切断の諸相04『One Nuance』」。共働きの夫婦の為の住居。多様な活動の受容と将来の変化への追従を求め、構成・色・素材の操作で空間全体に“微妙な差異”をつくる設計を志向。各部屋毎に異なる建具を用いて主空間のリビングの多様な表情も作るベッドルームからリビングを見る。 photo©中村晃
伯耆原洋太 / HAMS and, Studioによる、東京の住戸改修「切断の諸相04『One Nuance』」。共働きの夫婦の為の住居。多様な活動の受容と将来の変化への追従を求め、構成・色・素材の操作で空間全体に“微妙な差異”をつくる設計を志向。各部屋毎に異なる建具を用いて主空間のリビングの多様な表情も作るリビングからワークとWICを見る。 photo©中村晃
伯耆原洋太 / HAMS and, Studioによる、東京の住戸改修「切断の諸相04『One Nuance』」。共働きの夫婦の為の住居。多様な活動の受容と将来の変化への追従を求め、構成・色・素材の操作で空間全体に“微妙な差異”をつくる設計を志向。各部屋毎に異なる建具を用いて主空間のリビングの多様な表情も作る内部建具の詳細 photo©中村晃
伯耆原洋太 / HAMS and, Studioによる、東京の住戸改修「切断の諸相04『One Nuance』」。共働きの夫婦の為の住居。多様な活動の受容と将来の変化への追従を求め、構成・色・素材の操作で空間全体に“微妙な差異”をつくる設計を志向。各部屋毎に異なる建具を用いて主空間のリビングの多様な表情も作るワークからリビングをを見る。 photo©中村晃
伯耆原洋太 / HAMS and, Studioによる、東京の住戸改修「切断の諸相04『One Nuance』」。共働きの夫婦の為の住居。多様な活動の受容と将来の変化への追従を求め、構成・色・素材の操作で空間全体に“微妙な差異”をつくる設計を志向。各部屋毎に異なる建具を用いて主空間のリビングの多様な表情も作るリビングから見る。左:WIC、右:プライベートルーム photo©中村晃
伯耆原洋太 / HAMS and, Studioによる、東京の住戸改修「切断の諸相04『One Nuance』」。共働きの夫婦の為の住居。多様な活動の受容と将来の変化への追従を求め、構成・色・素材の操作で空間全体に“微妙な差異”をつくる設計を志向。各部屋毎に異なる建具を用いて主空間のリビングの多様な表情も作るリビングから見る。左:WIC、右:プライベートルーム photo©中村晃
伯耆原洋太 / HAMS and, Studioによる、東京の住戸改修「切断の諸相04『One Nuance』」。共働きの夫婦の為の住居。多様な活動の受容と将来の変化への追従を求め、構成・色・素材の操作で空間全体に“微妙な差異”をつくる設計を志向。各部屋毎に異なる建具を用いて主空間のリビングの多様な表情も作る内部建具の詳細 photo©中村晃
伯耆原洋太 / HAMS and, Studioによる、東京の住戸改修「切断の諸相04『One Nuance』」。共働きの夫婦の為の住居。多様な活動の受容と将来の変化への追従を求め、構成・色・素材の操作で空間全体に“微妙な差異”をつくる設計を志向。各部屋毎に異なる建具を用いて主空間のリビングの多様な表情も作るプライベートルーム photo©中村晃
伯耆原洋太 / HAMS and, Studioによる、東京の住戸改修「切断の諸相04『One Nuance』」。共働きの夫婦の為の住居。多様な活動の受容と将来の変化への追従を求め、構成・色・素材の操作で空間全体に“微妙な差異”をつくる設計を志向。各部屋毎に異なる建具を用いて主空間のリビングの多様な表情も作る内部建具の詳細 photo©中村晃
伯耆原洋太 / HAMS and, Studioによる、東京の住戸改修「切断の諸相04『One Nuance』」。共働きの夫婦の為の住居。多様な活動の受容と将来の変化への追従を求め、構成・色・素材の操作で空間全体に“微妙な差異”をつくる設計を志向。各部屋毎に異なる建具を用いて主空間のリビングの多様な表情も作る内部建具の詳細 photo©中村晃
伯耆原洋太 / HAMS and, Studioによる、東京の住戸改修「切断の諸相04『One Nuance』」。共働きの夫婦の為の住居。多様な活動の受容と将来の変化への追従を求め、構成・色・素材の操作で空間全体に“微妙な差異”をつくる設計を志向。各部屋毎に異なる建具を用いて主空間のリビングの多様な表情も作る照明の詳細 photo©中村晃
伯耆原洋太 / HAMS and, Studioによる、東京の住戸改修「切断の諸相04『One Nuance』」。共働きの夫婦の為の住居。多様な活動の受容と将来の変化への追従を求め、構成・色・素材の操作で空間全体に“微妙な差異”をつくる設計を志向。各部屋毎に異なる建具を用いて主空間のリビングの多様な表情も作る天井の詳細 photo©中村晃
伯耆原洋太 / HAMS and, Studioによる、東京の住戸改修「切断の諸相04『One Nuance』」。共働きの夫婦の為の住居。多様な活動の受容と将来の変化への追従を求め、構成・色・素材の操作で空間全体に“微妙な差異”をつくる設計を志向。各部屋毎に異なる建具を用いて主空間のリビングの多様な表情も作るダイニングテーブルの詳細 photo©中村晃
伯耆原洋太 / HAMS and, Studioによる、東京の住戸改修「切断の諸相04『One Nuance』」。共働きの夫婦の為の住居。多様な活動の受容と将来の変化への追従を求め、構成・色・素材の操作で空間全体に“微妙な差異”をつくる設計を志向。各部屋毎に異なる建具を用いて主空間のリビングの多様な表情も作るダイニングテーブルの詳細 photo©中村晃
伯耆原洋太 / HAMS and, Studioによる、東京の住戸改修「切断の諸相04『One Nuance』」。共働きの夫婦の為の住居。多様な活動の受容と将来の変化への追従を求め、構成・色・素材の操作で空間全体に“微妙な差異”をつくる設計を志向。各部屋毎に異なる建具を用いて主空間のリビングの多様な表情も作る平面図 image©HAMS and, Studio
伯耆原洋太 / HAMS and, Studioによる、東京の住戸改修「切断の諸相04『One Nuance』」。共働きの夫婦の為の住居。多様な活動の受容と将来の変化への追従を求め、構成・色・素材の操作で空間全体に“微妙な差異”をつくる設計を志向。各部屋毎に異なる建具を用いて主空間のリビングの多様な表情も作るコンセプト image©HAMS and, Studio
伯耆原洋太 / HAMS and, Studioによる、東京の住戸改修「切断の諸相04『One Nuance』」。共働きの夫婦の為の住居。多様な活動の受容と将来の変化への追従を求め、構成・色・素材の操作で空間全体に“微妙な差異”をつくる設計を志向。各部屋毎に異なる建具を用いて主空間のリビングの多様な表情も作るダイアグラム image©HAMS and, Studio
伯耆原洋太 / HAMS and, Studioによる、東京の住戸改修「切断の諸相04『One Nuance』」。共働きの夫婦の為の住居。多様な活動の受容と将来の変化への追従を求め、構成・色・素材の操作で空間全体に“微妙な差異”をつくる設計を志向。各部屋毎に異なる建具を用いて主空間のリビングの多様な表情も作るコンセプトドローイング image©HAMS and, Studio

