SHARE 展覧会レポート”建築がうまれるとき ペーター・メルクリと青木淳”(1)
“建築がうまれるとき ペーター・メルクリと青木淳“展覧会レポートその(1)です。
■展示室での経験
展示室に入ると正面奥の壁面に横長に並べられた膨大な枚数のメルクリのドローイングが目に入る。このドローイングを見ようと歩いて行くと、天井に吊るされた雲型のテーブルが行く手を遮る。そこには青木による住宅のスタディ模型が並べられており、そのテーブルの曲面に誘導されるように模型を眺めていく。
模型は時系列で並べられているが、その配置は厳格なものではなく自然な流れの中で鑑賞することができる。流れに身を任せて模型を見ていくうちに、次第にメルクリのドローイングが配置された壁面に近づき、その作品が意識され始める。
ドローイングは荒い木製の板の上に並べられており、鉛筆やクレパスで描かれた素朴な雰囲気と調和を感じられる。また、その両端にはヨーゼフソンの小さな彫刻が展示されている。
一通り見て振り返ると、反対・正面の壁にもメルクリのドローイングが展示されていることに気づく。そのドローイングに向かう際、再び青木の模型が展示されたテーブルが目に入る。
青木の模型を眺めながら雲型テーブルの間を抜けるとそこには、メルクリのバーゼルとポルトガルのプロジェクトのドローイングがテーブルの上に配置されている。これは壁面に掲げられたものとは異なり、より具体性を持ったものとなっている。
そして再び壁面に掲げられたメルクリのドローイングに辿り着く。反対側壁面に掲げられているものとは異なりより抽象性を帯びたものとなっている。これらはヨーゼフソンが作品を制作できなくなった事と関係しているという。
そしてドローイング脇の一角にあるメルクリによるスタディ模型が目に入る。モランディの絵画のモチーフを立体化したような雰囲気の小さな紙製の模型である。
これで一通り全ての展示物を見たことになる。このように展示室では、メルクリ→青木→メルクリ→青木→メルクリというように、交互に二人の建築家の展示を見ていくことになる。つまり無意識のうちに二人の建築家の作品を比較させられるような状況に作品はレイアウトされているのである。
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