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2024.4.12Fri
2024.4.11Thu
2024.4.13Sat
岡佑亮 / チドリスタジオによる、石川・白山市の「北陸住居No.3」。様々な時代や用途の建物が混在する地域。街並みに“参与する”在り方を求め、周囲の町家・酒蔵・近代的ビルの建築要素を取り込むような設計を志向。隣接の休遊地を活かした配置計画で“視覚的な拡がり”も生み出す
photo©中山保寛

SHARE 岡佑亮 / チドリスタジオによる、石川・白山市の「北陸住居No.3」。様々な時代や用途の建物が混在する地域。街並みに“参与する”在り方を求め、周囲の町家・酒蔵・近代的ビルの建築要素を取り込むような設計を志向。隣接の休遊地を活かした配置計画で“視覚的な拡がり”も生み出す

architecture|feature
フジエテキスタイルgrove山下工務店チドリスタジオ岡佑亮海野構造研究所中山保寛建材(外装・床)建材(外装・壁)建材(外装・屋根)建材(外装・建具)建材(内装・床)建材(内装・壁)建材(内装・天井)建材(内装・照明)建材(内装・造作家具)建材(内装・浴室)建材(内装・設備)建材(内装・水廻り)建材(内装・金物)建材(外構・床)住宅図面あり石川
岡佑亮 / チドリスタジオによる、石川・白山市の「北陸住居No.3」。様々な時代や用途の建物が混在する地域。街並みに“参与する”在り方を求め、周囲の町家・酒蔵・近代的ビルの建築要素を取り込むような設計を志向。隣接の休遊地を活かした配置計画で“視覚的な拡がり”も生み出す外観、南側道路より見る。 photo©中山保寛
岡佑亮 / チドリスタジオによる、石川・白山市の「北陸住居No.3」。様々な時代や用途の建物が混在する地域。街並みに“参与する”在り方を求め、周囲の町家・酒蔵・近代的ビルの建築要素を取り込むような設計を志向。隣接の休遊地を活かした配置計画で“視覚的な拡がり”も生み出す中庭、北側より見る。 photo©中山保寛
岡佑亮 / チドリスタジオによる、石川・白山市の「北陸住居No.3」。様々な時代や用途の建物が混在する地域。街並みに“参与する”在り方を求め、周囲の町家・酒蔵・近代的ビルの建築要素を取り込むような設計を志向。隣接の休遊地を活かした配置計画で“視覚的な拡がり”も生み出すキッチンからダイニングとリビングを見る。 photo©中山保寛
岡佑亮 / チドリスタジオによる、石川・白山市の「北陸住居No.3」。様々な時代や用途の建物が混在する地域。街並みに“参与する”在り方を求め、周囲の町家・酒蔵・近代的ビルの建築要素を取り込むような設計を志向。隣接の休遊地を活かした配置計画で“視覚的な拡がり”も生み出すダイニングから開口部越しに中庭を見る。 photo©中山保寛

岡佑亮 / チドリスタジオが設計した、石川・白山市の「北陸住居No.3」です。
様々な時代や用途の建物が混在する地域での計画です。建築家は、街並みに“参与する”在り方を求め、周囲の町家・酒蔵・近代的ビルの建築要素を取り込むような設計を志向しました。また、隣接の休遊地を活かした配置計画で“視覚的な拡がり”を生み出すことも意図されました。

ゆったりとした敷地と、日本三大霊山のひとつである白山の麓にある古い街並みが残る周辺環境に惹かれた若い施主夫婦は、広い庭と開放的なLDKを備えた平屋住宅を要望していた。

周辺には山から流れる清らかな水源のおかげで、酒蔵や醤油、味噌、麹などの伝統的産業が今でも残り、この敷地の周りも酒蔵の建物群が取り囲む。

敷地西側の酒蔵が所有する隣地は、空地で塀がない。本敷地から見ると、その空地には畑や小さな植林地があり、その先に町家や山並みが見える。この豊かな環境を象徴しているような風景だった。これを借景に、視覚的に拡がりを持たせた中庭を設けるべく、建物の配置検討を始めた。

