SHARE 田中裕之 / 田中裕之建築設計事務所による東京都港区のオフィス「サンタフェナチュラルタバコカンパニージャパン株式会社 日本本社」
photo©太田拓実
田中裕之 / 田中裕之建築設計事務所が設計した東京都港区のオフィス「サンタフェナチュラルタバコカンパニージャパン株式会社 日本本社」です。
以下、建築家によるテキストです。
「ナチュラル アメリカン スピリット」の輸入・販売を行うサンタフェ ナチュラルタバコ ジャパン株式会社の日本本社である。
同社発祥の地アメリカ・ニューメキシコ州の文化や、「サスティナビリティの追求」という社の理念とともに、働く社員にとって創造的な思考を産む場所となることを目指した。
また、タバコが農業の一部であり、大地の恵みと農家の手仕事によって無添加のタバコが提供できているという社の広告戦略(2013年現在)と、そのことによる社員のアイデンティティの確立が、空間と組み合わさることが求められた。
したがって、ビルの2フロアを使ったオフィス計画は、それらタバコにまつわるアナロジーからコンセプトをつくり、2フロアのオフィスであることを生かしつつ、B1Fと10FをFIELD(大地)&LEAF(葉)として演出することで、ブランドのビジョンを共有し、循環・発展する空間をつくることを目指した。
また、使用する材料については、経年変化によって価値が上がり、風合いもよくなるものや、すでに役目を終えて原価ゼロとして倉庫に眠っている端材などを積極的に使い、購入家具も希少なアンティークを多用することで、やがてオフィスで役目を終えた後もマーケットに戻り再利用可能となって世の中で循環していくこととなることを前提とした。
10Fは、大きく長いセンターテーブルを葉脈のようにコミュニケーションの中心に据えて、高層階ならではの光の取り込みや、赤坂御用地への眺望を共有しつつ、コミュニケーションを促進するような場所とした。社員の誰もが気軽に集まり、情報交換できたり、ダイニングテーブルとして使ったり、ラウンジ近くはコーヒーを飲むようなリラックスした場所として、社員自らが積極的に使い方を発見する場所になることを目指した。
B1Fはブランドの共有やプレゼンテーション、来客者とのコミュニケーションやイベントを、3つの個室ミーティングスペース(SHARE THE EARTH,SHARE THE IDEAS,SHARE THE LOVE,)とパレットを積んだ「アンジュレーション」により構成している。アンジュレーションはテーブル席以外でもレベル差を利用しての即席ミーティングや、大勢の人たちを前にしたホールミーティングにも対応できる場所としている。
また、来客者や社員が日々使い身体に触れる場所、例えば床には東京の奥多摩産材の間伐材や、天然の麻を使い、手に触れる把手には同社のチーフマークをモチーフにした木彫りの把手、アメリカに由来する手法で縫製した革のハンドルなどをつくり細部にまで一貫して理念を伝えるべくデザインしている。
■建築概要
サンタフェナチュラルタバコカンパニージャパン株式会社 日本本社
所在地:東京都港区
主用途:オフィス
プロデュース:株式会社スピーク
担当:林厚見
設計:田中裕之建築設計事務所
担当:田中裕之、花塚紘紀
アートディレクション/コンパウンド
担当:小田雄太
ウォールペインティング:グラヴィティフリー
地下1階面積:520m2
10F面積:436m2
構造:地上S造 地下RC造、一部SRC造
竣工:2013年9月
施工:安田ファシリティーワークス株式会社
家具:株式会社シームレス
照明デザイン(B1F):Luxie/ 近藤真由美