二俣公一 / ケース・リアルによる福岡の飲食店「WINE & SWEETS TSUMONS」
サムネイル:二俣公一 / ケース・リアルによる福岡の飲食店「WINE & SWEETS TSUMONS」

二俣公一 / ケース・リアルによる福岡の飲食店「WINE & SWEETS TSUMONS」

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photo©水崎浩志

二俣公一 / ケース・リアルが設計した福岡の飲食店「WINE & SWEETS TSUMONS」です。

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以下、作品についてのテキストです。


洋菓子とワインという新しい組み合わせを提案する店舗の計画である。敷地は福岡市中心部に位置し、住居と中層ビルやマンションなどが無秩序に乱立、密集しているエリアにあった。今回の敷地も非常に狭小で周囲を十数階建てのマンションなどに囲まれていたが、一方で施主からは平屋建てでの計画を切望されていた。我々は打ち合わせを重ねる中で、パティシエでありソムリエールでもあるオーナーの新しい食の空間が、街に対して謙虚さと凛とした強さを持ち合わせる職人そのもののような佇まいで現れることを目指そうと考えた。そして同時に、用途・階数もばらばらで無秩序な街並に敢えて平屋建てを建てることの意義を考えた。
この建物は、箱型のヴォリュームの中に南側へ大きく傾斜した片流れ屋根を組み込んで構成している。そして道路側に販売スペース、その奥にカウンタースペースを配置し、これら2つのスペースに面するよう南側にスタッフ動線となる通り庭を設けている。これによって雑多な街路に対して店内の落ち着きを確保すると共に、両メインスペースの背景を柔らかな光の入る半屋外の風景としている。更にはこの風景をトリミングする水平連続窓を延焼ライン外で設定し、クリアな視界を確保した。通り庭の仕上げには、屋根へと連続して大粒のアスファルトシングル材を用いており、水持ちがよく凹凸のある壁や屋根を予め一部に植え込んだマメツタなどの植物が時間をかけて徐々に覆ってゆく。やがてはこの屋根がもうひとつの「ファサード」となり、周囲に住まう人々の「坪庭」のような存在となるだろう。
この平屋建てと周囲の建物との関係性によって生まれる上部の空間=「空(そら)」は、この建物の一つの特徴となっている。これが店舗自体(ブランド)の意義を高め、更には街並へと組み込まれた建物が、地域と共により良い状況を創り出してゆくことを期待している。

■建築概要
WINE & SWEETS TSUMONS(2014年/福岡)
設計:ケース・リアル 二俣公一 片田友樹
設計協力・施工:時空建築工房
照明計画:モデュレックス福岡 佐藤政章
家具製作:E&Y
撮影:水崎浩志
クライアント:WINE&SWEETS tsumons
計画地:福岡県福岡市中央区高砂
計画種別:新築
用途:飲食店
計画期間:2013年2月~2014年2月
構造:木造
規模:地上1階
建築面積:65.3平米(約19.8坪)
敷地面積:87.3平米(約26.4坪)

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また、インクルーシブデザインに関する数多くの著作を世界で発表している。
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「インクルーシブデザイン」という発想 排除しないプロセスのデザイン
ジュリア・カセム 平井康之
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