建築家によるテキストより

前面道路の喧騒から少し距離を取るため、道路に沿ってL字型に建物を配置した。施主の趣味であるキャンプ道具の出し入れを考慮し、道路側に建つ長屋門のようなガレージ(農具がキャンプ道具に置き換わった)と、大きな妻壁をもつ母屋のようなLDKが、中庭を介して見通せるような平面計画とした。

建築家によるテキストより

ちょうど敷地がある周囲には、町家がつくる軒が揃った街並みや、増改築された大きな酒蔵、近代的な事務所ビルや工場など、異なる時代や機能の建物が入り混じる。本敷地の道路を挟んだ向かいの土地は分譲住宅地になる予定で、カーポートを携えた住宅も建つだろう。この街並みを形成する多種多様な建物は、この地で暮らす人々の息づく風景として現れている。

こうした環境において、それぞれの時代・機能の建物にも解釈できるような住宅がつくれないか考えていた。結果として、増改築された町家のような屋根形状、蔵と似た屋根勾配や納まり、近代的な工業製品の外壁や部材、隣地の休遊地も自らの敷地と見なす配置計画等に現れた。

建築家によるテキストより

以下の写真はクリックで拡大します

岡佑亮 / チドリスタジオによる、石川・白山市の「北陸住居No.3」。様々な時代や用途の建物が混在する地域。街並みに“参与する”在り方を求め、周囲の町家・酒蔵・近代的ビルの建築要素を取り込むような設計を志向。隣接の休遊地を活かした配置計画で“視覚的な拡がり”も生み出す俯瞰、西側より見る。 photo©中山保寛
岡佑亮 / チドリスタジオによる、石川・白山市の「北陸住居No.3」。様々な時代や用途の建物が混在する地域。街並みに“参与する”在り方を求め、周囲の町家・酒蔵・近代的ビルの建築要素を取り込むような設計を志向。隣接の休遊地を活かした配置計画で“視覚的な拡がり”も生み出す俯瞰、北側より見る。 photo©中山保寛
岡佑亮 / チドリスタジオによる、石川・白山市の「北陸住居No.3」。様々な時代や用途の建物が混在する地域。街並みに“参与する”在り方を求め、周囲の町家・酒蔵・近代的ビルの建築要素を取り込むような設計を志向。隣接の休遊地を活かした配置計画で“視覚的な拡がり”も生み出す外観、南側道路より見る。 photo©中山保寛
岡佑亮 / チドリスタジオによる、石川・白山市の「北陸住居No.3」。様々な時代や用途の建物が混在する地域。街並みに“参与する”在り方を求め、周囲の町家・酒蔵・近代的ビルの建築要素を取り込むような設計を志向。隣接の休遊地を活かした配置計画で“視覚的な拡がり”も生み出す外観、南側道路より見る。 photo©中山保寛
岡佑亮 / チドリスタジオによる、石川・白山市の「北陸住居No.3」。様々な時代や用途の建物が混在する地域。街並みに“参与する”在り方を求め、周囲の町家・酒蔵・近代的ビルの建築要素を取り込むような設計を志向。隣接の休遊地を活かした配置計画で“視覚的な拡がり”も生み出す外観、屋根の詳細 photo©中山保寛
岡佑亮 / チドリスタジオによる、石川・白山市の「北陸住居No.3」。様々な時代や用途の建物が混在する地域。街並みに“参与する”在り方を求め、周囲の町家・酒蔵・近代的ビルの建築要素を取り込むような設計を志向。隣接の休遊地を活かした配置計画で“視覚的な拡がり”も生み出す外観、ファサードと隣地の酒蔵を見る。 photo©中山保寛
岡佑亮 / チドリスタジオによる、石川・白山市の「北陸住居No.3」。様々な時代や用途の建物が混在する地域。街並みに“参与する”在り方を求め、周囲の町家・酒蔵・近代的ビルの建築要素を取り込むような設計を志向。隣接の休遊地を活かした配置計画で“視覚的な拡がり”も生み出す外観、エントランスのドア越しに中庭が見える。 photo©中山保寛
