SHARE 棚部裕貴による”4分割住宅”
以下、建築家によるテキストです。
小さなカフェとオーナー住居の計画。敷地は海に近く、周囲に防風林の名残である松の木が点在する豊かな環境の中にあるが、デベロッパーの開発によって生まれた分譲地で、間口6m、奥行き17mという細長い形状をしている。こうした敷地に対する建築の配置のあり方を考えた。
1階はカフェを兼ねたリビングとキッチンを、2階はベッドルームとバスルームを計画している。1階と2階のヴォリュームを水平にずらすことによって、壁と床が十字型断面を成し、2つの内部と2つの外部が生まれる。内部と内部、外部と外部は、それぞれ分断されながらも線で接している。単純に壁1枚、床1枚を隔てて隣り合うのとは違う、手が届きそうで届かない、近くて遠い、そんな、もどかしい関係である。内部から内部へ移動するには、外部を通過する。この空間体験によって、プライベートとパブリック、そして職住の適度な分離を認識することになる。
外部は内部を伸張し、内部を補完するような性格を持つ。将来は、増築によって、外部を内部に変換することをも想定している。
■計画概要
プロジェクト名:4分割住宅
建築用途:住宅+店舗
施主:個人
主体構造:鉄骨造
建築面積:62.20m2
延床面積:62.20m2