以下、建築家によるテキストです。


東京の郊外にある30代夫婦の住宅である。
耐震改修のされたマンションに50年間住み続けるための、変化に追従できる余白あるリノベーションを計画した。

Nuanceとは感情や意味、色、音、表現の「微妙な差異」を指す。高度経済成長期に大量生産された既存の骨格は典型的な田の字プランによって形成され、「場」と「使われ方」が1:1の関係にある。そこには余白や余裕が介在しない。
リモートワークをする共働きの夫婦の多様な活動を受け入れ、現代の暮らしにアップデートすべく、On/Offの間のどこかの気持ち、Active/Relaxの間のどこかの気分、もしくはそのどちらでもない微妙な差異、中間領域であるNuanceを空間構成/色/素材によって創り出すことで、自身の気持ちの機微を読み取り、今は「あそこ」で「あれ」をしたいと選び取れる家を目指した。

既存建物は、間口と奥行寸法は典型的な日本のマンションのプロポーションでありながら、角部屋であることから長辺入りの玄関、三方向の開口というプランの強みを持っている。強みを最大限活かすべく、外壁側に小部屋群を配置し、リビングから各小部屋へダイレクトにアクセスすることで、壁で区切られた廊下空間を徹底的に排除した。

典型的田の字プランの弱点ともいえる廊下空間を解体し、生活動線を明るく開放的かつ衛生的な場所としてリビング側に吸収させ、全体の広さ感を作り出した。また、リビングと小部屋がダイレクトに接することで、各部屋の行為や気配感としてのNuanceがリビングに伝搬し、賑わいと余白が創出される街路・広場空間となることを試みた。