岡佑亮 / チドリスタジオによる、石川・白山市の「北陸住居No.3」。様々な時代や用途の建物が混在する地域。街並みに“参与する”在り方を求め、周囲の町家・酒蔵・近代的ビルの建築要素を取り込むような設計を志向。隣接の休遊地を活かした配置計画で“視覚的な拡がり”も生み出すガレージ photo©中山保寛
岡佑亮 / チドリスタジオによる、石川・白山市の「北陸住居No.3」。様々な時代や用途の建物が混在する地域。街並みに“参与する”在り方を求め、周囲の町家・酒蔵・近代的ビルの建築要素を取り込むような設計を志向。隣接の休遊地を活かした配置計画で“視覚的な拡がり”も生み出すガレージから中庭を見る。 photo©中山保寛
岡佑亮 / チドリスタジオによる、石川・白山市の「北陸住居No.3」。様々な時代や用途の建物が混在する地域。街並みに“参与する”在り方を求め、周囲の町家・酒蔵・近代的ビルの建築要素を取り込むような設計を志向。隣接の休遊地を活かした配置計画で“視覚的な拡がり”も生み出す左:ガレージ、右:中庭 photo©中山保寛
岡佑亮 / チドリスタジオによる、石川・白山市の「北陸住居No.3」。様々な時代や用途の建物が混在する地域。街並みに“参与する”在り方を求め、周囲の町家・酒蔵・近代的ビルの建築要素を取り込むような設計を志向。隣接の休遊地を活かした配置計画で“視覚的な拡がり”も生み出す中庭、リビング側を見る。 photo©中山保寛
岡佑亮 / チドリスタジオによる、石川・白山市の「北陸住居No.3」。様々な時代や用途の建物が混在する地域。街並みに“参与する”在り方を求め、周囲の町家・酒蔵・近代的ビルの建築要素を取り込むような設計を志向。隣接の休遊地を活かした配置計画で“視覚的な拡がり”も生み出す中庭、北側より見る。 photo©中山保寛
岡佑亮 / チドリスタジオによる、石川・白山市の「北陸住居No.3」。様々な時代や用途の建物が混在する地域。街並みに“参与する”在り方を求め、周囲の町家・酒蔵・近代的ビルの建築要素を取り込むような設計を志向。隣接の休遊地を活かした配置計画で“視覚的な拡がり”も生み出す中庭からガレージを見る。 photo©中山保寛
岡佑亮 / チドリスタジオによる、石川・白山市の「北陸住居No.3」。様々な時代や用途の建物が混在する地域。街並みに“参与する”在り方を求め、周囲の町家・酒蔵・近代的ビルの建築要素を取り込むような設計を志向。隣接の休遊地を活かした配置計画で“視覚的な拡がり”も生み出すガレージから廊下を見る。 photo©中山保寛
岡佑亮 / チドリスタジオによる、石川・白山市の「北陸住居No.3」。様々な時代や用途の建物が混在する地域。街並みに“参与する”在り方を求め、周囲の町家・酒蔵・近代的ビルの建築要素を取り込むような設計を志向。隣接の休遊地を活かした配置計画で“視覚的な拡がり”も生み出す正面:廊下、右:寝室 photo©中山保寛
岡佑亮 / チドリスタジオによる、石川・白山市の「北陸住居No.3」。様々な時代や用途の建物が混在する地域。街並みに“参与する”在り方を求め、周囲の町家・酒蔵・近代的ビルの建築要素を取り込むような設計を志向。隣接の休遊地を活かした配置計画で“視覚的な拡がり”も生み出すキッチンからダイニングとリビングを見る。 photo©中山保寛
