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高橋沙耶 / saya architectureによる、埼玉・南埼玉郡の「小さく暮らすための家」。家族3人が暮らす設計者の自邸。自分たちの“適切な延床面積”の検討から出発し、共用部の一体化と複数の居場所作りで“必要最小限”で暮らせる住宅を考案。敷地内に設けた余白は光と風をもたらし周辺環境にも寄与
photo©Hayato Kurobe

SHARE 高橋沙耶 / saya architectureによる、埼玉・南埼玉郡の「小さく暮らすための家」。家族3人が暮らす設計者の自邸。自分たちの“適切な延床面積”の検討から出発し、共用部の一体化と複数の居場所作りで“必要最小限”で暮らせる住宅を考案。敷地内に設けた余白は光と風をもたらし周辺環境にも寄与

architecture|feature
建材(外装・屋根)榊住建saya architecture高橋沙耶黒部駿人建材(内装・造作家具)建材(外構・床)建材(内装・キッチン)建材(外装・壁)建材(内装・建具)建材(内装・天井)建材(内装・壁)建材(内装・床)図面あり埼玉住宅
高橋沙耶 / saya architectureによる、埼玉・南埼玉郡の「小さく暮らすための家」。家族3人が暮らす設計者の自邸。自分たちの“適切な延床面積”の検討から出発し、共用部の一体化と複数の居場所作りで“必要最小限”で暮らせる住宅を考案。敷地内に設けた余白は光と風をもたらし周辺環境にも寄与外観、庭より見る、夕景 photo©Hayato Kurobe
高橋沙耶 / saya architectureによる、埼玉・南埼玉郡の「小さく暮らすための家」。家族3人が暮らす設計者の自邸。自分たちの“適切な延床面積”の検討から出発し、共用部の一体化と複数の居場所作りで“必要最小限”で暮らせる住宅を考案。敷地内に設けた余白は光と風をもたらし周辺環境にも寄与1階、居間 photo©Hayato Kurobe
高橋沙耶 / saya architectureによる、埼玉・南埼玉郡の「小さく暮らすための家」。家族3人が暮らす設計者の自邸。自分たちの“適切な延床面積”の検討から出発し、共用部の一体化と複数の居場所作りで“必要最小限”で暮らせる住宅を考案。敷地内に設けた余白は光と風をもたらし周辺環境にも寄与1階、居間から「食卓」を見る。 photo©Hayato Kurobe

高橋沙耶 / saya architectureが設計した、埼玉・南埼玉郡の「農村と郊外のあいだに小さく暮らすための家」です。
家族3人が暮らす設計者の自邸です。建築家は、自分たちの“適切な延床面積”の検討から出発し、共用部の一体化と複数の居場所作りで“必要最小限”で暮らせる住宅を考案しました。また、敷地内に設けた余白は光と風をもたらし周辺環境にも寄与します。

敷地は1970年代に建てられた新興住宅地の旗竿地にある。整形部分は34坪と、この地域では小さい土地だ。周囲の住宅は延床面積を得るために敷地いっぱいに建築を建てているが、あえて建築面積を40%程度にとどめ、隣地との間に距離を確保した。また、建物高さを隣家より低くしヴォリュームを抑えることで、隣家にも光や風をもたらす住宅同士の良好な関係性をつくり出した。

建築家によるテキストより

敷地に対する余白を設けると同時に、自分たちにとっての適切な延床面積を見直した。一般的な4人家族の快適で暮らせる延床面積は100㎡と言われるが、本計画ではその8割、80㎡とすることにした。家族でも夫婦2人でもちょうど良い大きさを追求し、身の丈に合った等身大の大きさである。

建築家によるテキストより

まず、必要最小限の面積にするために、共有部である居間、食卓、台所、仕事場は吹き抜けを介して一体にし、面積は小さくとも大きな体積を確保することで開放的な空間をつくった。専有空間を極力減らし、個室は寝室ひと部屋のみとした。
その分、窓際のベンチや、半間の部屋、本棚と一体化したベンチ、廻り階段など、とどまれる場所をいくつも設け、家族の各々が自分の居場所を持てるよう設計した。