光を取り入れる「外口」と生活を縁取る「内口」の二重開口によって、連続性と広がりのあるファサードを内部空間側に創り出す。インナーファサードの多様な表情が街路を形成し、広場としてのリビングにNuanceを与える。内口は小部屋の用途によって形を変え、また、建具(開き戸、カーテン、引戸、欄間)によって表情を変えている。住宅のもつ当然の設えがインナーファサードに細かい表情を創り出す。建具の綴じ具合に寄ってリビングの明暗というNuanceは決定的に変化する。小部屋によって受動的に関係性が決まるリビングとなる。

街路としての外部的表情をもつ内口の壁面には荒々しい左官塗装を用い、リビングに光をもたらす筒としての機能を持つ小部屋の壁には艶のあるソリッド塗装を採用している。また水回りとなる壁にはビニルクロスを採用している。ニュアンスカラーという統一されたトーンを逸脱せず、空間にNuanceを与える表皮に微細な表情を持たせることによって、心身の機微に応えることを考えた。

Nuanceが伝搬し合う街路と広場によって生まれる、微細な変容に富む空間の中で、生活者はその瞬間の心身の状態に合う場所を選び取る。用途と部屋を1:1で区画せず、動線を開くことで余白を付与し、時間軸での家族の変化、ライフスタイルの変化に追従する田の字プランを現代版に更新する一端を担うと考えている。

■建築概要

題名:切断の諸相04「One Nuance」
所在地:東京都
主用途:住宅
設計:HAMS and, Studio 伯耆原洋太
施工:Roovice 武井空以
不動産:Around Architecture 佐竹雄太
構造:RC造
延床面積:80㎡
竣工:2023年8月
写真:中村晃

建材情報
種別使用箇所商品名(メーカー名)
内装・床リビング床

リノリウム(FOLBO)

内装・壁リビング壁

左官塗装(ヘイムスペイント)

内装・天井リビング天井

木毛セメント板(武村工業)

内装・照明照明

ブラケット照明(Parts and Supply)

内装・キッチンキッチン

クラッソ(TOTO)

内装・造作家具ダイニングテーブル天板

ビールストーン(OFFICE TAKAHATA)

内装・造作家具ダイニングテーブル脚

アイアンレッグ(Ferrum+)

※企業様による建材情報についてのご意見や「PR」のご相談はこちらから
※この情報は弊サイトや設計者が建材の性能等を保証するものではありません

あわせて読みたい

サムネイル:吉岡徳仁によるカルテルのインスタレーション
吉岡徳仁によるカルテルのインスタレーション”Snowflake”と”The Invisibles”シリーズ
  • SHARE
建材(内装・床)Around ArchitectureHAMS and Studio伯耆原洋太建材(内装・造作家具)建材(内装・キッチン)建材(内装・照明)建材(内装・天井)建材(内装・壁)図面あり住戸中村晃ルーヴィスリノベーション東京
2023.09.20 Wed 07:00
0
permalink

#HAMS and Studioの関連記事

  • 2025.4.16Wed
    伯耆原洋太と伯耆原智世による、東京の住戸改修「切断の諸相06『Pale Veil』」。西側に大きなバルコニーのある区画。内外が一体的な“縁側としての住居”を求め、日照の変化等にも対応する“環境装置”を備えた空間を考案。蔀戸を参照した“バタフライ状に開閉するタープ”を開発して開口に設置
  • 2024.3.28Thu
    伯耆原洋太 / HAMS and, Studioと風間健による、東京の住戸改修「切断の諸相05『A Round and Around』」。改修済みの空間を部分的に再改修。愛着のある“物に囲まれた生活”の要望に、外壁のR形状から着想した“円環の本棚”でリビングを包み込む構成を考案。既存仕上げを“地形”と捉えて様々な“様相”を積極的に受容
  • 2022.8.10Wed
    伯耆原洋太+伯耆原智世 / HAMS and, Studioによる、東京・世田谷区の住戸改修「切断の諸相02 Ring on the Green」。高密度地に建つ集住内の設計者の自邸。多様な活動を許容する拠点を目指し、“住宅らしさ”を排した空間に照明も兼ねた鉄のフレームが横断する構成を考案。全ての開口部に設けた緑の層が近隣との関係を調整
  • view all
view all