岡佑亮 / チドリスタジオによる、石川・白山市の「北陸住居No.3」。様々な時代や用途の建物が混在する地域。街並みに“参与する”在り方を求め、周囲の町家・酒蔵・近代的ビルの建築要素を取り込むような設計を志向。隣接の休遊地を活かした配置計画で“視覚的な拡がり”も生み出す左:ダイニング、右:キッチン photo©中山保寛
岡佑亮 / チドリスタジオによる、石川・白山市の「北陸住居No.3」。様々な時代や用途の建物が混在する地域。街並みに“参与する”在り方を求め、周囲の町家・酒蔵・近代的ビルの建築要素を取り込むような設計を志向。隣接の休遊地を活かした配置計画で“視覚的な拡がり”も生み出すダイニングから開口部越しに中庭を見る。 photo©中山保寛
岡佑亮 / チドリスタジオによる、石川・白山市の「北陸住居No.3」。様々な時代や用途の建物が混在する地域。街並みに“参与する”在り方を求め、周囲の町家・酒蔵・近代的ビルの建築要素を取り込むような設計を志向。隣接の休遊地を活かした配置計画で“視覚的な拡がり”も生み出すリビングから開口部越しに中庭を見る。 photo©中山保寛
岡佑亮 / チドリスタジオによる、石川・白山市の「北陸住居No.3」。様々な時代や用途の建物が混在する地域。街並みに“参与する”在り方を求め、周囲の町家・酒蔵・近代的ビルの建築要素を取り込むような設計を志向。隣接の休遊地を活かした配置計画で“視覚的な拡がり”も生み出すリビングから中庭を見る。 photo©中山保寛
岡佑亮 / チドリスタジオによる、石川・白山市の「北陸住居No.3」。様々な時代や用途の建物が混在する地域。街並みに“参与する”在り方を求め、周囲の町家・酒蔵・近代的ビルの建築要素を取り込むような設計を志向。隣接の休遊地を活かした配置計画で“視覚的な拡がり”も生み出すリビングからダイニングとキッチンを見る。 photo©中山保寛
岡佑亮 / チドリスタジオによる、石川・白山市の「北陸住居No.3」。様々な時代や用途の建物が混在する地域。街並みに“参与する”在り方を求め、周囲の町家・酒蔵・近代的ビルの建築要素を取り込むような設計を志向。隣接の休遊地を活かした配置計画で“視覚的な拡がり”も生み出す廊下から寝室を見る。 photo©中山保寛
岡佑亮 / チドリスタジオによる、石川・白山市の「北陸住居No.3」。様々な時代や用途の建物が混在する地域。街並みに“参与する”在り方を求め、周囲の町家・酒蔵・近代的ビルの建築要素を取り込むような設計を志向。隣接の休遊地を活かした配置計画で“視覚的な拡がり”も生み出す中庭、北側より見る、夜景 photo©中山保寛
岡佑亮 / チドリスタジオによる、石川・白山市の「北陸住居No.3」。様々な時代や用途の建物が混在する地域。街並みに“参与する”在り方を求め、周囲の町家・酒蔵・近代的ビルの建築要素を取り込むような設計を志向。隣接の休遊地を活かした配置計画で“視覚的な拡がり”も生み出す配置図 image©チドリスタジオ
岡佑亮 / チドリスタジオによる、石川・白山市の「北陸住居No.3」。様々な時代や用途の建物が混在する地域。街並みに“参与する”在り方を求め、周囲の町家・酒蔵・近代的ビルの建築要素を取り込むような設計を志向。隣接の休遊地を活かした配置計画で“視覚的な拡がり”も生み出す平面図 image©チドリスタジオ
岡佑亮 / チドリスタジオによる、石川・白山市の「北陸住居No.3」。様々な時代や用途の建物が混在する地域。街並みに“参与する”在り方を求め、周囲の町家・酒蔵・近代的ビルの建築要素を取り込むような設計を志向。隣接の休遊地を活かした配置計画で“視覚的な拡がり”も生み出す断面図 image©チドリスタジオ

