SHARE 谷尻誠 / suppose design officeによる”標本の森”
谷尻誠 / suppose design officeによる「市原市水と彫刻の丘」リノベーション基本実施設計業務プロポーザルの提案”標本の森”です。伊東豊雄が審査委員長を務めたこのコンペの結果はこちらに掲載されています。
以下、建築家によるテキストです。
私たちの提案は、この「市原市水と彫刻の丘」を公園と地域と施設が一体となった森のような場にすることです。
既存の建物を有効活用しながら、前面に広がる公園の魅力を最大限に利用したいと考え、内部と外部、既存と新築が一体化するような場所にしたいと考えています。
それはコーヒーとミルクが混ざったような状態で、それぞれの風味をいかしつつ新しいカフェオレという飲み物に生まれ変わる、そんな関係性をここではつくりたいと考えています。
必要最低限の、すっぴんの状態となった既存建築の魅力を大切に包み込むかのように、新しい建物はそっと地面におかれていきます。
いくつかの新しい建物によって標本化された既存の柱や梁は、ある場所では彫刻作品のように切り取られ、またある場所では、パーゴラのように木陰を私たちに提供してくれます。
自然と建築、既存と新築がただつながっていくのではなく、完全に混ざり合うことで、新旧の魅力を引き出す状況を設計したいと思います。
美術の森の中を散歩できるこの空間では、今までにないアートとの出会いや関係性が生まれてくることでしょう。