建築家によるテキストより

以下の写真はクリックで拡大します

高橋沙耶 / saya architectureによる、埼玉・南埼玉郡の「小さく暮らすための家」。家族3人が暮らす設計者の自邸。自分たちの“適切な延床面積”の検討から出発し、共用部の一体化と複数の居場所作りで“必要最小限”で暮らせる住宅を考案。敷地内に設けた余白は光と風をもたらし周辺環境にも寄与外観、隣地側より見る。 photo©Hayato Kurobe
高橋沙耶 / saya architectureによる、埼玉・南埼玉郡の「小さく暮らすための家」。家族3人が暮らす設計者の自邸。自分たちの“適切な延床面積”の検討から出発し、共用部の一体化と複数の居場所作りで“必要最小限”で暮らせる住宅を考案。敷地内に設けた余白は光と風をもたらし周辺環境にも寄与外観、隣地側より見る。 photo©Hayato Kurobe
高橋沙耶 / saya architectureによる、埼玉・南埼玉郡の「小さく暮らすための家」。家族3人が暮らす設計者の自邸。自分たちの“適切な延床面積”の検討から出発し、共用部の一体化と複数の居場所作りで“必要最小限”で暮らせる住宅を考案。敷地内に設けた余白は光と風をもたらし周辺環境にも寄与外観、庭より見る、夕景 photo©Hayato Kurobe
高橋沙耶 / saya architectureによる、埼玉・南埼玉郡の「小さく暮らすための家」。家族3人が暮らす設計者の自邸。自分たちの“適切な延床面積”の検討から出発し、共用部の一体化と複数の居場所作りで“必要最小限”で暮らせる住宅を考案。敷地内に設けた余白は光と風をもたらし周辺環境にも寄与外観、窓越しに「食卓」を見る、夕景 photo©Hayato Kurobe
高橋沙耶 / saya architectureによる、埼玉・南埼玉郡の「小さく暮らすための家」。家族3人が暮らす設計者の自邸。自分たちの“適切な延床面積”の検討から出発し、共用部の一体化と複数の居場所作りで“必要最小限”で暮らせる住宅を考案。敷地内に設けた余白は光と風をもたらし周辺環境にも寄与外観、夕景 photo©Hayato Kurobe
高橋沙耶 / saya architectureによる、埼玉・南埼玉郡の「小さく暮らすための家」。家族3人が暮らす設計者の自邸。自分たちの“適切な延床面積”の検討から出発し、共用部の一体化と複数の居場所作りで“必要最小限”で暮らせる住宅を考案。敷地内に設けた余白は光と風をもたらし周辺環境にも寄与外観、窓越しに「食卓」を見る。 photo©Hayato Kurobe
高橋沙耶 / saya architectureによる、埼玉・南埼玉郡の「小さく暮らすための家」。家族3人が暮らす設計者の自邸。自分たちの“適切な延床面積”の検討から出発し、共用部の一体化と複数の居場所作りで“必要最小限”で暮らせる住宅を考案。敷地内に設けた余白は光と風をもたらし周辺環境にも寄与庭から「食堂」を見る。 photo©Hayato Kurobe
高橋沙耶 / saya architectureによる、埼玉・南埼玉郡の「小さく暮らすための家」。家族3人が暮らす設計者の自邸。自分たちの“適切な延床面積”の検討から出発し、共用部の一体化と複数の居場所作りで“必要最小限”で暮らせる住宅を考案。敷地内に設けた余白は光と風をもたらし周辺環境にも寄与外構床の詳細 photo©Hayato Kurobe
高橋沙耶 / saya architectureによる、埼玉・南埼玉郡の「小さく暮らすための家」。家族3人が暮らす設計者の自邸。自分たちの“適切な延床面積”の検討から出発し、共用部の一体化と複数の居場所作りで“必要最小限”で暮らせる住宅を考案。敷地内に設けた余白は光と風をもたらし周辺環境にも寄与軒裏と畑 photo©Hayato Kurobe
高橋沙耶 / saya architectureによる、埼玉・南埼玉郡の「小さく暮らすための家」。家族3人が暮らす設計者の自邸。自分たちの“適切な延床面積”の検討から出発し、共用部の一体化と複数の居場所作りで“必要最小限”で暮らせる住宅を考案。敷地内に設けた余白は光と風をもたらし周辺環境にも寄与1階、玄関 photo©Hayato Kurobe