#伯耆原洋太の関連記事

  • 2025.4.16Wed
    伯耆原洋太と伯耆原智世による、東京の住戸改修「切断の諸相06『Pale Veil』」。西側に大きなバルコニーのある区画。内外が一体的な“縁側としての住居”を求め、日照の変化等にも対応する“環境装置”を備えた空間を考案。蔀戸を参照した“バタフライ状に開閉するタープ”を開発して開口に設置
  • 2024.3.28Thu
    伯耆原洋太 / HAMS and, Studioと風間健による、東京の住戸改修「切断の諸相05『A Round and Around』」。改修済みの空間を部分的に再改修。愛着のある“物に囲まれた生活”の要望に、外壁のR形状から着想した“円環の本棚”でリビングを包み込む構成を考案。既存仕上げを“地形”と捉えて様々な“様相”を積極的に受容
  • 2022.8.10Wed
    伯耆原洋太+伯耆原智世 / HAMS and, Studioによる、東京・世田谷区の住戸改修「切断の諸相02 Ring on the Green」。高密度地に建つ集住内の設計者の自邸。多様な活動を許容する拠点を目指し、“住宅らしさ”を排した空間に照明も兼ねた鉄のフレームが横断する構成を考案。全ての開口部に設けた緑の層が近隣との関係を調整
  • 2020.8.21Fri
    伯耆原洋太+伯耆原智世による、東京・世田谷区の住宅「Wonder the one room」
  • view all
view all

建築求人情報

Loading...

 

    公式アカウントをフォローして、見逃せない建築情報を受け取ろう。

    60,896
    • Follow
    82,050
    • Follow
    • Follow
    • Add Friends
    • Subscribe
    • 情報募集/建築・デザイン・アートの情報を随時募集しています。
      More
    • メールマガジン/ メールマガジンで最新の情報を配信しています。
      More

    この日更新したその他の記事

    【ap job更新】 “自然と建築”をテーマに掲げる「武田清明建築設計事務所」が、設計スタッフ(経験者・既卒)を募集中

    ap job 【ap job更新】 “自然と建築”をテーマに掲げる「武田清明建築設計事務所」が、設計スタッフ(経験者・既卒)を募集中

    architecture|job|promotion
    建築求人情報
    【ap job更新】 “自然と建築”をテーマに掲げる「武田清明建築設計事務所」が、設計スタッフ(経験者・既卒)を募集中
    【ap job更新】 “自然と建築”をテーマに掲げる「武田清明建築設計事務所」が、設計スタッフ(経験者・既卒)を募集中
    アーキテクチャーフォトジョブボードに新しい情報が追加されました
    job.architecturephoto.net

    “自然と建築”をテーマに掲げる「武田清明建築設計事務所」の、設計スタッフ(経験者・既卒)募集のお知らせです。詳しくは、ジョブボードの当該ページにてご確認ください。アーキテクチャーフォトジョブボードには、その他にも、色々な事務所の求人情報が掲載されています。
    新規の求人の投稿はこちらからお気軽にお問い合わせください。

    【経験者・既卒_スタッフ募集】

    新規プロジェクトの増加により、武田清明建築設計事務所は3名の「中途設計スタッフ」を募集します。

    目の前に石神井公園の池がひろがる「鶴岡邸」が職場環境となります。晴れの日の水面のきらめき、雨の日の静けさ、季節によって移ろう植物の風景、朝から夕方にかけての光の質感など、日常的に豊かな自然環境を感じながら働くことで、建築家として必要な自然の観察力を日々高めてくれます。

    これからの未来に向けて、2つのテーマで建築を創造しています。

    【自然と建築】
    ・都市に自然をつくる。
    ・自然と人工物の新しいバランスを形にする。
    ・「空間」ではなく「環境」を目指す。

    【人間と建築】
    ・人間の中にある「自然」を取り戻す。
    ・人間の暮らしの中にある「変化」と「不変」を受け入れる。
    ・「ひとりでいること」と「みんなでいること」の自由さをつつむ。
    ・地域の中でもうひとつの「まちの家族」を育む。
    ・高齢者から子どもまでのだれもが主体的に生きる「多世代」をつくる。

    現在、住宅、集合住宅、幼稚園、福祉施設、飲食店、ホテル、インテリア、プロダクトなどのプロジェクトが進行中で、将来的に多様な用途・規模の建築設計を行っていきたい人のステップアップには良い環境です。未来に向かってヴィジョンを投げかけ、そこから現代を引き上げる力をもった建築を共につくっていくメンバーを募集しています。