以下、建築家によるテキストです。


複層的な街並みへの参与

ゆったりとした敷地と、日本三大霊山のひとつである白山の麓にある古い街並みが残る周辺環境に惹かれた若い施主夫婦は、広い庭と開放的なLDKを備えた平屋住宅を要望していた。

周辺には山から流れる清らかな水源のおかげで、酒蔵や醤油、味噌、麹などの伝統的産業が今でも残り、この敷地の周りも酒蔵の建物群が取り囲む。

敷地西側の酒蔵が所有する隣地は、空地で塀がない。本敷地から見ると、その空地には畑や小さな植林地があり、その先に町家や山並みが見える。この豊かな環境を象徴しているような風景だった。これを借景に、視覚的に拡がりを持たせた中庭を設けるべく、建物の配置検討を始めた。

また、前面道路の喧騒から少し距離を取るため、道路に沿ってL字型に建物を配置した。施主の趣味であるキャンプ道具の出し入れを考慮し、道路側に建つ長屋門のようなガレージ(農具がキャンプ道具に置き換わった)と、大きな妻壁をもつ母屋のようなLDKが、中庭を介して見通せるような平面計画とした。

ちょうど敷地がある周囲には、町家がつくる軒が揃った街並みや、増改築された大きな酒蔵、近代的な事務所ビルや工場など、異なる時代や機能の建物が入り混じる。本敷地の道路を挟んだ向かいの土地は分譲住宅地になる予定で、カーポートを携えた住宅も建つだろう。この街並みを形成する多種多様な建物は、この地で暮らす人々の息づく風景として現れている。

こうした環境において、それぞれの時代・機能の建物にも解釈できるような住宅がつくれないか考えていた。結果として、増改築された町家のような屋根形状、蔵と似た屋根勾配や納まり、近代的な工業製品の外壁や部材、隣地の休遊地も自らの敷地と見なす配置計画等に現れた。

北陸住居No.1で試みたような、ある一つの歴史的建造物や景観的特徴を参照するのではなく、時代による変遷が混在するこの街並みを、そのまま受け入れ、参与するような建築のあり方を模索していた。
(岡佑亮 / チドリスタジオ)


細長い大黒柱

本建物の特徴である切妻部は最大で5.5mを超え、棟を支持する柱は一般的な木造2階建てほどの長さとなる。妻面には中庭を望む大開口があり柱の本数は絞られる。加えて多雪地域であり、当該柱は大きな軸力を負担するため要求される柱の断面性能は高い。さらに外壁面となり高い耐風性能も要求される。

それらの要求を満足させる柱とするため、面内方向は105mm幅とし垂れ壁で弱軸の座屈長さを拘束、拘束できない面外方向は210mmのせいを持つ扁平柱とし細長比を小さくすることで、細長い柱で積雪による軸力を負担可能とした。

耐風性能についても面外方向の断面二次モーメントは大きく十分に安全なものとなっている。意匠にて当該部材が緑の着色がされ、結果として構造としても意匠としても象徴的な部材となった。
(海野敬亮 / 海野構造研究所)


イエタッタカウンターは、全国でも珍しく、実務経験がある一級建築士が責任者として運営する家づくり相談事業である。その背景には、住宅業界に対する不信感と情報不足によるミスマッチ等の問題がある。本件に関しても、施主へのヒアリングを通じて、住宅建築における知識の蓄積、諸条件の整理、無理のない予算等の発注計画を一緒に組み立てた。そうして、施主に適しそうな設計者を紹介し、本プロジェクトが始まった。施主は当初、設計事務所の存在すら知らなかった。

土地探しから始まり、設計者と各候補地での生活風景を話しあう中で、想定していたエリアと異なる敷地ではあったが、予算内で想像以上に広い土地を選択することにしたようだ。設計後にインタビューを行ったが、この土地の特性を活かした、アウトドアアクティビティを趣味とする施主にとって楽しく暮らせる住宅を建てることができたらしい。