高橋沙耶 / saya architectureによる、埼玉・南埼玉郡の「小さく暮らすための家」。家族3人が暮らす設計者の自邸。自分たちの“適切な延床面積”の検討から出発し、共用部の一体化と複数の居場所作りで“必要最小限”で暮らせる住宅を考案。敷地内に設けた余白は光と風をもたらし周辺環境にも寄与1階、玄関から居間を見る。 photo©Hayato Kurobe
高橋沙耶 / saya architectureによる、埼玉・南埼玉郡の「小さく暮らすための家」。家族3人が暮らす設計者の自邸。自分たちの“適切な延床面積”の検討から出発し、共用部の一体化と複数の居場所作りで“必要最小限”で暮らせる住宅を考案。敷地内に設けた余白は光と風をもたらし周辺環境にも寄与1階、居間から玄関を見る。 photo©Hayato Kurobe
高橋沙耶 / saya architectureによる、埼玉・南埼玉郡の「小さく暮らすための家」。家族3人が暮らす設計者の自邸。自分たちの“適切な延床面積”の検討から出発し、共用部の一体化と複数の居場所作りで“必要最小限”で暮らせる住宅を考案。敷地内に設けた余白は光と風をもたらし周辺環境にも寄与1階、居間 photo©Hayato Kurobe
高橋沙耶 / saya architectureによる、埼玉・南埼玉郡の「小さく暮らすための家」。家族3人が暮らす設計者の自邸。自分たちの“適切な延床面積”の検討から出発し、共用部の一体化と複数の居場所作りで“必要最小限”で暮らせる住宅を考案。敷地内に設けた余白は光と風をもたらし周辺環境にも寄与1階、居間から「食卓」を見る。 photo©Hayato Kurobe
高橋沙耶 / saya architectureによる、埼玉・南埼玉郡の「小さく暮らすための家」。家族3人が暮らす設計者の自邸。自分たちの“適切な延床面積”の検討から出発し、共用部の一体化と複数の居場所作りで“必要最小限”で暮らせる住宅を考案。敷地内に設けた余白は光と風をもたらし周辺環境にも寄与1階、食卓 photo©Hayato Kurobe
高橋沙耶 / saya architectureによる、埼玉・南埼玉郡の「小さく暮らすための家」。家族3人が暮らす設計者の自邸。自分たちの“適切な延床面積”の検討から出発し、共用部の一体化と複数の居場所作りで“必要最小限”で暮らせる住宅を考案。敷地内に設けた余白は光と風をもたらし周辺環境にも寄与「食卓」から畑を見る。 photo©Hayato Kurobe
高橋沙耶 / saya architectureによる、埼玉・南埼玉郡の「小さく暮らすための家」。家族3人が暮らす設計者の自邸。自分たちの“適切な延床面積”の検討から出発し、共用部の一体化と複数の居場所作りで“必要最小限”で暮らせる住宅を考案。敷地内に設けた余白は光と風をもたらし周辺環境にも寄与1階、食卓 photo©Hayato Kurobe
高橋沙耶 / saya architectureによる、埼玉・南埼玉郡の「小さく暮らすための家」。家族3人が暮らす設計者の自邸。自分たちの“適切な延床面積”の検討から出発し、共用部の一体化と複数の居場所作りで“必要最小限”で暮らせる住宅を考案。敷地内に設けた余白は光と風をもたらし周辺環境にも寄与1階、居間 photo©Hayato Kurobe
高橋沙耶 / saya architectureによる、埼玉・南埼玉郡の「小さく暮らすための家」。家族3人が暮らす設計者の自邸。自分たちの“適切な延床面積”の検討から出発し、共用部の一体化と複数の居場所作りで“必要最小限”で暮らせる住宅を考案。敷地内に設けた余白は光と風をもたらし周辺環境にも寄与1階、居間 photo©Hayato Kurobe
高橋沙耶 / saya architectureによる、埼玉・南埼玉郡の「小さく暮らすための家」。家族3人が暮らす設計者の自邸。自分たちの“適切な延床面積”の検討から出発し、共用部の一体化と複数の居場所作りで“必要最小限”で暮らせる住宅を考案。敷地内に設けた余白は光と風をもたらし周辺環境にも寄与1階、居間 photo©Hayato Kurobe
高橋沙耶 / saya architectureによる、埼玉・南埼玉郡の「小さく暮らすための家」。家族3人が暮らす設計者の自邸。自分たちの“適切な延床面積”の検討から出発し、共用部の一体化と複数の居場所作りで“必要最小限”で暮らせる住宅を考案。敷地内に設けた余白は光と風をもたらし周辺環境にも寄与1階から2階への階段 photo©Hayato Kurobe
