SHARE 展覧会レポート”建築がうまれるとき ペーター・メルクリと青木淳”(5)
展覧会レポート”建築がうまれるとき ペーター・メルクリと青木淳“(5)です。
レポート(1)はこちら。
■終りに
最後に展示の話にもう一度触れたい。二人展の難しさを西澤徹夫による会場構成が見事に解決している。どちらの建築家の作品をメインとして感じるともなく、それぞれの作品を比較検討できる状況を作り出している。メルクリのドローイングと青木の模型との関係。ヨーゼフソンの彫刻とメルクリのドローイングとの関係。青木の模型の配置・展示方法。どれも非常に練り上げられバランスがとれていると思う。この展覧会では建築家の二人展を行う意義が非常に感じられた。また、青木淳は公式会見でこの展覧会は非常に硬派な建築展であると述べた。それは現代の建築展が出来上がった建築を疑似体験できるものにシフトしていく現在の状況の中で、模型とドローイングのみの展示を行っているからだという。しかし、キュレーターの保坂健二朗によって選ばれたふたりの建築家の作品を見ていると展覧会としては非常に硬派だけれど、建築にあまり深く関心のない方が見ても非常に楽しめる展覧会なのではないかと思える。メルクリのスケッチ、青木のスタディ模型。それらは、一瞬見ただけでもその特徴をつかむことができるし、そのかわいらしさは現代の日本において重要視されている感覚だと思われるからだ。このように、この展覧会は様々な観客層にアプローチするという難しいミッションにも取り組み成功しているといえる。
■展覧会概要
建築がうまれるとき ペーター・メルクリと青木淳
会場:東京国立近代美術館 ギャラリー4
会期:2008年6月3日(火)~8月3日(日)
開館時間:10:00-17:00 (金曜日は10:00-20:00)
休館日:月曜日(7月21日は開館し、翌22日休館)
観覧料:一般420円(210円)/大学生130円(70円)
( )内は20名以上の団体料金。いずれも消費税込。
*高校生および18歳未満、キャンパスメンバーズ、MOMATパスポートをお持ちの方、65歳以上、障害者とその付添者(1名)は無料。
また入館当日に限り、所蔵作品展もご観覧いただけます。
無料観覧日:7月6日(日)、8月3日(日)