情報不足なクライアントは、判断を誤りやすく、結果として理想とは異なる家づくりになることがある。またミスマッチな仕事を受けた会社は、業務負担が増えてしまう。特に石川県においては、ハウスメーカーや工務店、設計事務所の住みわけができていないが故の、妙な競合も発生している。そこに建築士が第三者として介入することで、クライアントは中立的なアドバイスを受けられる。十分な知識を得たクライアントは確度の高い発注者になれるため、企業選定時のミスマッチや建築事業者が被るリスクを軽減できる。建築士の役割は直接的に設計するだけではなく、いいものができる環境をつくることもその一環だと考えられる。社会が多様化することで、建築士の職能も多様化する。
(鶴見哲也 / イエタッタカウンター)

■建築概要

作品タイトル:北陸住居No.3
作品タイトル(英文表記):Hokuriku Residence No.3
住所:石川県白山市
主要用途:専用住居
家族構成:夫婦
設計:岡佑亮 / チドリスタジオ
設計者名(英文表記):chidori studio
施工:山下工務店 山下陽平、宮越清貴
構造:海野構造研究所 海野敬亮 
外構・造園:grove 大田裕人
カーテン:フジエテキスタイル 田中淳
コンサルティング:イエタッタカウンター 鶴見哲也
大工:工房さの 佐野雄平
設備施工:河原設備 河原元
電気施工:中山電気商会 中山豊 
塗装施工:小島塗装 小島悟
建具施工:コトサイ建具 殊才宏
板金施工:ニシダ板金 西田佑介
プレカット:あさひ木材 喜多翔
主体構造・構法:木造
階数:地上1階 
敷地面積:452.11㎡
建築面積:103.04㎡
延床面積:98.96㎡
設計期間:2022年6月~2022年12月
工事期間:2023年1月~2023年7月
写真:中山保寛

建材情報
種別使用箇所商品名(メーカー名)
外構・床外構

残土転用のうえバーク及び芝種散布

外装・壁外壁

フレキシブルボード(A&AM)
FRP波板(タキロンCI)

外装・屋根屋根

ガルバリウム鋼板 縦ハゼ葺(日鉄鋼板)

外装・建具開口部

アルミ樹脂複合サッシ(LIXIL)

内装・床リビング、キッチン 床

ラワン合板のうえOSUC塗装

内装・壁リビング、キッチン 壁

PB t=12のうえAEP塗装

内装・天井リビング、キッチン 天井

構造体および合板表し

内装・設備リビング、キッチン 厨房什器、造作家具

引出式食洗機(リンナイ)

内装・設備リビング、キッチン 厨房什器、造作家具

ユーロスタイルIH(三菱電機)

内装・照明リビング、キッチン 照明

ゴールデンベル(artek)

内装・金物リビング、キッチン シンク 水栓金物

オーダーキッチン天板(toolbox)

内装・金物リビング、キッチン シンク その他

Door Knob(west)

内装・床ガレージ 床

スラブ直均し金ごて仕上げ

内装・壁ガレージ 壁

構造体およびパーティクルボード表し(日本ノボパン工業)

内装・天井ガレージ 天井

PB t=9のうえシルバー塗装

内装・照明ガレージ 照明

LED電球+ソケット(青山電陶)

内装・造作家具ガレージ 家具(棚等)

施主DIY

内装・床洗面所、寝室 床

ラワン合板のうえOSUC塗装

内装・壁洗面所、寝室 壁

PB t=12のうえAEP塗装

内装・天井洗面所、寝室 天井

PB t=9のうえシルバー塗装

内装・照明洗面所、寝室 照明

LED電球+ソケット(青山電陶)

内装・金物洗面所、寝室 建築 金物

ドアノブ、施錠金物、サッシュほか

内装・水廻り洗面所、寝室 建築  洗面カウンター、水栓金物

丸型洗面器(カクダイ)