高橋沙耶 / saya architectureによる、埼玉・南埼玉郡の「小さく暮らすための家」。家族3人が暮らす設計者の自邸。自分たちの“適切な延床面積”の検討から出発し、共用部の一体化と複数の居場所作りで“必要最小限”で暮らせる住宅を考案。敷地内に設けた余白は光と風をもたらし周辺環境にも寄与2階、「仕事場」 photo©Hayato Kurobe
高橋沙耶 / saya architectureによる、埼玉・南埼玉郡の「小さく暮らすための家」。家族3人が暮らす設計者の自邸。自分たちの“適切な延床面積”の検討から出発し、共用部の一体化と複数の居場所作りで“必要最小限”で暮らせる住宅を考案。敷地内に設けた余白は光と風をもたらし周辺環境にも寄与2階、「仕事場」 photo©Hayato Kurobe
高橋沙耶 / saya architectureによる、埼玉・南埼玉郡の「小さく暮らすための家」。家族3人が暮らす設計者の自邸。自分たちの“適切な延床面積”の検討から出発し、共用部の一体化と複数の居場所作りで“必要最小限”で暮らせる住宅を考案。敷地内に設けた余白は光と風をもたらし周辺環境にも寄与2階、「仕事場」から部屋1を見る。 photo©Hayato Kurobe
高橋沙耶 / saya architectureによる、埼玉・南埼玉郡の「小さく暮らすための家」。家族3人が暮らす設計者の自邸。自分たちの“適切な延床面積”の検討から出発し、共用部の一体化と複数の居場所作りで“必要最小限”で暮らせる住宅を考案。敷地内に設けた余白は光と風をもたらし周辺環境にも寄与2階、部屋1から「仕事場」を見る。 photo©Hayato Kurobe
高橋沙耶 / saya architectureによる、埼玉・南埼玉郡の「小さく暮らすための家」。家族3人が暮らす設計者の自邸。自分たちの“適切な延床面積”の検討から出発し、共用部の一体化と複数の居場所作りで“必要最小限”で暮らせる住宅を考案。敷地内に設けた余白は光と風をもたらし周辺環境にも寄与2階、「仕事場」から1階の「食卓」を見る。 photo©Hayato Kurobe
高橋沙耶 / saya architectureによる、埼玉・南埼玉郡の「小さく暮らすための家」。家族3人が暮らす設計者の自邸。自分たちの“適切な延床面積”の検討から出発し、共用部の一体化と複数の居場所作りで“必要最小限”で暮らせる住宅を考案。敷地内に設けた余白は光と風をもたらし周辺環境にも寄与2階、「仕事場」から1階「食卓」を見る。 photo©Hayato Kurobe
高橋沙耶 / saya architectureによる、埼玉・南埼玉郡の「小さく暮らすための家」。家族3人が暮らす設計者の自邸。自分たちの“適切な延床面積”の検討から出発し、共用部の一体化と複数の居場所作りで“必要最小限”で暮らせる住宅を考案。敷地内に設けた余白は光と風をもたらし周辺環境にも寄与吹抜部分の内壁と腰壁の重なり。 photo©Hayato Kurobe
高橋沙耶 / saya architectureによる、埼玉・南埼玉郡の「小さく暮らすための家」。家族3人が暮らす設計者の自邸。自分たちの“適切な延床面積”の検討から出発し、共用部の一体化と複数の居場所作りで“必要最小限”で暮らせる住宅を考案。敷地内に設けた余白は光と風をもたらし周辺環境にも寄与配置図 image©saya architecture
高橋沙耶 / saya architectureによる、埼玉・南埼玉郡の「小さく暮らすための家」。家族3人が暮らす設計者の自邸。自分たちの“適切な延床面積”の検討から出発し、共用部の一体化と複数の居場所作りで“必要最小限”で暮らせる住宅を考案。敷地内に設けた余白は光と風をもたらし周辺環境にも寄与平面図 image©saya architecture
高橋沙耶 / saya architectureによる、埼玉・南埼玉郡の「小さく暮らすための家」。家族3人が暮らす設計者の自邸。自分たちの“適切な延床面積”の検討から出発し、共用部の一体化と複数の居場所作りで“必要最小限”で暮らせる住宅を考案。敷地内に設けた余白は光と風をもたらし周辺環境にも寄与断面図 image©saya architecture

