SHARE 末光弘和+末光陽子/一級建築士事務所SUEP.による”下川歯科医院”
photo©阿野太一
プラン
ダイアグラム
以下、建築家によるテキストです。
下川歯科医院
~和紙の透かし柄のような外壁のクリニック~
福岡県筑後市の幹線道路沿いの小さな歯科クリニックです。
私たちは、このクリニックで、葉っぱ形のガラスが象嵌された外壁の建物を提案しました。
このデザインには2つの大きな役割があります。
ひとつは、患者に緊張や不安感を煽りがちな歯科医院において、精神を落ち着け、リラックスできる環境をつくることです。中央の正方形コアの周囲に配置した雁行した外壁は、
内部に多様なスペースを作りながら、どの場所に居ても、外部の植栽と溶け合うような関係を生み出します。その雁行した外壁に開けられた葉っぱのシルエットは、様々な奥行き感を持ちながら、幾重にも重なり、室内を柔らかく包み込みます。
もうひとつは、ロードサイドショップが並ぶ郊外の風景の中で、ただ看板だけによって発信するだけでなく、建物全体の風景としてその存在をアピールすることです。
この地域での伝統工芸でもある和紙の透け柄のような開口のデザインがもたらす風景は、ある意味都会よりセンシティブな地方の社会の中でうまく溶け込むと共に、この歯科医院に新しいアイデンティティーを与えています。
この装飾的でもあり抽象的でもある、自由な開口のデザインは、既製品や既成概念に縛られた建築を新しい価値に導く可能性を秘めています。
末光弘和
□建築データ(下川歯科医院)
所在地:福岡県筑後市
主体構造:軽量鉄骨造+CB造
敷地面積:738.98㎡
建築面積:189.11㎡
延床面積:185.09㎡
設計:末光弘和+末光陽子/SUEP.
構造:坪井宏嗣/坪井宏嗣構造設計事務所
電気設備:塚田文哉/TWO-PLAN
施工:株式会社 大藪組