    実務を経験し開業までのステップを踏みたい独立志望の方、会社と共に成長しながら長く勤めたい方、思想を共感しながら自身のクリエイティビティを発揮したい方など、意欲のある多様な方々にひらかれた設計事務所です。

    job.architecturephoto.net
    • ap job
    建築求人情報
    2023.09.20 Wed 10:20
    0
    permalink
    2023.9.19Tue
    • 【ap job更新】 “既存のポテンシャルの最大化”をテーマに、新築から建築の再生までも手掛ける「渡邉明弘建築設計事務所」が、設計スタッフ(経験者・既卒)とアルバイトを募集中
    • 【ap job更新】 “曲線”を大切にした空間を志向し、労働環境の向上にも意識を向ける「Organic Design Inc.」が、設計スタッフ(経験者)を募集中
    • 宮崎晃吉 / HAGISOによる、東京の、シェアオフィス「西日暮里のトンネル」。裏側に路地が連続する住宅地での計画。見出した都市構造を取入れる空間を求め、“街区に穿つトンネル”をモチーフとした設計を志向。金属板で仕上げた塀を備えた奥庭は内部に多様な表情の変化をもたらす
    • 【ap job更新】 様々な受賞歴があり、地域のエリアマネジメントにも関わる「トベアーキテクト」が、設計スタッフ(既卒・経験者)を募集中
    • ODS / 鬼木孝一郎による、北海道の店舗「SHIRO 砂川本店」。化粧品の製造工場内に計画。自分で香りを調合できる“ブレンダーラボ”を中心に、同心円状に平台什器を配置して様々な方向から出入りできる空間を構築。地域材の使用を思案して近隣で採れた木材を什器の土台に採用
    2023.9.21Thu
    • 山田優+小阿瀬直+大嶋励 / SNARK Inc.による、新潟の二世帯住宅「三条の家」。雪国の新興住宅地に建つ二世帯住宅。地域の前提である“カーポート”と建物を関係を再考し、玄関に設けた吹抜の高窓から採光と通風が行える仕組みを考案。平面や立面の構成では田園等の周辺環境との呼応も意図
    • 森下陽 AMP/アンプ建築設計事務所による、静岡・浜松市の「スプレッドハウス」。施主の両親の家が建つ土地に隣接する敷地。既にある隣の住宅や駐車場との関係を考慮して、表と裏に無柱の軒下空間を持つ平屋の建築を考案。開口部の位置や大きさで住宅間の“程よい距離感”も作る
    • 水まわり設計の選択肢を広げる「ARC-X」が、“奥行き160mm”の手洗器を発売。人工大理石製のマットな質感とミニマルなデザインで建築空間と調和

    Subscribe and Follow

    公式アカウントをフォローして、
    見逃せない建築情報を受け取ろう。

    「建築と社会の関係を視覚化する」メディア、アーキテクチャーフォトの公式アカウントです。
    様々な切り口による複眼的視点で建築に関する情報を最速でお届けします。

    60,896
    • Follow
    82,050
    • Follow
    • Follow
    • Add Friends
    • Subscribe
    • 情報募集/建築・デザイン・アートの情報を随時募集しています。
      More
    • メールマガジン/ メールマガジンで最新の情報を配信しています。
      More

    architecturephoto® News Letter

    メールマガジンでも最新の更新情報を配信中

    • ホーム
    • アーキテクチャーフォトについて
    • アーキテクチャーフォト規約
    • プライバシーポリシー
    • 特定商取引法に関する表記
    • 利用者情報の外部送信について
    • 広告掲載について
    • お問い合わせ/作品投稿

    Copyright © architecturephoto.net.

    • 建築
    • アート
    • カルチャー
    • デザイン
    • ファッション
    • 書籍
    • 展覧会
    • コンペ
    • 動画
    • テレビ
    • 特集記事
    • 注目情報
    • タグ
    • アーキテクチャーフォト ジョブボード
    • アーキテクチャーフォト・ブック
    • アーキテクチャーフォト・プロダクト
    • ホーム
    • アーキテクチャーフォトについて
    • アーキテクチャーフォト規約
    • プライバシーポリシー
    • 特定商取引法に関する表記
    • 利用者情報の外部送信について
    • 広告掲載について
    • お問い合わせ/作品投稿

    メールマガジンで最新の情報を配信しています

    この記事をシェア
    タイトルタイトルタイトルタイトルタイトル
    https://architecturephoto.net/permalink

    記事について#architecturephotonetでつぶやいてみましょう。
    有益なコメントは拡散や、サイトでも紹介させていただくこともございます。

    architecturephoto®
    • black
    • gray
    • white