内装・浴室浴室

ユニットバス(LIXIL)

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※この情報は弊サイトや設計者が建材の性能等を保証するものではありません

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    4組の若い世代のスイス建築家に注目した展覧会「スイス・ヴィジョン ─ 新世代の表現手法」。従来のスイスの建築表現とは一線を画す“力強く新鮮さのある建築表現”の作品群を紹介。一般化した映像という表現手段にも着目し、等身大の映像・写真・図面を展示 photo courtesy of JSAA

    4組の若い世代のスイス建築家に注目した展覧会「スイス・ヴィジョン ─ 新世代の表現手法」です。
    出展者は、BY JUNG、Truwant+ Rodet+、WALDRAP、Weyell Zipseです。従来のスイスの建築表現とは一線を画す“力強く新鮮さのある建築表現”の作品群を紹介しています。また、一般化した映像という表現手段にも着目し、等身大の映像・写真・図面を展示します。会期は2024年4月14日まで。入場無料です。展覧会の公式サイトはこちら。

    この度、日本・スイスの建築文化交流のプラットフォームとして2018年に設立した日瑞建築文化協会(JSAA)は、第3回目のイベントとして、スイスの1980年代前半生まれの建築家4組(BYJUNG / Truwant + Rodet + / WALDRAP / Weyell Zipse)の映像・音のインスタレーションの展覧会『スイス・ヴィジョン ─ 新世代の表現手法』を開催いたします。

    スイスの建築表現と言えば、抽象的な図面やリアルなレンダリングなど、ストイックな印象が強いかもしれません。しかし、近年のスイスにおいては、色彩豊かな図面やコラージュ、精緻で具象的な模型など、従来とは一線を画し、力強く新鮮さのある建築表現が生まれています。

    本展では、1980~83年の間に生まれ、言語や文化の異なるスイス各地で教育を受けた4組の建築家を選出し、建築家にとっても、設計競技やSNSで日常的な表現手段となった映像に着目しました。二酸化炭素排出を極力削減するため、デジタル情報だけをスイスから日本へ転送することで、次世代の展示方法を模索しています。

    また、アクシスギャラリーの会場の特性を活かし、フルハイトで映像を投影します。等身大の映像と共に、空間体験にとって重要となる音が流れ、図面や写真と共に展示します。スイスの建築家たちによる今日の建築表現をご覧ください。

    リリーステキストより

    以下に、会場の写真と詳細な情報を掲載します

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    バイ・ユングトゥルワン+ロデ+ワルドラップヴァイエル・チプセ東京スイス建築展
    2024.04.12 Fri 17:59
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    子浦中 / シオ建築設計事務所による、神奈川・小田原市の「山林のラウンジ」。地域の財団が運営する起業支援施設の中のカフェ等の計画。エリアの“山林資材”の周知を主題とし、天井・建具・家具などに“地場産の木材”を用いた空間を志向。素材それ自体の大きさや質感を生かした設計を行う
    photo©淺川敏

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    architecture|feature
    シオ建築設計事務所セゾン竹広林業子浦中建材(内装・床)建材(内装・壁)建材(内装・天井)図面あり店舗神奈川淺川敏
    子浦中 / シオ建築設計事務所による、神奈川・小田原市の「山林のラウンジ」。地域の財団が運営する起業支援施設の中のカフェ等の計画。エリアの“山林資材”の周知を主題とし、天井・建具・家具などに“地場産の木材”を用いた空間を志向。素材それ自体の大きさや質感を生かした設計を行うエントランスからラウンジを見る。 photo©淺川敏
    子浦中 / シオ建築設計事務所による、神奈川・小田原市の「山林のラウンジ」。地域の財団が運営する起業支援施設の中のカフェ等の計画。エリアの“山林資材”の周知を主題とし、天井・建具・家具などに“地場産の木材”を用いた空間を志向。素材それ自体の大きさや質感を生かした設計を行うラウンジからエントランス側を見る。 photo©淺川敏
    子浦中 / シオ建築設計事務所による、神奈川・小田原市の「山林のラウンジ」。地域の財団が運営する起業支援施設の中のカフェ等の計画。エリアの“山林資材”の周知を主題とし、天井・建具・家具などに“地場産の木材”を用いた空間を志向。素材それ自体の大きさや質感を生かした設計を行うキッチン2のカウンター photo©淺川敏
    子浦中 / シオ建築設計事務所による、神奈川・小田原市の「山林のラウンジ」。地域の財団が運営する起業支援施設の中のカフェ等の計画。エリアの“山林資材”の周知を主題とし、天井・建具・家具などに“地場産の木材”を用いた空間を志向。素材それ自体の大きさや質感を生かした設計を行う家具 photo©淺川敏

