SHARE 京都のradlab.で行われているトラフ展”inside out / outside in”の会場写真
京都のradlab.で行われているトラフ展”inside out / outside in”の会場写真です。会期は2010年4月29日 – 5月23日 Thursday- Sunday, 13:00 – 21:00です。ここでは、会場の写真と、repによる展覧会についてのテキストを紹介します。
以下、repによる展覧会に関するテキストです。
「rep – radlab. exhibition project」はこの度、トラフ展「inside out / outside in」を開催しています。
鈴野浩一と禿真哉により2004年に設立されたトラフ建築設計事務所は、建築の現場においてはもちろんのこと、インテリアデザイン、展覧会の会場構成、プロダクトデザインといった幅広い領域にわたって建築的思考を追求しています。彼らにとって重要なことは、モノや現象、あるいは空間の成り立ちから思考をはじめ、シンプルな介入を行うことによってそれらを見る私たちの「視点」そのものの更新を促すことにあります。彼らがしばしば口にする「リノベーション」という語はこうした意味においてとらえることができ、後述する通り「裏返す」という意味を持つ本展覧会のタイトルは、一方でトラフ自身の姿勢を示唆するものでもあります。
同展覧会では、2009年に発表された「空気の器」を「リノベート」した新作15点を展示いたします。一枚の薄紙に切り目というルールを与えることによってのみ成立するシンプルな、それでいて繊細な「器」。薄紙の片面に青、他面に黄を着色することによって、「空気の器」は現象としての緑を生起させました。この作品の魅力は、いわば色彩工学的な問題を空間的な問題へとうつし替えたこと、その「視点」の移行にあると言えるでしょう。
ただ、私たちにとってより興味深い点は、一枚の、普段見慣れた薄い紙が三次元化される際に生まれてくる空間形成の力学です。「現象としての緑」を引き起こした「空間を生み出す力」とでも言うべきもの。今回の「リノベーション」において問われるべきものはそこにあります。会場におかれた大きな丸テーブルの上には、パターンが印刷された薄紙があり、それが立体化した「器」があり、そしてその他「その途上」にあると言い得るものも、置かれています。薄紙の上のはっきりとした二次元的パターンから、おぼろげな三次元的「像らしきもの」への移行に従って空間が表情を変えています。さて、視線の高さや方向性を変化させるごとにうつり変わる「像らしきもの」は、果たして器の「内側」にあるのでしょうか?「外側」にあるのでしょうか?あるいは群としてあるその風景を前にす
れば?
「inside out/outside in」というタイトルは、一般的な「器」のかたちが仄めかすような「inside /outside」という静的な区分がここでは成立しないのではないかという思いからきています。先ほどトラフの姿勢を引きながら触れましたが、「inside out」「outside
in」という語のどちらもが「裏返し」という意味を持っています。この語が他方で示唆する、内が外となる/外が内となる「裏返し」という動的な状態は「内/外」という区分を想起させながらも、その関係の自明性を揺るがすことでまた別の空間性を成立させるようでもあります。おぼろげな「像らしきもの」の現れは、まさにそのプロセスの最中にあることを刻々と示していると言えるのではないでしょうか。目もあやな「器」の群を楽しむと同時に、そこにある風景の成り立ちがいかなるものであるのかへ視点を移していただくことができたときに、今回行った視点の、さらに言えば空間認識の「リノベーション」が成立するのではないかと思います。
(展示作品はエディション付きで販売しています。建築家の展示作品の価値を提示し、入手可能な状況をつくること、それもまたrepのコンセプトでもあります。)
rep
■展覧会概要
名称:トラフ展「inside out / outside in」
主催:rep – radlab. exhibition project
開催日程:2010年4月29日 – 5月23日 Thursday- Sunday, 13:00 – 21:00
場所:radlab.
製造協力:かみの工作所
協力:リンテック株式会社、zoo design