SHARE 田中亮平 / G architects studioによる「葉っぱの涼屋」
田中亮平 / G architects studioが手掛けた休憩所「葉っぱの涼屋」です。
以下、建築家によるテキストです。
茨城の漁港近くに佇む納屋の改修のプロジェクトである。元々痛んでいた納屋は震災で津波をかぶり、オーナーは納屋を取り壊すつもりでいたという。アートイベントで利用する休憩所の会場を探していた我々は、この納屋を借り受けて簡単な改装をする事にした。
地元の若者に集めてもらった葉っぱを使ってワークショップを行った。大量の葉っぱを押し花の様にプレス乾燥させ、錆びたトタン板の壁に磁石で貼付けた後、吹き付け塗装を施した。葉っぱを剥がすと、まるで古い記憶を写し取ったかの様に古い壁面のテクスチャーが現れる。さらに剥がした葉っぱは、モビールとして再利用し、建物の形をトレースするように設置する事にした。
震災の傷跡が残るこの港町の夏のイベントの間、建物の記憶を写し取った葉っぱのモビールは、風鈴の様に僅かな空気の動きを受けて揺らめき、小さな休憩所にささやかな涼しさを与えてくれている。
■建築概要
クライアント:みなとメディアミュージアム実行委員会
設計:田中亮平/G architects studio
住所:茨城県ひたちなか市
用途:休憩所
面積:14.5m2
撮影:森田純典
施工:セルフビルド(協力:常磐大学)
竣工:2013年8月