    子浦中 / シオ建築設計事務所が設計した、神奈川・小田原市の「山林のラウンジ ARUYO ODAWARA LOUNGE」です。
    地域の財団が運営する起業支援施設の中のカフェ等の計画です。建築家は、エリアの“山林資材”の周知を主題とし、天井・建具・家具などに“地場産の木材”を用いた空間を志向しました。そして、素材それ自体の大きさや質感を生かした設計を行いました。施設の公式ページはこちら。

    かまぼこに代表されるような海産物の街として認識されている神奈川県小田原市には、約4,000haの山林があり市域の約40%を占めているが、誰もがそのように認識していない。

    このプロジェクトは、さまざまな人の出会いや交流を図るための街に開いた小田原のコワークスペースのカフェ、バーラウンジを作ることである。

    建築家によるテキストより

    この施設は、小田原市を中心とした起業家の起業支援を行うことや、出会いと発見を創出することを主な目的とし、神奈川県、小田原市から補助金と小田原の財団で運営している。そのため、小田原にこだわり地場の材料、特に山林資材を使うこととした。

    建築家によるテキストより

    一方で、私たち建築の人間が山林を保護する方法として、伐採をした資源を建材として生かす一つの方法が考えられる。
    そのため運営側と設計が同じ地場の山林資材を使うという考えのもとラウンジを作り、たくさんの人に小田原の材料を知ってもらうことを目的とした。地場産の木材は、地場で加工し天井材、カウンター材、建具、机などの家具に使用した。床の左官は山林から採取し、三和土とするなど徹底的に地場産にこだわった。

    建築家によるテキストより
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    シオ建築設計事務所セゾン竹広林業子浦中建材(内装・床)建材(内装・壁)建材(内装・天井)図面あり店舗神奈川淺川敏
    2024.04.12 Fri 16:42
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    2024.4.11Thu
    • NOT A HOTELが、40歳未満を対象とした建築の実施コンペを開催。最優秀賞には賞金1,000万円に加え設計料も支払われる
    • 【ap job更新】 “生き方や価値観に 最も似合う建築を”をヴィジョンに掲げる「SNARK Inc.」が、設計スタッフ(経験者・既卒)とアルバイトを募集中
    • トラフ建築設計事務所による、東京・渋谷区の店舗「FREITAG Store Tokyo Shibuya」。同事務所が過去に手掛けた店のリニューアル計画。機能性と耐久性の要望に、既存の“床を道に見立てる”コンセプトを踏襲しつつ素材等を更新した空間を考案。洗練し続ける施主ブランドの“世界観の体現”も意図
    2024.4.13Sat
    • 坂茂・藤本壮介・大西麻貴+百田有希が、2024年に行った講演会の動画。主催した東西アスファルト事業協同組合のサイトで期間限定で公開
    • 藤本壮介による講演「Between Nature and Architecture」の動画。岡山で2024年4月に行われたもの
    • アーティストのシアスター・ゲイツの講演「ブラックスペースをつくる」の動画。国際文化会館の主催で行われ2024年3月に公開されたもの(日本語字幕付)

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