以下、建築家によるテキストです。


必要十分にして余白のある暮らし

都心から電車で約1時間半の、埼玉県の郊外に建つ自邸の計画である。

郊外といっても、画一化された風景ではなく、田んぼや畑に囲まれた農村のような風景が残る町である。
家族構成は30代夫婦と子供(2歳)。人生100年時代、30年区切りで人生を考えると、今は真ん中の子育て期である。リモートワークが可能になった時代だからこそ、自然が多く、子どもにとって豊かなエリアに身をおき、仕事とプライベートがほどよく両立ができる環境を求めた。

敷地は1970年代に建てられた新興住宅地の旗竿地にある。整形部分は34坪と、この地域では小さい土地だ。周囲の住宅は延床面積を得るために敷地いっぱいに建築を建てているが、あえて建築面積を40%程度にとどめ、隣地との間に距離を確保した。また、建物高さを隣家より低くしヴォリュームを抑えることで、隣家にも光や風をもたらす住宅同士の良好な関係性をつくり出した。

南側に最大限の余白を設けるL型の平面計画とし、敷地内に光と風を取り入れた。余白部分は前庭となり、前庭側に大きな開口を設けることで明るい食卓を確保した。旗竿地を逆手にとり、プライバシーと開放性の両立を目指した。

敷地に対する余白を設けると同時に、自分たちにとっての適切な延床面積を見直した。一般的な4人家族の快適で暮らせる延床面積は100㎡と言われるが、本計画ではその8割、80㎡とすることにした。家族でも夫婦2人でもちょうど良い大きさを追求し、身の丈に合った等身大の大きさである。

まず、必要最小限の面積にするために、共有部である居間、食卓、台所、仕事場は吹き抜けを介して一体にし、面積は小さくとも大きな体積を確保することで開放的な空間をつくった。専有空間を極力減らし、個室は寝室ひと部屋のみとした。
その分、窓際のベンチや、半間の部屋、本棚と一体化したベンチ、廻り階段など、とどまれる場所をいくつも設け、家族の各々が自分の居場所を持てるよう設計した。
吹き抜けでありながら、平面計画や2階の腰壁により、視線が気にならないよう配慮している。将来は寝室を分割して子供部屋にし、居間を夫婦の寝室にするなど、子供の成長に合わせて可変することも想定している。

外壁は町の特産品である葡萄のカラーを取り入れてワインレッドを選んだ。町のイメージカラーになっており、町中のあらゆる看板に使われているため、思いのほか馴染んでいる。

