SHARE 村上譲+菊田康平 / Buttondesignによる、東京・渋谷区のギャラリー「編阿弥庵」。伝統と前衛を融合させるブランドの為に計画。既存躯体に可能性を見いだし、施主の理念と共鳴する“新旧や素材の質の違いを融合”させる空間を志向。新規仕上は黒和紙と白塗装に限定して不完全な状態を意図的に作る
村上譲+菊田康平 / Buttondesignが設計した、東京・渋谷区のギャラリー「編阿弥庵 / AMUAMI-AN」です。
伝統と前衛を融合させるブランドの為に計画されました。建築家は、既存躯体に可能性を見いだし、施主の理念と共鳴する“新旧や素材の質の違いを融合”させる空間を志向しました。そして、新規仕上は黒和紙と白塗装に限定して不完全な状態を意図的に作りました。ギャラリーの公式ページはこちら。
伝統技術ディレクター立川裕大によるプロダクトブランド「AMUAMI」。
AMUAMIは、素材に宿る命を尊重し、異なる要素を組み合わせて新しいものを生み出します。伝統と前衛を融合させ、職人の技術と最先端の技術が交わる場であり、使い手の想像力と共鳴し、共に「未来の骨董」を編んでいくことを目指すものづくりをしています。
編阿弥庵はその作品のためのギャラリーです。
ギャラリーとなる築50年RC造ビルの一室は、小ぶりな空間ながら2層のフロアに分かれたメゾネットタイプのつくりになっています。ビル全体で各部屋がズレた断面計画の建築になっており、限られた面積の室内にも広がりをもたらしています。解体前の視察の時点でも新築当時の設計の熱量を感じました。
幾度となくリフォームされてきた室内の解体を進めていくと純粋な構造体がむき出しとなり、当時のコンクリート型枠のズレや木レンガの埋め込み、墨出しの痕跡ですら一つの記憶としてインテリアの美しさに昇華できる可能性を感じました。
これを受けて設計を大きく変更した経緯があります。現れた躯体を再現できない唯一無二なデザイン要素と捉え、ブランドが持つコンセプトや作品と共鳴するような新旧や素材の質の違いを融合させることが今回の設計の要と考えました。
新たに内装に使用する素材は、大きく分けて黒い和紙と白い塗装のみとしました。この二つを床壁天井の境なく、かつ不規則に混在させる事で、不完全な状態を作為的に作り出し、それ自体をデザインの軸としています。
以下の写真はクリックで拡大します
以下、建築家によるテキストです。
編阿弥庵 / AMUAMI-AN
時間と素材が編み込まれる空間を目指して
伝統技術ディレクター立川裕大によるプロダクトブランド「AMUAMI」。
AMUAMIは、素材に宿る命を尊重し、異なる要素を組み合わせて新しいものを生み出します。伝統と前衛を融合させ、職人の技術と最先端の技術が交わる場であり、使い手の想像力と共鳴し、共に「未来の骨董」を編んでいくことを目指すものづくりをしています。
編阿弥庵はその作品のためのギャラリーです。
ギャラリーとなる築50年RC造ビルの一室は、小ぶりな空間ながら2層のフロアに分かれたメゾネットタイプのつくりになっています。ビル全体で各部屋がズレた断面計画の建築になっており、限られた面積の室内にも広がりをもたらしています。解体前の視察の時点でも新築当時の設計の熱量を感じました。
幾度となくリフォームされてきた室内の解体を進めていくと純粋な構造体がむき出しとなり、当時のコンクリート型枠のズレや木レンガの埋め込み、墨出しの痕跡ですら一つの記憶としてインテリアの美しさに昇華できる可能性を感じました。
これを受けて設計を大きく変更した経緯があります。現れた躯体を再現できない唯一無二なデザイン要素と捉え、ブランドが持つコンセプトや作品と共鳴するような新旧や素材の質の違いを融合させることが今回の設計の要と考えました。
AMUAMIの思想をインテリアで表現する
新たに内装に使用する素材は、大きく分けて黒い和紙と白い塗装のみとしました。この二つを床壁天井の境なく、かつ不規則に混在させる事で、不完全な状態を作為的に作り出し、それ自体をデザインの軸としています。
一方、建具や造作家具では繊細な素材と職人の卓越したディテールを用いて存在感を強めています。和紙貼りの階段を支える鋼材は、あえて規格材をぶつけるような提案を行いました。
凡庸な塗装壁の再構築と、床から下階の天井まで連続性をもたらす和紙。50年前に施工されたコンクリートの躯体。床壁天井の物理的な建築構造から解放されたインテリアデザインは、寛容な捉え方こそが新たな美しさの発見につながると主張しています。
■建築概要
主要用途:ギャラリー
所在:東京都渋谷区
設計:Buttondesign
施工:Tree to Green
照明計画:YLIGHTS
延床面積:65㎡
竣工:2023年1月
写真:橋原大典
種別 | 使用箇所 | 商品名(メーカー名) |
---|---|---|
内装・床 | 床 | 特注和紙貼り(t.c.k.w) |
内装・壁 | 壁 | 特注和紙貼り(t.c.k.w) |
内装・天井 | 天井 | 塗装 |
内装・造作家具 | 造作家具 | 絹布紙(t.c.k.w) |
内装・家具 | 置き家具 | (t.c.k.w) |
内装・照明 | 照明器具 |
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AMUAMI-AN
AMUAMI is a product brand by Yudai Tachikawa, Director of Traditional Craft Technology.
AMUAMI respects the life in materials and combines different elements to create something new. AMUAMI-AN fuses tradition and avant-garde, a place where craftsmanship and cutting-edge technology meet and resonate with the imagination of the user, and together they create objects that aim to weave “antiques of the future”.
AMUAMI-AN is a gallery for these works.
The gallery is housed in a 50-year-old RC building, which is a maisonette-type structure divided into two floors, despite its small size. The entire building is designed in a cross-sectional plan where each room is displaced from the others, creating a sense of spaciousness even within the limited area of the building. Even at the time of my inspection before demolition, I could feel the passion of the design at the time of the new construction.
As we proceeded to dismantle the rooms that had been renovated many times, we felt that the pure structure could be laid bare, and even the displaced concrete formwork, embedded wooden bricks, and traces of the markings of the time could be sublimed into the beauty of the interior design as a single memory. In response, we made major changes to the design. We considered the frame as a one-of-a-kind design element that could not be reproduced, and the key to the design this time was to fuse the old and new, and the different qualities of materials that would resonate with the concept and works of the brand.
For the new interior, we decided to use only two main materials: black washi paper and white paint. By mixing these two materials in an irregular manner without any boundary between the floor, wall, and ceiling, an imperfect state was artificially created, which itself became the axis of the design. On the other hand, the presence of fixtures and furniture is strengthened by the use of delicate materials and craftsmen’s outstanding detailing. For the steel supporting the washi papered staircase, we proposed to bump standard materials on a dare.
Reconstructing the general painted walls and the washi papering that provides continuity from the floor to the ceiling of the lower floor. And a concrete frame that was executed 50 years ago.The interior design, freed from the physical architectural structure of floors, walls, and ceilings, asserts that a forgiving way of seeing can lead to the discovery of new beauty.
Main use: Gallery
Location: undisclosed
Design: Buttondesign
Construction: Tree to Green
Lighting design: YLIGHTS
Total floor area: 65㎡
Completion: 2023.01
Photo: Daisuke Hashihara