平日は半分以上を自宅ワーク、縁側で昼食を食べたり、自転車で5分でピクニックもできる。休日は庭で土いじりをし、川遊びをしに行く。住まいは小さく、まちの環境に頼りながら生きていく。必要なものがでてきたら他で補えばいい。必要十分な生活こそが豊かな暮らしにつながると思い、あえて郊外で小さく暮らすことを選んだ。
(高橋沙耶 / saya architecture)

■建築概要

題名:農村と郊外のあいだに小さく暮らすための家
所在地:埼玉県南埼玉郡
主用途:住宅
設計:高橋沙耶 / saya architecture
施工:榊住建
構造:鈴木一希
家具:林敬庸棟梁、shopbot施主制作
構造:木造
階数:地上2階
基礎:べた基礎
地域地区:第2種中高層住居専用地域
防火指定:22条指定区域
耐震等級:3
断熱性能:UA値 0.53 C値 0.1
最高高さ:5.775m
軒高:3.660m
敷地面積:134.85㎡
建築面積:50.51㎡(38%<60%)
延床面積:80.93㎡(61%<160%)
竣工:2022年12月
写真:Hayato Kurobe

建材情報
種別使用箇所商品名(メーカー名)
外構・床床

土間コン刷毛引き仕上げ

外装・壁外壁

ガルバリウム鋼板大波(JFE鋼板)

外装・屋根屋根

ガルバリウム鋼板立平葺き(セキノ興産)

内装・床玄関、居間、食卓、仕事場、寝室 床

杉無垢フローリング+オスモカラー塗装(オスモ&エーデル)

内装・床トイレ、脱衣室 床

マーモリウム(田島ルーフィング)

内装・壁壁

PB t=12.5+漆喰塗装(村樫石灰工業)

内装・天井天井

PB t=9.5+漆喰塗装(村樫石灰工業)

内装・天井居間 天井

構造用合板t24
梁現し+オスモカラー塗装(オスモ&エーデル)

内装・天井仕事場 天井

シナ合板t6+オスモカラー塗装(オスモ&エーデル)

内装・建具開口部

アルミ樹脂複合 エピソードII NEO(YKK)

内装・キッチンキッチン

ザ・クラッソ(TOTO)

内装・造作家具造作家具

シナランバーt24
ラワン合板t18
杉一枚板
ヒノキ流木

※企業様による建材情報についてのご意見や「PR」のご相談はこちらから
※この情報は弊サイトや設計者が建材の性能等を保証するものではありません

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2024.01.11 Thu 06:51
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    応募締切は2024年1月22日(月)13時まで(お申込みにはGoogleアカウントが必要になります)。厳正な抽選を行い当選された方にはメールにてご連絡いたします(メール送付を当選発表に変えさせていただきます)。アーキテクチャーフォトでは、本展覧会を特集記事として紹介しています。展覧会の公式ページはこちら。

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    日程
    2024年1月11日(木)
    –
    3月10日(日)
    architecture|exhibition|feature
    フランク・ロイド・ライト建築展
    ライトの、パナソニック汐留美術館での建築展「フランク・ロイド・ライト 世界を結ぶ建築」。“帝国ホテル二代目本館”等の設計で知られる近代を代表する建築家の展覧会。最新の研究成果を踏まえ、多様な文化との交流や先駆的な活動を明らかする内容。精緻なドローイングの数々や原寸モデルも展示 photo©architecturephoto
    ライトの、パナソニック汐留美術館での建築展「フランク・ロイド・ライト 世界を結ぶ建築」。“帝国ホテル二代目本館”等の設計で知られる近代を代表する建築家の展覧会。最新の研究成果を踏まえ、多様な文化との交流や先駆的な活動を明らかする内容。精緻なドローイングの数々や原寸モデルも展示 photo©architecturephoto
    ライトの、パナソニック汐留美術館での建築展「フランク・ロイド・ライト 世界を結ぶ建築」。“帝国ホテル二代目本館”等の設計で知られる近代を代表する建築家の展覧会。最新の研究成果を踏まえ、多様な文化との交流や先駆的な活動を明らかする内容。精緻なドローイングの数々や原寸モデルも展示 photo©architecturephoto

    ライトの、パナソニック汐留美術館での建築展「フランク・ロイド・ライト 世界を結ぶ建築」です。
    “帝国ホテル二代目本館”等の設計で知られる近代を代表する建築家の展覧会です。最新の研究成果を踏まえ、多様な文化との交流や先駆的な活動を明らかする内容となっています。また、精緻なドローイングの数々や原寸モデルも展示されています。会期は2024年1月11日~3月10日。展覧会の公式ページはこちら。

    ※2024年2月17日以降、日時指定予約制となり、会期末は開館時間が延長になるそうです。詳細は末尾に追記します(2024/2/15追記)

    アメリカ近代建築の巨匠フランク・ロイド・ライト(1867–1959)。「カウフマン邸(落水荘)」や「グッゲンハイム美術館」で知られるライトは、「帝国ホテル二代目本館(現在は博物館明治村に一部移築保存)」や「自由学園」を手がけ、熱烈な浮世絵愛好家の顔も持つ、日本と深い縁で結ばれた建築家です。

    2012年にフランク・ロイド・ライト財団から図面をはじめとする5万点を超える資料がニューヨーク近代美術館とコロンビア大学エイヴリー建築美術図書館に移管され、建築はもちろんのこと、芸術、デザイン、著述、造園、教育、技術革新、都市計画に至るライトの広範な視野と知性を明らかにすべく調査研究が続けられてきました。こうした研究成果をふまえ、本展はケン・タダシ・オオシマ氏(ワシントン大学教授)とジェニファー・グレイ氏(フランク・ロイド・ライト財団副代表、タリアセン・インスティテュート・ディレクター)を迎えて日米共同でキュレーションを行ない、帝国ホテルを基軸に、多様な文化と交流し常に先駆的な活動を展開したライトの姿を明らかにします。

    精緻で華麗なドローイングの数々をお楽しみください。世界を横断して活躍したライトのグローバルな視点は、21世紀の今日的な課題と共鳴し、来るべき未来への提言となるはずです。

    リリーステキストより
    • 残り39枚の写真と建築家によるテキスト
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    フランク・ロイド・ライト建築展
    2024.01.11 Thu 12:23
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    2024.1.10Wed
    • 村上譲+菊田康平 / Buttondesignによる、東京・千代田区の「OAG office」。複数の法人を束ねる本部事務所の計画。社員交流等を活性化する存在を目指し、働く人々の“様々な営み”が混じり合う空間を志向。会議室群の点在で複数の“小さな溜まりの空間”を生み出して多様な居場所として提供
    • 吉田裕一建築設計事務所による、東京・世田谷区の「大蔵・HOUSE・U」。様々な条例のある地域の擁壁下の敷地。緑化や壁面後退を行った“建築可能な範囲”に、各用途の空間が“ベン図”の様に重なり合う立体的な構成の建築を考案。環境と呼応する量塊の操作で風景に加え光や風も取り込む
    2024.1.12Fri
    • キノシタヒロシ建築設計事務所による、鳥取市の「屋内庭のある家」。降水量が多く雪も降る地域での計画。気候に適した“庭”の在り方を求め、屋根の全面が半透明素材の“屋内庭”を備えた住宅を考案。入れ子状に設けた居室の壁面で“断熱”と“気密”を確保して快適な暮らしも実現
    • 【ap job更新】 意匠性と事業性を同時に実現し、顧客からも高い評価を得る「株式会社キー・オペレーション」が、更なる業務拡大のため 設計スタッフ(経験者・既卒・2024年新卒)を募集中
    • 藤原・室 建築設計事務所による、大阪の「藤井寺の家」。分譲地の奥行きのある区画。敷地特徴を活かし“増幅する”設計を意図し、内部に“著しい距離感”を生み出す“ジグザグ”の平面構成を考案。特徴的な形態は“複数の外部空間”も作り出して風や光の導入も可能にする

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